今ごろ!?山本有三を読んでいる。さっき「真実一路」を読み終わったが、これがなかなか面白かった。
山本有三を読むのは高校生以来。ほぼ60年ぶりだ。
何を迷ったか、先日ふと山本有三を読む気になった。しかし、先に始めた山本周五郎を全部読んでから・・・と思ったものだから、つい遅くなった。
山本周五郎を全部読むぞ!と始まったのが、2020年3月21日(ここ)だった。それ以来、紆余曲折があって、夏目漱石を読んだり、芥川龍之介を読んだり、はてまた佐伯泰英の「吉原裏同心」を読んだりで、なかなか終わらなかった。それでも、2年半をかけて6月中旬にやっとゴール。
それで、山本周五郎から解き放たれ?あちこち読みあさっている。
小説を読み飛ばすとき、その本をどう手に入れるかだが、自分はこのところ図書館。もちろん買っても良いのだが、読み終わったときの処分が困る。捨てるのはもったいないし、メルカリで売っても、発送の手間がかかって1冊60円では何とも・・・。
それで、最近は図書館なのだ。
図書館で検索すると、山本有三はやはり誰も借りていない。それで、古い全集はやめて文庫本を借りた。「女の一生」「真実一路」「路傍の石」の3冊。高校の時は、それに加えて「波」や「生きとし生けるもの」も読んだ記憶があるが、図書館の本が古いので借りるのを止めた。
著者の発行順に「女の一生」「真実一路」の2冊を読んでみて、色々と思い出した。読み易い。なぜか?漢字が少なく、平かなの文体だから!?
もちろん改版で、仮名遣いが改められていることもあるだろう。それにしても、今日の「真実一路」は、1日で読んでしまった。もちろんスジも忘れており、新鮮!?
そんな古い思い出に浸っていたら、何と毎日新聞で山本有三の記事を見付けた。
「理想はどこへ 第1回参院選の傑物たち/上 山本有三(作家)
良識の府求め緑風会結成 日本が世界人類のため役だつようになってもらいたい
久しぶりに作家、山本有三の旧邸、東京都三鷹市にある三鷹市山本有三記念館を訪ねた。緑まぶしい庭園を抜けると、しょうしゃな洋館が現 れる。かれこれ10年ほど前、永田町で憲法改正の動きが顕著になっていたころだった。古本屋でふと手にした終戦直後の有三のエッセー集を読み、驚いた。山本有三といえば、小説「路傍の石」くらいしか浮かばなかったが、憲法の口語化に尽力していたことを知った。彼は恒久平和と戦力の放棄について「裸より強いものはない」ときっぱり述べていたのである。いまどきの感覚からすれば、うぶすぎるが、かみしめるべき言葉だな、と思った。
参院選たけなわの夏、また有三が気になりだした。彼こそ1947年の第1回参院選に立候補した傑物のひとりであり、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で安全保障が争点になっているからでもある。記念館には出馬の決意を表明したラジオ演説用のナマ原稿が保存されていた。<……学者とか文学者とかいう者は、とかく政治にたずさわることを喜ばなかった。それは、竹林の七賢人のように、世間から遠ざかって、自分ひとりで気炎をあげていることが、清い高い生活であるとする、東洋風な思想がはびこっていたからであると思います>。選挙ポスターもあったが、顔写真などなし。わきに添えた<純 無所属>の文字がやけに誇らしげ。・・・」(2022/07/04付「毎日新聞」夕刊P2より)
山本有三は参議院議員だったのだ。wikiにもこう紹介がある。
「戦後は貴族院勅選議員に勅任され、国語国字問題に取り組んで「ふりがな廃止論」を展開したことでも知られる。憲法の口語化運動にも熱心に取り組んだ。1947年(昭和22年)の第1回参議院議員通常選挙では全国区から出馬して9位で当選。参議院議員を1期6年間務めて緑風会の中心人物となり、政治家としても名を残したが、積極的な創作活動は終生変わらなかった。1965年には文化勲章を受章している。・・・」
さらにググってみると、
「口語化憲法草案の発表
国語の平易化運動を熱心に進めていた「国民の国語運動」(代表・安藤正次博士)は、「法令の書き方についての建議」という幣原喜重郎首相あての意見書を提出した。これが主たる契機となり、1946(昭和21)年4月2日に、GHQの了承、また、閣議の了解を得て、ひらがな口語体によって憲法改正草案を準備することとなった。口語化作業は極秘に進められ、作家の山本有三に口語化を依頼し、前文等の素案を得た。この案を参考として、実質的には、入江俊郎法制局長官、佐藤達夫法制局次長、渡辺佳英法制局事務官らの手により、4月5日に第一次案が完成した。4月16日には幣原首相が内奏し、法令の口語化はまず憲法について行い、憲法の成立施行後は他の法令にも及ぶことを伝えた。次いで4月17日、憲法改正草案が発表された。」(ここより)
なるほど・・・。憲法の口語体は、山本有三が書いたのか・・・
「ふりがな廃止論」から言っても、作品のひらがな体もうなずける。
来週の参院選を控え、改めて山本有三を思い出すこの頃である。
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