(今こそ!聴きたい)小椋佳~「シクラメンのかほり」
今朝(2021/09/18)の朝日新聞にこんな記事があった。どうも小椋佳と聞くと、録っておきたくなる・・・
「(今こそ!聴きたい)小椋佳 よみがえる憂愁や胸の痛み
シンガー・ソングライターの草分けで、数多くの名曲を生み出した小椋佳さん(77)はデビュー50周年の今年、引退を宣言しました。かつては大手銀行マンとの「二足のわらじ」でも知られた異才のアーティスト。その作風は非常に多彩で、今も幅広い年代に愛され、歌い継がれています。
1位に輝いたのは、布施明さんに提供された「シクラメンのかほり」。1975年春に発売されたレコードはミリオンセラーを記録し、その年の日本レコード大賞など数々の賞を総なめにした。
「♪真綿色した」という歌い出しは控えめながら耳に残り、「鉢植えが店先に並ぶ季節になると、音痴な私の口から自然に出てくる」という兵庫の女性(70)や、カラオケの持ち歌という声も多かった。
恋の終わりを予感させる、ロマンチックで切なげな内容。群馬の男性(66)は「青春のころ、同じような恋をした。歌詞が素晴らしく、詩を読んでいるような気持ちになる。私は耳が聞こえないが、今もテレビで歌う姿を見ると胸がジーンとする」。福岡の女性(77)も「どうにもならない思いを抱えていた若い日、心に忍び込むように聞こえてきた。シクラメンなど興味もなかったのに、きれいな歌で心にしみた。自分のかたくなさ、清廉さが懐かしい」。
2位の「愛燦燦(さんさん)」は、美空ひばりさんの晩年の代表曲。調味料「味の素」のCM用に作られ、テレビでは強い日差しが注ぐハワイの畑で、大家族が働いている映像が流れた。86年の発表後は「ひばりファン」以外にもじわじわと人気が広まり、89年に52歳で永眠しても歌い継がれた。
「認知症の母が口ずさみ『ひばりが病気になる前に歌った』と記憶にも鮮明に残っていて感激」(東京、59歳女性)。「老人ホームでのギターの弾き語りボランティアで毎回リクエストされ、涙を誘う時も」(神奈川、72歳男性)。そんな記述からも、人々の心の奥に浸透した名曲だったことがわかる。
3位は小椋さん本人が歌った「さらば青春」。71年1月発売のデビューシングルB面で、A面は9位「しおさいの詩」だ。イントロからギターをかき鳴らし、全体的にアップテンポで明るい。その一方で、歌詞は「僕は呼びかけはしない 遠くすぎ去るものに」「うつろな輝きだ」などとシニカルだ。実は、政治の季節に熱狂する若者へ、声高なプロパガンダに流されるな、という思いを込めていた。
「よく聴いたのは、学生運動が終息して大学に静けさが戻ってきたころ。いよいよ社会に出ていく自分の未来と、青春を謳歌(おうか)した過去との違いに、胸が痛んだ」(北海道、68歳男性)、「ニキビ面の高校生で寮生活中に初めて聴いた。『黒い犬がえものさがして』は、頭をたたき割られるような衝撃。生きるって大変なんだと思わされた」(東京、68歳男性)。
「レコードが擦り切れるほど」「カセットテープが切れるほど」繰り返し聴いたという記述に、当時の若者たちの心酔ぶりがうかがえる。75年にNHK「みんなのうた」で採用されると、教育現場でも歌われるように。大阪の女性(58)は「中学時代に合唱コンクールの曲選びで難航した際、担任が強引に決めた。アイドルしか知らない私が初めて小椋さんに触れた」。
■若き日の苦悩、土台に
喜寿の小椋さんが作った作品は膨大だ。デビューした27歳時点で日本勧業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に勤め、49歳で退職するまで海外勤務や地方転勤もあった。テレビ出演やコンサートなど人前に姿を見せる機会は極めてまれ。今回の10位中6曲は、他の歌手のために書いた作品だった。
多忙なエリートサラリーマン生活と創作活動、どう両立させたのか。小椋さんに聞いた。
「シクラメン~」を作ったのは30歳ごろで、東京・赤坂支店の開設準備に奔走していた。「営業先のオランダ航空に鉢植えがあって、花の名前を教わった。ちょうど北原白秋全集を読んでいて『すがしい』『暮れ惑う』などはそこから拾い上げた」。半年後、歌手のための新曲2曲を頼まれ、うち1曲がこの“作り置き”だった。想定外の大ヒットは、出向中の米国の金融機関で知らされた。
天賦の才能を思わせる逸話の後、小椋さんが続けた。「実は高2から神経がおかしくなって、自殺もよぎった」。人間が生きることにどんな意味があるのか。「底なし沼に入り込んだ」ような自問に、東大法学部に進んでからも縛られた。就職前に出た答えが「創造」的に生きること。生計を立てる仕事とは別の、歌作りにつながった。
そうして表現した「詞」が聴き手の心をわしづかみにした。4位「俺たちの旅」は75~76年放送の中村雅俊さんが主演した同名ドラマの主題歌。「歌詞に引き込まれ、憧れ、早く大人になりたいと思った。高村光太郎やリルケの詩集を読んでいる気分だった」(京都、57歳女性)
11位の「白い一日」は出だしの「♪真っ白な陶磁器を」が印象的で、71年のデビューアルバムに収録された。「学業に身が入らず下宿の4畳半でぼんやり過ごしていた学生時代、歌詞に影響されて白い小さな灰皿を買った」(群馬、67歳男性)
