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2021年8月の12件の記事

2021年8月31日 (火)

エアコンの「冷房」⇒「送風」時の臭い~各社の設計思想の違い

自室のエアコンの「臭い」の話である。
自分の部屋のエアコンを先日更新した。今まで使っていたのはPanaのエアコン。これがちょうど10年になった。特に不具合は無いのだが、今回交換すると、また10年使ったとして自分は84歳。つまり今回の更新が人生最後となる!?
先のエアコンは、ちょうど5年前に臭いが発生し、業者に洗浄をしてもらった(ここ)。

今回新しく買ったエアコンは、某社製。我が家では同じメーカーのエアコンを買っており、今回が4台目。何も考えずに購入した。これが問題。今までの機種では経験しなかったが、「臭う」のである。
「冷房」から「送風」に変わったときに臭う。これを「サーモオフ」と言うらしい。そして「湿度戻り」という言葉も知った。

「通常エアコンを使用している途中で設定温度に室温が達した際、室外機が運転をやめて冷房はいったん止まります。このことはサーモオフと呼ばれています。
室外機は停止していても、室内機は稼働を継続しているため、送風状態となります。そうするとエアコン内部に蓄積された水分が送風によって外へと放出され、部屋の湿度が上昇していきます。これが湿度戻りと言われている現象です。」ここより)

そして「湿度戻り」により、臭いが室内に放出される。
エアコンの酸っぱい臭いや汗くさい臭いは、冷房での湿度戻りが原因?
エアコンをつけたときに、酸っぱい臭いや汗くさい臭いがする場合は、エアコンの中の熱交換器から「湿度戻り」を起こしているかもしれません。
湿度戻りとは、エアコンの中にたまった水滴が風とともに出てきてしまうことです。
エアコンの冷房は、冷風を出すために部屋の空気を熱交換器で冷やす仕組みを先ほど説明しました。
部屋の空気を取り込んで冷やすときにエアコンの熱交換器のフィンの部分に水滴がつき、水滴がたまるとエアコンの風と一緒に出てきてしまうことがあるんです。
冷房運転で室温が設定温度まで下がると、エアコンは吸い込んだ部屋の空気を冷やすのをやめる「サーモオフ状態」になります。
サーモオフ状態になると、室外機が停止してただの送風になるため、室内機で冷やされてたまっていた空気中の水滴が蒸発して風と一緒に出てくるというわけです。
この「湿度戻り」で戻ってきた水滴には、部屋の中にただよっていた生活臭が混じっています。
たとえば、汗のにおいとかペットのにおいとか、キッチンが近い部屋なら油などのにおいが混じることもあります。
その生活臭が水滴にくっついて風と一緒に出てきてしまうので、酸っぱいにおいや汗臭いにおいがしてくるんです。
特に、冷房を使っているのに湿気が高くジメジメすることが多いなら、湿度戻りを起こしている可能性が高いですね。」ここより)

つまりこの現象は、エアコンの原理的な問題。それをどう回避するかは、メーカーの設計思想の問題。

それで、原点に戻って(買う前のつもりで)各メーカーに聞いてみた。

質問「エアコンの買い換えを考えている。現在、「冷房」から設定温度になって「送風」に切り替わったときに、「臭い」が発生して困っている。御社のエアコンは、いわゆるサーモオフ運転になったときに、室内機のファンは止められるようになっているか?」

●ダイキン「上位機種にドライキープという機能が付いたものがあり、これだと湿度戻りを避けられる」
<▼ドライキープとは
・お部屋の温度が設定温度より低くなったときに、室外機は停止し熱交換器を冷やすのを止めます。
この状態をサーモオフといいます。
・このとき室内機から風は出つづけており、熱交換器に結露していた水分が蒸発し再び部屋にもどることがあります。
・ドライキープとは、サーモオフ時に室内機の風も止めて、水分がお部屋に戻るのを抑制する機能です。>(ここより)

●パナソニック「全機種、(「臭いカット」設定時は)サーモオフ運転時には送風しない設計となっている。省エネが主目的だが、結果として湿度戻りや臭いの回避になる。「においカット」機能は、運転開始時に送風を止める機能。「においケア」は、ナノイーで臭いを消す機能」

●三菱電機「最高機種以外は、サーモオフの時は、すべて送風になる。それを止める機能は無い」

●東芝「サーモオフの時は、強くなったり弱くなったりする送風になる。止める機能は無い」

●日立「サーモオフ運転のときは、室内機は送風になる。止める機能は無い」

●富士通ゼネラル「『省エネファン設定』というのがあり、設定温度に達すると省エネのために室内機のファンを停止させる事が出来る。結果として湿度戻りを避けられる」

●三菱重工「サーモオフ運転時は、室内機は送風になり、止める機能はない」

つまり、パナソニックと富士通製以外は、サーモオフ運転時に送風を止めることは出来ない事が分かった。
そして臭いに一番気を使っているメーカーはパナソニックだった。

今まで使っていたのが、たまたまPana製だったので、気付かなかった。その前は、東芝製だったが、その時も、臭いで困ることが無かったのだが、こんなにも臭いで困るとは・・・

前にPana製を買ったのは室内機の運転音が小さかったから。今回買った室内機は、やはり音が大きい。まあ我慢出来る範囲ではあるが・・・
前に、Panaの洗浄を頼んだとき、「臭うと言われて洗浄を依頼されるエアコンは、パナソニックのこの機種が一番多い。」と言われた言葉が頭に残っていたため、今回は対象から外したが、今になって考えると、残念!

そして、「部屋が臭う!」と、スプレー式の消臭剤を使ったり芳香剤を使うのは最悪だという。部屋に漂った臭いのもとが、エアコンの水滴に濃縮されてしまい、部屋に居られないほど臭くなるという。かといって、炭を置いておいても、そう効果があるとも思えないが・・・

ともあれ、やはり機械を買うときは、よくよく世間の“体験談”を見聞きしてから選ぶべきと、今さらながら自戒した。

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2021年8月28日 (土)

「サングラスかけますか?」

今朝(2021/08/28)の朝日新聞にこんな記事があった。

「(be between 読者とつくる)サングラスかけますか?
 夏も終盤ですが、日差しのまぶしい季節が続きます。そんなとき役立つのが、サングラス。でも、国内だと街を歩いてもかけている人は少ないように見えます。実際にかけている人はどれぐらいいるのでしょうか。アンケートをとってみると、やや意外な数字が出てきました。

 ■目の健康守る必需品
 サングラスを「かける派」と「かけない派」は、ほぼ半々に分かれた。「かける派」が意外に多い、という印象か。
210828sangursu_20210828222001  まず「かける派」のご意見から。健康の視点からのコメントが多い。「日差しの強い時期は、目を守るためにサングラスは欠かせない。目からも日焼けするとのこと。色黒の私には必需品だ」(埼玉、63歳女性)、「若いころ、老人が色付きのメガネをかけているのはおしゃれのためだと思っていたが、日差しをまぶしく感じ、目を患うことになって、必ずしもおしゃれのためだけではなかったのだと、この年になってわかった」(愛知、54歳女性)。
 神奈川の男性(74)は「涼しく感じる。顔に合うサングラスにはこだわっている。使用頻度は少ないが見た目が重要と認識して選定している。紫外線対策はあって当たり前」と言い切る。
 目の病気の人にとっては必需品だ。
 「大学生のころ、陸上部ではサングラスをかけているのは『いきっているやつ』というイメージがあったが、紫外線の浴びすぎで目を患い、しかたなく高いスポーツ用のサングラスを購入。レンズの手入れなども面倒だが、目への負担は全然違って驚いている」(兵庫、29歳女性)、「目に疾患があり、眼科医から紫外線に当たらないよう言われているので、ゴミ捨てや洗濯物干しでもサングラスをかける。オシャレやファッションではなく、必要だからかける人もいる」(神奈川、44歳女性)。
 「かけない派」の言い分は――。「顔の中でも目は第一印象を決める重要なパーツだし、目は口ほどに物を言うと言われるようにコミュニケーションにおいても重要なパーツ。それを隠してしまうのは『ずるい』と思ってしまう」(神奈川、50歳男性)、「日本人は鼻が低めの人が多く、サングラスは自分を含め似合わない人が多いので、カッコつけているなという思いがある」(埼玉、32歳女性)。
 東京の女性(54)は「まぶしいのは苦手だが、景色の色がわからなくなるのが嫌でかけたことがない。慣れれば快適なのかとも思うが、UVカット加工のレンズの眼鏡をかけているので良しとしている」という。
 かけたいけど、かけない、という人も。「目の疾患のリスクを下げるためにかけた方がいいらしいけど、通販カタログなどでどんなに良さげなものが紹介されていても、度が入らないと見えないので買えない。眼鏡屋でおしゃれなものに度を入れると高い。眼鏡の上にかけるタイプはダサいのしかないし……」(茨城、50歳女性)
 似合う、似合わないも大きな問題だ。「友人が、まぶしいから、とサングラスをかけていたが、別人に見えるくらい似合っていた」(広島、62歳女性)、「真夏の三浦海岸でのバンド演奏のとき、サングラスを着用。あとで、その時の動画を見たら全く似合っていなかったので、それ以来つけたことがない」(東京、70歳男性)。
 最後に、東京の女性(70)のコメントには勇気をもらえる。「ある時青山のおしゃれな眼鏡屋が気になり入店してみた。店員に勧められて真っ黒なサングラスを買った。かけている自分はそれほど暗くなかったが、鏡で見るとちょと怖い。でもたまにはこんなので変身するのも楽しいです」。健康のためだけでなく、人間の変身願望を満たすアイテムであることは間違いなさそうだ。 (佐藤陽)」(2021/08/28付「朝日新聞」b10より)

サングラスを使用している人が、意外と多い。自分も使用派。
メガネにクリップで留める「クリップオンサングラス」を使っている。これを常用しだしたのは、8年ほど前から。車と玄関に置いておいて、運転中と散歩などの外出時に必ず使用している。理由は簡単に、まぶしいから・・・
それと、どれだけ効くかは分からないが、白内障の防止にもなるかな・・・と思って・・・。
白内障は、お袋も兄貴も、それぞれ手術をした。特にお袋は田舎の町医者で手術したため、左右の画像がずれで、二重に見えるようになった、と嘆いていた。医者に言うと、見えるようになったのだから、それくらい我慢しろ、と言われたとか。
兄貴は大学病院だったので、超強度の近眼もメガネ無しに改善した。しかし、所詮固定レンズ。肉眼に越した事は無い。それで自分は白内障を恐れている。(かといって眼科には行っていないが・・・)

