「政治の話を身近な人としますか?」
だいぶん前だが、朝日新聞にこんな記事があった。
「(be between 読者とつくる)政治の話を身近な人としますか?
バイデンかトランプか。先の大統領選で、米国では政治的分断が深まったといわれますが、有権者の政治意識の高さに圧倒された人も多いのでは。かたや日本。オープンに政治的な発言や議論はしづらい、政治の話はタブーと考える人も多いようです。アンケートでも「身近な人以外とは話さない」という声が届きました。
■職場では話せない
家族など身近な人と政治の話をしていると答えた人は約7割。理由で最も多かったのは「政治に関心がある」。beモニターの皆さんの政治的意識の高さがうかがえる。
「主婦のおしゃべりでも政治がかなり話題になります。それだけ今の政治に不満があるということです」(千葉、79歳女性)、「コロナ禍で在宅時間が増え、顔つきあわせて暮らすなか毎日、尽きることのない政治の話で盛り上がっています」(東京、69歳女性)。 ただ、話す相手は、身近な人といっても、夫や妻など、ごく限られた人だけ、と答えた人は少なくない。
「職場の同僚と政治の話をして考え方が違い、気まずくなった。それ以来、家の外では政治の話はしない」(兵庫、57歳女性)、「話ができるのは夫だけです。政治の話がしにくい風土ができあがっている気がする」(静岡、71歳女性)。
なぜ話しづらいのか。東京の女性(65)は「職場の雰囲気を壊しそうだし、意識高い系なんて言われそうでイヤだ」と打ち明ける。愛知の教職員の男性(62)も「政治的信条を述べると仲間外れになるのではと思ってしまいます」。
愛知の元公務員の男性(67)は新人の頃、職場で選挙の話をしたときの空気が忘れられない。「あまりにも鈍い反応と嫌悪感のある白けた視線。政治に関心がある=『左翼』のレッテルが貼られ、上司から『君は出世に興味がないのかね』と揶揄(やゆ)されたりする」
「政治と宗教の話はしない」という声も。「経験的法則です。正解がないので議論しても疲れるだけ」(神奈川、79歳男性)
一方、政治は広く語られるべきだと考える人も多い。
「政治的な立場の違いを議論でき、いろいろな意見が尊重されてこそ民主主義だ」(東京、70歳男性)
先の米大統領選の様子を見て、改めて日本の状況を考えたという声も届いた。
「米国は分断されているかもしれないけれど、政権に反対するのも自然なこと。日本の状況よりも希望を感じた」(千葉、39歳女性)。「職場での政治的な会話は海外では当たり前、政治的信条を持っていないと馬鹿にされる」(神奈川、57歳男性)。「日本では分断が起こるほど、政治に関心がある人は多くない」(神奈川、39歳女性)
政治的な議論が学校の授業でもされる欧米とは違い、日本人は議論が下手、「思想信条の異なる人への不寛容はひどい。おそらく日本の権力者はそれを望んでいる」(和歌山、57歳男性)という指摘も。では、どうすれば政治の話ができるようになるのか。
「国会や憲法だけが政治ではなく、野菜の値段や食事のメニューでも日々の生活の話をすることがそのまま政治の話になっていると思う。今なら『Go To』かな」(福岡、64歳男性)、「生活に直結することをもっとフランクに語る。たとえば子どものいる人なら教育問題など」(神奈川、56歳女性)。「政のあるべき姿を議論する。『百年の計』を議論するなら家庭や職場でも対立は起きにくい」(東京、53歳男性)
若い世代の政治的無関心を嘆く声もあったが、10代からはこんな声が届いた。
「政治を授業で習って周りが話している政治の内容やニュースがなんとなくわかるようになった」(茨城、15歳男性)、「学校でも政治の話をします」(三重、16歳その他)。
偏見をもたず、相手の話によく耳を傾けることも大事なことだ。(林るみ)」(2020/12/12付「朝日新聞」b10より)
「政治の話を身近な人としますか?」という問いに対して、自分の答えは「NO」。
政治の話題は、非常に微妙なアイテム。飲み会でも、決して政治の話は、少なくても自分からはしない。話題が出ても、自分の意見は言わず、ただただ生返事をするだけ。
これが生活の知恵。
理由は簡単。その人の政治信条を聞いて、もし自分と異なっていた場合、その人の存在が遠くなってしまうので。つまりは、その友人を失いかねないので聞きたくない。
「君子危うきに近寄らず」である。
しかし夫婦間では違う。我が家の場合、夫婦間の会話のうち、半分以上が政治の話かも・・・。
それだけ、日本の政治はメチャクチャ。目も当てられない。首相が替わって、まさか益々ひどくなるとは思わなかった。何より、日本のメディアがひどい。
その点、海外の記者の目は正しい。その意見を安心して聞いていられる。
今日の「日刊ゲンダイ」にこんな記事があった。
「仏記者が酷評「菅首相は本当の記者会見をしたことがない」
菅政権発足から100日超。25日には3回目の首相会見を実施したが、これまでの会見は海外メディアには、どう映っているのか――。日本駐在歴23年、仏リベラシオン紙のカリン西村記者(50)に聞いた。
◇ ◇ ◇
――首相会見をどう見ていますか。
