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2020年6月 2日 (火)

中島信子著「八月のひかり」を読む

先日、「児童文学作家・中島信子さんの話「"心の痛み"と生きる」」(ここ)という記事を書いた。

この番組で紹介されていた中島信子さんの「八月のひかり」を、珍しく読む気になって通販に注文していた。それが届いたので、早速読んでみた。これはその感想である。

Amazonの紹介にはこうある。
「八月、夏休み。
五年生の美貴は、働くお母さんのかわりに料理や洗たくをして、毎日を家ですごしていた。
美貴には、夏休みに遊ぶような仲良しの友達はいない。学校でも、だれとも友達になりたくないと思っていた。
それには理由があって……。
現代の子どもを取り巻く問題と、子ども自身の繊細な気持ちを深く描き出した、傑作児童文学。」

そして、昨年の8月に朝日新聞にも紹介があったようだ。
貧しい母子家庭、給食のない夏休みをどう過ごす? 中島信子さんの児童文学「八月のひかり」

 8月6日に始まり、14日に終わる物語だ。テーマは戦争ではない。中島信子さんの『八月のひかり』(汐文社)は、現代の貧しい母子家庭の夏休みを描く、異色の児童文学だ。
200602hachigatsunohikari  小学2年生の勇希は水道代を節約し、お風呂の代わりに学校のプールのシャワーで体を洗う。5年生の姉・美貴は、母がスーパーに出勤して不在の昼、焼きそばを1玉だけ調理し、弟と分け合う。
 子どもの7人にひとりが貧困状態といわれる。「今でも学校給食で生きている子がいっぱいいる。空腹との戦いという意味では戦中戦後と変わらない」と1947年生まれの中島さん。
 ただ、現代ならではの子どものつらさに目を向けた。「私たちは、みんな当たり前に貧しかったけれど、お金さえあればなんでも手に入る世の中で、何も買えない子どもはいったいどうすればいいのか」
 執筆にあたり、学校給食のない期間、ひとり親家庭を支援するフードバンクに取材を重ねた。「見せない貧困」という言葉が印象に残った。貧しいといじめにあう。だから「普通」のふりをしなければいけない。美貴は、学校には「会いたくない友達」しかいない。
 弱い体にむち打って働く母親の代わりに、美貴は懸命に家事をこなす。支え合う家族はあくまで美しく、ひたむきに描かれる。だからこそ、かなしい。
 「日本は一見平和で、東京五輪に向かって突き進んでいるけれど、悩みを抱えた子どもたちがたくさんいる。それを大人にわかってほしいんです」(興野優平)=朝日新聞2019年8月14日掲載」ここより)

本の最後のページに、この一文が慄然と立っていた。
「現代の日本では、十七歳以下の子どもの七人に一人、およそ270万人が貧困状態にあります。」

話は変わるが先日(2020/05/29)の朝日新聞にこんな記事があった。
離婚に「クーリングオフ」導入 衝動的なけんか別れ、法で防止へ 中国
 中国の全国人民代表大会で28日、「離婚のクーリングオフ制度」の導入が決まった。離婚率が上昇を続けるなか、けんかなどに伴う衝動的な別れを防ぐのが目的だ。関連の規定は、この日成立した民事関連の法令集に盛り込まれており、来年から離婚届の提出後60日以内なら取り消しが可能になる。

 中国では、夫婦双方の合意があれば役所に届けるだけで離婚が成立する。新設の制度はこうした合意のある離婚が対象だ。離婚届の提出後30日以内なら、夫婦の一方の意思で取り下げられる。さらに、60日以内に夫婦双方が役場を訪ねて離婚証明書の発行を申請しなければ、離婚が取り消されるとしている。

 中国民政省によると、1千人当たりの離婚件数を表す「離婚率」は過去20年で3倍以上に伸びている。2018年は3.2件で、同年の日本の約2倍の高さだった。

 制度導入に向けた議論では、近年の傾向として、ささいなけんかを機に衝動的に別れる「閃(ひらめ)き離婚」の割合の高さが指摘された。12年から離婚の届け出に、1週間前の「事前予約」を求めている浙江省慈渓市では、予約した夫婦の4割が届け出の当日までに予約を取り消しているという。(武漢=平井良和)」(2020/05/29付「朝日新聞」p9より)

言うまでも無く、片親で子どもを育てるのは大変だ。死別、離婚を問わず、片親家庭の貧困は、子どもの不幸を招く。それが、子どもの7人に1人が貧困にあえいでいるとは・・・。

上の、中国の“離婚のクーリングオフ”とは面白い。衝撃的に離婚届を出してしまって後悔する例は、日本ではどの位あるのだろう・・・
その裏には、子どもの不幸な人生が横たわっているというのに・・・

とにかく、両親には子どもをちゃんと育てる義務がある。それには、キチンとした家庭を維持することが責務。
それには家族全員の健康維持もあるだろうし、精神的なつながりも当然ある。それに対して、どれだけ努力しているか。子どもさえ居なければ、夫婦は勝手にすれば良い。自業自得なので。しかし、子どもが居た時には、子どもに対する責任を最優先に考えるべきだろう。
この物語には、放蕩の父親が出てくる。そんな父親を、母親が結婚前に見抜けなかった責任もある。
とにかく子どもたちを飢えさせないため、子どもが出来たら、離婚などもってのほか。両親は生んだ子どものために、家庭円満を必死に心掛けるべきであろう思った。


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