先日、眼鏡市場でメガネを作り直した時、スモークを入れるかどうか聞かれた。+1000円だという。10%と20%があるという。それで思い切って20%のスモークを入れることにした。理由は、スーパーに行ったときなど、まぶしいと感じるので・・・
新しいメガネをかけて帰宅したときに、まずカミさんがビックリ。顔の印象がガラリと違ったらしい。でも直ぐに慣れるかも・・・とも言っていた。
自分では分からないが、確かに鏡を見ると色眼鏡で印象が違って見えた。でも、今のコロナ渦もあり、ほとんど人と会わない。目の安全を優先!とうそぶいている。

確かに、スーパーに行っても、前ほど明る過ぎて困ることは無くなった。でも、外から見ると、いわゆるおしゃれメガネをかけていると思われるのだろう。実際は、目の安全なのだが・・・

上の記事で「思い浮かぶ著名人は?」タモリ、井上陽水だという。確かに濃いサングラスをかけていて、素顔を見せない。
210828yamane 自分は?というと、数年前に新聞を賑わした、日本ボクシング連盟会長だった山根明を連想した。まるで暴力団の組長のようなドスのきいた顔。かけていたカラーメガネが印象に残っていた。
まあ自分は暴力団には見えないだろうが、今度知り合いに会ったときの、相手のリアクションが少々気になるサングラスの話である。

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2021年8月25日 (水)

NHK特集「小椋佳の世界」とラジオ深夜便での小椋佳の話

NHKのBS4Kで、昨日(2021/08/24)放送されたNHK特集「小椋佳の世界」を見た。
1976年放送の番組だが、何とも懐かしく、改めて見入ってしまった。
この番組は、何度か再放送されており、自分の録画リストを見ると、2008年11月15日の再放送を録画していた。

前にも書いているが、自分が小椋佳に目覚めた(初めてレコードを買った)のは、1974年8月29日。このコンサートは1976年10月7日なので、もしこのコンサートのことを知っていたら、行っていたと思う。当時、自分はたぶんこのコンサートのことを知らなかったのだと思う。

1976年と言えば、45年前。自分は小椋佳の初期の作品が好きなので、この番組に出てくる曲はどれも、それこそ何十回、いや何百回?聞いたことか・・・。
そして、コンサートに来ていた布施明や由紀さおり、中村雅俊などの若いこと、若いこと・・・。
(話しは飛ぶが、先日(2021/08/15)WOWOWで「布施明 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR~陽はまた君を照らすよ~ FINAL SPECIAL!!」という番組を見た。自分と同じ歳(73歳)だが、その声の衰えていないことにビックリ!これこそプロ!!と思った)

そして、小椋佳の優しい歌声の素晴らしさ。何の音楽教育も受けていない素人?が、こんな声で、そしてこんな素晴らしい音楽を作って歌っている。
しかし、このコンサートが最初で最後、と言っていたが、その後の活躍は言うまでも無い。

そして先日、NHKラジオ深夜便に、小椋佳が「歌手引退・もういいかい シンガーソングライター 小椋佳」(2021/08/19放送)として登場し、話をしていた。先のNHK特集は「始め」だが、これはまさに「締め」の話である。この話の中に、このコンサートの話も出てくる。普通のサラリーマンの禁句=二足のわらじが、どうして許されたの経緯が何とも面白い。

<NHKラジオ深夜便「歌手引退・もういいかい 小椋佳」>

それにしても、BS4KとBSプレミアムで放送中の「NHK特集」が楽しみ。もともと、アナログの番組なので、走査線525本のNTSC。それが4Kになって、見違えるような画質になっている。リハーサルでの小椋佳の肌の荒れもしっかり分かる。そしてコンサートでの、化粧による肌の荒れがしっかりと隠されているのも面白い。
NHK特集では、喜多郎の番組が自分の宝だった。1981年12月26日放送のNHK特集「喜多郎&秀星コンサート~透明な宇宙を求めて~」や、1982年3月25日放送の「喜多郎&秀星」も、何とかもう一度見たいもの。再放送の“奇蹟”を信じたいが・・・

ともあれ、自分の音楽人世で、大きな存在感の小椋佳の世界。「もういいかい」と言われて、心から「ありがとう」を言いたいものだ。

改めて、日経の小椋佳の「私の履歴」(ここ)を読み返した。

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2021年8月24日 (火)

「映像の世紀(10)」の挿入音楽~曲名探し

今日は、音楽の曲名探しである。
どなたか、下記の曲名、知りませんか?

<「映像の世紀(10)」の挿入音楽>


この音楽は、NHKの「映像の世紀(10) ~民族の悲劇果てしなく」の、開始から38分07秒~39分47秒に、ナレーターのバックに流れている音楽である。
聞いた時に、どこかで耳にしたな?と思ったものの、それ以上は分からない。

曲名を知ろうと、NHKに問い合わせてみたが、
「「映像の世紀(10)「民族の悲劇果てしなく~絶え間ない戦火 さまよう人々~」で使用された楽曲は、加古隆さんが番組のために作った楽曲で、オリジナル・サウンドトラックが発売されておりますが、お尋ねの楽曲が収録されていない場合もございます。」との回答。

それで、加古隆のHPに問い合わせてみた。すると「お問い合わせの合唱曲は、加古隆の作品ではありません。あのシーンに繋がりのある合唱作品を、NHK側が例外的に用いられたのだと思います。」とのことで、結局分からなかった。

それで、もしどなたかおわかりの方が居られましたら・・・?

実は前に同様に読者に教えて貰った事があった。
10年近く前「NHK FM 青春アドベンチャー「アンデルセンの雪の女王」のバック音楽」(ここ)という記事を書いた。するとコメントでヒントを教えて貰った。それを頼りに探すと、見付かった!
それで書いたのが「カンテレによる「コネヴィストの教会の鐘」」(ここ)という記事。

二匹目のドジョウはいるかな??

(2021/08/25追)
さっそく、“いざよひ”さんからコメントを頂き(ここ)、この曲はイスラエル国歌だということが分かりました。
それで早速youtubeで検索。似たような音源を見付けましたので、下記に置きます。

<イスラエル国歌-1>

これがTVとほとんど同じ??(ここより)
なお和訳は・・・

「イスラエル国歌(希望)」
ユダヤの魂はいまだなお心の中に有りして、東の果てに向かい
その目はシオンの地を見つめていた
我らの希望はまだ失われていない
2千歳にもなるその“希望”とは
自由なる民となること
シオンとエルサレムの地の中で
自由なる民となること
シオンとエルサレムの地の中で

<イスラエル国歌-2>

<イスラエル国歌-3>

<イスラエル国歌-4>

色々指摘されているように、確かにモルダウの旋律と似ていますね。

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2021年8月20日 (金)

「時代を創った声」イギリス児童文学者 鷲津名都江(小鳩くるみ)さんの話

先日、NHKラジオ深夜便で「【時代を創った声】イギリス児童文学者 鷲津名都江」(2021/08/08放送)を聞いた。

<「時代を創った声」鷲津名都江(小鳩くるみ)さんの話>

210820washizu 小鳩くるみさんについては、9年前に「NHKラジオ深夜便で語る鷲津名都江(小鳩くるみ)さんの話」(ここ)という記事を書いた。

前の話と違って、幼児の頃からの話をされていた。それにしても、3歳の時からご活躍とは恐れ入る。
そして37歳で英国留学。これも凡人には出来ない。恐れ入る。

改めて聞いた最近のお声。コロコロという表現が似合うような、相変わらずの美声。実にお若い。自分と同じ歳とはとても思えない!
そして、長年、単なる童謡歌手だけでは無く、声優も含めてNHKを主に、色々な番組で活躍されていたことを知った。

210820seiyuusann 話は飛ぶが、熊本の孫娘。今年の七夕の短冊に「声優さんになれますように」と書いたという。(下の子は「アイスクリーム屋さんになれますように」⇒前は「花屋さん」だったが・・・)
毎年、子どもたちの将来像(夢)は、果てしなく変化し、成長していく。
自分も、孫娘たちをいつまで見届けられるか分からないが、大谷選手の40号ホームランと同じく、コロナ渦の暗い世の中、数少ない息抜きの話題である。

(関連記事)
NHKラジオ深夜便で語る鷲津名都江(小鳩くるみ)さんの話
「小鳩くるみ」が歌う童謡

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2021年8月17日 (火)

東京・墨田区のワクチン接種はなぜ速いのか~江川紹子さん

こんな記事を見付けた。2021/08/16付のジャーナリスト・江川紹子さんの記事である。
少し長いが、この記事は貴重なので、全文記しておく。

東京・墨田区のワクチン接種はなぜ速いのか
  江川紹子ジャーナリスト・神奈川大学特任教授

 新型コロナウイルスの重症患者が急増している。特に40代・50代の重症化が目立つのが第5波の特徴で、東京都では重症患者の6割を占める。だが、この年代へのワクチン接種の進み具合は、自治体によってばらつきが大きく、かなり遅れている所も多い。そんな中、東京都墨田区では、今月7日時点で1回の接種を終えた40代は区民の6割を超え、50代は7割近くに達している。
今月13日付日経新聞電子版によると、同紙が緊急事態宣言下にある6都道府県の主要都市の1回目接種率を調べたところ、墨田区は50歳代で71.9%、40歳代で60.6%とダントツに高かった。40代については、さいたま市(6.7%)、那覇市(16.4%)、大阪市(17.7%)、世田谷区や品川区(17.8%)などと接種率が伸び悩む自治体が少なくない中、墨田区の進捗状況は際立っている。その効果か、陽性者数の推移を示すグラフからは、陽性者が下降の兆しも見てとれる。
 なぜそれができたのか。同区のコロナ対策の陣頭指揮をとる西塚至・同区保健所長に話を聞いた。

