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2024年2月10日 (土)

小澤征爾さん死去~1972年の日フィルとの「復活」

小澤征爾さんが亡くなった。88歳だという。
ここしばらくは、“病気の小澤征爾”という印象が強く、とうとう・・・という気がした。

指揮者は長生きだという。長寿で直前まで現役だった指揮者は多い。トスカニーニ(89歳)、ベーム(86歳)、カラヤン(81歳)、ジュリーニ(91歳)、そしてブロムシュテット(96歳)・・・
それに比して、小澤征爾は早くして病魔に取り憑かれてしまった。Netによると、
「順風満帆な音楽人生だったが、晩年は病との闘いだった。05年ごろから高齢のため、体調を崩す機会が増えた。70歳を迎えた同年末に白内障を手術。翌年に帯状疱疹(ほうしん)、角膜炎を患い、音楽活動を休止した。10年には食道がんを公表し、手術で全摘出した。」ここより)

70歳でのリタイアは指揮者としてはあまりに早かった。

前に「旧日本フィル解散時(72年)の小澤征爾の「復活」」ここ)という記事を書いた。
2006年7月22日の記事なので、もう18年も前の記事。その時、既に病魔に冒され、2006年7月20日にマーラーの「復活」で活動を再開したという記事だった。
しかし上の記事の如く、完全復活はかなわず、88歳で生涯を閉じた。

この時も書いたが、自分にとっての小澤征爾は、旧日本フィルの最後の定演での「復活」が強烈な思い出として残っている。
もう一度書くと、1972年6月16日(金)19:00 東京文化会館。日本フィル 第243回的演奏会。文化放送からの支援打ち切りでの、6/Eの解散を控えた最終コンサート。首席指揮者の小澤征爾による“復活”を掛けた「復活」演奏会だった。
演奏が終わっても観客は去らず、演奏者が誰も居なくなった舞台に、拍手に応じて小澤征爾ひとりが何度も出て来て挨拶をしていた。
数えてみると、小澤征爾当時36歳。若かった・・・

18年前に書いた上の記事に、当時その演奏会をNHK FMで放送したのを録音した。とあるのを思い出し、ちょっと探したらあった。
Img_3140 1972年6月16日 東京文化会館 旧日本フィル 第243回定期演奏会での、小澤征爾指揮でのマーラーの「復活」の録音である。いつの放送を録音したかのメモは書いていなかった。
しかし残念ながら既に我が家にオープンデッキは無い。よって、この記念すべき録音も聞けない。

あれから52年。しかし会場だった文化会館はまだまだ元気で上野に建っている。

言うまでも無く、クラシック界で小澤征爾ほど日本人として世界で活躍した人はいない。
それだけに、小澤征爾を襲った病魔が残念だった。
何度も「復活」して欲しかった小澤征爾ではある。

(関連記事)
旧日本フィル解散時(72年)の小澤征爾の「復活」 
昭和47年の出来事(25歳) 

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コメント

いやっー本当にビックリしましたわ。
訃報記事の1週間前に2002年の
ニューイヤーコンサートを聴いてま
した。
開演直前、出演者の出身地のお国言葉で「HappNewYear!」を言うのですが、小澤さんの番に、中国語で「新年好」と言うしゃれっ気もありました。(彼は中国大連の生まれ)
何でも、ニューイヤーコンサートを東洋人が指揮するのは小澤さんが初めてだと書いてありました。
エムズさんの言うとおり何度も復活して欲しかった。

