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2022年1月 1日 (土)

なかにし礼の反戦詩「平和の申し子たちへ!」

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、先日、カルチャーラジオ NHKラジオアーカイブス「声でつづる昭和人物史 なかにし礼」(2021/12/20放送)を聞いていたら、保阪22010120140710mainichi 正康さんが、なかにし礼さんと一緒に行った道新フォーラム「現代への視点2014~歴史から学び、伝えるもの」(2014/11/24開催ここ)で、なかにし礼さんが朗読した詩に感激した、と言っていた。
ググってみると、この詩は、2014年07月10日の毎日新聞の夕刊に発表したものだという。
集団的自衛権が閣議決定されてから、わずか9日後の発表である。それほど、安倍政権の憲法無視はひどく、なかにし礼さんのショックも大きかった。

下記に、対談と自身によるこの詩の朗読がある。

「平和の申し子たちへ!」
  泣きながら抵抗を始めよう
   詩:なかにし礼

二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
つまり君たち若者もまた
圧殺されたのである
こんな憲法違反にたいして
最高裁はなんの文句も言わない
かくして君たちの日本は
その長い歴史の中の
どんな時代よりも禍々(まがまが)しい
暗黒時代へともどっていく
そしてまたあの
醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう
ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回りはじめたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため? 大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいてないからだ
世界史上類例のない
六十九年間も平和がつづいた
理想の国に生まれたんだもの
平和しか知らないんだ
平和の申し子なんだ
平和こそが君の故郷であり
生活であり存在理由なんだ
平和ぼけ? なんとでも言わしておけ
戦争なんか真っ平ごめんだ
人殺しどころか喧嘩(けんか)もしたくない
たとえ国家といえども
俺の人生にかまわないでくれ
俺は臆病なんだ
俺は弱虫なんだ
卑怯者(ひきょうもの)? そうかもしれない
しかし俺は平和が好きなんだ
それのどこが悪い?
弱くあることも
勇気のいることなんだぜ
そう言って胸をはれば
なにか清々(すがすが)しい風が吹くじゃないか
怖(おそ)れるものはなにもない
愛する平和の申し子たちよ
この世に生まれ出た時
君は命の歓喜の産声をあげた
君の命よりも大切なものはない
生き抜かなければならない
死んではならない
が 殺してもいけない
だから今こそ!
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!

なかにし礼の著書としては、「赤い月」や「兄弟」(ここ)を読んでいたので、氏の人一倍の反戦姿勢は知っていた。その氏が、安倍政権の戦争への驀進に、益々の危機感を抱いたのは想像に難くない。
そして、声を挙げた。
あれから7年半。ウソの安倍・菅政権が終焉を迎え、ホッとしていたら?何と、平和っぽい岸田政権が、憲法改定を進めるという。
ここ)を読むと、岸田政権は“脱安倍”をしているようにも見えるが、安倍元首相と同じく、自分のレガシー作りという危険な一面も・・・

「・・・首相は安倍氏を不快にさせる必要もないのに、「安倍離れ」を見せつけるような言動を続けている。先の臨時国会で「桜を見る会」の在り方に「大いに反省すべき点があった」とし、自分の内閣では「開催しない」と言い切ったばかりでもある。
 首相の心情と狙いについて、岸田派のベテラン議員は「内閣支持率が上がるからと、ドライにやっている」と解説する。「世論調査を基にしている。森友でも桜でも、ほとんどが安倍氏に批判的だ。首相はその反対をやっているだけ」なのだという。
 来夏の参院選を見据え、世論の声をよく聞いた上で「脱安倍」を実践しているというわけだ。政権浮揚と求心力アップのために「安倍氏の『負の遺産』を有効利用している」とも言える。首相は「意外と政局巧者」という評の通りだ。・・・」
「・・・安保、改憲、皇位継承の3分野では安倍氏に配慮し、その意向に沿っているとも言える。だが、この点についても視点を変えると、違う岸田像が見えてくる。永田町では「自身のレガシーにしようとしている」と見る向きがもっぱらなのだ。
 改憲は国の形を変え、皇室典範改正は天皇制の形を変えることになる。いずれも岸田政権で実現すれば、歴史に名を残すのは間違いない。・・・」

なかにし礼と同様に、半藤一利氏は自著の絵本「焼けあとのちかい」でこう書いている。
「そのとき以来、わたくしは二度と「絶対」という言葉はつかわない、
そう心にちかって今日まで生きてきました。
しかしいま、あえて「絶対」という言葉をつかって
どうしても伝えたいたったひとつの思いがあります。
『戦争だけは絶対にはじめてはいけない』」ここより)

戦争に突き進む日本を今後どうして行くかは、まさに若い人にかかっている。
「平和の申し子たち」が、今の政治の方向にどう動くのか?
新年を若い人の行動元年と期待したいものだが・・・

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