困難なスタートからの巻き返し
なぜ墨田区は、こんなに早いんでしょう?
「いえ、決して順調に行ったわけではありません。出足が遅れ、想定外のこともいろいろ起きました。大学病院があるわけでも、集団接種に向いた広い施設があるわけでもなく、大きい施設は五輪で抑えられて、条件は決して恵まれていません。それでもなんとか巻き返し、いろんなことを積み重ねて、結果的に今がある、というのが実情です」(西塚さん、以下囲み内は同様)

 どのようなことを積み重ねてきたのか。西塚さんへのインタビューや資料から、主要な事柄を確認していきたい。

高齢者枠を使ってでも、まずは医療従事者に接種、という判断
 同区では昨年7月頃から、地元医師会とコロナ対策について協議を行う中で、ワクチンについても話し合いを重ねてきた。12月に区役所内に予防接種調整担当課を立ち上げ、ワクチン接種の準備を進めた。
 しかし国のワクチン調達は遅れ、当初は輸入量が少なかった。高齢者への接種が開始される4月12日時点で、東京都に割り当てられたワクチンは4箱(3900回分)のみ。高齢者人口の多い地域から配分が始まり、初回は世田谷区と八王子市が2箱ずつ配分を受けた。墨田区としてはいささか出鼻をくじかれるスタートとなった。
 墨田区は接種初日の4月17日、集団接種の予行演習をかねて、区内の医療従事者に接種を行った。国の計画では、医療従事者の接種は都道府県が行い、市区町村は住民接種を担当する、ことになっていた。それをあえて、医療従事者からスタートさせたのだ。

「区は住民のことだけ考えていればよいはずでした。しかし、予約システムがダウンするなど、都の医療従事者接種は遅れ、(高齢者への接種を行う)医師がワクチンを打てずにいました。それで、うちは住民接種の枠を使ってでも、まずは医療従事者の集団接種を先に行おう、と」 

 これは、その後のワクチン接種について、医療従事者の士気を高める効果も生んだ、という。その後、全国各地で、自身は未接種のまま高齢者施設で接種を行う医師たちから不安の声があがったが、墨田区ではそうした事態はなかった。ちなみに、同区では救急車で患者を搬送する消防署員にも、5月には接種を行った、という。

”災害時の頭”で考える
接種券を早い時期に配ったわけ
 墨田区の特徴的の1つは、ワクチン接種券の配布が早かったことだ。高齢者施設の接種に目処がつき、一般の高齢者の接種が始まったのは5月10日だった。だが65歳以上の区民の接種券は、2か月近く早い4月1日には発送していた。そして6月1日には、都内で最も早く、16~64歳の全ての区民に発送を行った。

「定期接種など”平常モード”では、事業開始の直前に接種券をお送りするのが普通です。しかし、今は”危機”。”災害時の頭”で考えると、大事なのは1人でも多くの人が、ワクチンを打つことです。一足早く接種が始まった世田谷区の高齢者施設に、墨田区民が暮らしているかもしれない。他区の施設で働いている区民もいるでしょう。そういう方々が、接種券がないために打ちそびれる、という事態が起きないよう、とにかく接種券だけは早くお配りしよう、と。1人でも2人でも、今居る場所で打って下さい、という思いでした」

 この”危機モード”対応は、後に想定外の恩恵を区民にもたらすことになった。

対象者の5%が自衛隊のセンターへ
 65歳以上に限定して行われていた自衛隊の大規模接種センターが突然、6月16日からの年齢制限撤廃を発表。遠方の東京・大手町の会場まで出向くよりも地元で打ちたい、という高齢者が多かったようで、希望者が想定を大きく下回ったためだ。

 若い年齢層の接種が可能となったが、予約には接種券が必要。しかし、この時点で多くの自治体は64歳以下には配布していなかった。そんな中、墨田区の人々はすでに接種券を手にしており、区民は次々に自衛隊のセンターに赴いて接種を受けた。

「これは大きかったです。1万2000人、対象者の5%が自衛隊に行って打って下さった」

災害時の助け合い
 住民の協力もあった。
 自衛隊のセンターでは、モデルナ社製のワクチンを使用。当初、厚労省はモデルナを接種可能な年齢を18歳以上としていた(その後12歳以上に変更)。また、モデルナは副反応が出やすいという話が出回り、1回目と2回目をファイザーより長く4週間空けなければならないこともあって、敬遠する人も少なくなかった。

「ところが、区内の大人たちから、『自分たちは自衛隊に行って、モデルナを打とう』という声があがったんです。ファイザーが足りなくなる、という時期でもあり、『ファイザーは子どもたちに回そう』という草の根の運動になって、自衛隊での接種が増えました。災害時は、地域の助け合いがあってこそ、です」

区直営の集団接種をメインに
危機には「割り切り」も必要
 墨田区の”危機モード”対応は、ほかにもある。

「”平常モード”であれば、日頃診てもらっている身近なかかりつけ医に打ってもらうのが一番です。ただ、今は災害時。危機にあっては、割り切るところは割り切って、最大限効率化を図り、数を多く打つのが大事。それに、このワクチンは1瓶から6人分とらなきゃいけないので、個別の診療所でやっていると余ってしまうことも。冷凍庫で保存する必要があるなどの使いにくさもあります。

 やはり、こういうものは集団接種がいい。これは2009年の新型インフルエンザの時の経験でもあります。国がいくら練馬方式(診療所での個別接種をメインに、集団接種で残りをカバーする)を推奨しても、うちはブレずに”危機モード”で対応し、集団接種メインで行くことにしました」

”小分け隊”の活用でムダなく数を稼ぐ
 当初は4つの区施設を使い、そのほか7病院でも個別接種を実施した。このうち墨田中央病院の接種では、千葉大学墨田サテライトキャンパスが会場を提供した。運営は民間に業務委託せず、区が直営し、ワクチンの在庫管理や配送は、職員による”小分け隊”が行った。
 キャンセルが出た場合は、区の危機管理Twitterやメールで区民に告知して希望者を区役所に集め、”小分け隊”が余ったワクチンを回収、西塚さんら保健所の医師が接種した。こうして、ムダを出さずに接種回数を稼いだ。地元医師会も”危機モード”を共有。集団接種の打ち手は、すべて区内の医師たちでまかなった。

「大きい施設はオリンピックに抑えられて使えないなど、条件は厳しく、地域にある資源を最適化して使うしかなかった。でも、それをやってみたら、いろんないいことがあった。特に地元医師会は自分たちが責任をもってやろうと士気が高く、おかげで事故なく、質が高く、長続きしている」

等身大の形作り
 接種券の発送や会場の設営は、選挙の際の入場整理券や会場作りと同じ、ということで、選挙管理委員会の職員が担当した。ワクチンに関する情報を掲載した区の広報紙は全戸配布することとし、これにも選挙公報配布のスキルが生きた。

「形を作って丸投げするのではなく、自分たちにできる等身大の形を作り、そこにちゃんと血が流れるように、職員が町内を回って苦情聞きなどもやって、形をさらに整えていきました」

 住民の声を聞く中で、若い世代の接種を進めるには、夜間、駅の近くで行う必要があると分かった。そこで、6月末から東京スカイツリーに隣接するビル、JR錦糸町駅と両国駅近くのホテルにも接種会場を設置。平日は午後8時まで、さらに土日祝日にも接種を行えるようにした。スカイツリー会場には託児所も設けた。

二転三転する国の方針にも柔軟に対応
当初から複数のワクチン使用を計画
 国のワクチン供給が不安定な中、墨田区は接種が始まる前の段階から、モデルナ社製ワクチンの使用を計画に組み込んでいたことが奏功した。
 接種が始まった時点で、厚労省が承認していたのはファイザー社製ワクチンのみだった。モデルナ社とアストラゼネカ社のワクチンが特例承認されたのは5月21日。しかし墨田区では、3月に公表した「実施計画」で、7月にはアストラゼネカとモデルナのワクチンを導入して、接種を加速させる計画を明らかにしていた。両社のワクチンは、ファイザー社製とは接種の間隔が違い、在庫管理も異なるので、複雑なオペレーションが必要になる。しかし、同区では接種の加速には、ファイザー以外のワクチンも必要になると考え、事前準備をしていた。それが、以下のように役立つことになる。

事前準備でモデルナ確保
 6月11日、ワクチン担当の河野太郎規制改革担当相が、市町村の集団接種でもモデルナの使用を認める方向を示した。あらかじめ計画済みの墨田区は、すぐに手を挙げた。この素早い反応で、同区はモデルナの配送を受けることができた。
 国が自治体でのモデルナ使用を認めたのは、7月からはファイザーの輸入量が減る分を補うためだった。ところが国は、同月22日には再度の方針変更をした。モデルナを使用する職域接種の申し込みが多く、「1日の可能配送量はもう上限に達している。このままいくと、供給できる総量を超えてしまう」として、自治体のモデルナを使った集団接種と職域接種の申請を中止したのだ。準備が間に合わず、配分を受けられなかった自治体もある。

在庫を出し惜しまない
 ワクチン供給不足への対策として、河野行革担当相が一時、在庫が多い自治体には配分を減らす、という新方針を示し、全国の自治体が混乱したことがあった。この時も、墨田区は影響を最小限に済ませた。扱いが面倒なワクチン接種記録システム(VRS)は、区職員が残業してこまめに入力。2回分を確保しないと1回目の予約をとれない、という自治体が予約が停止している中、墨田区では西塚保健所長が「在庫は出し惜しみせず、ペースを落とさずに予約や接種を進めて下さい」と、現場に檄を飛ばした。

「平常であれば2回確保してから予約をとる、となりますが、これも”危機モード”で対応しました。モデルナがありますし、国の輸入予定量は公表されていましたから、そういう情報を常にチェックしながら、大丈夫だろう、と。カラ元気でもありましたが、在庫ゼロのおかげで、”ボーナス(追加)”も来ました。この時期に加速するはずが、それはできなかったけれど、(ファイザー供給減の)前と同じ水準は保てた」

