医者から難聴の治療を見放された話~メニエール病疑い??
3ヶ月通っていた大学病院の先生から、右耳の難聴の治療を見放されてしまった。改善は見込めないと・・・。
音楽やオーディオを趣味とする自分としてはガックリだが、自分への備忘録として、ここに経緯をまとめ、自分への心のけじめとしたい。
14年前(2006年11月2日)に「耳が壊れた(突発性難聴)話」(ここ)という記事を書いた。1998年7月に発症した右耳の突発性難聴の記事である。それから22年になる。
今回のは、同じ右耳の「メニエール病疑い」である。
22年前にやった突発性難聴で、右耳の聴力は、1KHz以下が35dB程度を保っているが、2KHz以上は60dB以下で、完全な高域難聴。それに対して正常な左耳は、今でも20dB~5dBで、何とか正常範囲を保っている。
昔の電話機の規格が、300~3400Hzの帯域だったことからも分かるように、人間の音声の帯域は、そんなもの。つまり音声帯域における自分の耳の左右差は、15dBほどだったので、音楽を聞いても、ボーカルの音声は、左右で同じように聞こえた。つまりヘッドホンで聴いてもボーカルの音声が中央に聞こえて、それほど違和感は無かった。
しかし、今度のは違う。今では、全帯域で70dBまで落ちてしまっている。これでは聞こえない。右chが聞こえないので、ステレオ感はゼロ。加えて、大きな音が、割れる。歪む。幾ら良い音で聞こうとしても、受ける耳の方が、これでは完全にお手上げ!
スマホに「聴力検査」という便利なアプリがある。多少の誤差はあるだろうが、少なくともトレンド(傾向)は分かる。
今回の発症は2020/3/6。低音の耳鳴りと聞こえが悪いのに気付いた(高音の耳鳴りは昔からあるが)。「聴力検査」で測ってみると、1KHz以下が従来より10dBほど下がっている。しかし翌日には戻った。その後も、少し聴力は変動していたが、3月30日頃からは更に悪化。4月1日に測ってみると1KHz以下が40~55dB。しかも音が割れている。これは完全な難聴だ。原因は加齢かと思って、病院に行く気にはなれなかった。
そして(2020年)4月8日の夜9時、うたた寝から目を覚ますと、回転性の目まい。2時間ほど続いた。
これで、勝手に判断。“これはメニエール病である。”
翌朝(2020/04/09)、近くの大学病院の耳鼻科に行く。聴力検査を受けてから、診察を待つ間、嬉しくなった。病院で嬉しくなったのは初めて。原因不明よりもメニエル病だと、治療の可能性がある。突発性と違って手遅れが多分無い。から・・・
聴力検査ではやはり1KHz以下で45~60dB(2KHz以上は、元々60dBの難聴なので評価しない)
病名は「メニエール病“疑い”」(回転性目まいが1度だけで、繰り返さない為)で、ステロイドとメニエール病の薬を貰う。昔飲んだことのある、イソバイドという不味い水薬も。
薬を飲み始めて5日~10日間ほどは、ステロイドの効果か、変動しながらも、聞こえは良くなったことがあった。しかし、それが最後のあがきだった!?
1週間後に病院に行ったが、「劇的に良くなっているわけでは無い。目まいの薬とステロイドは止める」との診断。(結果として、それから2ヶ月間、聞こえない状態が続いている)
1ヶ月後(2020/05/14)、聴力検査での結果は最悪。全ての帯域が70dB以下で、高度難聴の世界。1ヶ月後に、聴神経腫瘍のチェックのため、MRI検査をする事になる。
そして2020/06/12に、頭のMRI検査。これは20年前の突発性のときもやった。今回は造影剤も入れず、直ぐに終わった。そして診察。
「MRIは異常なし。聴力検査は前回同様。3ヶ月飲んで薬が効かないなら止めるか?」という話も出たが「薬はしばらく続けたい」と言った。
薬剤師に聞いたら半年も1年も続けている人も居るとか。徐々にだが、改善する例があるという。
近くの調剤薬局の女性の薬剤師さんも、「イソバイドはメニエール病の特効薬なので、時間はかかるが、必ず良くなりますから」と元気付けてくれる。
しかし、状態は変わらない。自分が大きな声を出すと、右耳にビンビン響く。
イソバイドを飲み始めて3ヶ月余・・・。昨夜考えた。そろそろ哲学(人生観)の世界!?