小椋さんは「僕の作品が評価されているとしたら、それはうんと苦しかった青春時代の『言葉との格闘』のおかげです」。
*
その一方、全くイメージの違う曲も数多い。「うなぎのじゅもん」は、浜松銘菓「うなぎパイ」のCMソング。40代後半に第一勧業銀行浜松支店長に就任し、メーカーとの縁が生まれた。2005年、老若男女が楽しげに踊るCMが地元ローカル局で放送され、今も流れる。
「あびこ市民の歌」もある。40年前、千葉県我孫子市が公募した歌詞に小椋さんが曲をつけた。長く市民に親しまれ、最近、地元高校生の署名活動が実を結び、JR我孫子駅の発車メロディーに採用された。
今回の選択肢にはなかったが、テレビの子ども番組で人気を博した「オナカの大きな王子様」を挙げたのは群馬の女性(66)だ。「遊び疲れた孫を抱き背中をなでながらつい口ずさんでいます」。1987年から20年近く小中学生によるミュージカルをプロデュース。俳優の山崎育三郎さんも子役として出演した。
魔術師のようなシンガー・ソングライター、小椋佳さん。コロナ禍で延期されたファイナル・コンサート・ツアーが11月から来年にかけて開催予定だ。(高橋美佐子)
<調査の方法> 編集部作成のリスト35作品で8月下旬に実施。1463人が複数回答。以下、(11)白い一日(12)ただお前がいい(13)めまい(14)山河(15)木戸をあけて(16)六月の雨(17)大いなる旅路(18)逢うたびに君は(19)想い出して下さい(20)時。」(2021/09/18付「朝日新聞」b2より)
改めて、この記事によるベスト20は、このようだ。
①シクラメンのかほり(布施明)
②愛燦燦(美空ひばり)
③さらば青春*
④俺たちの旅(中村雅俊)
⑤夢芝居(梅沢富美男)
⑥揺れるまなざし
⑦愛しき日々(堀内孝雄)
⑧少しは私に愛を下さい(ここ)*
⑨しおさいの詩(ここ)*
⑩泣かせて(研ナオコ)
⑪白い一日(ここ)
⑫ただお前がいい(中村雅俊)
⑬めまい
⑭山河(五木ひろし)(ここ)
⑮木戸をあけて(ここ)*
⑯六月の雨(ここ)*
⑰大いなる旅路
⑱逢うたびに君は
⑲想い出して下さい
⑳時
上のベスト20は、編集部がリストアップした35曲から選んだらしいので、かなり限定的。しかし、気が付くのは、初めてのベストアルバム「彷徨」(ここ)から、5曲が選ばれているということ。(上記の*印)
「彷徨」という初期のアルバムが如何にモンスターだったか・・・
wikiによると「彷徨」というアルバムは、「232週間にわたってBEST100入りし、ビートルズの『レット・イット・ビー』、『アビイ・ロード』に次ぐオリコンLPチャート史上歴代3位のロング・セラーとなった。発売元のポリドール発表によると、発売から5年間で100万枚を超える大ヒットとなっている。
本作は、黒版(黒レコード)の生産総合計第2位である(第1位は井上陽水の『氷の世界』)。どちらも多賀英典プロデューサーによる。」とある。
おっと話がそれた。代表作である「シクラメンのかほり」を挙げていないことに気付いた。
それで今日は改めて、布施明の「シクラメンのかほり」を!
<布施明の「シクラメンのかほり」>
「シクラメンのかほり」
作詞・作曲:小椋 佳
真綿色した シクラメンほど
清しいものはない
出逢いの時の 君のようです
ためらいがちに かけた言葉に
驚いたように ふりむく君に
季節が頬をそめて 過ぎてゆきました
うす紅色の シクラメンほど
まぶしいものはない
恋する時の 君のようです
木もれ陽あびた 君を抱けば
淋しささえも おきざりにして
愛がいつのまにか 歩き始めました
疲れを知らない 子供のように
時が二人を 追い越してゆく
呼び戻すことが できるなら
僕は何を惜しむだろう
うす紫の シクラメンほど
淋しいものはない
後ろ姿の 君のようです
暮れ惑う街の 別れ道には
シクラメンのかほり むなしくゆれて
季節が知らん顔して 過ぎてゆきました
疲れを知らない 子供のように
時が二人を 追い越してゆく
呼び戻すことが できるなら
僕は何を惜しむだろう
上の記事で「営業先のオランダ航空に鉢植えがあって、花の名前を教わった。ちょうど北原白秋全集を読んでいて『すがしい』『暮れ惑う』などはそこから拾い上げた」というエピソードが面白い。
布施明は当時、この歌はストーリーがあるので、歌う場合は必ず全曲歌わせてくれ。と言っていたのを思い出したが、改めて歌詞を読むと、なるほど・・・と思う。(そもそも自分は、歌詞を理解しないで歌を聴くクセがあるので・・・)
作者の小椋佳の歌も聞いてみよう。
<小椋佳の「シクラメンのかほり」>
ソプラノ歌手が歌うとこうなる!!
<蒲原史子の「シクラメンのかほり」>
どうも抜け出せない、小椋佳の世界ではある。
*私事だが、先週からパソコンのキーボードとの相性が悪くて、右手が腱鞘炎になってしまった。(今日は何とか打てた!)
WIN10を使い始めるに当たり、使い慣れたdynabookの古いノートPCから、SYCOMのデスクトップに変えたのだが(ここ)、これに採用したキーボードが、やはり自分には合っていなかったようだ。
仕方なく、キーボードを打つ時は昔のdynabookを使う事にした。トホホ・・・
●メモ:カウント~1350万
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