 このように、ワクチンを巡ってしばしば二転三転する国の対応にも、早い時期からの準備と、”危機モード”による柔軟で大胆な反応で、切り抜けてきたのが墨田区だった。

通年議会が補正予算に迅速対応
 加えて、区議会も”危機モード”を共有。ワクチン接種会場の増設など、様々な変化に伴う予算の確保に素早く対応した。

「昨年の11月から通年議会となっていたこともあり、毎月のように補正予算を通してくれるので、次々に変化する状況に迅速に対応できたんです」

 毎月の議会で、議員が住民の要望を披露したのも、情報として役立った、という。

”危機モード”共有の背景
 このように区、地元医師会、住民、議会などが”危機モード”を共有できた背景には、墨田区特有の事情もありそうだ。

 隅田川沿いにある同区は、水害の危機と常に向き合っている。最悪の事態では、ほぼ全域が水没することもありうる、と予測されているからだ。大雨の予報が出るたびに、同区は水害の発生を警戒する。常に最悪の事態を想定して考える”危機モード”の思考が鍛えられ、コロナ対応でも生きたのではないか。
 同区では昨年1月末の段階から、新型コロナウイルスを新たな「災害」、それも警戒レベル5の最大級の災害ととらえて対応してきた、という。国や東京都では、第5波で重症患者数が過去最高を日々更新する事態になって、ようやく「災害級」という言葉が出てきたのに比べると、危機への向き合い方が異なるように見える。
 この”危機モード”を区、医師会、住民、議会が共有し、連携することで、次々に生じるいろんな問題をうまく飲み込み、ペースを落とさずに接種を続けることができた、と言えるだろう。

ワクチン以外でも素早い対応
 墨田区が速いのはワクチン接種だけではない。医療提供体制についても、際だった対応が見られた。2つの例を挙げる。1つは、地域完結型の医療体制「墨田区モデル」の構築。もう1つは、抗体カクテル療法のすみやかな導入だ。

回復期の患者を中小病院が引き受ける
 コロナ禍の日本で、医療が逼迫する原因の1つに、回復した重症者の転院が困難、という問題がある。患者は人工呼吸器から離脱できても、すぐに日常生活には戻れるわけではない。その後の治療やリハビリが必要だが、そのための転院先がなかなかみつからないのだ。

210817sumidaku これに対応するため、墨田区は今年1月25日、地域の病院が連携して、転院を進める仕組みを作った。同区では第一種感染症指定医療機関である都立墨東病院が重症患者を、同病院と重点医療機関の病院が中等症患者を引き受けている。そして回復期に入った患者は、他の中小私立病院が次々に受け入れ、重症者や中等症患者のためのベッドを空けるようにした。

 この体制を導入して3日後には、入院待機者が0になった。今も、医療崩壊を食い止めている。
 速やかな体制作りが可能になったのも、災害時を想定した、常日頃からの地元医師会と保健所の関係があったからだ。

「危機を想定し、墨東病院には『断らない医療』をやってもらい、そこがいっぱいになったら地域の医療機関が後方支援で引き受ける、という意識が、地元の病院経営者には以前からある。今回は、墨東をパンクさせないために、自分たちが支えていかなければならないという危機感が、地元医師会の中でより一層強い」

抗体カクテル療法にもいち早く対応
 抗体カクテル療法は、2種類の抗体を点滴投与する治療法で、軽症者の重症化を防ぐ効果がある。アメリカのトランプ前大統領が感染した際、この治療を受け、早期に回復したことで知られる。日本では、7月19日に重症化リスクの高い軽症・中等症患者の治療薬として特例承認された。墨田区では、同愛記念病院に区民優先の病床を20床確保していたが、ここで同月27日から必要な患者にこの療法を行うことにした。8月13日までに20人の患者に実施し、いずれも経過は良好、という。
 東京都がこの療法のための病床20床を確保したことを発表したのは同月12日だったことを考えると、墨田区の手際の良さが光る。これも、”危機モード”による早い準備が生んだ。

「4月に、近いうちに特例承認されるという情報があったので、区内の病院で実施しようと、5月頃から病院と勉強をしてきました。当初は4つの病院で実施しようと考えていたのですが、入院が必要とのことなので、区民のための病床を確保していた同愛記念病院で行うことにしました」

 準備を急いだのは、第4波の大阪の状況を見て、危機感を募らせたからだ。地元医師会と共に、神戸市民病院の医師を招いたweb上の研修会を行い、関西でどのようなことが起きたのか、詳細を学び、対策を検討した。

「酸素が足りない、中等症のベッドは一杯になり、感染者が減らない。このような大阪の第4波が東京でも起きる、という前提で準備をしたのが、今生きている」

十分な検査態勢を整える
 このほか、コロナ対応としては、検査態勢を区独自で充実させてきたことも大きい。それは、昨年4月に墨東病院でクラスターが発生し、新たな入院や救命救急センターでの患者受け入れを停止した時の教訓からだという。

「国立感染症研究所が入って、症状のない人も含めて全員の検査をやった。そのやり方から学ぶことが多かった。ウイルスは目に見えない敵なので、徹底した検査しかない」

 しかし当時、東京都としてできる検査は1日に200-300件ほど。そのため、医師が必要と判断しても、検査を受けられない発熱患者がいた。墨田区は、独自にPCRセンターを設置。6月に検査会社を区内に誘致し、通常の3割程度の金額で1日240件の検査を行えるようにした。

 さらに、保健所自身が唾液によるPCR検査を開始した。検体を唾液にしたのは、医師がいちいち咽頭を綿棒でぬぐう作業をしなくてすむので、大量の検査に適していると考えたからだ。
 最初に大規模な検査を行ったのは昨年6月下旬。地元のオーケストラ、新日本フィルハーモニー交響楽団の楽団員ら74人のPCR検査で、全員の陰性を確認した。それまで演奏活動を自粛していたオーケストラは、7月初めに演奏会を再開した。

「自前の検査なので午前中に検体を出せば、2時間後には結果が分かります。費用も1人1000円くらいで済みます。どこかの施設で1人陽性者が出れば、すぐに全員の検査をやる」

 陽性者の第一報を知ると、西塚所長自身も防護服を着込み、検査のために現場に向かった。高校受験の時期は受験生の検査を行い、小学校の移動教室など人数が多い時にはプール方式で検査した。夜の街が危ないという話が広がった時期には、向島の花街の芸者たちの検査を実施。「向島は安全だと示したいので、ぜひやってください」という芸者衆の要望に応えた。

「人は大事」
 こうした対応が可能になったのは、1人の保健所職員がいたからだ。検査技師の大橋菜穂子さん。西塚所長が独自の検査実施の方法について頭を悩ませていたところ、大橋さんが「私はPCR検査ができます」と申し出た。

 2014年に代々木公園でデング熱が発生して以来、大橋さんは毎月のように、区内の公園で蚊を採取してはすりつぶし、PCR検査でウイルス感染の有無を調査し続けていた。結果はいつも陰性だが、それを確かめるために、大橋さんは黙々と検査を重ねた。PCR検査の技術を磨き、機械もメンテナンスを欠かさなかった。
 それが、このコロナ禍で生きた。大橋さんは、感染症研でコロナウイルスの検査の手法を学び、今では変異株の検査も担っている。

「昔は、検便も結核の検査も、水道の検査も、すべて保健所でやっていた。それが次々に民間委託となり、保健所から検査機能が失われ、保健所そのものも減らされてきた。そんな中、商売にはならない蚊の検査を続けてきた検査技師が1人いたおかげで、コロナにも対応できた。本当に、人は大事です。金にならないことをやって、危機に備える。これこそ公衆衛生です」

適切な情報の公開
 住民への適切な情報発信も心がけた。象徴的な事例が、早期にコロナ対応をする医療機関名の公表に踏み切ったことだ。
 新型コロナの感染が疑われる患者に対応する医療機関は、都道府県が「診療・検査医療機関」を指定した。ただ、多くの自治体は「風評被害」を恐れて機関名を公表しなかった。東京都も同様。そのため、患者が受診するには、かかりつけ医か都の発熱相談センターに相談し、紹介を受けなければならない。同センターに電話がつながらないことも多く、煩雑さから、症状があっても軽症の場合、医療機関にかからずに済ませる人も少なくなかった。
 そうした人が感染を広げる懸念から、墨田区は昨年11月、区内の「診療・検査医療機関」の名称公表に踏み切った。それによって受診がしやすくなる利便性と、感染拡大の抑制が狙いだった。区の広報紙では、年末年始の発熱外来を行っている医療機関名と診療日や連絡先などを詳しく伝えた。
 さらに、西塚所長がTwitterなどのSNSを使って、区の対応を丁寧に説明。西塚所長のアカウントには、「家族が熱を出した。どうしたらいい?」「熱がある。日曜日だけど、どうしたらいい?」といった相談も頻繁に飛び込む。そのたび、「○○なら、予約なしで受診できます」などといった情報を伝えている。

「自分が必要な時に必要な情報が得られずに困っている人がいる。そういう人をとりこぼさないようにしたい。災害時は、区としては大きく構えて対策をしなければならないが、こういう細かい情報を補強するにはSNSは有益です」

 このような対応をするため、自宅にいても、スマートフォンは手放さない。
 ちなみに、施設で患者が確認された時、噂や風評被害を防ぐため、同区では施設名も公表している。

保健所の役割とは
 保健所の仕事について、西塚所長はこう語る。

「いろんな資料を分析しながら、地域の弱みを常にウォッチして、必要な資源を作って供給していく。インテリジェンスとロジスティクスです。墨田区は一貫して、これが公衆衛生を担う保健所の役割と認識してやってきました。私たちは、尾身先生たち専門家が言うことを忠実にやってきただけです。その(提言を実現する)ために必要な資源は用意する。現場の医師たちが『検査をしたい』『患者を入院させたい』と言う時に、ちゃんとできるようにする。これが保健所の仕事です。

 資源が足りなければ、作る。たとえば、東京都の検査能力が限られているからと、検査数を絞るのではなく、検査がより多くできるようにしてきました。国や都の対応を言い訳にせず、資源にニーズを合わせるのではなく、ニーズに資源を合わせるんです」

 そのための工夫をし、早めに準備を整えて、あらゆる立場の人たちを結びつけていくのが、西塚流の真骨頂と言えるだろう。
 平成元(1989)年度には、全国に848あった保健所は、合理化の波に洗われて、現在は470まで減らされた。その保健所が今、新型コロナウイルスとの闘いで要の役割を担っている。

「だいぶ減らされたとはいえ、うちに検査技師がいたように、今もまだ保健所には様々なスキルが残っています。その力を、今発揮しないで、いつ発揮するのだ。そんな思いでやっています

 各地でも今、それぞれの地域の事情を踏まえた保健所の奮闘がある。その保健所の機能を存分に生かすためにも、また、各地でワクチン接種を加速化するためにも、国や各自治体が西塚所長の話から学ぶところは多いのではないか。

江川紹子(ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
神奈川新聞記者を経てフリーランス。司法、政治、災害、教育、カルト、音楽など関心分野は様々です。2020年4月から神奈川大学国際日本学部の特任教授を務め、カルト問題やメディア論を教えています。」(2021/08/16付ここより)

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まさに「保健所の機能を存分に生かすためにも、また、各地でワクチン接種を加速化するためにも、国や各自治体が西塚所長の話から学ぶところは多いのではないか。」である。
国や都の無策の中でも、まだまだ知恵の出し方はある。それを墨田区は示している。

話は変わるが、コロナ渦の不安を煽っていると批判されるTVの情報番組。
こんな見方もある。

コロナ無策の菅政権を追い込むワイドショー 厳しい番組は、逆にヌルいのは?