Netでイソバイド(メニエール病の水薬)をググっていたら、メニエール病の研究で最も進んでいるという北里大学の文献が見つかった(ここ)。
そこに、症例報告として、4年間に亘ってイソバイドを、隔日、3日おきに服用して聴力が復活した、という報告が載っていた。
イソバイドは、とにかく不味くて飲みにくい水薬だ。20年前にも飲んだが、今はその時よりは改善されているが、長期間、1日3回飲んでいると、さすがにイヤになってくる。それに、症状が改善されるのなら我慢も出来る。しかし、今回は何も改善されないで3ヶ月間飲んでいる。 自分も、上の薬剤師さんの話を聞いて、少なくても半年は飲んでみようかな、と思っていた。しかし、その決心?も最近グラついていた。反応がないので・・・
しかし、文献には4年も飲んだ人が居た、とある。これは目まいの症状のある人なら、それを避けるために飲むこともあろう。しかし、日常生活に支障が無い片耳だけの難聴の場合、4年間の我慢に匹敵する効果が今後得られるか? 確かに自分の場合は、両耳でステレオを聴きたい。という希望はある。しかし、あの不味い水薬を、良くなるという確証も無いまま、4年間も続けられるだろうか・・・。自問自答した。
色々考えたが、とりあえずあと1ヶ月は続けてみようと思って診察にのぞんだ。しかし今日(2020/07/17)の医師の言葉は、あっけなかった。
「今日の検査結果をみますと、残念ながら変わりないですね。いわゆる変動といって、動きがあるかどうか見ていたんだが、5月からは変わりないですね。ですから水薬を飲んで貰っているんですけど、特段良くなっている感じも無い。薬はいったん終わりです。まあ不自由だとは思うんですけど段々慣れて頂くしかないですね。次は3ヶ月位後に検査してどうか。というのがひとつの評価ポイントになる。
3ヶ月後も同じ聴力であれば、この先もその聴力で残る。悪くも良くもならずに。
次の結果が突然にもっと悪いとか、良いとかになると、話は変わってくる。だから経過としては、残念ながら治っているわけでは無いが、最初にちょっとステロイドも飲んで貰ったし、イソバイドの効果は感じられないので副作用とかの可能性も考えると、続けられない。
(今後飲み続けても期待は出来ない?)何とも言えないが、飲んでみないと分からない部分はあるが、副作用という懸念もある。もちろん副作用がでないかも知れない。ただこの3ヶ月で何らかの反応が欲しかった。続ける根拠として。我々(医師)としては。
逆に、止めたことでもっと悪くなることがあれば、また再開というのは、アリかも知れない。それはもちろん自覚すると思うので、変化があった時は来ていただいて検査して、悪くなっているようならもう一回再開というのも考えます。
今回の新たなポイントは、イソバイドを止めてみることでどうなるのか。変わらないのか、悪くなるのかを見たいと思います。」
確かに、薬を飲み続けていても症状に変化が無ければ止めるのは当然。それが3ヶ月かどうかは別にして、薬は体には良くない毒物なので・・・。
医師の話を聞いて、自分はただひと言。「残念!」
タイトルの「見放された」というも少々言い過ぎかも知れない。でも自分にとっては、ある意味、宣告だった。
前の突発性難聴のときに色々と教えて貰ったメニエール病の先輩である同期入社のT君の、最近もらった経験談を踏まえたメールの一部である。
「悪い左の耳がおかしくなった時は、すぐに市立病院に行って、そこで慶應大学病院を紹介してもらい受診しました。
その当時は(1986年)ステロイドという治療はなく、利尿剤や、血行を良くする薬で治療をしたと記憶しています。
でも、結局良くなったり悪くなったりして今は、聞こえないままです。
