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2022年4月15日 (金)

BS-TBS「関口宏のもう一度!近現代史」を見て

この3月で、BS-TBSの「関口宏のもう一度!近現代史」が終わってしまった。全123回。2019年10月12日から2022年3月26日までの2年半の放送だった。

自分がこの番組を知ったのは2020年6月のころ。当時、「知的好奇心を満足させるBS-TBSの「関口宏のもう一度!近現代史」」(ここ)という記事を書いた。
220415sekiguchi_20220426220101 しかし、なかなか内容が重く、つい録画したまま見ていなかった。それを放送終了を聞いて、4月になってから60数回分を一気に見た。
それが今日見終わったので、その感想である。

今回は連続して見たので、内容が良く分かった。連続ドラマもそうだが、1週間の間を空けると、つい前のことを忘れる。それで毎日、頑張って5~6回分を一気に見ると、歴史の連続性が良く分かる。

何よりも、保阪正康さんが、歴史の証人にたくさんインタビューした裏話をしてくれるのが面白かった。単に本からの知識では無く、当人に会って取材した内容を紹介してくれるのは、半藤さんや保坂さん以外では出来ないことでは?

番組は、フリップにまとめたレジメに従って進んでいくので、まずフリップの画面を止めて読み、それから解説を聞くと分かり易かった。

圧巻は終戦の昭和20年。14回に亘って詳しく解説してくれた。
玉音放送の現代語訳は初めて読んだし、ソ連の8月15日以降の樺太・千島列島への侵略の状況も初めて知った。9月2日のミズーリ号調印以降も歯舞諸島へ侵略し、それをソ連側は、全て2日以前の出来事だと、自国の歴史を書き換えて正当化しているという。
そしてマッカーサーの調印式の時の、全米のラジオで中継されたという演説内容、マッカーサーが厚木に降り立った当時の状況は、初めて知った。

言い方は悪いが、これほどドキュメンタリーとして興味深い物語は無い。しかし残るのは、日本軍に対する嫌悪感だけ。

最後の回で、保坂さんは、近代史というのは、明治維新(1868)~終戦(1845)までの77年。現代史は、終戦(1945)~現在(2022)までの77年、といっていた。
近代史のテーマは戦争。日本は、日清戦争に勝ったことで、清から国家予算4年分の賠償金を得たので、戦争は儲かる、ということになって戦争に突き進んだ。
そして現代は「77年間戦争を体験しなかったことが、私たちの国の財産になる」と言っていた。
「先達の残したものを選択し、後世に伝えていく」ことが大切だ、とも。

この番組は本になっている。「関口宏・保阪正康の もう一度! 近現代史 明治のニッポン」「関口宏・保阪正康の もう一度! 近現代史 戦争の時代へ」。そして、この4月28日に「関口宏・保阪正康の もう一度!近現代史 帝国日本の過ち」が発売されるという。
第1巻は読んだが、頭を整理するため、2冊目と3冊目も読んでみようと思う。

保坂さんも最後に言っていたが、この番組で頭が整理された。我々も同じである。
この番組は、1回だけの放送ではもったいない。「何とか再放送を!」とTBSにリクエストしているが、どうなることか・・・。
まさに「関口宏のもう一度!近現代史」という番組は、日本の文化遺産とも言える貴重な番組だと思った。

(関連記事)
知的好奇心を満足させるBS-TBSの「関口宏のもう一度!近現代史」 

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コメント

いい番組でしたね。私は大正時代の「人類史最悪のパンデミック「スペイン風邪」」(2020/7/18)のときからで、それ以前は見ていません。ただし、それをカバーする本が講談社から出ているのでそれを読みました。毎回、放送を見ると同時にHDD録画し、たまるとBDに移していたので、大正時代からですがワンセットあります。私の知人もこの番組をあとで見ようとせっせと録画していたが、操作を誤って全部消去してしまったそうで(笑)、私のワンセットを貸してあげることになりました。彼によると、本が出版されていることは知っているが、保阪さんの説明の口調が好きなんだそうです。再放送があるなら、私も、見ていない明治時代はもちろんですが、大正時代以降ももうワンセットつくっておきたいですね。

【エムズの片割れより】
数えてみたら、7回分録画失敗などがあって見逃しました。
ぜひ再放送を願いたいですね。
一回だけの放送ではもったいない!!

