前川喜平氏「日本国民は蒙昧の民か」「愚かな国民は愚かな政府しか持てない」
前川喜平氏(現代教育行政研究会代表)による、2020年9月13日付東京新聞の「本音のコラム」が、非常に的確な指摘をされていて、納得した。
「日本国民は蒙昧の民か
前川喜平(現代教育行政研究会代表)
安倍晋三首相の辞任表明と菅義偉氏の自民党総裁選出馬表明の前後に行われた世論調査の結果には、暗澹(あんたん)たる気持ちになった。 辞任表明前の8月22日~23日に共同通信が行った世論調査で36.0%まで落ちていた内閣支持率は、辞任表明直後の29~30日の調査では56.9%に跳ね上がった。同じ29~30日の調査で、次期首相にふさわしい人のトップは石破茂氏で34.3%、菅義偉氏は14.3%だったが、有力派閥がこぞって菅氏を推し、菅氏の勝利が確実になった9月8~9日の調査では、菅氏が50.2%でトップになった。
「病気で辞める人はねぎらってあげるものだ」とか「自民党の偉い人たちが応援する人は立派な人に違いない」とか思ったのかもしれないが、1週間や10日でここまで極端に意見を変える国民が民主国家の主権者たり得るだろうか。
僕は魯迅の「阿Q正伝」を思い出した。100年前の中国を舞台に無知蒙昧の民阿Qの愚かな生涯を描いた話だ。
日本国民は阿Qに成り下がったのではないか。
愚かな国民は愚かな政府しか持てない。賢い国民が育つために決定的な役割を果たすのはメディアと教育だ。メディア関係者と教育関係者が権威主義や事大主義に毒され、同調圧力に加担し付和雷同に走るなら、日本国民はますます蒙昧の淵に沈んで行くだろう。(2020年9月13日付「東京新聞」朝刊p23「本音のコラム」より)
*もう‐まい 【蒙昧】
知識が開けず、物事の道理に昧くらいこと。日葡辞書「グチ(愚痴)モウマイ」。「無知―」 ―‐しゅぎ【蒙昧主義】
*もうまい‐しゅぎ【蒙昧主義】
〔哲〕(obscurantism) 権威と結びついた既存の非合理的思想を擁護し、自由で合理的な思想に反対する態度。もと、啓蒙主義者が自分たちの闘争の相手の態度を称した語。 【広辞苑第五版】
安倍首相の退陣宣言以来、ほとんどテレビや新聞のニュースを見なくなったので、小説が進むこと進むこと!!
茶番の出来レースなど、何の興味も無い。バッカみたいな政治の世界にただただあきれるばかり。そしてそれを追認しているニッポンの国民。
新しい政府は、世論を調査し、勝てると思ったら即解散に打って出るのであろう。そして、延々と続く「自民党の自民党による自民党のための政治」が続くのだろう。
香港では無いが、日本人も、心ある人は、そろそろ国外脱出を考えた方が良い時代に突入しているのかも知れない。
数字が示す節操の無い主権者・日本人にとって、ウソで固められた今の政治が、最もふさわしいのかもしれない。
返す刀で、なぜ前川さんみたいな人が、国会に乗り込んで言葉を発してくれないのか・・・。
最後の手段として、前川さんを国会に引きずり出すしか、もう手が無いのかも・・・。
嗚呼、蒙昧の民ニッポン人。「愚かな国民は愚かな政府しか持てない」のだ。
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コメント
よい記事を紹介してくださってありがとうございます。全く同感です。私も今回の首相交代には関心が起きません。世論調査の激変にあきれたからです。新聞もテレビ等もほとんど見ません。これからは、新首相がどんな動きをするか。世論調査は動くか。静かに見ていきます。
【エムズの片割れより】
閣僚名簿を見ると、全方位忖度人選。しかも安倍元首相の弟まで!
