韓ドラ「愛の不時着」･･･本当はどうなの？

先日、韓ドラ「愛の不時着」（ここ）を見終わったが、ヒットしている理由が分かったような気がした。
まあ、最終回のラストの1時間は、“二人のその後”の数年を表していて、まあ無くても良かったのかな？とも思う。

この北朝鮮の現状は、本当だろうか？と思った。それにジョンヒョクの父親は、朝鮮人民軍の「総政治局長」だが、これはどの位高い地位なのだろう？・・・

Netでググっていたら、その解が載っていた。毎日新聞の「「愛の不時着」本当はどうなの？12の疑問を検証した」（ここ）（2020/08/29～30）という記事だ。
ここにはこう解説があった。

ちょっと抜き書きすると･･･

「疑問1　ドラマではまず、ヒロインの韓国財閥令嬢ユン・セリ（役:ソン・イェジン）がパラグライダー事故で北朝鮮に不時着してしまいます。普通、不時着したらどうなりますか？

　100％、国家保衛部（スパイ摘発や情報収集などに従事する治安機関）に引き渡されます。・・・」

「疑問2　セリと恋に落ちる北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョク（ヒョンビン）はもちろん、部下の軍人4人や村の女性たちも、素朴で親切に描かれていますね。実際はどうなんでしょう？

・・・明らかに異質なヒロインを村人がかくまうことはありえません。通報しなければ、自分の身が危ないからです。
　村の人民班長が家々に踏み込む検閲も牧歌的に描かれていますが、人民班長の報告によっては、最悪の場合、一家が収容所に送られることもあり得るわけで、それなりの権限があるとみられます。人民班長は国家保衛部をトップとする国民統制システムの末端にいて、最も重要な役目は不審者が潜んでいないかを監視することです。・・・」

「疑問3　セリは南北の軍事境界線を歩いて越えて韓国に戻ります。セリを追い、ジョンヒョクは日本軍の造ったトンネルを使って韓国に入る。こんなことは可能ですか？

・・・日本軍は軍事境界線をくぐるような大規模なトンネルを掘削していません。掘ったのは、北朝鮮です。1970年代、有事の際に韓国に兵士や武器を送り込む目的で「南侵トンネル」を3本掘りましたが、地中から立ち上る水蒸気などでばれてしまい、貫通前に韓国が封鎖しました。このうち一つは観光名所になっています。90年にも新トンネルが発見されています。北朝鮮が掘ったトンネルという設定だとしらけるので、日本軍のトンネルという設定にしたのでしょう。・・・」

「疑問4　ドラマでは、盗聴場面がたくさんあります。盗聴されていると思ったことはありますか？

　私自身は平壌で取材中に通話が盗聴されたと感じたことはありませんでした。しかし、海外の報道関係者は、ホテルで必ず決まった階の部屋を割り当てられます。ほかの階の部屋には盗聴装置がないからだというウワサでした。確認のしようがありませんが･･･。ただ、平壌滞在中はすべて監視されていることを前提に行動していました。」

「疑問5　ドラマでは、電車が停電で一晩停止したり、コーヒー豆が手に入らなかったりします。北朝鮮の経済実態は？

　軍事境界線近くの村のたたずまいと闇市場の描写がリアル、と脱北者が証言しています。市場で布をめくると韓国製品が隠されているのも、その通りだといいます。・・・」

「疑問6　主人公の北朝鮮将校リ・ジョンヒョクの婚約者、ソ・ダン（ソ・ジヘ）は、平壌のデパート経営者の娘でロシアに音楽留学しています。こんなお金持ち階級は本当に存在するのですか？

　トンジュ（金主）と呼ばれる小金持ちが平壌で増えているのは確かです。社会主義の北朝鮮では、私有財産を持つことを禁止されていますが、トリックがあるらしいのです。国がアパートなどの建物を建設するとき、金持ちに建設費を負担させ、その代わりできあがった建物の部屋の一部を与える。金持ちはそれを貸したり、売ったりして、「不動産利益」をあげている、と聞きました。・・・」

