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2023年8月15日 (火)

玉音放送の現代語訳

今日は78回目の終戦の日。併せて、親父の27回目の命日。よって、この日だけは忘れない。

Yahoo!ニュースを見ていたら、こんな記事があった。玉音放送の現代語訳である。
難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス 」だけは良く耳にする言葉だが、恥ずかしながら?全文を読んだのは初めて。でも原文はとても理解出来ない。
昔の人は学があったんだな・・・と感心する一方、国民が聞いても到底理解出来ないことを放送するのは、今では考えられない。
最近、「坂の上の雲」により、日露戦争を深読みしているせいか、ちょっと気になった記事ではある。

玉音放送、わかりやすく現代語訳してみた。「戦争を継続すれば我が民族の滅亡を招くだけでなく、人類の文明も破壊される」

8月15日は「終戦の日」。1945年8月15日正午、昭和天皇が話す声の録音がラジオで流れ、ポツダム宣言を受諾することを国民に告げました。太平洋戦争の終結をアナウンスした「玉音放送」です。
この玉音放送で昭和天皇が読み上げた「終戦の詔書」は漢文調で難解な文章だったため、当日、その放送を聞いた国民の多くはその内容がほとんど理解できなかったとも言われています。現代を生きる私たちなら、なおさらわかりません。

そこでBuzzFeed Japan編集部では、「終戦の詔書」をなるべくわかりやすい文章で現代語訳しました。現代語訳するにあたっては、『【永久保存版】CDブック 昭和天皇 玉音放送』の著書がある麗澤大学の川上和久教授に監修をお願いしました。

終戦から78年を迎えるにあたって、太平洋戦争とは何だったのか。昭和天皇の願いを私たちはかなえることができたのか。現代語訳を読むことで、改めて考えてみてはどうでしょう。

「終戦の詔書」の現代語訳(BuzzFeed Japan編集部)
私は世界情勢と我が国の現状を深く考えた上で、非常の手立てをもって事態を収拾したいと思うようになり、ここで私の忠義で善良な国民に告げます。

アメリカ・イギリス・中国・ソ連の4カ国による共同宣言(※ポツダム宣言のこと)を受諾する旨を、私は日本政府から4カ国に通告させました。

そもそも日本国民が平穏な生活を送って、世界の国々と共に栄えるようにすることは、歴代天皇が残してきた手本であり、私の念願でした。以前、アメリカとイギリスの2カ国に宣戦布告した理由も、我が国が自らの力で存続することと、アジアの安定を願ったからです。他国の主権を排除して、領土を侵害するようなことは、もとより私の意志ではありません。

しかし、この戦争が始まってからすでに4年が経過しました。その間、陸海将兵は各所で勇戦奮闘し、役人たちもそれぞれの職務に励み、また1億人の国民も各職域で奉公してきました。このように各自が最善を尽くしたにもかかわらず、戦局は必ずしも私たちに有利に展開したとはいえず、世界の情勢もまた私たちに不利になっています。

これに加えて、敵は新たに残虐な爆弾(※原子爆弾のこと)を使用して、多くの罪なき人々を殺傷しました。その惨害はどこまで広がるか計り知れません。戦争を継続すれば、我が民族の滅亡を招くだけでなく、人類の文明も破壊されるでしょう。そうなれば、私はどうやって我が子に等しい国民を保護し、歴代天皇の神霊にお詫びできるでしょうか。これこそが、私が日本政府に共同宣言を受諾するようにさせた理由です。

私は、これまでアジアの解放に向けて我が国と協力した友好国たちに遺憾の意を表明しないわけにはいきません。また、我が国民のうち戦死や殉職するなど不幸な運命で亡くなった人々や、その遺族に思いをはせると身が引き裂かれるような思いです。さらに戦場で負傷したり、災禍に遭ったり、家業をなくしたりした人々の生活を豊かにすることを考えると、私の心は深く痛みます。

思えば今後、我が国が受けるであろう苦難は尋常なものではないでしょう。私は国民の心中もよくわかります。しかし、情勢の移り変わりはやむを得ないことなので、私は耐えられないようなことも耐えて、我慢できないようなことも我慢して、将来のために平和を実現しようと思います。