8年近くの官房長官時代、菅氏は文書を読み上げ、即答できない質問には官僚がメモを渡していた。総理になっても同じ。本当の記者会見をしたことがないのだなと思います。
――会見と呼べるものではない、と。
自分の言葉で語っていません。記者が事前に質問を伝えて、官僚が作った回答の原稿を読み上げているだけです。それを記者は一生懸命、カチャカチャとタイピングする。ならば、原稿を配ればいい。厳しい質問には少し自分の言葉で切り出すが、後はメモを読むのみ。安倍前首相よりひどいと思う。
――フランスのトップの会見はどうなのですか。
大統領は数多く会見をしているわけではありません。一方的に話をすることも時々あります。しかし、大統領の会見は多いときには200人超の記者が参加し、事前の質問通告はなく、メモを読み上げることもない。挙手する記者全員の質問が尽きるまで、自分の言葉で答えます。それは、政治家の仕事の一部なのです。
■再質問禁止は報道の自由の侵害
――首相会見では、不十分な回答に対しての再質問ができない。25日の会見でも、記者の再質問を司会が止めていた。
本当にうんざりしています。真正面から答えない側の逃げ得を許すことになる。記者の「知る権利」を閉ざすもので、再質問禁止は報道の自由を侵害しています。ただ、記者側にも問題があります。
――といいますと。
首相の答えが不十分だった場合、次の記者が突っ込めばいい。ちゃんと答えるまで、記者が繰り返し問えば、逃げられない。記者も準備通りの質問に終始し、アドリブがない。首相も記者も台本通りという印象です。
――報じ方にも問題がありますか。
一番印象に残っているのは、私が別室で音声のみ傍聴した2回目のグループインタビューです。日本学術会議問題が主題でしたが、菅首相は10回以上、繰り返し事前に用意したメモを読みました。質問に窮して、答えられなかったのです。異様な光景でした。この場面が最大のハイライトなのに、ほとんどのメディアは、発言内容を伝えるだけで、首相の困惑ぶりを報じなかった。
――まっとうな会見にするためには何が必要ですか。
棒読みで済ませられる菅首相は楽ですよ。首相に自分の言葉で語らせる会見にするには、メディアが不満を持ち、もっと求めないといけません。事前に質問を伝えることをやめ、再質問も要求する。メディア次第で仏大統領のような会見は日本でもできるはずです。
(聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ)
▼カリン西村 1970年、フランス・ブルゴーニュ生まれ。パリ第8大卒業後、ラジオ、テレビ局を経て、97年に来日。AFP通信東京特派員を15年間務め、今年から仏リベラシオン紙、ラジオフランスの特派員。日本社会についてのエッセー多数。」(2020/12/29付「日刊ゲンダイ」ここより)
どんなにバッシングされようが、日本のメディアは動こうとしない。政治もメディアも持ちつ持たれつのぬるま湯に浸かっているだけ。しかし新型コロナは容赦しない。
危険にさらされるのは、国民の命。
国のトップがヌケヌケと国会でウソを言い続け、それが結果として許されてしまう日本。誰が見てもウソなのを、選挙でお灸をすえることも出来ない日本。
次の内閣支持率を、そして次の衆院選での安倍前総理の得票率を楽しみに!?
(でも山口4区では、安倍前総理は7割を超える得票率。何があっても、トランプのように岩盤支持層があるんだろうな・・・)
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コメント
我が国の政治が良くなるためには、政権交代が不可欠です。アメリカの大統領選挙は、少し大袈裟過ぎる仕掛けだと思いますが、国民の多くが考え参加する民主的な方法だと思います。二大政党グループとなれば、与党、野党にも年間を通じて緊張感が持続します。日本の場合、交代した新政権が1回失敗したからといって、たたきつぶしてはいけません。二大政党グループを育て続ける努力が、先ずオピニオンリーダーに、政治家に、次にマスコミに、そして国民に必要です。日本国民の特性だとあきらめないで、考え方を少しずつ変えて行かなければなりません。安倍長期政権に何も言えないような状況を作ってはなりません。選挙に勝つためには、案外、自民党自身の体質・仕組みが一番早く変わるかもしれませんね。
日刊ゲンダイの仏記者の記事、その通りです。今のような総理記者会見、首相答弁を許さないような状況を少しずつでも作り上げていかなければならないと思います。記者クラブの弊害を正し、
開かれた記者会見が必要でしょう。今、1番強力なのは世論調査でしょうか。私たちが、生きているうちに、政権交代の良さを学ぶ国民になりたいものです。タイ国民も大きな変化を実現しそうですね。
【エムズの片割れより】
ほんとうに、自分の最近の楽しみは、世論調査で内閣支持率が急落している数字。
菅内閣は前政権同様に論外として、誰に託せば少しはマシな政治になるのでしょう。
リーダーが居ない。結局それが今の日本の実力でしょうか?
投稿: かうかう | 2020年12月30日 (水) 23:13