投稿: KeiichiKoda | 2022年4月16日 (土) 11:16

話は違いますが、最近一番わくわくして見たTV番組は4/10放送のNHKスペシャル「数学者は宇宙をつなげるか?ABC予想をめぐる数奇な物語」、あるいは、これの30分拡大し、BSPで4/15に放送された「完全版」です。昔、「フェルマーの最終定理」が1997年BBC制作のTV番組がNHKで放送されたとき、息子と一緒にわくわくしながら見たことを覚えています。この番組はのちに本になり、新潮文庫(サイモン・シン著)にも納められていますので、興味がおありなら読んでみてください。ABC予想が証明されると、特殊の場合として「フェルマーの最終定理」も簡単に証明されてしまうらしい。この「ABC予想」番組と合わせて、NHKで過去に放送された同種の番組「ポアンカレ予想」(2007年)と「リーマン予想」(2009年)の番組もBSPで再放送されました。後者の「リーマン予想」はリーマン以来名だたる数学者が挑戦するもいまもって未解決。映画「ビューティフル・マインド」のナッシュや映画「イミテーション・ゲーム」のチューリングも解決に挑んでいるんですね。後者の「ポアンカレ予想」はロシアの数学者ペリルマンによって解決されたが、当時の数学者の全く予想外の方法(物理学の方法だったらしい)を用いており、当時の数学者にはなかなか理解されなかったらしい。この意味で、「ABC予想」を解決したとされる望月新一教授が用いた方法・理論「宇宙際タイヒミュラー理論」も従来の数学とはかけ離れ、一流の数学者の多くにとっても理解不能で、査読が済んで論文が出版されたのに解決されたという合意が得られていないらしい。

【エムズの片割れより】
早速、タイムシフトで「完全版」を見てみました。
なかなか難しい・・・
大学の数学の授業の時、高校までの数学が「算数」であったことに気が付いたことを思い出しました。

投稿: KeiichiKoda | 2022年4月20日 (水) 07:56

「関口宏のもう一度近現代史」の後継番組の「関口宏の一番新しい古代史」もご覧になっておられるでしょうか?昨日(7/2)の番組を見ていたら、8/14(日)の午後6時に「もう一度近現代史SP(特集版)」の放送が決定したというアナウンスがありました。ご参考まで。

【エムズの片割れより】
情報をありがとうございます。
7/2分はまだ見ていなかったので、早速見ました。
今回の古事記・日本書紀は少々難しかった・・・
最後に、近現代史SPのテロップがありましたね。
総集編でしょうか?楽しみにします。

投稿: KeiichiKoda | 2022年7月 3日 (日) 20:21

7/2放送のテーマは「古事記・日本書紀特集!神話が伝えるものとは?」でした。この番組の解説の2人の古代史専門家(松浦正剛・吉村武彦)は、学界の意見が分かれる部分があるときは、こういう異論もあるということをときどき指摘したりしています。私が読んだ岡田英弘「日本史の誕生」(ちくま文庫)によると、古事記は712年出版とされているが、作者は太安万呂ではなく、9世紀の平安朝初期の偽作であるとしている。いろいろ根拠をあげて偽作であることを示していますが、私には非常に説得的に見えます(とくに245-251ページ)。偽作を主張しているのは岡田正弘氏だけでなく、脚注によると鳥越憲三郎「古事記は偽作か」(朝日新聞社)、大和岩雄「古事記成立考」(大和書房)等でも論証されているらしい(わたしは読んでいません)。しかし、「関口宏の・・・」では、古事記については偽書であるという意見もあるということは一言も指摘がありません!この件「古事記偽作論争」について学界の趨勢はどうなっているんでしょうか?この番組のホームページに視聴者からの意見・コメントを求めているので、以上について質問しておきました。

【エムズの片割れより】
古代史にお詳しいですね。
そうなんですか・・・。 教科書でも習いましたが、そんな説もあるんですね。
まあ自分的には、TVで両氏が言っていたように、内容そのものが神話というフィクションなので、その通りに捉えています。

