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2021年7月31日 (土)

菅首相のドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」を観た

昨日(2021/07/30)の朝日新聞夕刊の広告が目に止まった。
210731asahi 曰く「パンケーキを毒見する~日本映画史上初、現役首相を題材にした禁断のドキュメンタリー!遂に公開!!」ここ

たまたま昨夜(2021/07/30)の緊急事態宣言の首相記者会見にあきれ果てていたので、近くの映画館で上映されている事が分かったこともあり、つい見る気になった。
それで今日見に行ってきたが、この手の映画は上映館も少なく、観客が少ないと、マイナーな動き、つまり短期間の上映で終わってしまう可能性があるため、あわてて?今日見てきたと言うわけ。

この映画のパンフレットの冒頭に製作者の思いが載っていた。

「言葉・・・それは人間だけが持ち得る“チカラ”です。
しかし、“彼ら”は人間が人間たる所以の”言葉”をなりふり構わず放棄し、人間の尊厳を否定する“イキモノ”になり果てたのです。
 2021年の初頭から始まった150日間の国会で“言葉”をまやかしとなしくずしの道具ととしてフル活用し、やがて終盤は“言葉”を遠ざげ、切り捨て無力化し、民主主義をも否定する恥ずべぎ“奇行”に出てきたのは、既に皆さんがご存じの通りです。
150日間は、皮肉にもこの映画の製作期間でした。『パンケーキを毒見する』は、現役政権のトップを題材とした日本映画史上はじめての作品となりましたが、この150日の間に「スカスカ政権を明らかにする」という当初のコンセプトが吹き飛んでしまった事は想定外で、今やさらに悪い「ズタズタ政権」といってもよいでしょう。
しかし、多くのメディア、ジャーナリズムが嫌う「選挙に影響を与える時期」、東京五輪真っ只中の7月30日公開こそ、この映画の真骨頂ではないでしょうか。選挙前のこの時期にあえてこの映画をぶつけ、「選挙に影響を与えるべき映画」になったなら、この暗黒時代にまずは改めて、「メディアとは?ジャーナリズムとは?そして映画とは?」の“言葉”が飛び交う事を深く願うものです。
 現政権の発足時とほぼ同時に製作を決めていた、あまねく困難をきわめた本作に臨むにあたって、
①タイトル名『パンケーキを毒見する』
②公開時期“開催の有無に関わらず五輪真っ只中の7月30日”
③わかりやすい政治ドキュメンタリー
という私の無理難題のオーダーに応えてくれた内山雄人監督、杉田浩光プロデューサー、スタッフ、そして出演者、全ての皆様の矜持と勇気に深く頭を下げさせて頂きます。
    企画・製作・エグゼクティブプロデューサー 河村光庸」

そして同じ「朝日新聞」夕刊(2021/07/30)の映画評欄にこの映画も載っていた。

「(評・映画)「パンケーキを毒見する」 政治の戯画化が利するのは

 最初に告白すると、なぜ菅義偉氏を扱うドキュメンタリー映画にこのタイトルなのか、本編を見るまで僕には謎のままだった。内閣総理大臣としての彼の姿勢には言いたいことだらけだが、それほどまでに彼個人には興味が湧かない。しかし、そんな率直な感慨それ自体、実は彼の政権運営に貢献しているのではないかと本作は警鐘を鳴らす。
210731asahieiga  五輪開催のタイミングでの公開という緊急性に重きを置く企画の上、菅氏の政治姿勢を批判的に伝える作品に本人が出演するはずもない。「主人公」を欠いたこのドキュメンタリーで採用されるのは、誰でも分かりやすく鑑賞できる作品、監督によると政治バラエティーを目指す戦略である。
 そんな戯画化――アニメも多用される――の戦略の有効性には疑問も残る。戯画化は強大な権威や厳密な論理性を相手にする際、それを軽やかに噛(か)み砕き、笑いの種にする風刺の精神で転覆的な作用を担い得る。しかし本作が明らかにするように、菅義偉その人が政治を戯画化する張本人であり、権威や論理性を欠いた存在である以上、その戦略は空転を余儀なくされる。現政権は笑うに笑えない対象なのだ。ただ、相手が誰であれ正攻法の戦いを挑む「赤旗」の生真面目なアプローチが本作にあって異彩を放ち、映画を活気づける。
 政治の戯画化が政治への無関心の広がりに資することに気づかされる。不毛な論戦や言説を通じて僕らを呆(あき)れさせ、票を投じる気力を萎(な)えさせることが現政権の戦略ならざる戦略であるとすれば、呆れてばかりもいられない。生真面目に投票率を上げること。それが僕らにとって急務である。(北小路隆志・映画評論家)
 ◇各地で30日公開」(2021/07/30付「朝日新聞」p3より)

