「NHK、ラジオ・BS削減へ」~何か違う!?
今朝の朝日新聞の1面にこんな記事があった。
「NHK、ラジオ・BS削減へ 事業規模を抑制 中期経営計画案
NHKは2021~23年度の中期経営計画案にAMラジオとBS(衛星放送)チャンネルの削減を盛り込む方針を固めた。複数のNHK関係者への取材で分かった。業務が肥大化しているという批判を受け事業規模を抑制する。4日に正式発表の見通し。
関係者によると、現在、第1と第2があるAMラジオは、一本化する具体案を中期経営計画の3年以内に出し、その後AMとFMで各1波ずつにする方針。
また、BSのチャンネルを段階的に減らす方針だ。BS4波のうち、ハイビジョン画質の「BS1」と「BSプレミアム」、高精細画質の「BS4K」の3波を2波にし、将来的には1波にすることも検討する。「BS8K」についても、高いコストがかかることなどから、今後の運用について判断するという。4日のNHK経営委員会で計画案が了承されれば、意見公募(パブリックコメント)を実施し、正式な計画をまとめる。
NHKの事業規模は、現在7千億円超だが、今後6千億円台にする方針だ。今年10月に予定する受信料値下げによる収入減少に対応する狙いもある。
NHKの中期経営計画を巡っては、総務省の有識者会議が、業務の合理化・効率化の取り組みの明確化を求め、衛星波の削減の時期と方法を明らかにする要望事項をとりまとめていた。5月に開かれた同会議の中では、日本新聞協会も2千億円規模の受信料の削減が可能だとの見解を表明。民放もNHKの事業規模の拡大による「民業圧迫」を懸念してきた。NHKは総務省から業務全般の見直しの求めを受け、昨年12月に4波あるBSを3波に整理・削減すると発表していた。(黒田健朗、宮田裕介)」(2020/08/04付「朝日新聞」P1より)
NHKの放送の歴史を調べてみると、「NHKラジオ第1」は、1925年(大正14年)7月12日開局。「NHKラジオ第2」は1931年(昭和6年)4月6 日開局というから、どちらも古い。(ちなみにNHK FMは1969年(昭和44年)3月1日開局)
そのラジオ第1と第2を統合して、一つにするのだそうだ。もし実施されると、100年ぶりの歴史的な大事件!?
一方、テレビの方は、総合が1953年(昭和28年)2月1日開局。NHK教育は、1959年(昭和34年)1月10日開局だったそうだ。
そしてBSでは、「BS1」と「BS2」が1989年(平成元年)6月1日に開局、「BShi」は2000年12月1日開局だったという。
どの放送も懐かしい。デジタル化も含めて、放送初日には、受信機をそろえて開局を待ったもの。それが削減されるという。
その理由は何だ??
今日正式発表された、NHKの資料(ここ)によると、削減についてp4にこうある。
「保有するメディアの在り方について
在り方の検討にあたっては、多様で質の高い「NHKらしい」コンテンツを、合理的なコストにより最適な媒体(地上波・衛星波・インターネット)で提供するという観点と、視聴者のみなさまの利便性を捐なわないことを前提とします。
◎衛星波の整理・削減を段階的に実施し、将来的には右旋の1波化に向けて検討を進めます。
○右旋の3波(BS1 ・BSP・BS4K)は、コンテンツをより効果的に届ける再設計を計画期間内に行い、公共メディアとしての価値を維持しつつ、2波(4K・2K)への整理・削減を実施します。具体的な実施時期等については、視聴者に対する意向調査等を踏まえて検討を進め、2021年の本計画の議決の際に公表します。将来的には、4Kの普及など変化するメディア環境を見極め、1波への整理・削減に向けてさらなる検討を、在り方の検討にあたっての前提に則って進めます。
○左旋のB S 8 Kについては、効率的な番組制作や設備投資の抑制を徹底し、束京オリンピック・パラリンピック後に、在り方に関する検討を進めます。
◎音声波は、2波(AM・FM)への整理・削減に向けた検討を進めます。
○音声波については、民間放送のAM放送からFM放送への転換の動きや、聴取者の意向などを考慮しつつ、さらなるインターネットの活用を前提に、現在の3波(R1・R2・FM)から2波(AM・FM)への整理・削減に向けた検討を行い、計画期間内に具体案を示します。」(ここより)
自分だけでは無いが、NHKの視聴者からすると、色々と心配事が出てくる。
AMが1波となると、ラジオ深夜便はどうなるのか?ラジオ第2の各種語学講座はどうなるのか?カルチャーラジオなどの教養番組は?
その分、新たに設置されるネットラジオへ移行するのなら分かるが、放送時間が半分になるとすると、コンテンツの削減が心配だ。
BS系統は、自分もBS1がほとんど見ていないが、4Kは何とも寂しい。およそ当初の期待に反し、コンテンツがあまりに寂しい。最初は期待したものだが、再放送ばかりで、ほとんど見なくなってしまった。色々機械をそろえたのに残念!
