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2020年11月29日 (日)

大滝詠一と太田裕美の「さらばシベリア鉄道」

さて今日は、編曲の妙の話である。
歌における編曲は非常に重要で、昔の歌謡曲では森岡賢一郎が大好きだった(ここ)。
ポップスでも素晴らしい編曲によく出会う。井上陽水の「傘がない」(ここ)をはじめとした楽曲群や、中島みゆきの「うらみ・ます」(ここ)など、直ぐに頭に浮かぶ。

今日の「さらばシベリア鉄道」だが、これも凝った編曲で記憶に残る。

<大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」>

「さらばシベリア鉄道」
  作詞:松本隆
  作曲:大滝詠一
  編曲:多羅尾伴内

哀しみの裏側に何があるの?
涙さえも凍りつく白い氷原
誰でも心に冬を
かくしてると言うけれど
あなた以上冷ややかな人はいない

君の手紙読み終えて切手をみた
スタンプにはロシア語の小さな文字
独りで決めた別れを
責める言葉探して
不意に北の空を追う

 伝えておくれ
 十二月の旅人よ
 いついついつまでも待っていると

この線路の向こうには何があるの
雪に迷うトナカイの哀しい瞳
答えを出さない人に
連いてゆくのに疲れて
行き先さえ無い明日に飛び乗ったの

ぼくは照れて愛という言葉が言えず
君は近視まなざしを読みとれない
疑うことを覚えて
人は生きてゆくなら
不意に愛の意味を知る

 伝えておくれ
 十二月の旅人よ
 いついついつまでも待っていると

この曲は1980年の発売だが、自分がこの曲を知ったのは、SONYのデモンストレーションCD「コンパクトディスク この新しい世界」というCDである。
201129sonycd このCDは、SONYが1982年に初めてCDプレヤー「CDP-101」を発売した時に、付録で付いていたもの。
CDの草創期に、SONYがCDの素晴らしさをPRするために作ったCDで、その中に入っていた冊子には、この歌について、解説にこうあった。
「さらばシベリア鉄道
大滝詠一独特の分厚いポップサウンドです。大変に凝った編曲で多くの楽器が鳴っていますし、シンセサイザー等電気楽器も使われています。従来では失われてしまう場合が多い細かいニュアンスも、CDでは見事にマスターテープそのままが再生されます。」

ちょっと横道にそれるが、同じCDに山口百恵の曲も入っており、こう解説があった。
「プレイバックPart2
百恵のヒット曲で、彼女の全盛期の声がリアルに聴けます。途中で一瞬音が完全になくなってしまう部分がありますが、そこでは全く何のノイズも聴こえず完全な無音となってしまいます。S/N比90dB以上の見事なサイレンス部分です。」

201129takashima 話を元に戻すと、先日、太田裕美の「さらばシベリア鉄道 feat. 高嶋ちさ子 ピアノクインテット」を聞いた。太田裕美のこの歌のカバーは昔から定番だが、2019年11月発売のこの編曲は、あまりにシンプル。ピアノとヴァイオリン2本、ビオラ、チェロの5人での伴奏。しかし、迫力は充分。

<太田裕美の「さらばシベリア鉄道 feat. 高嶋ちさ子 ピアノクインテット」>


名曲は、何十年経っても、形を変えて復活する。

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