映画は、TVのドキュメンタリー番組とそう変わらない。しかし、忖度を超越した進行はさすがだ。前川さんや、石破茂、村上誠一郎さんが弁舌爽やかに語るのは期待通りだが、特に「ご飯論法」の法政大学教授の上西充子の、国会答弁の解説?は印象に残った。
首相の国会での答弁を録画し、再生しつつ良く聞いていると、そのあきれるほどのつたなさで、これが国のトップの姿かと、情けなくなる。

しかし、上の評にもあるように、「不毛な論戦や言説を通じて僕らを呆(あき)れさせ、票を投じる気力を萎(な)えさせることが現政権の戦略ならざる戦略であるとすれば、呆れてばかりもいられない。」のである。

今日は、封切り2日目の午後の上映であったが、思ったよりも観客が多かった。老人ばかりで無く、若い二人連れなども多く、パンフレットを買う人も何人かいた。
普通の人は1900円。そのお金を払って若い人も見ている。それが少し明るいニュースか・・・

この映画のHP(ここ)を見ると、この映画の上映館は、各県にひとつあるかないか・・・

それで「パンケーキを毒見する」のパンフレットを(ここ)に置きます。映画のエキスが詰まっているので、遠くて見られない人は、ぜひ一読を。

話は飛ぶが、上記の一例として、昨夜(2021/07/30)の首相記者会見を覗くと、まさに映画指摘の事実が浮かび上がる。

少し長いが(ここ)から引く。

意味不明のガースーはぐらかし首相会見を徹底検証 記者席からは大きなため息も

 東京五輪がメダルラッシュで盛り上がる中、国内の新型コロナウイルス感染者は7月30日、1万744人が新たに確認された。2日連続で1万人を超え、3日連続で過去最多を更新中だ。東京都の感染者数も3日連続で3千人を超えた。
 大阪、埼玉、千葉、神奈川の4府県に対する緊急事態宣言の再発出に伴い菅義偉首相の記者会見が同日夜、開かれた。同席した政府の分科会の尾身茂会長が「最大の危機」と表現する一方で、記者の質問にまともに答えられない菅首相の姿に国民から「この首相で大丈夫か」と疑念の声が続出。菅首相と記者団の全く噛みあわない質疑応答を徹底検証する。

「具体的な目標は? 今の目標はないのですか」

 30日に開かれた首相会見で記者席からこう声を上げたのはフリージャーナリストの江川紹子さんだ。

 江川さんは、菅首相がワクチン接種には「8月末までに2回接種を4割に」などと目標を掲げる一方で、人流を減らすことには目標がないと指摘。どれだけ人流を減らすのか、そして、どうやって減らすつもりなのか、などと質問をした。

 それに対して菅首相は「東京大会の開催が決定してから、東京に集中する人流を防ぐための対策は、当時から考えて、行ってきた」などと答えた。これまでの実績を示した形だが、江川さんが聞いたのは、今、人流が十分に減っていないことに対する菅首相の課題認識だ。

 首相会見では追加の質問はできないことになっているが、思わず江川さんの口から冒頭の再質問が飛び出した。これに対し菅首相は「ですから、そこはできていると思っています」などとトンチンカンな答え。

 江川さんが「街の人流が減っていないのですが」とさらに質問すると、小野日子内閣広報官が「席からのご発言はお控えください」と遮った。

 結局、人流を減らすことの目標値は聞かれなかった。会見後、江川さんに声をかけると「ワクチンが行き渡るまでは人の移動や接触を減らしていくしかない。それに対する目標がないのは問題。あまり興味がないのかもしれない」と漏らした。

 この日の質疑応答で最初に質問したのは、幹事社の北海道新聞だ。冒頭から厳しい質問を連発した。

「首相は、先手先手で予防的措置を講ずると述べたが、逆に感染者は過去最多を記録した。このような事態になった理由と自らの責任についてお伺いしたい」

「オリンピックが開催される中で首相の自粛を求めるメッセージは乏しく、発信をしてもワクチンが効果を上げている内容ばかりであることが国民の危機感の欠如につながっているのではないか」

「首相は国民の命と健康を守ることがオリンピック開催の前提と発言したが、現在、国民の命と健康は守られているか。オリンピック、パラリンピックはこのまま予定通り開催するのか」

