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2020年6月28日 (日)

「令和落首考 2020年前半」

もう半年経った。例の落首考である。今朝の朝日新聞の記事である。
令和落首考 2020年前半 西木空人
 「トランプのさらなる狂気舞う年初」。朝日川柳の本年最初の句です(1月7日1句目)。イラン革命防衛隊司令官を米軍が殺害。両国関係はいっそう緊張しました。

 「まださほどトイレは近くないと見え」は翌8日掲載。カルロス・ゴーン被告の逃亡が露見。箱に隠れてレバノンにと伝えられ、我ら唖然(あぜん)としましたね。
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 本欄に初めてコロナ関連句が登場したのは1月22日でした。「おかしいと言われて増える感染者」

 翌日、いま思えば純情な2句目が載ります。「来るなとも言えずにそっとマスクする」。中国から春節の観光客が大挙押し寄せておりました。あちらでは「言論の次は武漢を封じ込め」。都市封鎖に踏み切っていたのですが。

 2月6日「妻が言うやはり近場の温泉で」。クルーズ船絡みの句。前後して各地に感染が急拡大します。「大船に乗ってる気分じゃありません」

 3月、WHO(世界保健機関)が、「パンデミック(世界的大流行)の脅威がまさに現実となった」と認めましたが、実感として遅すぎたのではないか。「認定を聞くまでもなくそう思い」
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 パンデミックはギリシャ語語源の言葉で、「すべての人びとの病気」といった意味。響きから私は、ギリシャ神話に登場する女性パンドラ(「すべての贈り物」)を、ふっと連想しました。

 彼女は、好奇心を抑えきれず禁断の箱のふたを開けてしまう。中から疾病、悲嘆、欠乏、犯罪などの災厄が飛び出し、人間世界に拡散するのです。「集うこと許さぬ星に成り果てぬ」「看取(みと)りさえ叶(かな)わぬことを見せられる」

 安倍晋三首相は3月2日からの全国一斉臨時休校を要請。先立って、コロナ禍関連で初めての会見に臨みました。「丸投げを断腸と言う能天気」「怖いのはプロンプターの故障なり」
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 五輪の延期。緊急事態宣言。それにもまして志村けんさんの訃報(ふほう)はコロナの怖さを知らしめました。「追悼の番組なのに爆笑し」。やっぱり天才。

 「瀬戸際と言って検査もしない国」「病院減らせ職員減らせのツケがくる」。検査への不満は今に続きます。

 残念ながらデマも蔓延(まんえん)。「自粛警察」などと新語も流布されました。「人の目が監視カメラになる世かな」

 小さな発見もあった。「人生でいちばんきれい我が両手」「いまさらに手はあれこれとよく触り」
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 「日銭にてやってる店の多いこと」。なのに「スピードを上げるじゃなくてスピード感」。「大抵は『まったく当たらぬ』当たってる」「『なのだろう』と他人事(ひとごと)みたいに言う首相」。この政権の言語感覚は異様といっていい。「『丁寧に』首相言霊(ことだま)穢(けが)しけり」

 「賭けマージャンまさかという坂転げ落ち」。黒川弘務・東京高検検事長(当時)とのマージャンには朝日新聞の記者(元)も加わっていました。

 「賭けるなら記者魂を距離保ち」。読者からの叱責(しっせき)句が、いくつも。

 「経産省トリクルダウンと胸を張り」「話作って記録作らず」「政商と癒着持続化給付金」。政商とは〈政府や政治家と特殊な関係をもって、利権を得ている商人〉(広辞苑)のこと。

 検察庁法改正案を巡り、首相は野党に火事場泥棒と呼ばれました。6月17日国会閉会。「長居は無用と火事場泥棒」「これで総理も夜の会食」

 安倍首相はすぐに自粛を解きます。「お二階のご機嫌をとる大家さん」
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 「おしどりに別れもさせぬ冷酷さ」(岡江久美子さん)、「持病持つ者に恐怖の力士の死」(勝武士〈しょうぶし〉さん)。

 コロナ禍とは別ですが、ほかにも、多くの人が亡くなりました。たとえば「早撃ちを真似(まね)て得意の幼き日」(宍戸錠さん)、「令和まで続く昭和の子守唄」(梓みちよさん)、「名女房 良き女房待つ天国へ」(野村克也さん)、「尾道の坂にそぼ降る涙雨」(大林宣彦さん)、「浮浪雲(はぐれぐも)我が身を重ね懐かしむ」(ジョージ秋山さん)、「花の種蒔(ま)いて蒔いても花咲かず」(横田滋さん)。ご冥福を祈ります。
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 パンドラは開けたふたをあわてて閉じました。箱には一つだけ、「希望」が残ったと神話は伝えます。

 「畑仕事マスク着けずに出来る幸」
 (「朝日川柳」選者)」(2020/06/28付「朝日新聞」p8より)

まあ、今年の前半は何から何までひどかった。世界もそうだし、日本の政界も、もちろんコロナも・・・

それにしても、ボルトン氏によるトランプ暴露本の話は面白い。ほとんどが真実なのだろう。
昨日、本屋に行ったら、「女帝 小池百合子」という本がたくさん平置きされていた。
もちろん読んではいないが、残念なことに「安倍晋三」の暴露本が無い。
そんな本を書けば、干されるのが分かっているので書けないのだろうが、誰かがボルトン流で書いたら、さぞ面白かろう。

一方、コロナ禍は、一過性で無いのが怖い。時間が経てば終わる、という物でもないらしい。半年後、「令和落首考 2020年後半」で、それがどのように歌われているのか・・・

とにかく、めったに体験出来ない相手なので、人類がどのようにコロナと対峙し、退治するのか、じっくりと見極めよう。そして半年後に、川柳で笑い飛ばしていることを期待しよう・・・!

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