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2021年8月15日 (日)

コロナ、世界の女性リーダーは

だいぶ前の記事だが、今さらながらリーダーの資質、手腕について考えさせられる。
2021/07/31付「朝日新聞」の記事である。

「(be report)コロナ、世界の女性リーダーは 科学的な知見、生活への目配りカギ
 新型コロナウイルスを巡っては、世界の女性リーダーの対応が注目を浴びた。パンデミック発生から1年半、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)の共著者や台湾に詳しいジャーナリストにその評価をたずねた。共通して、国民の心情に寄り添う姿勢と科学的な知見の重視、生活者への目配りが浮かぶ。

210815asahi  「新型コロナとの闘いに向け、確実な情報を可能な限りお伝えします」
 SNSなどを通じて、わかりやすく、親しみやすいメッセージを発信したニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相。昨年3月、初のロックダウン(都市封鎖)に踏み切る前夜、フェイスブックの動画配信で、行動制限のルールから国の支援制度まで次々と寄せられる質問に答えた。動画再生回数は540万回超。その後も会見やSNSでの発信はほぼ連日続いた。
 在住23年のクローディアー真理さんは「コミュニケーション能力だけでなく、国民が不安になる前に科学的な根拠に基づく正確な情報を提供し、協力を求めた。国民がリーダーを信頼し、一丸となれた」と振り返る。
 同国は第1波の1日あたりの新規感染者数2ケタの段階で外国人の入国を原則禁止し、徹底した検査と感染者の追跡、隔離で、早期の封じ込めに成功。昨年6月以降、新規感染者はゼロや1桁など低水準が続き、国民はマスクなしの食事や旅行、コンサートなどコロナ前の日常に近い状態を取り戻せたという。
 「感染状況に応じた警戒レベルが早い段階で公表され、今後の行動が予測できたことも大きい」とクローディアーさん。首相の支持率は一時8割を超え、昨年10月の総選挙では、与党が単独過半数で圧勝した。

 ■水際対策を徹底、適材適所で対応
 ニュージーランドが水際対策で参考にしたのが台湾だ。台湾は世界保健機関(WHO)が新型ウイルスを認識した2019年12月末、中国・武漢からの渡航者の検査と感染者の隔離を始め、昨年1月上旬には現地に調査チームを派遣。国境管理を強めると共に、不足していたマスクの流通管理を強化し、デジタル対応の保険証を利用して、渡航履歴の管理やマスクの購入を可能にした。陳時中(チェンシーチョン)・衛生福利部長(大臣)と唐鳳(タンフォン)・IT担当相が重要な役割を果たした。
 在外ジャーナリスト協会理事の寺町幸枝さんは「蔡英文(ツァイインウェン)総統は適材適所の人事を行い、全幅の信頼を置いて、任せた。迅速な対応が功を奏し、都市封鎖をせずに、すぐに『コロナ前』に戻ることができた」と評価する。一方で、今年5月の変異株による感染再拡大について、寺町さんは「初期の成功にあぐらをかいた。世論はワクチン調達の遅れにも厳しい」とみる。

 ■明確な行動基準、誠実・丁寧な説明
 隣国と陸続きの欧州では水際対策に限界がある。ドイツのメルケル首相は昨年3月、初のロックダウン時の会見で「……(日常生活の)制約は渡航や移動の自由が苦難の末に勝ち取られた経験をしてきた私のような人にとって、絶対的な必要がなければ正当化できません。……しかし、今は命を救うためには避けられないことなのです」などと人権制約への懸念に配慮しながら、協力を呼びかけた。
 並行して、中小企業や個人事業者向けの助成金や融資を整備、給料が減額された労働者の給付金制度を拡充し、家賃滞納者が退去させられないよう法改正も行った。在独25年の田口理穂さんは「例えば、休業中の店舗維持のための家賃など必要経費は国が払う。すぐに支援策が講じられ、路頭に迷わない安心感があった」と話す。
 その後、法改正を重ね、各州が人口10万人あたりの新規感染者数に応じて、必要な検査の種類や頻度、外出や家族以外との接触制限、休業、休校など詳細なルールを定めた。田口さんの住むニーダーザクセン州では現在、新規感染者数が10人程度に減り、1日1回の抗原検査が無料で、コンサートなど大勢の人が集まる場所でのみ、陰性証明が求められるという。今年6月の世論調査でも、メルケル氏を8割が評価。田口さんは「単に我慢を強いるのではなく、科学的な知見に基づく具体的な行動基準が明確で、その理由を誠実に、丁寧に説明した。見通しも立てやすかった」と分析する。
 世界的な「ワクチン争奪戦」では、欧州連合(EU)が加盟国を代表してワクチンの開発支援と調達にあたった。アストラゼネカが英国への供給優先の姿勢を示すなど、出遅れを指摘され、EUは1月、域内で製造されたワクチンの輸出管理を強化する一方、生産体制を拡充した。フォンデアライエン欧州委員長は「大量生産の難しさを過小評価していた」と謝罪。日本などからは「囲い込み」との非難も浴びたが、ベルギー在住の栗田路子さんは「すぐに対応し、誤りを素直に認めたことは評価できる」。(吉田美智子)」(2021/07/31付「朝日新聞」b4より)

