「良い出来事より悪い出来事が心に残るのはどうして?」
先日の毎日新聞の「毎日小学生新聞」コーナーにこんな記事があった。
<てつがくカフェ>
「良い出来事より悪い出来事が心に残るのはどうして?(小2、まひろさん)」
「忘れると危ないから
良い出来事だけ思い出に残ったらいいのにって思うのかな。気持ちはよくわかるよ。だけどそうなると、危ない目にあったのも失敗したのも忘れちゃうっていうことだから、また同じ悪いことが起こるんじゃないかな。例えば、お湯を沸かしたばかりのやかんに触ってやけどをしたとするでしょう。やけどは痛くてつらいけど、次にやかんを見たときにその痛みを思い出すから、気をつけて触らないようにしようって思うんだよね。もしも忘れてしまったら、何度も繰り返しやけどをするかもしれないよ。
人間は残念ながらすべては覚えていられないから、良いことよりも悪いことを覚えておく方が結果的には得をしたんじゃないかな。
悪いことを忘れやすい生き物は、何度も危険な目にあって、命を落としてしまったのかもしれない。嫌な思い出を忘れさせてくれないあなたの心は、実はあなたを守ってくれているのかもしれないよ。もう二度とあんな目にあわずにすみますようにって。(回答 ゴードさん(長野県立大大学院講師 神戸和佳子))」(2022/06/26付「毎日新聞」P15より)
後期高齢者に近付いてくると、記憶力が気になってくる。先日も、車の免許更新で認知機能検査をしたところ。
それなのに、現役時代のイヤなことをよく思い出す。夢に見る。まさに悪夢だ。
朝起きると、カミさんにその悪夢の話をしようとして、いつも逃げられる。目覚める直前に見る悪夢は、目覚めても結構覚えている。
「そんな夢ばかりなぜ見るのか?」という問題なのである。
現役を引退してから、もう6年になるのに、未だに現役時代の事柄に囚(とら)われている。
友人に聞いても、皆現役時代のことは忘れた。と言っているのに・・・。
その原因がこの回答を読んで分かった気がした。
生き物は、原理的に悪いことだけを覚えているのだそうだ。なるほど・・・
前に「「過去と未来を知る進化生物学」古生物学者・更科功氏の話(ここ)という記事を書いたが、まさに動物の進化の原理そのものだ。
逆に、悪いことを忘れ、良いことだけ覚える生物は、自然淘汰されてきた。だから人間も進化の過程で、悪いことだけ覚えている人種だけ今に生き残っている・・・。
よって、未だに悪いことを思い出す自分は仕方が無いのだ!?
それにしても、随分とイヤなことばかりしてきた人生だった!
子供(学生?)の頃、好きになった女の子に、打ち明けるかどうか、よく友人と議論したもの。
その時の結論は「何もしないよりも、前に進んで行動した方が悔いが残らない」というもの。
こんな事に限らず、今になって考えると、行動してイヤな思い出だけが残っていることが、何と多いことか・・・
人生を振り返って、「バカなことをした」という行動があまりに多い。それが、いまだに続いているのだから始末が悪い。
何か行動を起こして、「バカなことをした」と振り返ることばかり、今でもやっている・・・。そしてそれらを忘れない・・・。
これも先の原理なのか? いや、ことによると、「良い行動」というのが自分には無かったのかも知れない。
そして今は、自分の「行動」に自信が持てなくなり、「後悔するなら行動しない」方向に向かっている。
今はブレーキ役が居るのでまだ良い。何かすることを思い立っても、カミさんに言うと「止めとけ」と言われて即撤退。
これで言う相手が居なくなったら、まさに暴走老人まっしぐら!?
何とも、「納得」して「ゾッと」した新聞記事ではあった。
●メモ:カウント~1380万
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コメント
こんにちは。
人が誰でも熱いやかんに触れるとどうなるかを知っているのは体験によるものだということはz即座に理解できます。
ですが、ベッドの中で暗い天井を見上げながら、「やかんは熱い」という記憶が蘇るものでしょうか。苦々しさや苛立ちを伴う追憶は別のものに思えます。やかんの熱さの記憶は誰でも同じですが、後悔や劣等感を伴う追憶は人によって違うものですから、青字説でみたされた説明になるでしょうか。
ひまわりシリーズの歌「無縁坂」の歌詞では「後ろだけはみちゃだめ」
小林旭の「さすらい」は「あとをふりむきゃ」
女性と男性の違いのようにも思えます。
ワタクシめも、連れ合いに、何十年前のこと言ってるのよ……と呆れられます。失礼しました。
【エムズの片割れより】
今日も車の中で、カミさんから「現役時代のことを何で今さら思い出すのよ!」と叱られました。
しかし心の動きは、意志では何とも制御出来ません。トホホ・・・
投稿: noir chaconne | 2022年7月 4日 (月) 12:17