投稿: 杉ちゃん | 2024年2月18日 (日) 19:38

さすが「世界のオザワ」ですね。新聞の追悼記事、テレビ・ラジオの追悼番組がたくさん出ました。ニューヨークタイムズ紙に追悼記事が出たのは日本の音楽家では武満徹以来でしょう。エムズさんと違って、私は小澤さんが指揮する生のオーケストラを一度も聴いたことがありません。近くには小澤さんが館長をつとめる水戸芸術館があり、そこを根拠地とする水戸室内管弦楽団の総監督もつとめていましたが、私が現在の住所に移った2013年以降は小澤さんが指揮することはほとんどなかったようです。こちらに住む音楽通の知人に聞いても小澤さんが指揮するコンサートはチケットがほとんどとれなかったので小澤さんの指揮する曲は聴いたことがないと言ってました。
2/13のNHKのローカルニュースでは小澤さん追悼として2012年1/19に小澤さんが指揮した水戸管弦楽団の演奏会の映像が映し出されました。(このときの演奏は、NHKFMのベスト・オブ・クラシックという番組で放送されましたので、聴かれた方もおられるでしょう。)
 以前小澤さんの音楽活動描いた番組がときどき放送されましたが、それらのいくつかは録画して手元にありますので、挙げておきましょう。
・「小澤征爾終わりなき道」(初回2003年放送ですが、録画したのは2014/4/25)
・「小沢征爾若き才能とつむぐ四重奏」(2016/9/18)
・「京都発小澤征爾音楽塾」(2016/5/28)
・「マエストロオザワ80歳コンサート](2016/9/25)
・「小沢征爾(1)私が子供だったころ(2)ボストン心の旅」(2018/9/16)
・アナザーストーリーズ「小沢征爾悲願のタクト北京に流れるブラームス](2022/12/16)

などですが、最後の「・・北京に流れるブラームス」は数日前に再放送があったのでご覧になった方もたくさんおられるでしょう。

投稿: KeiichiKoda | 2024年2月21日 (水) 11:32

KeiichiKoda さん、貴重な情報サンキュー
です。
昨日(2/20)にNHKでアナザーストーリー
運命の分岐点「小澤征爾悲願ののタクト」として放映されてましたね。
ここ当分、小澤征爾追悼番組が続くでしょう。

投稿: 杉ちゃん | 2024年2月21日 (水) 16:19

2/18のクラシック音楽館(NHKEテレ)は小澤さんの追悼番組で、2002年小澤さんが指揮するウィーンフィルニューイヤーコンサートで始まりましたが、当時のウィーンフィルを見ると、演奏者・楽団員は男性ばかりで、最近のウィーンフィルを見慣れた眼からみると驚きますね。
ところで、上の2/21のコメントで、「マエストロオザワ80歳コンサート」の放送日は2016/9/25と書きましたが、これはわたしが録画した再放送日で初回放送は2015/10/11のNHKBS(当時プレミアム)放送でした。2015/9/1に松本で演奏されたコンサートの収録です。小澤さんが指揮したベートーベン「合唱幻想曲」のフル・バージョンはYouTubeで見ることができます。聴衆の中に作家の村上春樹や女優の鈴木京香の姿がちらっと見える。どこにいるか探してみるのも一興です(笑)。

投稿: KeiichiKoda | 2024年2月22日 (木) 10:56

杉ちゃんさんが「ここ当分、小澤征爾追悼番組が続くでしょう。」と上で書いておられる通り、2/18の「クラシック音楽館追悼マエストロ・小澤征爾」以後も、「終わりのない実験「世界のオザワ」が追い求めた音楽」(3/17)、「プレミアムシアター小澤征爾指揮ベルリンフィル1986」(3/18)、ETV特集「小澤征爾日本人と西洋音楽」(3/23)等の番組があり、皆様の中にもご覧になった方もたくさんおられたのではないでしょうか。気づいた人が少なかったと思われるのは、4/6からNHKEテレで新たに始まった番組「理想的本箱、君だけのブックガイド」の第1回「勇気が欲しいときに読む本」の一冊として、小澤征爾「ボクの音楽武者修行」(新潮文庫)が取り上げられたことでしょう。内容は再現ビデオを使って紹介されますが、とくにブザンソンの指揮者コンクールの優勝については小澤さん自身が登場してコメントしています。

投稿: KeiichiKoda | 2024年4月 9日 (火) 18:11

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