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2020年6月21日 (日)

「童謡の歌詞、4分の1に山、桜、蛍…」~「おべんとうばこのうた」

先日の「朝日新聞」夕刊のトップ記事にびっくり。童謡・唱歌の“研究”の記事なのである。13,000曲の冒頭の一節を分析して、どんな自然や生き物があるかを調べたという。

歌えば広がる原風景 童謡の歌詞、4分の1に山、桜、蛍… 農研機構、1.3万曲を分析

 心に響く歌の豊かさには、日本の自然が大きな役割を果たしていた――。国内の研究チームが、童謡や唱歌約1万3千曲の冒頭の一節を調べたところ、山や森、桜、蛍など身近な自然や生き物が、全体の4分の1以上に含まれ、文化的な創作活動に影響していたことがわかった。(杉浦奈実)

200621douyou  「ゆうやけこやけの あかとんぼ」(三木露風作詞「赤とんぼ」)、「うさぎおいし かのやま」(高野辰之作詞「故郷(ふるさと)」)、「さくらさくら やよひのそらは」(日本童謡「さくらさくら」)……。学校で子どもに歌い継がれてきた童謡・唱歌には、自然豊かな日本の原風景のイメージがたびたび現れる。

 そんな歌に注目した農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の研究チームが5月、研究成果を生態系に関する国際学術誌エコシステムサービスに発表した。

 チームは国立(くにたち)音楽大学付属図書館の「童謡・唱歌索引」で調べられる、1万2550の童謡・唱歌の冒頭の一節を分析。ほとんどの歌は、義務教育が始まった1872年から、終戦の1945年までに作られたとみられる。

 歌詞に、海、森、農地といった日本の主な生態系や、生き物に関わる単語が含まれているかどうかを調べた。例えば、森であれば、「モリ」のほか、「ハヤシ」「ヤマ」といった単語があらわれた場合にカウントした。

 生き物は、植物、虫、鳥といった区分のほか、「バラ科」など、科別にも集計した。「故郷」の1節目であれば、「ウサギ」と「ヤマ」が登場するので、「森」「哺乳類・ウサギ科」に数えるといった具合だ。

 すると、生態系、生き物にかかわる単語がそれぞれ1315曲(10.5%)、2331曲(18.6%)で見つかった。全体の25%以上の曲にはいずれかが入っていた。うち、生態系では森が43.1%と多く、海(24.6%)、湖と川(9.3%)が続いた。生き物では、植物が54.7%と最多で、次いで鳥(26.0%)、昆虫(10.0%)だった。

 「索引」で調べた歌詞には植物は58科、鳥が27科と、様々な生き物が含まれていた。身近な生き物や、見た目や音が目立つ生き物が多かった。植物ではサクラ、ウメが含まれるバラ科が多く、鳥ではスズメ、虫ではホタルが最多。鳥では、スズメやカラスなど農地や都市など身近な場所にすむ種が多かった。

 サクラなどバラ科が多いことについては、古くから日本にお花見の習慣があることの影響がありそうだ。戦争に関する歌にサクラが登場することも、数を増やした要因とみられる。

 また、鳥に次いで虫の歌が多かったことについては、虫取りが子どもに人気の遊びで、虫をめでる文化があることが要因として考えられるという。

 だが虫でもカブトムシは見つからなかった。デパートなどで昭和中期からペットとして売られるようになる前は、子どもに人気のある生き物ではなかったのかもしれない。

 研究チームの農研機構・農業環境変動研究センターの片山直樹主任研究員は、「日本の自然は作詞家など、芸術家の創作活動に多大な影響を与えていたと考えられる。当時の暮らしが今より自然に近かったことに加え、歌が教育的な意味を持っており、身近な自然を尊ぶ気持ちを育むために生態系や動植物が登場しやすかった側面もあるだろう」と話す。

 ■登場する自然、危ぶむ声も メダカは絶滅危惧/減る松林
 歌詞には、今では少なくなってしまった動植物や風景も多く登場する。ノウサギやホタルは地域によっては絶滅が危ぶまれており、魚で最も多く登場したメダカは環境省のレッドリストで絶滅危惧2類に分類されている。植物で3番目に多く取り上げられた「マツ」は松林について歌ったものが多かったが、外来種の線虫「マツノザイセンチュウ」の被害や開発で、地域によっては面積を大きく減らしている。

 「唱歌『ふるさと』の生態学」の著書がある高槻成紀・元麻布大学教授は「ある時代に日本人がどう自然をとらえていたかを調べることは重要。歌詞を材料に、生物を分析する手法がユニークだ。原生的な自然ではなく、日本人の大半が農業や漁業に携わっていた時代に誰でも目にしたような身近なものがよく取り上げられており、曲にも自然観が投影されているのだろう」と話す。

 一方で、高槻さんは歌詞に登場する自然を危ぶむ。「今は、農業のやり方や土地の利用の仕方の変化で、ウサギがいるススキ原も失われ、同じような場所にいた鳥や虫も減った。曲の景色を『懐かしい』と理解できる世代がいなくなった時、次の世代まで歌い継がれるのか、わからない時代に来ていると感じる」(2020/06/17付「朝日新聞」夕刊P1より)

何をきっかけに調べたかは知らないが、「ほとんどの歌は、義務教育が始まった1872年から、終戦の1945年までに作られたとみられる。」とのこと。
つまり、我々シニア世代が知っている童謡・唱歌は、やはり戦前までの作らしい。

我が家では?と思い出すと、もっぱら子門真人の「およげ たいやきくん」(ここ)の旋律が頭に浮かぶ。

息子がいつも歌っていたのが「まいにち まいにちぼくらは てっぱんの うえでやかれて いやになっちゃうよ・・・」。しかも全部覚えていないで、この節しか歌わない。
それを繰り返すのだから、聞いている方は、まさに「イヤになっちゃうよ!」

自分たちの世代は上の記事にある童謡・唱歌で育った。同じように、息子たちに教えようとしたが、何一つ教えられなかった。感覚が違ったのだろうか。
カミさんは「おべんとうばこのうた」を良く歌って聞かせていたっけ。

ついでなので、載せておこうか・・・

<こおろぎ'73の「おべんとうばこのうた」>

「おべんとうばこのうた」
  作詞:香山美子
  作曲:小森昭宏

いただきます
★これっくらいの おべんとう箱に
 おにぎり おにぎり ちょいとつめて
 きざみショウガに ゴマふりかけて
 ニンジンさん さんしょうさん
 しいたけさん ごぼうさん

 穴のあいた レンコンさん
 すじの通った フーキ

ぞうのせなかに ありがおっこちた
山だと思って 旅をした
はなの先まで あるいたが
もとの山に もどっていた
それでおひる
★くりかえし(小さい声で)

わにのせなかに ぞうがのっかった
ふねだと思って のっていた
岸についたと 思ったが
別のわにに 乗っていた
それでおひる
★くりかえし(大きい声で)

さるのしっぽに わにがくいついた
しめたと思って ひっぱった
さるもまけずに ひっぱった
どっちもつれたと おもっていた
それでおひる
★くりかえし(速くなる)

ごちそうさま

上の音源は1978年だという。40数年前がこんな調子の歌なので、今の幼児は、どんな歌を歌っているのか?
いずれにせよ、戦前の唱歌と現代の唱歌とは、世界がだいぶ違う。それは歌謡曲の世界も同じ。Jポップに取って代わられ、シニア世代はギブアップ!
でも今後孫娘に会ったら、こんな歌もあるぞ!と、「おべんとうばこのうた」を一度教えてみようかな・・・

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