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2023年10月の3件の記事

2023年10月17日 (火)

谷村新司の「チャンピオン」

谷村新司が74歳で亡くなった。2023年10月8日のことだったという。
谷村新司の曲の中で、自分が「群青」(ここ)に次いで好きな「チャンピオン」を挙げる。

今日の「スポーツ報知」にこんな記事があった。
名曲「チャンピオン」のモデル、カシアス内藤さんが谷村新司さんの死を悼む「あの歌は、いまだに俺のバイブル」

「冬の稲妻」「チャンピオン」などで知られる3人組グループ・アリスのメンバーで、「昴―すばる―」「サライ」など歌謡史に残る数々の名曲231017tanimura を生んだシンガー・ソングライターの谷村新司(たにむら・しんじ)さんが8日、死去した。74歳だった。16日に所属事務所が発表した。3月に急性腸炎の手術を受け、療養生活を送っていた。治療に専念するため、夏に年内の活動を全てキャンセル。来年の復帰に意欲をみせていた。葬儀は15日に近親者のみで執り行った。後日しのぶ会を開く。

 谷村さんが作詞作曲した「チャンピオン」のモデルとなった元プロボクシング東洋ミドル級王者のカシアス内藤さん(79)がスポーツ報知の取材に応じ、「あの歌は、いまだに俺のバイブルなんだ。谷村さんは人の心をつかむのがうまい人だった」と悼んだ。

 運命の出会いは1978年。「一瞬の夏」で内藤さんの戦いを描いた作家の沢木耕太郎さんに紹介された。若き挑戦者に敗れ、引退を余儀なくされたボクサーの悲哀を表現した歌詞に「俺の生きざまそのものだった。谷村さんは俺をよく見てくれているんだなと、ビックリした」。

 内藤さんは2004年に公表した咽頭がんと闘っており、何度も谷村さんの歌に勇気づけられた。「聴くたびに現役時代の気持ちがよみがえるし、もう一回リングに立ちたくなる気持ちにさせてくれる」。息子の律樹(りっき、32)は現役ボクサーだ。内藤さんは来年予定の律樹の試合で「チャンピオン」を流し「谷村さんをしのびたい」と話した。」(2023/10/17付「スポーツ報知」ここより)

アリス時代の名曲「チャンピオン」は谷村新司が2つのセルフカバーを録音している。
1991年11月25日発売の「Best Request」というアルバムから聞いてみよう。

<谷村新司の「チャンピオン」>

「チャンピオン」
  作詞・作曲:谷村新司

つかみかけた熱い腕を ふりほどいて君は出てゆく
わずかに震える白いガウンに 君の年老いた悲しみを見た
リングに向う長い廊下で 何故だか急に君は立止まり
ふりむきざまに俺に こぶしを見せて寂しそうに笑った
やがてリングと拍手の渦が
一人の男をのみこんで行った(You're King of Kings)
立ち上がれ もう一度その足で立ち上がれ
命の炎を燃やせ

君はついに立ち上がった 血に染まった赤いマットに
わずかに開いた君の両目に光る 涙が何かを語った
獣のように挑戦者はおそいかかる 若い力で
やがて君は静かに倒れて落ちた 疲れて眠るように
わずかばかりの 意識の中で
君は何を考えたのか(You're King of Kings)
立たないで もうそれで充分だ
おお神よ彼を救いたまえ

ロッカールームのベンチで君は
切れたくちびるでそっとつぶやいた(You're King of Kings)
帰れるんだ これでただの男に帰れるんだ
これで帰れるんだ
ライ ラ ライ
ライ ラ ライ・・・

この世から去って行った谷村新司。それを思い浮かべながらこの歌を聞くと、妙にしんみりしてくる。

1986年6月25日発売の「素描-Dessin-」というアルバムのセルフカバー版はこれだ。

<谷村新司の「チャンピオン」>

この編曲はドラムスが大いに活躍しいる。自分はドラムスが好きなので、心地良く聞いている。

オリジナルのアリスの演奏はこれ。

<アリス「チャンピオン」>

やはりオリジナルが良いな・・・

それにしても74歳は早過ぎる。坂本龍一さんも3月に71歳で亡くなってしまった。
偉大な、そして我々と同時代に人生を生きてきた人が亡くなるのは寂しいもの。

TVから「いい日旅立ち」の旋律が流れてくる。
歌の内容は異なるが、何とも哀しく感じる歌の題ではある。

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2023年10月14日 (土)

「天と地と」の小説と映画の違い

海音寺潮五郎の小説「天と地と」を面白く読んだ。ついでに、昔WOWOWで録っておいた角川映画の「天と地と」も見てみた。そして、そのストーリーの違いにビックリ。

71djnduqcil_sl1303_ wikiでは小説も映画も同じ「天と地と」の項目に載っているが、これは別項目にすべきかも・・・?
つまり、映画はクレジットで「原作 海音寺潮五郎(角川文庫)」と謳いながら、ストーリー展開は全く違う。
原作では山本勘助は登場しない。武田の女武者八重も登場しないし、裏切り者の大熊朝秀も印象が無い。しかし映画では大活躍!