「不安を煽ってばかり」と批判されるが、新型コロナウイルスの情報を幅広く取り上げ、感染拡大の危機を必死に訴えてきたのは、テレビのワイドショーである。来週には東京の新規感染者は1万人を超えそうで、コメンテーターは菅義偉首相の無為無策を批判し、感染症専門家はこの第5波がどこまで広がるのかを予測、リポーターは医療崩壊の現場から伝え、キャスターは「自分の命を守って」と声をからしている。
 新型コロナの感染が始まった昨年冬、日本中が「ちょっと重いインフルエンザ」程度に考えていた時に、白鴎大の岡田晴恵教授や池袋大谷クリニックの大谷義夫院長を連日登場させて、「インフルとはまったく違う怖い病気。甘く見てはダメ!」と、いち早く警鐘を鳴らしたのもワイドショーだった。PCR検査をすべての人に実施すべきとキャンペーンを張り、中途半端な緊急事態宣言では感染に歯止めはかからないと指摘、ワクチン確保を急げとも主張した。菅首相はことごとく無視したが、ワイドショーが正しかったことはいまや明らかである。
 ではいま、コロナ感染予防に役立つワイドショーはどれか。早くから力を入れてきたテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(午前8時~)に、やはり一日の長がある。お得意の羽鳥パネルの解説は要領よくまとめられていて、全国の感染者が8日連続で1万人を超えた翌日は、コロナ情報に1時間以上割いて、「重症者最多」「把握できない自宅死」「ロックダウン並み対策を」「沖縄は入院中止」などを次々に取り上げた。テレビ朝日コメンテーターの玉川徹が「モーニングショーを見ていらっしゃる方は、危機感を十分もってらっしゃると思います」と自画自賛したくなるのもわかる。
 ところが、スポーツ局の大バカ社員が、五輪打ち上げ飲み会を開き、転落事故まで起こして、この実績に泥を塗ってしまった。コメンテーターの長嶋一茂もさぞ悔しいことだろう。
 日本テレビ系「newsevery.」(午後3時50分~)は、解説委員の小西美穂がコロナ最新情報を解説するのが定番となっていて、午後4時45分には東京都のその日の感染者数をどこよりも早く伝える。情報は早い。TBS系「Nスタ」(午後3時49分~)もほぼ同じ内容である。
 菅首相や厚生労働省に腹が立って仕方がないという向きは、フジテレビ系「バイキングMORE」(午前11時55分~)がオススメ。ワイドショーのMCの中で、いま坂上忍が最も舌鋒鋭い。
 逆に、ぬるいのはフジテレビ系「めざまし8」(午前8時~)で、橋下徹の長広舌がうるさく、情報量は少ない。もともとエンタメ重視の日本テレビ系の「スッキリ」(午前8時~)も、コロナより芸能ネタ優先である。
 ただ、2時間も3時間もワイドショーに付き合うのはつらい。録画しておいて、コロナのところだけ見る。(コラムニスト・海原かみな)」(2021/08/15付「日刊ゲンダイ」ここより)

「PCR検査をすべての人に実施すべきとキャンペーンを張り、中途半端な緊急事態宣言では感染に歯止めはかからないと指摘、ワクチン確保を急げとも主張した。菅首相はことごとく無視したが、ワイドショーが正しかったことはいまや明らかである。」

という評価をどう見る?

少なくてもこれだけは言える。NHKよりも民放は、裸の情報を、忖度無く伝えているように思える。
例えば、「都の基準による重症者数」。

210817tokijyunn 「「重症者」の定義は国基準では、集中治療室(ICU)もしくは高度治療室(HCU)などへの入室、または人工呼吸器かECMO(人工肺)で管理中の患者ですが、都基準では人工呼吸器かECMOを使用している患者のみをカウントしています。」ここより)

このまやかしの都の基準。なるべく少なく見せよう、という都知事の魂胆が見え見え。
それを垂れ流すのがNHK。他県と比較できる国基準も同時に見せるのが民放。

情報をどう捉えるかは各人の自由だが、江川さんの指摘も踏まえて、こんな情報を国や各自治体は、少しでも活かせないものだろうか。

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2021年8月15日 (日)

コロナ、世界の女性リーダーは

だいぶ前の記事だが、今さらながらリーダーの資質、手腕について考えさせられる。
2021/07/31付「朝日新聞」の記事である。

「(be report)コロナ、世界の女性リーダーは 科学的な知見、生活への目配りカギ
 新型コロナウイルスを巡っては、世界の女性リーダーの対応が注目を浴びた。パンデミック発生から1年半、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)の共著者や台湾に詳しいジャーナリストにその評価をたずねた。共通して、国民の心情に寄り添う姿勢と科学的な知見の重視、生活者への目配りが浮かぶ。

210815asahi  「新型コロナとの闘いに向け、確実な情報を可能な限りお伝えします」
 SNSなどを通じて、わかりやすく、親しみやすいメッセージを発信したニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相。昨年3月、初のロックダウン(都市封鎖)に踏み切る前夜、フェイスブックの動画配信で、行動制限のルールから国の支援制度まで次々と寄せられる質問に答えた。動画再生回数は540万回超。その後も会見やSNSでの発信はほぼ連日続いた。
 在住23年のクローディアー真理さんは「コミュニケーション能力だけでなく、国民が不安になる前に科学的な根拠に基づく正確な情報を提供し、協力を求めた。国民がリーダーを信頼し、一丸となれた」と振り返る。
 同国は第1波の1日あたりの新規感染者数2ケタの段階で外国人の入国を原則禁止し、徹底した検査と感染者の追跡、隔離で、早期の封じ込めに成功。昨年6月以降、新規感染者はゼロや1桁など低水準が続き、国民はマスクなしの食事や旅行、コンサートなどコロナ前の日常に近い状態を取り戻せたという。
 「感染状況に応じた警戒レベルが早い段階で公表され、今後の行動が予測できたことも大きい」とクローディアーさん。首相の支持率は一時8割を超え、昨年10月の総選挙では、与党が単独過半数で圧勝した。

 ■水際対策を徹底、適材適所で対応
 ニュージーランドが水際対策で参考にしたのが台湾だ。台湾は世界保健機関(WHO)が新型ウイルスを認識した2019年12月末、中国・武漢からの渡航者の検査と感染者の隔離を始め、昨年1月上旬には現地に調査チームを派遣。国境管理を強めると共に、不足していたマスクの流通管理を強化し、デジタル対応の保険証を利用して、渡航履歴の管理やマスクの購入を可能にした。陳時中(チェンシーチョン)・衛生福利部長(大臣)と唐鳳(タンフォン)・IT担当相が重要な役割を果たした。
 在外ジャーナリスト協会理事の寺町幸枝さんは「蔡英文(ツァイインウェン)総統は適材適所の人事を行い、全幅の信頼を置いて、任せた。迅速な対応が功を奏し、都市封鎖をせずに、すぐに『コロナ前』に戻ることができた」と評価する。一方で、今年5月の変異株による感染再拡大について、寺町さんは「初期の成功にあぐらをかいた。世論はワクチン調達の遅れにも厳しい」とみる。

 ■明確な行動基準、誠実・丁寧な説明
 隣国と陸続きの欧州では水際対策に限界がある。ドイツのメルケル首相は昨年3月、初のロックダウン時の会見で「……(日常生活の)制約は渡航や移動の自由が苦難の末に勝ち取られた経験をしてきた私のような人にとって、絶対的な必要がなければ正当化できません。……しかし、今は命を救うためには避けられないことなのです」などと人権制約への懸念に配慮しながら、協力を呼びかけた。
 並行して、中小企業や個人事業者向けの助成金や融資を整備、給料が減額された労働者の給付金制度を拡充し、家賃滞納者が退去させられないよう法改正も行った。在独25年の田口理穂さんは「例えば、休業中の店舗維持のための家賃など必要経費は国が払う。すぐに支援策が講じられ、路頭に迷わない安心感があった」と話す。
 その後、法改正を重ね、各州が人口10万人あたりの新規感染者数に応じて、必要な検査の種類や頻度、外出や家族以外との接触制限、休業、休校など詳細なルールを定めた。田口さんの住むニーダーザクセン州では現在、新規感染者数が10人程度に減り、1日1回の抗原検査が無料で、コンサートなど大勢の人が集まる場所でのみ、陰性証明が求められるという。今年6月の世論調査でも、メルケル氏を8割が評価。田口さんは「単に我慢を強いるのではなく、科学的な知見に基づく具体的な行動基準が明確で、その理由を誠実に、丁寧に説明した。見通しも立てやすかった」と分析する。
 世界的な「ワクチン争奪戦」では、欧州連合(EU)が加盟国を代表してワクチンの開発支援と調達にあたった。アストラゼネカが英国への供給優先の姿勢を示すなど、出遅れを指摘され、EUは1月、域内で製造されたワクチンの輸出管理を強化する一方、生産体制を拡充した。フォンデアライエン欧州委員長は「大量生産の難しさを過小評価していた」と謝罪。日本などからは「囲い込み」との非難も浴びたが、ベルギー在住の栗田路子さんは「すぐに対応し、誤りを素直に認めたことは評価できる」。(吉田美智子)」(2021/07/31付「朝日新聞」b4より)