「疑問7　ドラマでは、北朝鮮側がスポーツ選手団に追っ手を紛れ込ませて韓国に派遣します。実際に工作員が交じっていることはありますか？

　スポーツ選手団に朝鮮労働党の人間が幹部として参加していることはよくあるはずです。しかし、工作員が移動手段として利用する可能性よりも、選手が亡命しないように監視するために国家保衛部員を同行させている可能性の方がまだあると思います。スポーツ大会は期間限定です。10日間かそこらで実行できるミッションには限りがあります。工作員は通常、韓国に住みつき、長い間をかけてターゲットに近づきます。」

「疑問8　詐欺師ク・スンジュン（キム・ジョンヒョン）のように、犯罪者が北朝鮮に逃げ込むことはありえますか？

　借金を抱えていた、あるいは、暴行事件を起こして警察に指名手配された韓国人が北朝鮮に逃げ込むケースは実際にありました。7月にも、排水路を通り漢江を泳いで渡って、北朝鮮に戻った脱北者の男がいた。この男には、韓国で性的暴行容疑で逮捕状が出ていた、と報道されています。ただ、こうした「越北者」について、北朝鮮は、置いておく価値がないと見なせば、韓国に追放することが多かった。なかには、韓国に戻された男性が妻を殺害していたことが露見したケースもありました。」

「疑問9　ジョンヒョクの父親は、朝鮮人民軍の総政治局長という設定です。実際はどんなポストなのですか？

　朝鮮人民軍の重要ポストは総参謀長、総政治局長、人民武力相です。総政治局長は、人事権を持って組織を統制する役割を担うポストです。数え方にもよりますが、軍のナンバー2かナンバー3にあたる。もし息子がいたら、ジョンヒョクのように身分を隠すわけがなく、まして危険を冒して韓国に潜入することはありません。捕まったら父親をはじめとするエリート層の動向や軍内部のことを厳しく尋問されるに決まっているからです。」

「疑問10　ジョンヒョクはスイスにピアノ留学の経験があります。軍幹部の息子ならピアノ留学もできるのですか？

・・・誰でも留学できるわけではありません。北朝鮮は、絶対に亡命しない人、安心して出せる人しか、海外に出しません。資本家、日本の植民地統治に協力した者、金日成に反対した人の子孫は「出身成分」（金一族への忠誠度に従って区分された身分制度）が悪いとされ、許されません。
　北朝鮮は日本、フランス、米国などと国交がありませんが、世界160カ国以上と国交があります。ニューヨークにある国連にも代表部があります。国連安保理で制裁されるまで北朝鮮は大勢の労働者を海外に送っていました。だから、留学中のジョンヒョクがヒロインのユン・セリと出会う場所は、スイス以外でも十分に可能です。スイスを選んだのは単に風光明媚（めいび）で絵になるからでしょう。」

「疑問11　そもそも、北朝鮮と韓国の男女が恋愛することはあるのですか？

　北朝鮮の経済規模は韓国の27分の1です。環境があまりに違うので、南北の若者が恋に落ちるのはかなり難しいと思います。脱北者のための結婚相談所の経営者を取材したことがありますが、脱北者の多くは「韓国人は我々をバカにしている」と感じています。貧しく、学のない人間だと思われ、差別されている、と。だから、脱北者同士で結婚することが多いのです。実際、30代半ばになってから脱北して韓国に来ても、就職が難しい。・・・」

「疑問12　ドラマ制作の背景に、北朝鮮賛美など政治的意図はあるのでしょうか？

　脚本家のパク・ジウンさんはロマンスものが得意です。政治的関心があるとは思えません。男と女が困難の中で出会って恋する、というのは昔からある定型パターンで、その舞台として38度線を選んだということでしょう。・・・」

★毎日新聞のオリジナル（全文）の記事は（ここ）

この記事は、先のドラマを見た人でないと、何のことやら！？

ついでに、今朝（2020/09/08）朝日新聞にもこのドラマの記事があった。

色々と世の中を騒がせている韓ドラ「愛の不時着」ではある。