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2021年4月11日 (日)

中島みゆきの「時代」

先週の朝日新聞に中島みゆきの記事があった。

(今こそ!聴きたい)中島みゆき 「時代」を歌って時代を超えた
 「時代はまわる」「時代はめぐる」。46年前にこう歌ったときから、この人が「時代」を超えて活躍することは決定づけられていたのかも知れません。この歌から「宙船(そらふね)」まで上位10曲を見ても、発表年時はバラバラ。“シンガー・ソングライター中島みゆき”の息の長さに感服する結果となりました。

210411nakajimamiyuki  「時代」が披露されたのは、1975年10月、静岡県掛川市で開催された第10回ポピュラーソングコンテスト(ポプコン)つま恋本選会の舞台。すでに「アザミ嬢のララバイ」でレコードデビューしていた中島みゆきさんの勝負曲だった。

 この大会と続く第6回世界歌謡祭でグランプリを受賞し、12月にはセカンドシングルとして発売された。当時、中高生だった「アラ還」世代の記憶にも、その衝撃は刻み込まれている。

 「中3の時に聴いて感動。洋楽ばかり聴いていたが、まさに日本人の歌と感じた」(広島、60歳男性)、「初めて聴いた時の感動は忘れられない。スケール感と世界観はそれまでの女性シンガーにないものだった」(東京、60歳女性)。

 涙もかれ果てるほどの悲しい経験を積み重ねると、歌のメッセージはより切実に響く。

 「中学生の時は歌詞の意味がよくわかっていなかったが、大病をした3年前から口ずさむように。再発しても治療し、前向きに生きていこうと背中をドンと押してくれる」(愛知、58歳女性)、「病気がちだった母がこれを聴き、『あんな時代もあったね』と言える時が来たらいいねと口にしたことが忘れられない。あまり幸多い人生ではなかったかもしれない母を励ましてくれた歌だった」(東京、59歳男性)、「母の介護をしている時期に父を突然亡くし、涙にくれていた私を支えてくれた」(神奈川、67歳女性)。

 卒業式の定番曲にもなっているだけに、若い世代にも届く。

 「中学時代に合唱をした。いい曲はどういう形で表現してもいいものです」(千葉、45歳男性)、「『今日は別れた恋人たちも生まれ変わってめぐりあうよ』という歌詞が特に好き。単に別れはつらいけど前を向こうと言われるより、あたたかさを感じる」(京都、25歳女性)。
     *
 東日本大震災の被災者に聴きたい曲を募ると必ず挙がる一曲に数えられるなど、困難なときほど聴きたくなる曲とも言えそうだ。だとすれば――。

 「コロナ禍の今聴いても胸にしみる。いつか、今の世の中を穏やかな気持ちで振り返ることのできる日が来るだろうか」(神奈川、56歳女性)

 中島さんは、77年「わかれうた」(アンケート7位)、81年「悪女」(5位)、94年「空と君のあいだに」(6位)など、四つの年代でヒットチャート1位を獲得した唯一のソロ・アーティストとして知られる。読者アンケート2位は、2003年に頂点に立った「地上の星」だ。名もなき企業戦士らに光をあてたNHK「プロジェクトX 挑戦者たち」の主題歌として、70代以上にも支持された。

 「現役時代、『プロジェクトX』を欠かさず見ていたので、テーマ曲も心に焼き付いた。それ以来、彼女の歌声が好きになった」(大阪、82歳男性)、「紅白歌合戦で黒部ダムから中継で歌ったシーンは忘れがたい」(宮城、82歳男性)、「『『三百六十五歩のマーチ』と同じように元気になる」(山形、71歳男性)。

 3位「糸」は元々、1992年のアルバム収録曲だ。98年にドラマ主題歌としてシングルカットされ、21世紀になって複数の企業がCMに起用し、他の歌手にカバーされて浸透した。

 「『糸』はここ3、4年の曲だと思っていた。この歌がかかると聴き入ってしまう」(長野、57歳女性)、「いろんな人に歌われているのはうれしいが、やっぱりみゆきさんの歌声が一番」(鳥取、56歳女性)。

 最近は結婚式やカラオケの定番ソングとしておなじみだ。

 「娘が自分の結婚式でピアノで弾き語りをした。涙が止まらなかった」(埼玉、65歳男性)、「結婚式で新婦の父の歌によって曲を知った。コロナ前、最後にカラオケで歌った曲になった」(香川、52歳男性)。

 中島さんは他のアーティストへの提供曲もヒットさせてきた。アンケートでも、9~11位などに選ばれている。

 「柏原芳恵さんが歌った『春なのに』を聴くと、今でも涙がこぼれます。あの時、この歌のように別れた彼と、もうじき再婚します。40年近い時を経て……」(福岡、56歳女性)

 ■「倒れた旅人」にエール
 「時代」が発売された1975年12月、もう1人の女性シンガー・ソングライターの人気が沸騰していた。「荒井由実」だったユーミンの「あの日にかえりたい」が、ヒットチャートで1位を獲得したのだ。