この映画は1990年に公開された(旧)角川春樹事務所製作の、いわゆる角川映画。製作費は50億円とも55億円とも言われており、合戦シーンはカナダで500頭馬と3000人のエキストラを集め、1日8000万円、総額25億円をかけた。とwikiにはある。

よって映画の大部分は合戦シーンを見せるものであり、物語への比重は小さい。よってストーリーは、原作を遠く離れる。

念のため、と思って見始めた映画だが、バカバカしくなって半分ほどで見るのを止めてしまった。(でもこれを書くため、いちおう最後まで見たが・・・)

一番バカバカしく思ったのが、宇佐美定行の寝返りと一騎討ちシーン。小説では重要な育ての師、そして最後まで重要な軍師として活躍しているが、映画では寝返って、はてまた謙信と一騎打ち!
見せ場の川中島での武田信玄との一騎打ちでは、川の中で長々とした両者の馬上でのチャンバラが続く。

史実かどうかは分からない。角川春樹が、小説とは別に、他の史料から引用してきたのなら、まだ分かるが、どうも原作を無視して、とにかく映画として受けるように、改ざんしたとしか思えない。脚本に角川春樹も名を連ねているので、あるいはプロデューサー角川の意向かも??

著作権者としての原作者の意向はどうなのだろう?こんなストーリーの変更を著者は許すのだろうか?
もちろん本人はとっくに亡くなっているので、継承者の承諾のもとに作られたのだろうが、あまりの原作の変更(改ざん)に、OKを出したのか疑問。

司馬遼太郎は自作のドラマ化や映像化に非常に慎重で、「街道をゆく」や「坂の上の雲」では到底自分の意図を表現できないだろうと、生前許可を出さず、没後に奥さまからやっと映像化の許可が出たという。

小説などの原作と、映画やドラマは「別もの」という。しかし原作を読んでから映像モノを見ると、違和感だけが残る。
よって、これからは原作を読んだ後に映画やドラマは見ないことにした。

小説から離れて、映画単独として見応えがあればそれはそれで良かったが、今回はそれも無く、角川春樹という権力者の独りよがりが観音寺潮五郎の名作を潰した感があって残念だった。

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2023年10月 7日 (土)

相変わらず時代小説に凝っている

相変わらず時代小説に凝っている。
5年ほど前に「時代小説~親父の思い出」(ここ)という記事を書いた。
つまり藤沢周平から始まって、ここ5年ほど時代小説に凝っていることになる。
今は司馬遼太郎を全部読むことにしているが、時々他の著作に浮気することもある。半年ほど前には真田太平記を読んだ。

先日、録画に溜まっていたBS TBSの「関口宏の一番新しい中世史」(ここ)の45回分を一気見した。
見るのが何となくおっくうで、つい溜めてしまった。しかし、見始めると、一気見の良さが出てくる。つまり前の回の内容をまだ覚えているので、話がつながる。
そこで改めて興味を覚えたのが南北朝と、武田信玄と上杉謙信。良く知られているように、司馬作品に南北朝を採り上げた作品は無い。どうも採りあげる価値のある時代では無いと思っていたらしい。
また主人公として武田信玄と上杉謙信を採り上げた作品も見当たらない。
それで別の作者の作品を探すことになる。そして手始めに読んだのが井上靖の「風林火山」。
これがとてつもなく面白く、それこそアッという間に読んだ。そして今は上杉謙信の「天と地と」を読み始めた。海音寺潮五郎を読むのは初めて。
そして次に控えるのが新田次郎の「武田信玄」。そしてつい吉川英治の「私本太平記」も買ってしまった。

231007jikkahonndana 「私本太平記」といえば、実家の本棚にあったな、と昔の写真を探したら、やはりあった。写真には残っていないが、和室の本棚に「吉川英治全集」が並んでいたことを覚えている。そのうちの2冊をこの写真の本棚に移したのか・・・?
前にも書いたが、実家の遺品整理をする際、もっと本棚の写真を撮っておくのだった。そうすれば親父の読書傾向が読み取れた。当時は、まさかここまで自分も時代小説に凝るとは思っていなかったため、撮らなかった。残念・・・
しかしこの貴重な1枚の写真を見ると、趣味だった将棋やゴルフ、野球、宇宙の本に並んで、時代小説がある。新田次郎や津村陽など・・・
今回「私本太平記」を買ったのも、つい親父が読んだ世界を追体験してみようかと思ったのもひとつ。

18年4月に始めた「本を読むぞ」作戦のリスト。5年半でそろそろ500冊になる。
また司馬遼太郎の世界に戻ることになろうが、まだまだ簡単には死ねない時代小説の世界ではある。

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