ここで一貫しているのは、説明責任ということ。

同じく朝日新聞の「コロナ敗戦から考える「危機の政治」と「政治の危機」」(2021/08/15付)(ここ)を読んだ。この記事で、説明ということについて、各氏はこう述べている。

「・・・
長谷部恭男・早稲田大教授 「コロナ禍のオリンピックは典型的な『二重効果』です。開催することが、感染拡大や医療状況の逼迫という非常に大きな副作用を引き寄せてしまう。だからといって絶対にオリンピックをやってはいけないということにはなりませんが、なぜやるのかという正当性を内閣、政府はきちんと説明する必要があるし、副作用とのバランスも取れてないといけません。しかし、菅さんは、まったく説明をしようとしない。『安心・安全な大会』という『おまじない』を繰り返すばかりです。菅さんという人は自分の政治的な判断について、理由を示して説明するということをそもそもしてこなかった人ですね」

210815asahi210820 杉田敦・法政大教授 「説明しないといけないと思っているのに説明しないのか、説明しなければならないことを理解してないのか。私は後者じゃないかと思います。自らの政策判断について、メリットはこれで、デメリットはこれと論理立てて説明する責任があることを理解していない。長谷部さんはいま、菅さん個人のキャラクターというか政治家としてのレベルの問題を強調されましたが、菅さんひとりで物事を決めているわけではないので、日本の中枢部が、いわば全体として説明責任を意識していない、国民に説明して理解を求めなければならないという意識をそもそももっていないということではないでしょうか。菅さんは米紙ウォールストリート・ジャーナル日本版に『オリンピックをやめるのは一番簡単なこと』『挑戦するのが政府の役割』と語ったそうですが、東条英機が『人間一度は清水の舞台から飛び降りることも必要だ』みたいなことを言って対米開戦に突っ込んでいった、そのレベルからいまだに脱せていない。日本の統治システムの宿痾だと、私も思います」

加藤陽子・東京大教授 「やはり人事権を握った、官房長官時代からの菅さんと、杉田和博官房副長官のふるまいが大きいと思います。彼らは説明『しない』ことによって、忖度(そんたく)させるという権力の磁場を新たに作った。そういう誤った方向での強い自負があるのではないか」

杉田 「確かにそうですね。加藤さんら6人の方が任命拒否された日本学術会議の問題も、本来は単なる公務員の人事の問題ではないのに、菅さんや杉田さんは単なる人事の問題という解釈で突き進んだ。人事だということにしてしまえば説明は必要ない、上司と部下という権力関係で動かせると。彼らは結局、国民との関係についても同じように捉えているのではないでしょうか。本来、政治家は国民の代表にすぎず、国民に対して一方的に命令できる『上司』などではない。むしろ、国民の方が誰に任せるかを決める立場にあるわけです。それなのに国民に説明しないのは、代表民主制のシステムを理解せず、政治家が一方的に命令できるという間違った権力観を持っているからでしょう」・・・(2021/08/15付「朝日新聞」より)

この中で「彼らは説明『しない』ことによって、忖度(そんたく)させるという権力の磁場を新たに作った。そういう誤った方向での強い自負があるのではないか」という指摘が印象に残った。

210815pancake 先日の「朝日新聞」夕刊の「素粒子」の一文。
「パンケーキを「毒見」してきた。満員御礼の映画館。総選挙を前に、沈黙せぬ羊たちが爆発的に増える、かもよ。」(2021/08/13付「朝日新聞」夕刊より)

先日見に行った菅首相のドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」(ここ)。

近くの映画館でも上映が続いている。この手の映画は、直ぐに終わってしまうかと思ったが、どうしてどうして・・・
“沈黙せぬ羊”たちが、秋の衆院選で沈黙を破る!?

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2021年8月12日 (木)

米ドラマ「グッド・ドクター 名医の条件」にハマっている

今、米ドラマ「グッド・ドクター 名医の条件」にはまっている。毎日、午後の昼寝の後、シーズン1から2話ずつ見ている。
wikiにはこうある(ここ)。
「『グッド・ドクター 名医の条件』 (原題: The Good Doctor) は、アメリカ合衆国のABCで2017年9月25日から放送されているテレビドラマ。2013年に韓国で放送されたグッド・ドクターを基にしたリメイク作品。2020年11月現在、ABCは第4シーズンの放送を開始した。」

今回見出したきっかけは、WOWOWで「シーズン4」の放送が始まったこと。「シーズン1」は前に見た記憶がある。しかし、どうせなら最初から見直すか・・・と調べたら、Amazon Prime Videoで7月23日から無料視聴出来る事が分かり、その開始を待って見始めた(ここ)。
このTVドラマ、前に見ていても、断片的には覚えているものの、結構新鮮に楽しめる。
それで、Amazonプライムで「シーズン1」「シーズン2」の各18話を見て、今日からWOWOWで再放送されて録画しておいた「シーズン3」全20話を見始めた、というわけ。

「天才的な能力を持つ、自閉症でサヴァン症候群の新人研修医の成長を描く全米大ヒットの新感覚医療ドラマ!
210812gooddoctor 自閉症でサヴァン症候群の青年ショーン・マーフィーは、天才的な記憶力や空間認知能力を持つ。他者と思うように交流できない事が多いが、膨大な医学の知識と天性のひらめきで難病の患者を次々と救い、病院関係者や先輩・同僚からの偏見や確執を乗り越えて成長していく。
この本格医療ドラマを手掛けるのは豪華製作陣!韓国で大ヒットした「グッド・ドクター」を、「Dr.HOUSE ―ドクター・ハウス―」で企画・製作総指揮を務めたデイヴィッド・ショアと「HAWAII FIVE-0」のチン役を演じたダニエル・デイ・キムが米国でリメイクし、製作総指揮を務める!
映画「チャーリーとチョコレート工場」や「ベイツ・モーテル」で知名度を上げ、本作でゴールデン・グローブ賞にノミネートされた注目の俳優フレディ・ハイモアが主人公ショーンを熱演する!」

自分は、いわゆるヒューマンドラマが好き。イジワルが出てくるドラマは苦手だ。
それにしても、自分がハマるドラマは、医療ドラマが多い。
過去にも、韓ドラ「浪漫ドクター キム・サブ」(ここ)や「ER緊急救命室」(ここ)、そして大門未知子の「ドクターX」に凝ったこともある。
自分は医療ドラマが好きなのか!?

しかし、これらのドラマを見ていると、“いつ何時(なんどき)何が起こるか分からない”といつも思う。歳相応に、自分の体に、そして家族の体に、いつ何が起こっても不思議は無い。でも、普段は、それを意識せず暮らしている。それこそが平和・・・!?

それにしても、世の中には色々な病気があるものだ。それぞれ罹る確率は小さいものの、決して侮れない。
そして、感染症の新型コロナ。
この「グッド・ドクター」シーズン2でも感染症の場面があったが、感染症の病気は怖ろしい。一挙に大量の人を殺してしまう。

それにしても、発生から1年半以上経ってもこの有り様・・・。
まあ、自宅にこもって、医療ドラマでも見ているのが無難か!?
日本のリメイク版は前に見たので、元祖の韓国版も見てみようかな・・・

TVドラマで過ごす“籠もり”のこの頃である。

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2021年8月10日 (火)

「消えた言葉」~挨拶における準備

今朝(2021/08/10)の朝日新聞の「天声人語」である
(天声人語)消えた言葉
きのう長崎の平和祈念式典に臨む菅義偉首相は、心なしか緊張して見えた。手元にたびたび目を落としたのは、広島の式典で原稿を読み飛ばしたためだろうか▼「『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていく」。広島のあいさつで「幻」となった部分である。文脈は損なわれ、そのあおりで中継の字幕が乱れた▼原稿を蛇腹状に貼りつけた際、のりが余計なところに付いてページがめくれなかった――。周辺はそう釈明しているらしい。不可解なのは、演説中の菅首相に気づいた様子がないこと。きちんと筋道を追っていさえすれば、瞬時にわかるだろうに▼演説の名手として知られる英国の元首相チャーチルも若き日、大失敗をしたことがある。労働者の声が議会に反映されていないと舌鋒(ぜっぽう)を強め、「その責任を負うのは……」。ここで言葉が消え、3分にわたり沈黙。席に戻ると両手で頭を抱えた。翌日の英各紙は議場での失態を一斉に書き立てたという▼ジョンソン現首相が就任前に著した評伝『チャーチル・ファクター』によれば、この挫折が彼の演説スタイルを変えた。丸暗記をやめ、原稿を持ち込んで堂々と読み上げるように。朗読であっても希代の名演説家と称されていくのは、その言葉に魂が入っていたからに違いない▼天性の雄弁家はそうはいない。菅首相も演説の草稿に手を入れ、推敲(すいこう)を重ね、できれば下読みも丹念にお願いしたい。演壇から一度消えた言葉は、もう元には戻らないのだから。」(2021/08/10付「朝日新聞」天声人語」より)

英国の元首相チャーチルも若き日、大失敗をしたことがあるとのこと。ふと、自分の若い頃の大失敗を思い出した。
前にも書いた事があると思うが、初めて出席した大学時代の友人の結婚式。いわゆる3人組の友人関係だったが、そのうちの一人が、学生時代から付き合っていた女性と、卒業早々結婚式を挙げた。後の二人が自分とTという友人。友人代表の挨拶を自分がやることになった。立てば何とかなると思って、ほとんど何も用意しなかった。
そもそも、Tも自分も結婚式に出席するのは初めて。その友人が「少し遅れて行こうぜ」というので、「そうだな」と応じ、始まる時間の少し後に行ったら、会場前には誰もいない。二人でソファーに座って、タバコを一本吸ってから恐る恐る会場の扉を開けたら、暗い中で披露宴は始まっていた。ホテルの人に導かれて席に座るや、司会者が「友人代表の挨拶です」と来た。スポットライトが当たり、立つと周囲はシーン。
頭の中は真っ白。しどろもどろで何かを話し、「慣れないものでスミマセン」と座ったら、汗がどっと出た。
この事件は会社に入って直ぐだったが、これを機に「何とか、は決してならない」事を悟って、スピーチの機会があるときは、必ず原稿を用意し、事前に話すことを練習してから臨むようになった。よってそれ以来の失敗は無い。

