令和落首考 2021年後半
さて今日は大晦日。
まあシルバー世代にとっては、どうって事無いのだが、まあ1年振り返ってみようか・・・
「令和落首考 2021年後半 西木空人
「打ったかいまた打ったよとすれ違い」。最初の「打ったかい」はワクチン接種、「また打った」のは大谷翔平選手の本塁打。彼の活躍は今年下半期一、二のめっぽう明るい話題でした。
今更ではありますが本欄の「落首」の意味を広辞苑でさらってみます。〈諷刺(ふうし)・嘲弄(ちょうろう)・批判の意をこめた匿名の戯歌(ざれうた)。封建時代には政道批判の手段としてしばしば行われた〉
吉例によりこの半年を掲載句で振り返りましょう。
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10月、ノーベル賞発表の季節。「この時期は国籍なくても日本人」。今年は米国籍の真鍋淑郎(しゅくろう)さんが物理学賞に輝きました。卒寿の真鍋さんは会見で「日本の人びとは常に、お互いの心をわずらわせまいと気にかけている。誰かの感情を傷つけたくないからです。アメリカでは、他人がどう感じているか、それほど気にしなくていい」「私は調和の中で生きることができない。それが、日本に帰りたくない理由の一つなんです」と語りました。
鋭い日本人論です。核心を衝(つ)いて、首(こうべ)を垂れるしかない。真鍋さんは「私が面白いと感じたほとんどの研究は、好奇心から始まっている。日本の研究は、好奇心に根ざすものがどんどん少なくなっています」とも指摘しました。川柳欄に辛うじて一句。「好奇心大いにあるが低レベル」
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平和賞にはフィリピンのマリア・レッサさんらジャーナリスト2人が選ばれました。12月の授賞式でレッサさんは「残りの人生を牢獄で過ごすかもしれないと日々恐れています」と述べました。「サミットの国と戦う平和賞」。この句には注釈が要りますね。
12月、バイデン米大統領の提唱で「民主主義サミット」がオンラインで開かれ、日本も含め世界111カ国・地域が参加しました。フィリピンもその一つですが、レッサさんが語ったようにこの国の現体制が民主主義と言えるかどうかには、大いなる疑問符が付きます。ほかの国・地域も果たして民主主義国・地域なのか。「専制にみんしゅとルビ振る国が増え」
スウェーデンの調査機関V-Demによると、2019年現在、世界で民主主義の国・地域は87。一方、非民主主義の国・地域は92。「逆転」は18年ぶりのことといいます。人口で見ても20年現在、民主主義の国・地域で暮らす人は世界の46%。「民主主義」は、世界の少数派なのです。
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7月1日は中国共産党結党100周年記念日でした。「中国は慶事香港喪に服し」
けれど翻って日本を見れば「わが政府一党独裁似たような」。菅義偉・前政権は、日本学術会議の任命拒否問題をはじめ、モリ・カケ・サクラなど一連の疑惑について、最後まで説明責任を果たそうとはしませんでした。
10月、菅政権から岸田文雄政権へ。そして、総選挙。12月、公文書改竄(かいざん)を強いられて自死した財務省近畿財務局職員赤木俊夫さんの妻が、国に損害賠償を求めた訴訟で、政権は請求を認め損害賠償に応じる「認諾」をした。支払額は1億700万円。税金を充てます。
憤りの投句が殺到しました。「卑怯者(ひきょうもの)金と力はありにけり」「聞く耳にとどめおくべし『ふざけるな』」「『アベ』守る税金一億不正利用」
岸田政権も一連の疑惑に対し説明責任を果たしていません。辛うじてアベノマスクの年度内廃棄を決めたが、認諾同様、これも臭いものに蓋(ふた)。「岸田さん聞かない力もすごかった」
そうそう安倍晋三元首相にも。「責任者『ごめんね』くらい言いましょう」
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12月、大阪ビル放火。25人死亡。容疑者の行動をたどると、これは市民を標的にした「自爆テロ」の構図です。遡(さかのぼ)れば2019年の京都アニメーション放火殺人事件などに繋(つな)がる。今年は小田急線や京王線でも乗客を恐怖に陥れる事件が起きました。「人間の怖さ愚かさ ああ神よ」
五輪やコロナ禍などにも触れるべきですが、紙幅がありません。パラ五輪で1句。「パラ見つついくたび泣いたことだろう」
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「アパートを逃げた子猫に総出の夜」「あかんかった それがどうした ちと休め」。みなさま、よいお年を。(「朝日川柳」選者)」(2021/12/26付「朝日新聞」P8より)
自分にはその才が無いだけに、これらのウィットにはいつも感心する。
振り返ると、明るい話題は大谷選手の活躍だけ。他はほとんど暗いニュースばかり。
それにしても、年末の大阪ビル放火事件は衝撃だった。その犯人が死亡したと、今日のニュース。26人もの犠牲者は、どう向き合ったら良いのか・・・
それにしても、今さらながら「いつ何が起こっても不思議では無い」と思わざるを得ない。
話は飛ぶが、先日NHKで「健康寿命が過去最長を更新」というニュースが流れていた。
「「健康寿命」女性75.38歳 男性72.68歳 男女とも過去最長を更新
健康的に生活できる期間を示す「健康寿命」は、女性が75.38歳、男性は72.68歳で、いずれも過去最長を更新したことが分かりました。
「健康寿命」は、介護などを受けずに健康的に社会生活が送れる期間で、厚生労働省が、3年ごとに全国のおよそ20万世帯を抽出して調査し、推計値を公表しています。
それによりますと、健康寿命は、おととしの時点で、女性が75.38歳、男性が72.68歳で、前回3年前に比べて、女性が0.59歳、男性が0.54歳延びました。
推計を始めた2001年に比べると、女性が2.73歳、男性が3.28歳延びて、男女とも過去最長を更新し続けています。
都道府県別で健康寿命が最も長かったのは、女性が三重県で77.58歳、男性は大分県で73.72歳でした。
一方、最も短かったのは、女性が京都府で73.68歳、男性が岩手県で71.39歳です。
厚生労働省は「脳卒中などで介護が必要になる人が減っているうえ、高齢者の社会参加が増えていることも影響しているのではないか。今後、コロナ禍の影響が出ないか注視したい」と話しています。」(2021/12/29付NHKのここより)
改めて、カミさんと「オレはとっくに健康寿命の平均を超えているんだ~。何の病気を抱えていても不思議では無いんだ!!」と話したもの。
新しい年を迎え、そろそろ遺書でも書いておこうかな・・・
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