”アベノママ内閣”とは、良く言い当てたものです。
投稿: かうかう | 2020年9月17日 (木) 11:22
昨10月5日の毎日新聞のコラム風知草の冒頭部分を読み直しました。驚くとともに、考えさせられました。この傾向は、新聞だけでなくテレビやラジオも同様でしょう。以下は記事です、紹介します。
「日本学術会議」新会員候補6人の任命を首相が拒否したことに驚いたが、新聞の扱いに大きな差が出たことにもっと驚いた。
朝日、東京、毎日は1面トップか準トップで学者組織への権力介入を批判。読売、日経、産経は社会面か内政面の2段か3段、事実に絞って伝えた。
どのメディアで知るかによって、出来事の印象は違ってくる。この事実は社会の分断を映し出している半面、接するメディア次第で人の思考が変わり得る可能性も示している。
【エムズの片割れより】
紹介された記事を読んでみました。
https://mainichi.jp/articles/20201005/ddm/002/070/070000c
自分の意志が、知らず知らずのうちにコントロールされてしまう。
怖いですね・・・
投稿: かうかう | 2020年10月 6日 (火) 13:46
またも、毎日新聞の記事紹介ですみません。
首相と同じ法政大学出身の平野貞夫・元参院議員が、首相の政治姿勢を語っています。納得ガッテンしてしまいましたので、一読をお勧めします。平野貞夫氏の記事を読むのは初めてですが。
菅首相率いる「カムフラージュ内閣」「恩恵」の裏に「自助」政治 平野貞夫・元参院議員
毎日新聞2020年10月7日 東京夕刊 特集ワイド
https://mainichi.jp/articles/20201007/dde/012/010/011000c
投稿: かうかう | 2020年10月 9日 (金) 00:02
平野貞夫氏の記事は、有料記事でした。お詫びします。
【エムズの片割れより】
いや、読めましたよ。
たまたま「2カ月目まで月額100円(税別)キャンペーン実施中!」を申し込んでいたので・・・
ご紹介、ありがとうございました。
投稿: かうかう | 2020年10月 9日 (金) 00:32
菅首相が国会で、日本学術会議会員の任命拒否にこだわる背景の一つを知りましたので、その新聞記事を紹介します。少し長いですが。
マスクも社会科学も=古賀攻
毎日新聞2020年11月4日 東京朝刊
米中の頂上対立でトランプ米政権が強引に世界のトレンドにしたのが、経済の安全保障化だ。
次世代通信規格の5Gや動画共有アプリについて中国にデータが渡らないようにする名目で規制をかけた。最先端技術は経済を離れて安保の主戦場になっている。
新型コロナの感染拡大は安保化の範囲をさらに広げた。医療に必要なものをいかに中国に依存していたかが分かったからだ。汎用(はんよう)品のマスクまでもが戦略物資として扱われるほどに世界は変わった。
そして--。一向に出口の見えない日本学術会議会員の任命拒否問題も、安全保障論の拡張現象の一つと捉えることができる。
学術会議に人事介入を始めたのは、安倍前政権からだ。背景には前政権の世界観と、アカデミアの価値観との衝突がある。特に学術会議が2017年3月、防衛装備庁の研究公募にブレーキをかける声明を出したことで両者の緊張は強まったと言われる。
声明はテクノロジーが科学者の意図を離れて軍事転用される危険性を指摘した。ただし技術には軍民どちらにも適用できるデュアルユースと呼ばれるものが多い。
そこで「非軍事」の壁を高くするような学問は技術発展そのものの阻害要因になるから、安保政策の観点からコントロールすべしという考え方が生まれてくる。
政治学や歴史学、哲学など社会科学を軸にした学問の安全保障化である。今回排除された6人は、いずれも人文・社会科学系を担当する第1部の候補だった。
自民党で外資による企業買収規制など経済安保を積極的に進めているのは甘利明税制調査会長だ。その甘利さんが一方的な思い込みで学術会議に「親中団体」のレッテル貼りをしたのは、安保概念の拡張と軌を一にしている。
政府は今年4月、国家安全保障局に経済班を新設した。先端技術の流出防止や製造物の供給網見直しが任務だ。幹部に任命拒否の感想を聞いたら「うちはやってないから」と何度も否定した。もちろん戦前ばりの直接的な思想統制が復活するとは思わないが、底流の「安保万能論」は要注意だろう。
もっとも、菅義偉首相が体系だった戦略を持って任命拒否に突き進んだようには思えない。習い性で強権を発動したものの、あまりに言い訳が通用しないため、予算委員会では「多様性」とか「既得権益」とか弁解を逐次投入し始めた。だが問われているのは法律の運用方法だ。いくら組織の難点を挙げても、政府が過去の国会答弁とは違う法の運用をする免罪符にはならない。(専門編集委員)
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投稿: かうかう | 2020年11月 6日 (金) 22:50