私はここに国家体制を維持することができ、忠義で善良な国民の真心を信じ、常に国民と共にあります。もし、感情の激するままに争い事をしたり、同胞同士が互いに相手をけなし、陥れたりして、時局を混乱させ、そのために道を誤り、世界の信頼を失うようになれば、それは、私が最も戒めるところです。

挙国一致してこの国を子孫に伝え、我が国の不滅を固く信じ、国家の再建と繁栄への重い任務と遠い道のりを心に刻み、全ての力を将来の建設に傾け、道義心を向上させ、志を強固にして、我が国の美点を発揮し、世界の進歩に遅れないように努力しなければなりません。

あなた方国民は、私の思いをよく理解し、それに従って行動してください。」(ここ)より

【終戦の詔書(原文)】
朕(ちん)深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以(もっ)テ時局ヲ収拾セムト欲シ茲(ここ)ニ忠良ナル爾(なんじ)臣民ニ告ク

朕ハ帝国政府ヲシテ米英支蘇四国ニ対シ其(そ)ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

抑々(そもそも)帝国臣民ノ康寧(こうねい)ヲ図リ万邦共栄ノ楽ヲ偕(とも)ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々(けんけん)措(お)カサル所曩(さき)ニ米英二国ニ宣戦セル所以(ゆえん)モ亦(また)実ニ帝国ノ自存ト東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他国ノ主権ヲ排シ領土ヲ侵スカ如(ごと)キハ固(もと)ヨリ朕カ志ニアラス然(しか)ルニ交戦已(すで)ニ四歳(しさい)ヲ閲(けみ)シ朕カ陸海将兵ノ勇戦朕カ百僚有司ノ励精朕カ一億衆庶ノ奉公各々最善ヲ尽セルニ拘(かかわ)ラス戦局必スシモ好転セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス加之(これにくわうるに)敵ハ新ニ残虐ナル爆弾ヲ使用シテ頻(しきり)ニ無辜ヲ殺傷シ惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル而(しか)モ尚交戦ヲ継続セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招来スルノミナラス延(ひい)テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ斯(かく)ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子(せきし)ヲ保(ほ)シ皇祖皇宗ノ神霊ニ謝セムヤ是(こ)レ朕カ帝国政府ヲシテ共同宣言ニ応セシムルニ至レル所以ナリ

朕ハ帝国ト共ニ終始東亜ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ対シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝国臣民ニシテ戦陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃(たお)レタル者及其ノ遺族ニ想(おもい)ヲ致セハ五内(ごだい)為ニ裂ク且(かつ)戦傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙(こうむ)リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念(しんねん)スル所ナリ惟(おも)フニ今後帝国ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ時運ノ趨(おもむ)ク所堪へ難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス

朕ハ茲ニ国体ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚(しんい)シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ若シ夫(そ)レ情ノ激スル所濫(みだり)ニ事端(じたん)ヲ滋(しげ)クシ或ハ同胞排擠(はいせい)互ニ時局ヲ乱リ為ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム宜(よろ)シク挙国一家子孫相伝ヘ確(かた)ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念(おも)ヒ総力ヲ将来ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏(かた)クシ誓テ国体ノ精華ヲ発揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ爾臣民其レ克(よ)ク朕カ意ヲ体セヨ

 

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コメント

おそらくこの玉音放送で一番有名な箇所は「堪へ難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ」云々という箇所でしょう。以前、読んでいた新井白石の自叙伝「折りたく柴の記」にも似た表現があります。「・・此年比、堪えがたき事をも堪え、忍びがたき事をも忍びしは、主となしまゐらせ、従者となりし所を思ひしが故也。・・」(岩波文庫89-90ページ)、と。博覧強記で、中国の古典に詳しい新井白石が使っている表現なので、は儒学の古典からの引用にちがいないと思っていたら、達磨大師の言葉だと教えてくれる人がいました。ついでに、この言葉が昭和天皇の終戦の詔勅・玉音放送にはいるいきさつについては
これをご覧ください(↓)
http://www.rinnou.net/cont_04/myoshin/2003-10a.html

投稿: KeiichiKoda | 2023年8月19日 (土) 11:39

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