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2024年3月 7日 (木)

映画「男はつらいよ」全50作品を見る

映画「男はつらいよ」の本編48作品と、追加の2作品を見た。そのうち10作品程度は前に見ていたが、一応復習した。
相変わらず「全部」にこだわっている。藤沢周平や山本周五郎、漱石など、前に文庫本を「全部」読んだ作家は、本屋に行っても見向きもしない。「全部」の達成感からか??

今回、「男はつらいよ」を順番に見て、色々と思うことがあったので記してみる。
240307otokowaturaiyo 第一に思ったのは、なるほどこの映画は「国民的映画」と言われるわけだ。ということ。
前は、どうせストーリーは定番の通り。と思って走り見をしていたが、改めてじっくり見ると飽きない。なるほど、さすがに1969年から1995年まで27年の長寿を保ったシリーズだ。
シリーズが終わったとき、倍賞千恵子が「48本を通して、長い長い一本の映画を作ってきたような気がします」と言っていたという。
240307otokowaturaiyosoukanzu 確かに満男の成長などを見ると、時間経過とともに物語が進んでいくようにも見える。これは満男役の吉岡秀隆の「北の国から」の成長物語と重なる。
でも、細かく見ると、27年間の長期間、矛盾無く舞台設定をする事は無理だったようで、さくらの家は、4回も変わっている。同じ家を数十年この映画のために維持することは出来なかったのだろう。そして「とらや」の茶の間のテレビも、時間推移とともに、新型に変わったかと思うと、次の回でまた古いモデルに戻ったり・・・。
寅さんの誕生日もそうだが、セットも、都度設定するので、矛盾無く再現することまでは気が回らないのだろう。
つまりは、連続ドラマとして見てはいけないようだ。
その証拠に、映画のタイトルに何番目という番号が付いていない。今でこそ「第*作」という番号で呼ぶが、配信で見るときも、通し番号が無いため「次は何というタイトル?」と意識して選ばないと順番に見られない。

渥美清は1989年の42作目以降は病気で体調が悪い中での撮影だったという。そして最終の1995年の第48作に出演できたのは奇跡に近いとのこと。
当時は誰もそれを知らなかったので、観客はいつも通りに見ていたのだろうが、渥美清の当時の体調を知って映画を見ると、明らかにオーラが違う。寅さんの笑顔ひとつ取っても、笑い顔も奥のエネルギー感がまるで違う事が分かる。
人間、その全てが顔の表情に、立ち振る舞いに出てしまうようだ。

体調不良の渥美清に替わって主役を務めたのが、満男役の吉岡秀隆。やはりこの役者はすごい。子役の時から、クセの無いぼくとつとした個性が光る。
満男の可愛い後藤久美子の及川泉との初恋。何とか成就させてあげたいと応援していたが、最後の48回で、泉からの見合い結婚の話をうなずいてしまい、そのあげく、現地岡山に乗り込んで泉の結婚式をぶち壊してしまう。これには拍手喝采!?
そして二人は元の恋人の関係に戻る。
ここで渥美清の死とともに、余韻を残して終わるかと思っていたら、50周年記念の2019年の第50回「お帰りなさい 寅さん」で、二人は結婚せず、泉はヨーロッパで別の家庭を持ってキャリアウーマンの道へ。そして満男も脱サラして小説家に。

wikiを見ると、49回「寅次郎花へんろ」で満男と泉を結婚させるストーリーだったという。しかし24年後に作られた50作目では違った。
これは、後藤久美子が現在スイスで生活しており、その事実を考えての設定かも知れない。
確かに、しがないサラリーマンの妻役と、ヨーロッパでセレブ生活中の今の後藤久美子とはイメージが合わないのかも・・・

240307rokechi この映画は、全国各地の美しい風景も見どころ。北海道から沖縄まで、ロケ地は全国に及ぶ。そしてテキ屋としての寅さんの商売で、一緒に全国のお祭り風景が映っているのも見どころ。
アナログテレビ時代の風景やお祭りが、4K画質のフイルムにそのまま残っているのは、文化を後世に残す意味で貴重では無いか・・・。
自分的には、1972年の「寅次郎夢枕」で、米倉斉加年の部屋のTRIOのステレオ装置が、何とも懐かしい!!

最後にとらやの店先に飾ってある格言。

「言葉は心」
一つの言葉で喧嘩して
一つの言葉で仲直り
一つの言葉で頭がさがり
一つの言葉で笑いあい
一つの言葉で泣かされる
(中国のある僧侶の言葉より)

ともあれ、第1作からもう55年。渥美清の死から28年。
しかしまだまだ現役の映画「男はつらいよ」ではある。

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