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2022年5月 9日 (月)

「認知症の母と支えた父の物語」映画監督 信友直子さんの話

NHKラジオ深夜便の「明日へのことば」で「認知症の母と支えた父の物語 映画監督 信友直子」(2022/05/03放送)を聞いた。そしてAmazonの配信でドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」を見た。

もちろん自分は、信友直子さんというドキュメンタリー作家は知らなかった。しかしこの話を聞きながら、そのリアルさに引き込まれた。
誰もが突き当たる親の介護という問題。そして逆にされる側としての自身の老後、介護という問題・・・

<NHKラジオ「認知症の母と支えた父の物語」映画監督 信友直子>

この話は、(ここ)のサイトにそのテキストが載っている。この話の趣旨は・・・

「認知症の母と支えた父の物語」映画監督 信友直子
4年前に、認知症の母と介護にあたる父の日常を描いた映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」を制作、自主上映が全国に広がりおよそ20万人が鑑賞し、自ら執筆した本も多くの人に読まれました。その後母は脳梗塞も発症、2020年夏に亡くなりました。信友さんは老夫婦の介護の日常や90歳を越えて様々な家事を始めた父の奮闘ぶりなど、新たな発見を映像にまとめて、続編の「ぼけますから、よろしくお願いします。おかえりお母さん」を制作、3月末から順時公開され,合わせて書籍の続編も出版されました。認知症の介護体験から感じたこと、映画や書籍から伝えたいことなど伺いました。・・・」

終わりの頃に話されていた次の言葉に何か感動した。
「それまで30分間の面会でしたが、6月13日にはずーっといてもいいですと言われて、「わしは挨拶はせんよ」と言っていた父が、夜に「おっかあ、今までありがとね。わしゃあ、あんたが女房でほんとによかったわ。いい人生じゃった。ほんまに幸せな人生をありがとね」と言ったんです。そして「向こうで又仲良く暮らそうや」と言ったら又母の目に涙が溜まって、凄い瞬間に立ち会ったと思いました。」

この話が映画になっていることを知り、調べてみると、近くの映画館で上映されていたことが分かったが、既に上映は終了していた。しかし、ネット配信されている事が分かり、Amazonで直ぐに見た。

映画の公式HP(ここ)には、この映画についてこう解説がある。
母、87歳、認知症。父、95歳、初めての家事。
 広島県呉市。この街で生まれ育った「私」(監督・信友直子)は、ドキュメンタリー制作に携わるテレビディレクター。18歳で大学進学のために上京して以来、40年近く東京暮らしを続けている。結婚もせず仕事に没頭するひとり娘を、両親は遠くから静かに見守っている。
220509boke_101  そんな「私」に45歳の時、乳がんが見つかる。めそめそしてばかりの娘を、ユーモアたっぷりの愛情で支える母。母の助けで人生最大の危機を乗り越えた「私」は、父と母の記録を撮り始める。だが、ファインダーを通し、「私」は少しずつ母の変化に気づき始めた…
 病気に直面し苦悩する母。95歳で初めてリンゴの皮をむく父。仕事を捨て実家に帰る決心がつかず揺れる「私」に父は言う。「(介護は)わしがやる。あんたはあんたの仕事をせい」。そして「私」は、両親の記録を撮ることが自分の使命だと思い始め−−−

大反響のテレビドキュメンタリー、待望の映画化。
 娘である「私」の視点から、認知症の患者を抱えた家族の内側を丹念に描いたドキュメンタリー。2016年9月にフジテレビ/関西テレビ「Mr.220509bokemasu_11 サンデー」で2週にわたり特集され、大反響を呼んだ。その後、継続取材を行い、2017年10月にBSフジで放送されると、視聴者から再放送の希望が殺到。本作は、その番組をもとに、追加取材と再編集を行った完全版である。娘として手をさしのべつつも、制作者としてのまなざしを愛する両親にまっすぐに向けた意欲作。」

まさか自分の母親が認知症になるとは思っていなくて撮り始めた記録。それが結果として、ある人が徐々に認知症になっていく過程が記録されてしまった。
家族でなくては撮れないシーン。そして会話。
終始存在するのは、父親の温かなまなざし。そして常に勉強している姿。左手には新聞、右手にはサインペン。そして新聞の切り抜きのためのハサミ。
戦争のために大学をあきらめざるを得なかった父親の、知的水準の高さが随所にうかがわれ、その姿が常に光って見えた。

もちろん自分は、この映画と話を、介護する側ではなく、される側の視点で見た。90を超え、腰も曲がっているにもかかわらず、スーパーの買い物袋を下げ、歩く姿。
スゴイと思う反面、自分だったら・・・と想像してしまう。
「老化はイヤだ」と幾ら思っても、それは確実にやってくる。
どんなに遅くても、筋トレは必要?散歩が重要???

何をすれば老化を遅らせられるかは、自分にとってはまだ未研究!?の分野。しかし映画の中で、主治医が、声を出すこと、話すことは脳の血液循環が良くなるので非常に良いこと。と言っていたことが頭に残った。
我が家では(ケンカをしていないときは)つまらない会話が多い。それも少しは役に立っているのかも・・・

まさに、我々がこれから立ち向かう老化について、身につまされる話と映画ではあった。
2022年3月25日から公開の続編「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」(ここ)も、機会があったら見てみたいと思う。

蛇足だが、この映画は非常に話題になった映画らしく、Netでググると色々な情報が得られる。FRIDAYのサイト(ここ)に、この映画のプロデューサーは、故大島渚監督を、女優を休業して介護した小山明子さんの息子である大島新氏である、とあった。

小山明子さんの介護の話は、自分も前に挙げて事があったな、と検索してみると「小山明子さんの介護の姿勢」(2008/07/04 ここ)の記事だった。何と14年も前の記事。

自分だけは、誰にも迷惑をかけず、ポックリ逝きたいものだが、日頃の心掛けには自信は無い・・・

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