 フォークソングやニューミュージックのアーティストについての著書も多い音楽評論家田家(たけ)秀樹さん(74)が振り返る。

 「75年といえば、国連が初めて国際婦人年を宣言した年です。本人たちは意識していないでしょうが、僕の中では女性シンガー2人が脚光を浴びたこととシンクロしている」

 誰も歌にしてこなかった「少女の感受性」を歌ったユーミンに対し、中島さんはデビュー曲「アザミ嬢のララバイ」で観音菩薩(ぼさつ)に近いような母性を感じさせた。どちらも、女性でしか歌い得ない歌だった。そして「時代」。「女性の時代に女性が『時代』という大きなテーマを正面切って歌うようになったと感慨深かった」と田家さん。

 「時代」のテーマは「倒れた旅人たちと、別れた恋人たちの救済と転生」。その後に発表された全ての作品を予告するテーマでもあったと、田家さんはみる。あえていえば、初期の「わかれうた」「悪女」は「別れた恋人」に寄り添い、90年代以降の「空と君のあいだに」や「地上の星」は「旅人」にエールを送る作品かもしれない。
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 デビューから46年。昨年は「ラスト」と銘打って1月に始まった全国ツアーが新型コロナの影響で中止となり、引退の懸念が一部で報道された。だが、ツアーにライターとして同行した田家さんは首を横に振る。「表現したいことが山ほどある人。ツアーは難しくても歌い続けるはずですよ」(坂本哲史)

 <調査の方法> 2月下旬に実施、1592人が複数回答した。」(2021/04/03付「朝日新聞」b2より)

<読者のランキング~中島みゆきベスト20>
①時代(1975年)
②地上の星(2000年)
③糸(1992年)
④ファイト!(1983年)
⑤悪女(1981年)
⑥空と君のあいだに(1994年)
⑦わかれうた(1977年)
⑧ヘッドライト・テールライト(2000年)
⑨かもめはかもめ(研ナオコ、1978年)
⑩宙船(TOKIO、2006年)
⑪春なのに
⑫ひとり上手
⑬この空を飛べたら
⑭銀の龍の背に乗って
⑭麦の唄
⑯あばよ
⑰アザミ嬢のララバイ
⑱しあわせ芝居
⑲化粧
⑳世情

自分も中島みゆきは好きで、当サイトにも10曲ほど挙げているが、何とこの読者のベスト20には一曲も入っていない。つまりは、それほど中島みゆきの世界が広いということだろう。
今日は、読者の選んだベスト1に敬意を表して「時代」を挙げる。

wikiには「時代」についてこうある。
「1975年10月の「第10回ポピュラーソング・コンテスト」に「傷ついた翼」から急遽差し替えた「時代」によってグランプリを受賞し、11月の第6回世界歌謡祭でもグランプリを受賞した。「時代」は12月に2作目のシングルとして発売。」

先ずは1975年12月21日発売のシングル録音から。

<中島みゆきの「時代」~シングル>

自身の演奏によるギターバージョンもある。アルバム「私の声が聞こえますか」に収録。
<中島みゆきの「時代」~ギターバージョン>

そして、アルバム「時代-Time goes around-」などに収録されている「第6回世界歌謡祭」のライブ音源が冒頭にあるもの。wikiによると「司会(曲紹介)は坂本九とジュディ・オング。「Time goes around」は「時代」を英訳したタイトルでジュディ・オングがつけたものと、中島みゆきは深夜ラジオの中で話している。」とのこと。なお、ライブ音源の後の曲は、「大吟醸」などに収録されている音源である。

<中島みゆきの「時代」~アルバム「時代」>


「時代」
作詞・作曲:中島みゆき

今はこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて
もう二度と笑顔にはなれそうもないけど

そんな時代もあったねと
いつか話せる日が来るわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう

まわるまわるよ時代は回る
喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わってめぐり逢うよ

旅を続ける人々は
いつか故郷に出逢う日を
たとえ今夜は倒れても
きっと信じてドアを出る
たとえ今日は果てしもなく
冷たい雨が降っていても

めぐるめぐるよ時代は巡る
別れと出逢いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって歩きだすよ

まわるまわるよ時代は回る
別れと出逢いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって歩きだすよ

今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって歩きだすよ

3位の「糸」。これがどうも自分にはフィットしない。
数年前、ある友人宅に遊びに行ったとき、「糸」というCDをかけて聞かされた。「どうだ良いだろう!」と。でも・・・

まあ世の中でどう評価されようと、自分の感性(特に旋律)にフィットしない曲は仕方が無い。
そうは言っても中島みゆきも69歳になるという。まだまだ活躍してほしいアーチストである。

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コメント

中島みゆきは素晴らしい曲を沢山作っています。私はその中で特に「春なのに」と「この空を飛べたら」が大好きでカラオケでよく歌います。
高校の同級生とカラオケに行くと女の人がよく「糸」を歌います。いろんなところで人気の曲らしい。だけど私はどうして?と。メロディが心を打たないのです。私だけが?っと思っていました。
エムズの片割れさんのこのブログで同じ感覚の人がいることが分かりました!!このことはなかなか口に出して言えませんね。エムズの片割れさんの正直さにほっとし感謝しています。

【エムズの片割れより】
思わぬ所で同胞に出会ったようで・・・(^o^)
人それぞれ、好みがありますよね。

投稿: 山下仁平 | 2021年4月12日 (月) 11:56

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