「ザ・ベストラジオ2021」①~南海放送ラジオ「感染-正義とは何か-」
かうかうさんから、「ザ・ベストラジオ2021」放送の情報を頂いた(ここ)。
それで録音したのだが、これがなかなか興味深い番組だったので、紹介したい。
「ザ・ベストラジオ2021「前半」
12月20日月曜NHKFM 午後4時00分~午後6時00分
国内の代表的な放送番組コンクールで選奨された作品を、公共放送・民間放送の垣根を越えて紹介する特集番組です。
■南海放送 南海放送ラジオ報道特別番組 「感染-正義とは何か-」 <令和2年度(第75回) 文化庁芸術祭賞 ラジオ部門 大賞 / 2020年日本民間放送連盟賞ラジオ報道番組最優秀>
■RSK山陽放送 「塀の中のラジオ~贖罪と更生 岡山刑務所から」 <第47回 放送文化基金賞 ラジオ番組 最優秀賞>
ザ・ベストラジオ2021「後半」
12月21日火曜NHKFM 午後4時00分~ 午後6時00分
■ラジオ関西 「BORDER」~ヒョーゴスラビアにおける県境とは?~ <2021年 日本民間放送連盟賞 ラジオ教養番組 最優秀>
■文化放送 文化放送戦後75年スペシャル「封印された真実~軍属ラジオ」 <第58回 ギャラクシー賞 ラジオ部門 大賞 / 2021年日本民間放送連盟賞 ラジオ報道番組 最優秀>
【ゲスト】構成作家…石井彰,【司会】三宅民夫」(ここより)
今日は、そのうちの「感染-正義とは何か-」である。
<南海放送ラジオ報道特別番組 「感染-正義とは何か-」>
この番組について、南海放送のHPにはこう解説がある。
「2020年3月2日、愛媛県最南端にある人口およそ2万人の愛南町で、県内初となる新型コロナウイルスの感染者が確認される。この日を境に県内の雰囲気は一変した。「感染者は誹謗中傷に耐えられなくなって自殺したらしい」という噂が飛び交い、感染者が半日も経たたないうちに特定された。感染も県内で一気に広がり始め、精神科病院や高齢者施設ではクラスターが発生。「こんな施設閉めてしまえ」、「人殺し!」...。ウイルスの感染スピードを遥かに超える早さで、誹謗中傷などの人権侵害が拡散していく。新型コロナウイルスの本当の恐怖は、ウイルス自体ではなく、私達人間が人間でなくなることなのではないのか―。人権侵害は、ひとりひとりの「正義」に基づいて広がる。なぜ、本来は人を守るはずの「正義」が、人を攻撃しているのか。新型コロナウイルスから人の「正義」とは何かを問うドキュメント。」(南海放送のここより)
この中で紹介される誹謗中傷で、もっともショックを受けたのが、新居浜市における児童の登校拒否問題。
「入学式・始業式を欠席、学校と市教委が「判断誤り」と謝罪
愛媛県新居浜市の市立小学校で、新型コロナウイルスの感染が拡大している東京や大阪などを行き来する長距離トラック運転手の2世帯に対し、新1年生を含む子ども3人を登校させず自宅待機とするよう要請していたことが明らかになった。
子ども3人に体調の悪化は見られなかったが、4月8日の入学式と始業式を欠席した。学校と市教育委員会は判断が誤っていたと謝罪、自宅待機要請を撤回した。
市教委によると、市教委は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、新学期が始まるのに合わせて4月7日に市内の全小中学校を通じ、各家庭に感染の拡大している地域を訪れたかどうかと、家庭内に体調不良の家族がいないかどうかを確認するアンケート調査を実施した。この2点をいずれも満たす家庭があった場合、児童の登校自粛要請を検討するよう学校側に求めることが目的だった。
その際、運転手の家庭から学校に対し、仕事で感染拡大地域に行ったが登校してもよいかどうか問い合わせが寄せられたため、学校側が市教委に相談。市教委側は「感染リスクが高い」との見解を示したため、学校側も自宅待機を運転手の家庭に要請、了承を得たという。
その後、運転手が勤める運送会社の関係者が「運送業の家族は感染リスクが高いとするのは職業差別に該当するのではないか」と指摘。市教委と学校は不適切な判断だったと認めた。2世帯のうち1世帯の子どもは既に登校を再開、もう1世帯も来週から登校を再開する意向という。
市教委の高橋良光教育長はロジビズ・オンラインの取材に対し「お子さんが元気であれば登校していただくと市教委で申し合わせていたが、当時は緊急事態宣言が出されるということもあり、感染のリスクを下げなければいけないということに関係者の意識が集まり過ぎてしまい、誤った判断をしてしまった」と説明。「職業差別をする意図は全くなかった。運送業界の皆さまに不快な思いをさせてしまったことを深くおわびしたい」と謝罪した。
高橋教育長は、各学校との校長会議であらためて体調悪化がなければ学童には登校してもらうことを確認するとともに、児童にトラックドライバーのように現在のような厳しい環境下でも身を挺して働いてくれている人たちがいることを伝え、物流の社会的意義の大きさを理解してもらう重要性を訴えたと説明している。(藤原秀行)」(「ロジビズ・オンライン」ここより)
中日新聞によると、同様の例は山形県でも起きており、練馬区では、通販の商品を届けたとたん、除菌スプレーを吹きかけられた例も(ここ)。
さすがに国交大臣も「報道を耳にした瞬間、大変驚き、憤りを感じた」と話したというが(ここ)、いわれの無い誹謗中傷が、ごく普通の人の勝手な正義感で日常的に行われている。そして、いわれの無い犯人捜しが、当たり前にように行われている。
先日も、“天下の”TV朝日「モーニングショー」(2021/12/23 am8:34)で、大阪・寝屋川市の「オミクロン株に市中感染した男性の勤務する学校」の映像が流れた。
これは学校の先生が感染し、休校となった勤務先の学校を、塀の外からのぞき見した画像。これも、まさにいわれの無い犯人捜しではないか?
天下のキー局までもが、こんなのぞき見の映像を取材する必要があるのか、はなはだ疑問。
ともあれ、全ては正義感から・・・。
まさに「正義とは何か」を考えさせられた番組であった。(続く)
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