「運命」冒頭の聞き比べ(1/9)
この記事は、ベートーヴェンの「運命」の、指揮者による演奏方法の違いの比較のため、第一楽章の冒頭を集めた「聞き比べ」である。
楽譜は、作曲者の“意思”であり、指揮者は作曲者が“意図”していた事を“具現化”する単なる橋渡し役に過ぎない・・と、昔、何かで読んだことがある。
それに忠実なのがトスカニーニであり、テンポも非常に正確だ、とも・・・。(実際にはかなり揺れていると聞くが・・・)
それに対し、今回聞き比べてみて、つくずく指揮者による違い(=解釈の違い)で、様々な演奏になる事が分かった。
「運命」の冒頭ではないが、次の演奏をどう捉えるか・・・(後半のオーボエの演奏・・)
<「運命」第1楽章の中間部>
(0)<デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団:1997年録音>(0:41)
楽譜で指示したテンポ・演奏の強弱がベートーヴェンの「意思」だとすると、それを指揮者が勝手に「解釈(=自分はたぶんベートーヴェンがこのように演奏したいと思って書いたと思う・・・)」と称して変えてしまう事は、ベートーヴェンに失礼かもね・・・
しかし、色々な演奏を聴くと、確かにベートーヴェンの意思とは関係なく、自分の心に食い込んでくる演奏があるのも確かだ。
まあ楽譜で伝えられる事は限られているので、作曲者の意図の“行間”を指揮者が(解釈と称して)補填している・・・と考えれば良いか・・・?
それでは「運命」の冒頭の部分の特徴のある演奏を、以下に聞き比べてみよう。「運命」のダ・ダ・ダ・ダーの聞き比べである。
しかし、「運命」もここまで違うと、確かに人それぞれ好みが出てくる・・・。
自分は、フルベンの1947/5/27盤を別格とすると、ワルターが好きだな~。
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(このblogのプレヤーは3秒ほどフェードインするので、最初に2~3秒ほど無音を入れた。
(1)<アルトゥール・ニキッシュ/ベルリン・フィル:1913年11月10日録音>(6:47)
多分「運命」の最古の録音。電気録音が出来る前のラッパ吹き込み。ゆっくりしたテンポで間(ま)が大きく、フェルマータも長い。フルトヴェングラーに似ている・・・。否、フルベンがニキッシュに似ているのだ。(1855年生まれ)
(2)<リヒャルト・シュトラウス/ベルリン国立歌劇場管弦楽団:1928年録音>(5:52)
あの大作曲家のリヒャルト・シュトラウスの指揮する「運命」である。ポリドール45014~7。自分が学生時代の1968年に録音した9.5cmのオープンテープから録った音なので、音質は大変に悪い。
(3)<フランツ・シャルク/ウィーン・フィル;1929年10月26~28日録音>(1:31)
冒頭の「ダ・ダ・ダ・ダーン」が「ダ・ダ・ダ・“ダ”・ダーン」と4つ以上あるように聞こえる。つまりウィーン・フィルともあろうものが、冒頭がそろっていない。しかしこの時代の録音は、一発勝負。この録音が歴史に残ったことからも、演奏の質の高い事が分かる。(2012/04/29追加)
(4)<ウィレム・メンゲルベルク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1937年5月4日録音>(0:55)
メンゲルベルクは凝った演奏をするので有名。SP録音。ものものしくて、音をひとつずつ置いている感じ。(1871年生まれ)
*「ニキッシュ~ワルターまでのMP3ファイル」は(ここ)(30MB)に置きました。zipファイルです。ダウンロードされたい方はどうぞ。
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