 質問を矢継ぎ早にたたみ掛けた。

 これに対し菅首相はいつもの”ガースー節”で回答した。

「増加の要因として指摘されるのはデルタ株の急速な広がり」

「ワクチン接種こそがまさに決め手であり、総力をあげて接種を進める必要があると考えている」

「オリンピックは、いま東京への交通規制、首都高の1千円の引き上げ、あるいは、東京湾への貨物船の入港を抑制するとか、テレワークもそうだが、そうした対応によって、人流が減少している」

「さらに抑制をするためにオリンピック、パラリンピックをご自宅でテレビ観戦をしていただけるように要請をしっかり行っていきたい」
 
 自らの責任や、いま国民の関心の高い東京五輪・パラリンピックの開催の可否については言及を避けた。

 さらには、ワクチンの効果ばかりを発言して国民の危機感の欠如につながっているのではないかと問われているのに、「ワクチン接種こそが決めて」と改めてワクチンの効果を強調した。この噛みあわなさぶりに記者席から大きなため息が出たほどだ。

 続くフジテレビからも厳しい質問が飛び出した。

「東京オリンピックを中止しない理由として、人流が減っていると述べたが、その認識は変わりないか」

「ワクチン接種も進み、人流も減っているのであれば、首都圏でここまで感染が急拡大することはないのではないか、という指摘もありますが、見解は」

 これらの質問に対しても菅首相のピントはずれていた。

「開催するにあたりIOCに対して18万人くらい、選手や関係者が日本に来る予定でしたが、それを3分の1にお願いさせていただいた」

「(オリンピックの)視聴率は非常に高いようで、ご自宅でご覧になっている方がたぶんたくさんいらっしゃるのだろう」

「それとこの大会を無観客にして開催をさせていただきました。そうした点から私が申し上げたところです」
 
 人流が減ったと反論したつもりなのかもしれないが、記者が聞きたいことにはまったく答えていないのは明らかだろう。

 最後にイギリスの週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」(JDW)から、「デルタ株を見くびっていたことが感染爆発の背景にあるのではないか」、「もし感染の波を止められず、医療崩壊して、救うべき命が救えなかったとき、首相を辞職する覚悟はあるか」と付きつけられた。会場には緊張感が走った。

 しかし、菅首相は「水際対策をきちっとやっています」と強弁し、辞職の覚悟については発言しなかった。

 小野報道官が会見を打ち切ろうとしたが、JDW記者が再び「辞職の覚悟について教えてください」と尋ねると、菅首相は不機嫌そうにこう答えた。

「しっかりと対応することが私の責任で、私はできると思っています」

 SNS上には「ズレにズレた記者会見」「この首相で大丈夫か」「できていないから感染爆発してるんだろ」などと批判的なコメントで溢れた。記者からの質問に正面から向き合えない菅首相に、果たしてこの局面を乗り越えることができるか。改めて考えさせられた記者会見だった。(AERAdot.編集部 吉埼洋夫)」(2021/07/30付「AERA」ここより)

改めてはっきり分かった。
菅首相は、首相として無能。だから国会でも記者会見でも自分の言葉で話が出来ない。頭の中に何も無いから。
それを国のトップに頂いている国民は悲劇。それを直すのは選挙しか無い。でも「自民党が勝っちゃう」からどうしようも無い。
国民が現政権にあきれて見捨てようが、それで政治に興味を失って投票率が下がろうが、それは菅首相にとっては思う壺。現在の体制がそのまま続くのだから・・・

この映画が、まさにマスコミとの癒着のシンボルである“パンケーキ”を押し潰して、国民の目が選挙に向かうことを期待したい。

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コメント

正しいは人それぞれ、立場で違ったりするかもしれないけれど、なんでも言える今の日本の社会は、いいなと思う。(中国や共産圏を見て)でも、人は神ではない、どちらの選択をくてはいけないとき、その責任をリーダーがとる覚悟しかないと思う。みんなから選ばれ自ら立ち上がったのだから。
後から正しかった(最善の選択)かが分かるかもしれないが、後の世でも判断できないかもしれない。人それぞれ正しさが違うように。価値観も人それぞれ、考え方も人それぞれ、生き方も人それぞれ、それが許される社会、それが一番大切だと思う。ちなみに私はオリンピックを見ません。興味がないので・・・。

【エムズの片割れより】
確かに価値観は人それぞれ。
しかし、人に害を与える価値観はどうなんでしょう?
今の国や都のリーダーたちのように!?

個人の価値観の多様性が許されるのは、あくまで個人ベース。
公人は、そうは言っていられないのかも・・・。

投稿: 古希前の呟き | 2021年8月 1日 (日) 12:22

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