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2020年11月27日 (金)

「お寺が減っていく」

先日、NHKラジオ深夜便で、「「お寺が減っていく」僧侶、ジャーナリスト 鵜飼秀徳」(2020/11/14放送)を聞いた。
よく言われていることだが、人口減と地方過疎化に伴い、お寺の経営が益々成り立たなくなっていく。それで増えるのが廃寺。

<「お寺が減っていく」僧侶、ジャーナリスト 鵜飼秀徳>

話の内容は、例によって(ここ)に詳しいので記さないが、東京では家族葬と直葬の割合は8割を超えている、という話には、改めてビックリ。
もちろん我々年寄りは、親戚も含め、お互い呼ばない、というのは普通になってきたが、現役世代も含め、都会では葬儀に出席する機会は、激減しているということらしい。

同じ話題で、今朝(2020/11/27)の朝日新聞に、こんな記事があった。

休眠の宗教法人、解決へ一歩? 寺の土地・建物、初の国有化へ

 宗教活動をしていないのに法人格だけが残る寺の境内地が、初めて国有化される見通しになった。宗教法人が解散するには土地や建物の処分が必要だが、過疎地を中心に引き取り手が見つかりにくい。休眠状態が続く「不活動宗教法人」は、他人の手に渡り脱税など不正に利用される恐れもある。法人の解散を促す解決策として、文化庁は国有化の事例を広めたい考えだ。

 文化庁や全日本仏教会によると、不活動宗教法人は2018年時点で3528ある。税が優遇されることから、過去には反社会的勢力などが法人の代表役員につき脱税や資産隠しに悪用する問題も起きた。

201127haidera  国有化される見通しなのは、島根県大田市にある浄土宗金皇寺(こんこうじ)の本堂や山林約12万平方メートル。浄土宗が清算人を立て、国庫帰属の手続きを財務省松江財務事務所(松江市)と進めている。年内には手続きを終えたいという。文化庁によると、手続きが済めば1951年の宗教法人法施行後初めて。

 浄土宗によると、数十年前から過疎化が進み、この寺の檀家(だんか)は約20軒。住職が2013年に亡くなり、檀家らが寺の任意解散を決めた。

 浄土宗は、土地と建物の引き取り手を探したが、資産価値が低く転売できないうえ、土砂崩れや山火事が起きたときの管理責任を負えないことなどを理由に、県や市、地元の森林組合に断られ、解散できない状態が続いていた。

 浄土宗と全日本仏教会は2年前、文化庁と財務省に相談。「処分されない財産は、国庫に帰属する」と定める宗教法人法に基づいて手続きを進めることにした。

 松江財務事務所からの指示で、国庫帰属には、境内にある墓石の整理や、放置しておくと近隣の住宅に危険な山門や鐘楼の解体が必要で、浄土宗が約100万円をかけて進めた。一方、老朽化した本堂などは朽ちても近隣に影響が少ないことから、そのままの状態で国庫帰属されるという。 (岡田匠)

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「負動産」、悩む宗教法人 高齢化・過疎地…管理できず

 活動実態のない「不活動宗教法人」が解散できない理由の一つは、空き家問題と同じく、土地や建物が「負動産」として残ってしまうからだ。特に過疎地で深刻な問題になりつつある中、国有化は有効手段となり得るのか。専門家の間でも見方は分かれている。

 島根県大田市の世界遺産・石見銀山から車で約10分、数十段の石段を上った先に浄土宗金皇寺(こんこうじ)がある。境内はイノシシやサルに荒らされ、草木が覆う。本堂の正面のひさしは朽ち果て、堂内の天井や床は抜け落ちていた。

 檀家(だんか)だった大谷久夫さん(67)は「父や母、祖父母の葬式でお経をあげてもらった寺がなくなるのはさみしいが、子どもに迷惑をかけられない。自分たちが元気なうちに解決させるのが親の責務」と話した。

 檀家たちが寺の解散を決めてから約7年。この間、お金を出し合って、倒れると危ない杉林を業者に切ってもらうなど、檀家の理解や協力があったほか、借金や指定文化財がないことが解散手続きを進めるうえで大きかったという。

 浄土宗によると、所属する全国約7千寺のうち約1500寺は、別の寺の僧侶が住職を兼ねる兼務寺院だ。3年以上住職のいない長期無住寺院は約80寺。土地や建物の引き取り手が決まらずに解散できない寺も少なくない。

 数十年前までは寺が維持できなくなるとは考えにくかったが、高齢化や過疎化が進み、それも難しくなった。各宗派は合併や解散を進めるようになったが、土地や建物が処分できないこともあり、国有化が着目され始めているという。

 浄土宗の名越ほう博(ほうはく)・宗務役員は「法人格を認められ、税の優遇を受ける宗教法人には責任がある。安易に国に頼るわけにはいかず、国庫帰属は最終手段だ」と話す。

 不正の温床になることも心配だ。2017年には、不動産会社社長らが静岡県伊東市の宗教法人を買収してこの宗教法人にマンションを売り、さらにこの宗教法人が第三者に転売したように見せかけるなど約1億円を脱税したとして法人税法違反容疑で立件された。

 宗教法人法に詳しい秋山経生(つねき)弁護士は「宗教法人に限らず、相続人がいなくなった不動産は現金化しないと国庫帰属されにくい。今回のように、そのまま国庫帰属させるのは大きな意味をもつ」と評価する。

 一方、川又俊則・鈴鹿大教授(宗教社会学)は「国にしてみれば、引き取った土地を有効活用できればいいが、難しい。放置するしかないが、安全面が確保されるのか。管理が大変だ」と疑問を投げかける。

 さらに、川又さんは、宗教法人の解散手続きが難航しやすい点も指摘する。文化庁によると、任意解散するには、代表役員や責任役員がいないと手続きができない。ただ、信者が少なく、後継者がいない場合も多く、役員になる人を探すのが難しい。「解散などの仕組みを見直す時期にきているかもしれない」と川又さんは話す。(岡田匠)

 ◆キーワード
 <宗教法人> 都道府県や文化庁などの所轄庁が法人として認証した宗教団体。2018年時点で計約18万1千。文化庁は(1)宗教活動を1年以上していない(2)2年以上礼拝施設を備えていない(3)代表役員や代務者が1年以上いない――のいずれかにあてはまるものを不活動宗教法人の疑いがあるとしている。」(2020/11/27付「朝日新聞」p1、p3より)

我が家の菩提寺は、日暮里の谷中にあるが、近年若い住職に替わって、一応は安泰。若いだけあって、お寺の立派なHPもあり、お寺にお参りに来られない人のために、申し込めば住職が、お墓の清掃やお参りをしてくれるという。お寺も変わりつつある。
しかし、戒名料は最高で100万円を越す。普段お寺に対して奉仕活動をしない分、お金で購う、という考え方だそうだ。

もちろん最近はコロナ渦で葬儀もままならない。でも、時代背景として、「お寺が減っていく」ことは避けられない。
純粋な学問としての「仏教」と、それとかけ離れている!?「お寺」。
自分も、昔は仏教について、随分勉強したことがあったが、最近はトンと・・・

先日、昔の同僚の訃報を聞いて、改めて“すべては変わっていく”という仏教の”教えを思い出した。

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