投稿: KeiichiKoda | 2022年7月 4日 (月) 06:57

以上だけでは、なぜ「古事記」が偽書と考えられているか、わからないと思うので、ポイントをいくつか書いておきます(岡田本の245-251ページ参照)
・「古事記」には太安万呂の序文が(西暦にすると)712年の日付でついていて、天武天皇が稗田阿礼に命じて史料を誦唱させ、元明天皇が太安万呂にその史料を一書にまとめさせたとある。この序があやしいことは江戸時代(賀茂真淵等が問題にしている)からある。
・当時の朝廷の正式の記録である「続日本紀」には太安万呂の事跡は載っているのに、元明天皇がこの人に史書の編纂を命じたことも、書き上げて「古事記」を献上したことも書いていないこと。
・奈良朝のどんな書物にも「古事記」の名前も見えず、一つも引用もないこと。
・1814年に完成した「新撰姓氏録」には多くの氏族の由来について「日本書紀」からは丹念に記事を拾い集めているのに、「古事記」からは一つの引用もないこと。
・「古事記」(712年)の内容が720年の「日本書紀」よりも新しいこと。「風土記」の編纂の命令が下ったのは713年だが、編纂は大事業で720年の「日本書紀」には間に合わず、そのため出雲神話がほとんど載っていないが、「古事記」には出雲神話が豊富だ。例えば、因幡の白うさぎの神話は「因幡国風土記」にのっていたことはわかっているが、日本書紀にはない。

投稿: KeiichiKoda | 2022年7月 6日 (水) 17:15

興味がおありでしたら、当然ながら、「古事記」のWikiをご覧ください。偽書説の項目もあります。上で書いたこととダブル部分もありますが、それ以外のことも書いてあります。

投稿: KeiichiKoda | 2022年7月 8日 (金) 09:06

ご存じのように、関口・保阪「もう一度近現代史」は放送は終了しましたが、本が出版され、これまでに3冊が出版されています。最新刊の副題は「帝国日本の過ち」で、昭和11年から20年までを扱っています。友人の問い合わせで、2021/7/17放送の「昭和18年(1943年)大都亜宣言・東京ローズ」のところを本のバージョンではどうなっているかを調べて少し驚いたことがあります。本も関口さんと保阪さんの対談形式で書かれているんですが、当然放送で話されたままではなく、編集されて、要約された形で提示されていて、それ自体は驚くにあたらないのですが、放送で取り上げられた重要項目が削除されているのです。たとえば、7/17放送では取り上げられている米英中のカイロ会談、米英ソのテヘラン会談のうち本のバージョンでは後者は完全に削除されています。7/17放送の見出しにあった東京ローズの話も本には見当たりません。ページ数を抑え、本が分厚くなるのを避けるためでしょうが、重要なトピックが抜け落ちるというのは解せません。以上はたまたま7/17放送分について調べた結果ですが、ほかについても推して知るべしでしょう。

【エムズの片割れより】
まだ最新刊は読んでいないのですが、図書館でやっと順番が回ってきたので、やっと読めます。
本は、たぶんエキスの抜粋なのでしょうね。
でもこの番組は、続編も含めて非常に知的好奇心を満足させてくれます。
関口さんには、何とが元気で続けて欲しいものです。

投稿: KeiichiKoda | 2022年8月17日 (水) 09:59

朝ドラは庶民の「近現代史」だ、とどこかでコメントしたことがありますが、いま、3つほど朝ドラを見ています。現在放送中の「舞い上がれ」と再放送中の「ひまわり」(1996年放送、松島菜々子主演)と「本日も晴天なり」(1981年放送、原日出子主演)。「舞い上がれ」は時代設定は確かではありませんが、ポケベルが出てきたので平成かな(?)「ひまわり」は放送も、時代設定も平成のようです。毎朝NHKBSPで見ている「本日も・・」は東京下町に生まれた元子一家の昭和19年の生活からはじまりますが、年末にかけて空襲警報が鳴ったり、食糧不足が深刻化しつつあったりするものの、比較的平穏な生活がつづいていたようですが、昭和20年にはいり、空襲警報が鳴る頻度が増え、本日の話はいよいよ3月10日の東京大空襲のはじまりのところで終わっています。NHKの放送部員に元子と一緒に採用された人たちの中には元子のほか、満州出身や樺太出身の女性もいて、この人たちの運命が今後どうなるかにも、興味がもたれます。

【エムズの片割れより】
朝ドラは、最近は本当に見なくなりました。
昔、会社の寮に入っていたとき、沖縄が舞台の朝ドラを見てから会社に出発していたのを思い出しました。

投稿: KeiichiKoda | 2022年10月15日 (土) 10:20

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