今はほとんど行われていないが、何度か部下の結婚式の“頼まれ仲人”をしたことがある。この時も、貴重な体験談を耳にして、自分に活かした。つまり、庶務の小母ちゃんが言うに、隣の部の結婚式に出たとき、仲人が新郎新婦の紹介のときに、しどろもどろになってしまい、周囲でどうなることやら・・・と心配したとのこと。そのエピソードを聞いて、自分は丸暗記はせず、堂々を原稿を読もうと思った。それから何度かの仲人挨拶では、ジャバラ状の原稿を胸から出し、それを読みながら紹介した。
聞いている人は、挨拶を原稿を読もうが、原稿無しでやろうが、どうでも良い。つっかえない方がよっぽど安心して聞ける。
しかし、困ったのが主賓挨拶を頼まれたとき。これも部下から頼まれ、何度かやったが、これは原稿を読むと体裁が悪い。よって、これだけは原稿無し。小さなカンニングペーパーを用意することはあるが、ほとんど見ないで挨拶した。そもそも主賓挨拶までは、皆飲み食いせずにシーンとした中で行うので、失敗は許されない。よって、原稿を用意し、何度もカミさん相手に練習をしてから臨んだもの。特に、ビデオなどに録画・録音されてしまう事もあるので、緊張して行ったものだ。でも、終わった後のビールは美味かった。

皆んな古い思い出話だが、上の首相の原稿棒読みの記事を読んで、その用意の無さにあきれ果てた。
今、NHKの「映像の世紀」の再放送を、順番に見直しているが、ヒトラーやムッソリーニなどの昔の独裁者の演説のうまさは、今でも通じる。独裁者といえども、最初は大衆の心を掴まなければ何もできない。その点、その演説には、自分の魂の入った言葉で訴える。まさに自分そのものが発する言葉である。
それに引き換え、「政府関係者は6日、菅義偉首相が広島の原爆死没者慰霊式・平和祈念式でのあいさつの一部を読み飛ばした原因について、原稿を貼り合わせる際に使ったのりが予定外の場所に付着し、めくれない状態になっていたためだと明らかにした。「完全に事務方のミスだ」と釈明した。」との説明に目を疑う。

今週のどの世論調査も、内閣支持率は30%を切った。
秋の衆院選が楽しみ!?

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2021年8月 8日 (日)

2020年の世界シェア(市場占有率)

恒例の日経の世界シェア20120年版である。

IT・部品、進む中国依存、15品目でシェア3割超、20年世界調査、供給網見直し難しく

 世界のIT(情報技術)・電子部品で中国依存が一段と強まっている。日本経済新聞が主要な製品・サービスの市場シェアを調べたところ、中国企業がシェアの3割超を占めた品目は液晶パネルや電池部材など15に上った。米政権が先端製品の自国生産強化を打ち出すなどしているが、中国に頼らない供給網構築の難しさが浮き彫りになった。(関連記事13面に)

 世界の経済活動で重要な最終製品やサービス、中核部品、材料の計70品目を対象に、2020年の「主要商品・サービスシェア調査」を実施した。脱炭素の流れで需要が伸びる太陽光パネルや車載電池などの環境分野や、クラウドサービスなど企業の業務革新につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)関連などが含まれる。
 新型コロナウイルスの感染拡大に加え、米中の経済安全保障を巡る対立が激しくなり、世界経済の分断の動きが広がる。米国は政府調達で米国製の原材料などの使用を増やすよう促すほか、半導体などの自国生産の拡大に乗り出している。日本も半導体などの供給網強化を進める。
210808share20  だが、調査結果からは重要製品で中国企業に大きく依存する姿が浮かび上がる。中国勢が市場シェアの3割以上を占めるのはスマートスピーカーやスマートフォン、監視カメラ、パソコン、家庭用エアコン、洗濯機など15品目。うち13品目で中国企業がシェア首位だ。
 太陽光パネルはロンジソーラー、中大型トラックは中国第一汽車集団が20年に首位になった。IT製品に使われる中小型液晶パネルと大型液晶パネルはいずれも京東方科技集団(BOE)が首位だ。電気自動車の基幹部品の車載電池では寧徳時代新能源科技が韓国LG化学の猛追をかわした。
 15年に日本勢が8割のシェアを占めたリチウムイオン電池向け絶縁体も上海エナジーが22・3%で首位。旭化成は14・5%にとどまる。
 高速通信規格「5G」の通信網整備に不可欠な携帯基地局では華為技術(ファーウェイ)がシェア首位だ。米国が強い警戒感を示し、同盟国で調達見直しの動きが広がるが、シェアは4割近くに伸びた。中国ハイテク企業は部品調達や欧米での売り込みが難しくなるとの見方もあったが、影響は軽微だった。
 米国勢はサーバーやルーターといったITの主要インフラなど24品目で首位だった。一方、日本勢の首位は7品目にとどまる。複写機・複合機やデジタルカメラなど市場が縮小傾向の品目が目立つ。成長分野での顧客獲得で後手に回り、産業の新陳代謝が進まない。
 デロイトトーマツグループの岡野敬介パートナーは重要製品の調達が一部の国に依存することについて「事故や災害、外交問題による調達リスクが高く価格交渉などでも立場が弱くなる」と警鐘を鳴らす。重要部材の争奪戦は激しく、足元でも半導体不足でホンダが一部工場の稼働を止めている。「日本企業は不測の事態を想定したサプライチェーンを作り上げる必要がある」と指摘する。」(2021/08/06付「日経新聞」P1より)

日本勢、首位7品目どまり、世界シェア調査、デジカメ、縮小市場で1~3位、成長産業への集中投資が課題

 日本経済新聞社が実施した2020年の「主要商品・サービスシェア調査」で日本企業の首位は70品目中7つだった。過半を握る品目もあるが、デジタルカメラなど市場が縮小する。新型コロナウイルス対応で重要な医療関連やデジタルトランスフォーメーション(DX)など成長分野では米国と中国に出遅れる。(1面参照)

 今回の調査で医療・医薬分野の品目は世界の大手企業が開発にしのぎを削るバイオ医薬品など8品目あるものの、上位5社に日本企業が名を連ねたのは画像診断機器だけだった。新型コロナでファイザー製などのワクチンが世界で争奪戦を繰り広げるなど医療関連産業がかつてないほど注目を浴びる中、日本企業の存在感は薄い。
 企業の業務そのもののあり方を見直し、企業の競争力向上につながるDX関連ではクラウドサービスがある。こちらは米IT大手の「GAFA」の存在感がある一方、日本勢はシェア獲得で上位をうかがえそうにない。
 DX推進とともにサイバー攻撃も増え、関心が高まるセキュリティー対策ソフトは米マカフィーが首位だった。日本のトレンドマイクロは9.0%で3位と変わらなかった。
 現場でデータや画像共有に役立つタブレット端末は米アップルと韓国サムスン電子の2強で50%超のシェアを握った。
 そうした中で自動車はトヨタ自動車が新型コロナの影響を抑え、首位に返り咲いた。公共交通機関の利用から、自家用車による移動への機運が高まったほか、旅行などの消費を制限された高所得者層の消費ニーズも高級車ブランド「レクサス」などで取り込んだ。
 ただ世界で急ピッチで開発が進む電気自動車(EV)の領域では課題が多い。調査では1~3位のテスラ、上海汽車集団、フォルクスワーゲン(VW)が全体の42.8%を握る。EVの普及に伴い市場の拡大が見込まれる車載電池では中韓の企業が存在感を高めている一方、パナソニックはシェアを落とす。
 世界シェア1~3位を日本企業が独占するのは2品目あった。デジタルカメラはキヤノン、ソニー、ニコンの3社だけで8割を超す世界シェアを握った。ただ、同市場はもともと高性能のカメラ機能を備えるスマートフォンの普及で縮小傾向にある。20年は新型コロナによる外出自粛がさらなる追い打ちとなり、世界市場は約4割縮んだ。
 A3レーザー複写機・複合機の世界シェアはリコー、キヤノン、コニカミノルタの3社の合計で47.7%に上った。ただオフィス向け複合機など事務機は、ペーパーレス化の流れに加えて新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務の進展など収益の多くを占めるトナーなど消耗品販売も低調になっている。
 課題となるのが、大きな成長が見込まれる次世代産業が何かを見極め、集中投資する選球眼だ。
 スマートスピーカーは1~5位をアマゾン・ドット・コム、百度(バイドゥ)、アリババ集団など米中企業が独占する。「クラウドサービス」もいずれも米国企業だった。
 「VRヘッドセット」は19年までソニー系が22.9%のシェアを持っていたが、20年は7.2%まで大きく減らした。ソニー以外で上位に入るのはいずれも米中企業だった。
 世界の主要商品・サービスシェア調査は各調査機関の推計を基に、19年と20年のシェアを算出し、70品目について上位5社までのシェアをまとめた。今回の調査で首位が交代したのは造船や粗鋼など9品目だった。」(2021/08/06付「日経新聞」P13より)

★上記2021/08/06付「日経新聞」の記事のPDFは(ここ)。

中国の躍進、そして日本の衰退が著しいという。
実に“納得”の状態。政府の科学技術への軽視がそれを物語る。もちろんノーベル賞の受賞者も、今後はもう出ないだろう。

当サイトで、自分の好きなシェアの記事を始めたのは2006年版から(ここ)。
以来、今回で15回目。しかし、そろそろ天寿のようである。

自分が日経産業新聞のシェアの記事を初めて見たのは、会社のある部門の事務所。そして、当blogを始めてから、記事を挙げるようになった。
しかし時代の変遷なのだろう、2017年版から日本のシェアの記事は無くなり、世界シェアだけになった。しかも、詳細はNetのQRコードから読む方法に変わった。
そして、今年の2020年版から、とうとう日経産業新聞の記事も無くなって、日経だけになってしまった。そしてシェアのデータも、全てが有料会しか読めないように。

そろそろ当サイトでのシェアの記事も、打ち止めの時が来たようだ。

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2021年8月 6日 (金)

あまりにひどい菅首相の「原爆の日」あいさつ読み飛ばし

今日は、広島の原爆の日。朝、例年通り、NHKで平和祈念式典の中継があった。菅首相の挨拶になったとき、聞きたくないので他のチャンネルに切り替えたが、そこで「読み飛ばし」があったと知り、TVのタイムシフトでその部分を見てみた。

