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2024年7月 9日 (火)

梅棹忠夫の「民族学から見た国際理解」

毎回PCで録音して聞いているNHK第2「カルチャーラジオ 保阪正康が語る昭和人物史」。
先日の「梅棹(うめさお)忠夫」がなかなか聞き応えがあった。

<保阪正康が語る昭和人物史~梅棹忠夫(1)>

NHKのサイトの解説にはこうある。
梅棹忠夫(1)初回放送日:2024年6月17日
「文化講演会 民族学から見た国際理解」昭和56年2月1日
民族学者の梅棹忠夫は京都市西陣の生まれで、第三高等学校を経て京都帝国大学の理学部に進み、動物学を専攻します。同時に学術研究家を目指し中国などの調査隊に参加しフィールドワークにも励みました。昭和56年2月にラジオ第2で放送された「文化講演会 民族学から見た国際理解」では、世界に3000種類以上ある民族についての基本的な考え方や民族と人種の違い、また益々複雑化を極める民族間の対立について話しています。」ここより)


<保阪正康が語る昭和人物史~梅棹忠夫(2)>

梅棹忠夫(2)初回放送日:2024年6月24日
「文化講演会 民族学から見た国際理解」昭和56年2月1日、「文化勲章受章者の声」平成6年10月
民族学者の梅棹忠夫は、昭和30年に戦後初の本格的な学術調査となる京都大学の探検隊に参加し、中央アジアでの実地調査を行いました。これらの業績が認められ平成6年に文化勲章を受章します。昭和56年2月に放送された「文化講演会 民族学から見た国際理解」では、民族学の重要性について。平成6年10月の「文化勲章受章者の声」では、受賞の喜びや、21世紀に入っても激化する民族紛争について語っています。」ここより)

まず梅棹忠夫という名前が珍しい。「うめさわ」でなく「うめさお」だという。
「みんぞくがく」と聞くと、直ぐに柳田國男の名を思い出すが、こちらは「民俗学」だという。「民族学」と「民俗学」。
「民族学とは自民族以外の民族(ethnos)を研究する学問で、民俗学は自民族の言語や社会生活を調査・研究する学問です。民俗学は、日本においては河童の伝説を取り上げたことで有名な『遠野物語』の著者・柳田國男によって始められた学問として知られています。」ここ)とのこと。

この「民族学」の梅棹忠夫という名は初めて聞いた。しかしその業績は大変なもの。
世界60カ国を訪問し、著作は240冊に及ぶという。

上の放送の気になった言葉を少しメモしてみると・・・
「世界には3000の民族がある。
国境線を重視する政治的地図とは別に、民族の分布を中心とする文化的地図で見ると、世界の事件の解釈やこれからの動きの予測が一般とはかなり変わってくる。
民族とは同じ文化(言語、風俗、習慣、宗教)を共用する集団のことで、国民というのは政治的概念。
人種というのは皮膚の色などの肉体的特徴の話で、遺伝子の分布の問題で生物的概念。文化的概念の民族とは全く関係が無い。」

「民族的対立は益々ひどくなる。昔は民族を超える原理が幾つか存在した。宗教である。これが近代になってすべてご破算になった。イデオロギーは民族的対立を超えることはできない。」

そして、65歳の時に突然視力を失う。ある朝、目が覚めたら目が見えなかった。ウィルス性の視神経の炎症による失明。しかし、もの凄いのは90歳で亡くなるまでの25年間で「失明後はそれ以前よりも多数の著作を残した」という。

毎日のように、テレビからウクライナやイスラエルの戦争の映像が流れている。血に染まった子どもの姿を見ると目を背けたくなる。
これらの現状も、「民族」という視点で見ると、また理解が変わるのかも知れない。
幸いにして日本は島国のお陰か単一民族。(アイヌ差別の問題はあるが・・・)

この放送を聞いて「民族」という言葉を再認識した。
そして、遅まきながら梅棹忠夫の著作を1冊でも読んでみようかと思った。

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