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2020年2月11日 (火)

「アリとともに生きる虫」昆虫学者・小松貴氏の話

NHKラジオ第2で放送されている「カルチャーラジオ 科学と人間」は、知的好奇心を満たしてくれる貴重な番組。20年1月からのシリーズは「虫たちの不思議な世界」で、昆虫学者・小松貴氏の話である。

今日取り上げたいのは、第4回「アリとともに生きる」(2020/01/31放送)である。
NHKのHPにはこう解説がある。
「虫たちの不思議な世界」(4)アリとともに生きる 昆虫学者…小松貴
アリの巣にはアリ以外の生物も多く住んでおり「好蟻性生物」と言われています。動物、植物、ウィルスなど多様な生物がいて、昆虫だけでも1万種近くにのぼるとされます。好蟻性生物はアリとどのようにかかわって生きているのか、またアリの生態や特徴なども詳しくお伝えします。」(NHKのここより)

<「虫たちの不思議な世界」(4)アリとともに生きる 昆虫学者…小松貴>

面白かったのは、21分頃の「フサヒゲサシガメ」の話。氏がどうしても見付けたいというこの幻の虫。公式な発見記録は1989年に岡山県で1匹取られたのが最後。しかし、2017年と2019年に、SNS上に、「この虫は何か?」と生きた「フサヒゲサシガメ」の写真をアップロード。これで虫仲間ではお祭り騒ぎ。しかし逃げてしまったので公式記録とはならなかったとか。

200211komatsu ふと、その記事をググってみた。するとこんなページが見付かった(ここ)。
なるほど、一般人が写真を撮ってアップしている。しかしこの虫の重要性を知らないため、虫は悠々と逃げて・・・

そして小松さんはこんな熱弁を奮っていたので、つい笑ってしまった。
「私は残りの人生をかけてフサヒゲサシガメを再び発見したいと思っています。そして日本のフサヒゲサシガメも海外にいる種類同様、アリを眠らせて捕まえるかどうかをこの目でどうしても確かめたい。そのためにはどうにかして私が一番乗りせねばなりません。近年のフサヒゲサシガメ騒ぎで分かったのは、この世の中にはフサヒゲサシガメを捕まえようと狙うライバルどもが相当数いるらしいということ。しかし世の中の虫マニア連中は他にも欲しい虫は幾らでもいてフサヒゲサシガメは単にその一つに過ぎない。私は違います。かれこれ十数年、日本のどこに行っても常にこの虫を探し続けています。私にとってフサヒゲサシガメは唯一無二であって、他に取って替えられる虫などいません。そんな私が、凡客の虫マニア連中ごときに先を越されるなど、あってはならない私が全ての虫マニアに先駆けてフサヒゲサシガメに再会します。というよりも、もしその辺で6ミリ位のヒゲと足が毛もじゃの茶色っぽい虫がいたら、他でも無くまず私めにお知らせ下さい。地獄の果てからでも点滴を打ちながらでも直ぐに駆け付けます。そして3日以内には、必ずやその捕食の生態を明らかにして見せましょう。」

それにしても、子どもの頃から大好きだった虫。それを追うことが仕事になっている幸せ。なかなか自分の趣味と仕事とは一致しない。
人によっては、趣味と仕事が一緒だと楽しめない、と分ける人もいる。

しかし、氏のフサヒゲサシガメに対する愛情というか、執念には恐れ入る。
虫という虫は、全てが大嫌いな自分にとって、氏に発見の貢献をする事は有り得ないが、世の中はつくずく「蓼食う虫も好き好き」。
特に、ゲジゲジとゴキブリが大嫌いな自分が、何と今日は虫の話をしている・・・!?

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