最初は、「早く4Kのタイムシフトマシンが発売されないかな!」と願ったものだが、発売されても買う気になれない。直ぐに再放送されるので・・・。
さて、このNHKの今日の発表に関して、毎日新聞はこのように伝えている。
「NHKが中期経営計画案 BS、AMラジオ削減 受信料は現行水準 番組制作費見直しも
NHKは4日、2021~23年度の中期経営計画案を発表した。NHK経営委員会が同日、執行部が示した同案を了承した。コンセプトは新しい「NHKらしさの追求」。衛星放送とAMラジオのチャンネル数の削減や、3年間で合計630億円の支出削減などを明記。民放などの「肥大化」懸念を踏まえ、事業の見直しで「スリムで強靭(きょうじん)なNHK」への変革を目指す。
衛星放送は「BS1」「BSプレミアム」の2波を一本化。将来的には「BS4K」も含め、1波に集約する検討を進める。AMラジオも「第1」「第2」の2波を1波に統合する。削減の具体的な時期は今後明らかにする。「BS8K」は東京オリンピック・パラリンピック後に在り方を検討する。
事業収入は、19~20年度に実施している受信料収入の4・5%分の受信料値下げの影響などで、20年度予算の7204億円から、21~23年度は6900億円程度に減収すると試算。新時代のコンテンツ開発などに3年間で計130億円程度を重点投資する一方で、番組制作費などの見直しを進め、3年間で計630億円程度の支出削減を目指す。
一方、総務省が値下げを含めた検討を求めていた受信料に関しては、現行の水準を維持するとした。
同日、記者会見した前田晃伸会長は「NHKを本気で変える覚悟を示した」と述べ、支出削減については「番組の質は落とさないのが大前提」と強調した。
5日~9月3日に実施するパブリックコメント(意見公募)で寄せられた意見を反映させ、正式な計画案を年内にも策定する見込み。【屋代尚則、小林祥晃】
NHK次期中期経営計画案のポイント
NHKが発表した次期中期経営計画案(2021~23年度)のポイントは次の通り。
・ラジオはAMとFMの計3チャンネルのうちAMの第1、第2放送の一本化を検討。
・衛星放送はBS1とBSプレミアムを一本化へ。将来は超高精細のBS4Kと合わせて一つに集約することを検討。BS8Kは東京五輪・パラリンピック後に在り方を検討。
・新たな受信料値下げには触れず。チャンネル削減の具体的な時期は明記せず。」(2020/08/04付「毎日新聞」ここより)
視聴者にとってみると、チャンネルの削減=サービス低下なので、当然受信料は下がって当たり前。しかし、このことについては何も触れていない。
昔、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」の籾井元会長のときは(ここ)、さすがに「アベ様のNHK」に受信料を払う気がせず、一時期止めたことがあった。
NHKは不偏不党の中立性が命。視聴者とその信頼関係があるから、受信料を払い、安心して番組を見る。しかし、現政権になってからのNHKの体たらくは、かんぽ問題を挙げるまでも無く、目を覆いたくなる。
そして、今回それに加えて「NHKを本気で変える覚悟を示した」結果が、受信料を下げないでチャンネル削減だと言う。今後人口減に伴って減るであろう受信料を、自分たちの給料などはそのままにして、視聴者へのサービス低下でそれを補おうとしているらしい。
自分としては、NHKが小さくなることを望んではいない。技術的にも日本の放送界を引っ張ってきたのはNHKだし、民放からみれば大先生。それが、メディアとしての立ち位置において崩れかかっている。模範では無くなっている。分かり易く言うと、NHKニュースを信頼して見ることが出来ない。民放のニュースの方が、よっぽど真に迫っている。
繰り返すが、規模が大きいと非難されているので、チャンネル(放送するコンテンツ)を減らす。でも受信料はそのままなので、社員たちは何もしないでも、結果としてNHKは大もうけ!?
アベノマスクではないが、何か違うな~と思う、今回のチャンネル削減問題である。
我々の信頼するNHKはどこに行ったか? 我々は何を信じたら、世の中を知る事が出来るのだろうか?
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コメント
同感です。私の好きなチャンネルは、R2.BS3、BS1です。
投稿: かうかう | 2020年8月 5日 (水) 20:59
最近のNHKは硬派な番組が消えて、民放並みの
お手軽番組が増えたのも事実。
それゆえ、チャンネル数を減らして中身の濃ゆい番組を作ろうと言うのがNHKの建前であるが
内幕は放送族議員からのご意向が有ったのでは
無いでしょうか?、
いっそう、英BBCやチャイナ新華社、ロシアチャンネル1のように完全国営に成り下がり
経費を国に持ってもらえば・・・。
あっ、でも、そうしたら「ブレードランナー」
みたいな国になっちまうかも?
投稿: 杉ちゃん | 2020年8月 6日 (木) 17:38
世間の人の言う事も解らなくもないが、FMラジオでのクラシックやニュース解説や世界の出来事そしてTVでのオーケストラや洋画の切れ目のない提供など、国民の知る権利をだれが保証してくれるのですか。民放特にTVの現状は毎日テレビの番組表を見ただけで、これが国から放送の権利を受けて国民の知る権利を提供している機関かというと、恥ずかしくなる。民放こそ今の体制なら半分でも多すぎるくらいではないですか。こう思えるのは、
小生だけかな?。
【エムズの片割れより】
民放のお笑い番組には、いつも辟易しています。もちろん見たことはありません。
しかし、報道番組となると、アベ(スガ?)様のNHKがどうも信用出来なくなって久しく、いっそう頑張って欲しいとも思います。
民放も、視聴率一辺倒の現在のスタンスを見直し、国民のためのメディアに立ち戻ってほしいものです。
投稿: タカヤマイチロウ | 2020年10月 8日 (木) 15:21