聴力検査でも、今は70~80dbのレベルで、殆ど聞こえません。
もうあきらめてから20年以上は経ちますね。
その当時は、片側が聞こえないとしても、単に6dB入力レベルが下がるだけと割り切りました。
音楽を聴くとなるとそうはいかないでしょうが。
なお、耳鳴りは、難聴になると避けられないようです。
今も、結構大きめの耳鳴りはしています。
(エムズ)さんは、左側が正常なので、右の治療の効果が無くてあきらめても、日常生活にはあまり問題ないでしょう。
年なので、それでよしとすることも一つの解決でしょうか。」
経験者として、なかなか含蓄のあるアドバイスである。
方丈記の冒頭は「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。」
何でも、永遠に同じ状態でいることはできない。仏教で言う所の「生老病死」のプロセスでもある。
加齢で体は衰える。そして体の最も弱い部分が、病気として表に出てくる。自分の場合は耳だったということ。もしメニエール病だとしても、目まいの発作が1度だけ、というのは有り難い。難聴よりも回転性目まい発作の方が厳しい。どこにいても立っていられなくなる、という。
最近、よく遺伝のことを思う。お袋も、伯母も、兄貴も難聴だった。どちらかと言うと加齢性難聴だった。でも血統的に、やはり耳が弱いのでは無いか、と思ってしまう・・・
だから自分も難聴でも仕方が無いのかな・・・と思い込もうとする。
いずれにせよ、難聴の話は今日でオシマイ。先日は心臓の話はオシマイした。
今日は、趣味の矛先を、音楽(オーディオ)から読書に切り替えるけじめの日なのであ~る!!
(関連記事)
耳が壊れた(突発性難聴)話
| 0
コメント
エムズの片割れさま、以前「耳の壊れたオーディオマニア」で投稿した「杉ちゃん」です。
小生は、エムズさんと反対の左耳が耳鳴りでしてイソバール、メチコバール等々あらゆる治療を試しましたが改善せず、60代後半には老齢難聴(それも左耳だけが)となり2重苦の生活を強いられております。
このたび、14年前の経緯を記事にしていただき、その心配りありがとう御座います。
・・・で、私もエムズさんと同じくSP再生に違和感を感じまして、自然にヘッドフォン再生に軸足を移し、何とか音楽を楽しんでます。
ただ、最近のHPAにはバランスツマミが無く、
左耳だけ音量を上げる事が出来ませんので、魔改造して使っております。
(STAXのHPAはバランス機能付きのボリューム
で、便利なのですがゼンハイザー党ですので購入まで至っておりません)
最後、この記事を保存して、参考にしておきます。
【エムズの片割れより】
杉ちゃんさんの場合は、加齢難聴とはいえ、まだ聴力が残っているようなので、ラッキーですね。
当方は、右耳がほぼNGなので、音楽を聞くことが困難になりました。
これから、片耳で聞く音楽に慣れるしかないようです。(トホホ・・・)
投稿: 杉ちゃん | 2020年7月19日 (日) 11:10
追伸です。
>右耳がほぼNGなので、音楽を聞くことが困難>・・・・これから、片耳で聞く音楽に慣れる>しかないようです。(トホホ・
う~ん、この言葉、身に詰まされますね(涙)
例えオーディオの趣味がダメでも音楽を楽しむ
趣味はもち続けてください。
「片耳難聴と音楽」というサイトがあります。
ご参考になされて、未だ正常に機能している
耳をご自愛下さい。
https://kikoiro.com/uhl-and-music/2/
【エムズの片割れより】
ありがとうございます。
投稿: 杉ちゃん | 2020年7月19日 (日) 16:35