ここで一貫しているのは、説明責任ということ。

同じく朝日新聞の「コロナ敗戦から考える「危機の政治」と「政治の危機」」(2021/08/15付)(ここ)を読んだ。この記事で、説明ということについて、各氏はこう述べている。

「・・・
長谷部恭男・早稲田大教授 「コロナ禍のオリンピックは典型的な『二重効果』です。開催することが、感染拡大や医療状況の逼迫という非常に大きな副作用を引き寄せてしまう。だからといって絶対にオリンピックをやってはいけないということにはなりませんが、なぜやるのかという正当性を内閣、政府はきちんと説明する必要があるし、副作用とのバランスも取れてないといけません。しかし、菅さんは、まったく説明をしようとしない。『安心・安全な大会』という『おまじない』を繰り返すばかりです。菅さんという人は自分の政治的な判断について、理由を示して説明するということをそもそもしてこなかった人ですね」

210815asahi210820 杉田敦・法政大教授 「説明しないといけないと思っているのに説明しないのか、説明しなければならないことを理解してないのか。私は後者じゃないかと思います。自らの政策判断について、メリットはこれで、デメリットはこれと論理立てて説明する責任があることを理解していない。長谷部さんはいま、菅さん個人のキャラクターというか政治家としてのレベルの問題を強調されましたが、菅さんひとりで物事を決めているわけではないので、日本の中枢部が、いわば全体として説明責任を意識していない、国民に説明して理解を求めなければならないという意識をそもそももっていないということではないでしょうか。菅さんは米紙ウォールストリート・ジャーナル日本版に『オリンピックをやめるのは一番簡単なこと』『挑戦するのが政府の役割』と語ったそうですが、東条英機が『人間一度は清水の舞台から飛び降りることも必要だ』みたいなことを言って対米開戦に突っ込んでいった、そのレベルからいまだに脱せていない。日本の統治システムの宿痾だと、私も思います」

加藤陽子・東京大教授 「やはり人事権を握った、官房長官時代からの菅さんと、杉田和博官房副長官のふるまいが大きいと思います。彼らは説明『しない』ことによって、忖度(そんたく)させるという権力の磁場を新たに作った。そういう誤った方向での強い自負があるのではないか」

杉田 「確かにそうですね。加藤さんら6人の方が任命拒否された日本学術会議の問題も、本来は単なる公務員の人事の問題ではないのに、菅さんや杉田さんは単なる人事の問題という解釈で突き進んだ。人事だということにしてしまえば説明は必要ない、上司と部下という権力関係で動かせると。彼らは結局、国民との関係についても同じように捉えているのではないでしょうか。本来、政治家は国民の代表にすぎず、国民に対して一方的に命令できる『上司』などではない。むしろ、国民の方が誰に任せるかを決める立場にあるわけです。それなのに国民に説明しないのは、代表民主制のシステムを理解せず、政治家が一方的に命令できるという間違った権力観を持っているからでしょう」・・・(2021/08/15付「朝日新聞」より)

この中で「彼らは説明『しない』ことによって、忖度(そんたく)させるという権力の磁場を新たに作った。そういう誤った方向での強い自負があるのではないか」という指摘が印象に残った。

210815pancake 先日の「朝日新聞」夕刊の「素粒子」の一文。
「パンケーキを「毒見」してきた。満員御礼の映画館。総選挙を前に、沈黙せぬ羊たちが爆発的に増える、かもよ。」(2021/08/13付「朝日新聞」夕刊より)

先日見に行った菅首相のドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」(ここ)。

近くの映画館でも上映が続いている。この手の映画は、直ぐに終わってしまうかと思ったが、どうしてどうして・・・
“沈黙せぬ羊”たちが、秋の衆院選で沈黙を破る!?

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コメント

菅氏や杉田(和博)氏の目に見える一般国民ひとりひとりは、顔にはモザイクがかかっており、胸に付けた名札には名前が書かれていない、そう思えます。

投稿: kmetko | 2021年8月16日 (月) 09:48

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