すると、下記の下記の部分が読み飛ばされていた。
「・・・広島および長崎への原爆投下から75年を迎えた昨年、私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で、「ヒロシマ、ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に、日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない<<世界の実現に向けて力を尽くします。」と世界に発信しました。わが国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、「核兵器のない世界」の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です。
近年の国際的な安全保障環境は厳しく、>>核軍縮の進め方をめぐっては、各国の立場に隔たりがあります。このような状況の下で核軍縮を進めていくためには、さまざまな場の国々の間を橋渡ししながら、現実的な取組を粘り強く進めていく必要があります。・・・」

これは致命的なミス。何よりも、頭では何も考えていない“単なる朗読”なるが故に生じた事象。
国民はこの式典で、首相に、“原稿の朗読”を期待しているのでは無い。国のトップである首相に、国としての原爆に対する姿勢を問うている。210806genbakunohi その首相が、自分の言葉では無い原稿の棒読みをしているので、自分の言っている事がめちゃくちゃになったのに気付かない。

NHKの字幕も困ってしまったようで、飛ばされた部分の字幕がしばらく固まってしまい、しばらくしてから字幕が出なくなり、上の原稿の次の部分からやっと表示された。

新聞ではこんな叩かれ方をしていた。
菅首相「原爆の日」あいさつ 「核兵器ない世界実現…」読み飛ばし

 菅義偉首相は6日、「原爆の日」を迎えた広島市中区の平和記念公園であった平和記念式典のあいさつで「核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」などと誓う部分を読み飛ばした。その結果、本来予定していた「核兵器の非人道性」「唯一の戦争被爆国」などのキーワードが現地での読み上げから欠落した。

 首相はあいさつで「私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で『ヒロシマ、ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に、日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない……』」と読み上げた後、国連で発言した誓いの言葉の後段部分などを読み飛ばし、世界情勢に関する「核軍縮の進め方をめぐっては、各国の立場に隔たりがあります」という言葉へつなげたため、意味が通らなくなった。
 読み飛ばした文章には、「我が国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国」との位置づけや、「核兵器のない世界の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要」などの呼び掛けが含まれていた。また首相はあいさつの冒頭で、式典の名称を「原発」と読み間違え、すぐに「原爆」と言い直す場面もあった。

 首相は、式典後の広島での記者会見で「式典のあいさつの際に一部読み飛ばしてしまい、この場をお借りしておわびを申し上げる。失礼いたしました」と陳謝した。首相官邸は、本来予定していたあいさつ全文を官邸ホームページに掲載する。【川口峻】」(2021/08/06付「毎日新聞」ここより)

あいさつ読み飛ばし「不勉強かつ不誠実」 被爆者団体が菅首相批判

 菅義偉首相は6日、「原爆の日」を迎えた広島市中区の平和記念公園であった平和記念式典のあいさつで「核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」などと誓う部分を読み飛ばした。

 被爆者7団体の一つ、広島被爆者団体連絡会議事務局長の田中聡司さん(77)は「不勉強かつ不誠実。菅首相の基本的な姿勢が表れたのだと思う」と批判した。式典後にあった「被爆者代表から要望を聞く会」にも出席した田中さんは、核兵器禁止条約への参加に関する回答にも「正面から向き合って答えようという気持ちが感じられなかった」といい、「間違いや失敗は誰にでもあるが、あいさつはスローガンを並べているだけのように感じた。一生懸命考えて話そうという意識が抜けているのではないか」と指摘した。【小山美砂】」(2021/08/06付「毎日新聞」ここより)

210806heiwahenotikai この首相挨拶に比べ、小学6年生の男女による「平和への誓い」は、原稿は持っているものの、一切原稿を見ず、視線は真っ直ぐ前を向いたまま。
何十回も練習したであろう小学生たち。完全に自分たちの言葉として発している声と、自信なさげな首相の原稿棒読みとの違い。
当然、この小学生の言葉では、菅首相のような言葉の欠落は決して起こり得ない。

こんな人をトップに据えて、何の自浄作用も起こらない自民党。
次の衆院選で、与野党の大逆転を期待したいものだが、さてさて忘れやすい国民は、どのような結果を生み出すのだろう・・・

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2021年8月 4日 (水)

今ごろ三浦綾子の「氷点」を読む

実は今ごろ三浦綾子の「氷点」を読んでいる。昨夜、「氷点(下)」を読み終わったが、たまたまさっき、朝日新聞の夕刊を開いたら、「氷点」の記事があったので、少し記す気になった。

「(時代の栞)「氷点」 1965年刊・三浦綾子 メディアミックスの先駆け

 ■原罪問う作品群、テレビ化を意識
 1963年元日、朝日新聞の1面に「新聞小説募集 入選作に一千万円」という見出しが躍った。応募資格は「既成の作家、無名の新人を問わない」。社の記念事業として、読者の中から「うずもれた才能を発見、紹介」しようという企画である。大学卒の国家公務員の初任給が1万7千円前後だった時代の話だ。
21084hyoutenn  そして翌64年7月、応募作731編の中から選ばれたのが当時、北海道旭川市で雑貨店を営んでいた三浦綾子(1922~99)の「氷点」だった。綾子の夫・光世のエッセー「小説『氷点』に思う」によれば、氷点というタイトルは光世の発案らしい。それを告げたところ、綾子は「あら、素敵ね。さすがは光世さんね」と語ったとされる。
 原稿が書き上がったのは63年12月31日の午前2時ごろだった。応募要項には同日付けの消印まで有効とあったので郵便局へ急いだという。
 氷点は本作のキーワードでもある。登場人物の陽子が「自分の中に罪の可能性を見出(みいだ)した私は、生きる望みを失いました。(略)陽子は思います。一途に精いっぱい生きて来た陽子の心にも、氷点があったのだということを。私の心は凍えてしまいました。陽子の氷点は〈おまえは罪人の子だ〉というところにあったのです」と遺書で述懐するくだりでも使われている。
     *
 「氷点」は北海道旭川市を舞台に、医師・辻口啓造とその家族が織りなす愛憎劇だ。
 64年12月に新聞連載が始まると、一気に読者の人気を集め、陽子の服毒自殺の場面では、読者から「ヨウコハシンデハナラナイ」という電報が届いたほどだった。単行本は連載終了の翌日から売り出されて増刷を重ね、NET(現・テレビ朝日)制作のドラマは関東でのテレビ占拠率が66.6%にのぼった。
 三浦綾子記念文学館館長で、北海学園大学教授(日本近現代文学)の田中綾さん(51)は「出版が1960年代というテレビの普及期に重なったこともあり、メディアミックスの先駆けといえる作品ではないか」と評する。
 同館の難波真実事務局長(48)によると、三浦自身もテレビを強く意識していたようで、『氷点』以外にもテレビ受けのする作品を数多く残した。
 クリスチャンだった三浦は生前、「私は伝道のために執筆している」と繰り返し語っていたようだ。「しかし生み出す作品はいずれも平易で、読者をひきつけるストーリーテラーとしての能力に秀でていた。活躍の場もえり好みせず、本当の意味での大衆作家だった」と難波さん。
 三浦の著作は『氷点』『塩狩峠』『泥流地帯』などが、今も角川文庫や新潮文庫に収録されている。「50年以上前の大衆小説が今も親しまれ、絶版になっていないのは珍しい」という。
     *
 なぜ「氷点」は今も読まれているのか。大学3~4年生と授業で『氷点』を読んでいるという田中教授は「学生には『氷点の登場人物イコール全員が罪人』というキャッチフレーズで教えているのですが、彼らの多くは『だれかが心から陽子はかけがえのない存在だよといってくれたら』と語る陽子の、自己承認欲求に共感するところが大きいようです」と話す。
 デビュー作の『氷点』以降、三浦は100冊を超える著作を世に送り出したが、常に「人はどう生きるべきか」を問い続けた。難波さんは「三浦文学では一生懸命に生きる人たちが描かれるが、何かを契機に営みが間違った方向に向かった時、悲劇が起きる。そのきっかけになるものこそ、三浦さんが『氷点』で示した罪の意識であり、原罪なのではないか」とみる。
 来年は三浦の生誕100年とあって、著作などの映像化計画が進行中だ。そのうちの1作「泥流地帯」を手がけるZipang社取締役の猪狩淳一さん(53)は「作品を映像化することで、舞台となった地域の人々が誇りを持ち、三浦文学の普遍的なテーマと地域の魅力が世界へと発信されることになる」と話す。(編集委員・宮代栄一)

 ■メモ 医師辻口啓造の妻・夏枝は青年医師と密会した際、外に出した娘のルリ子を殺されてしまう。啓造は復讐(しゅう)のため、殺人犯の娘とみられる子を引き取り、陽子と名づけた。夏枝から自分が殺人犯の娘と知らされた陽子は遺書を残して自殺を試みる。」(2021/08/04付「朝日新聞」夕刊p3より)

自分が初めて「氷点」を読んだのは、たぶん大学時代だったと思う。当時、氷点ブームがあり、自分も読んでみた。そして「塩狩峠」など三浦文学を何冊か読んだ。
ドラマでは、母親の夏枝役の新玉三千代が頭に残っている。陽子役は内藤洋子。(ここ

wikiで見てみると、このTVドラマは1966年1月~4月の放送だという。まさに自分の受験の時期。とてもTVを見ていたとは思えない。しかし、確かにこのドラマは見たことがある。どう見たのか、今ではまったく思い出せない。

今回読んだ本は、前に兄貴から事務所整理で送って来た本の中にあった(ここ)。
古い文庫本で、昭和60年発行の角川文庫。もう40年近い昔の本だが、黄ばんでいる割に読む事は出来た。
それでつい、今日は図書館で「続・氷点」を借りてきてしまった。
昔読んだ本は、今さら買って読む気はしないが、借りてでも読んでみると、何か懐かしい。
今日の新聞記事によると、「氷点」は今でも絶版になっていないという。確かにAmazonでは角川文庫で現役。

石川達三の「青春の蹉跌」など、自分が学生時代に読んだ本が、いまだに現役な物も多い。
コロナ渦の今の時代、学生時代に凝った本を、もう一度読み直すもの、一興かもね。

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