NHK SP「認知症の第一人者が認知症になった」長谷川和夫を見て
珍しく、カミさんが「見るぞ!見るぞ!」と言っていた番組があった。それがNHK SP「認知症の第一人者が認知症になった」(2020/01/11放送。2020/01/16 AM0:55再放送)。
NHKのHPにはこう紹介がある。
「認知症の第一人者が認知症になった
“君自身が認知症になって初めて君の研究は完成する”かつての先輩医師の言葉を胸に、自ら認知症であるという重い事実を公表した医師がいる。認知症医療の第一人者、長谷川和夫さん(90)。「長谷川式」と呼ばれる早期診断の検査指標を開発、「痴呆」という呼称を「認知症」に変え るなど、人生を認知症医療に捧げてきた医師だ。NHKはこの1年、長谷川さんとその家族の姿を記録し続けてきた。認知症専門医が認知症になったという現実をどう受け入れ、何に気づくのか。カメラには、当事者としての不安、家族の葛藤…その一方、専門医ならではの初めての気づきも記録されている。認知症になったら、不確かな状態がずっと続くと思っていたが、正常な状態も確かに存在するということ。言葉が分からくなって話せないのではなく、「自分の言葉」に自信がなくなり、殻に閉じこもってしまうということ。確かさを取り戻すためには、他者との絆が重要であること…。
人生100年時代を迎え、誰もが認知症になりうる時代。長谷川さんが気づいた新たなメッセージを届け、認知症新時代を生き抜くための「手がかり」と「希望」を紡ぐ。」(NHKのここより)
番組を見ていて、気になった部分をメモしてみる。
(ナレーション)そして今、認知症になった夫を支える日々。それはようやく訪れた夫婦2人だけの時間でもありました。
(奥さん)「とにかくあまり嫌な思い出を作らないようにしようと思いますよ。また上の空に行って「あの時は」なんていうことになると困るから。「のんびりできてよかったね」くらい言えるようにね」(18分過ぎ)
(ナレーション)長谷川さんは日帰りでさまざまな介護を受けられるデイサービスに通うようになっていました。妻瑞子さんの負担を減らすためでした。実は長谷川さんはおよそ40年前、認知症のデイサービスうぃ提唱し実践した一人です。家族の負担を減らし認知症の人の精神機能を活発化させる。利用者が一緒に楽しめる場所の重要性を訴え続けてきました。
利用者全員で行うゲームに参加することになった長谷川さん。しかし、この日笑顔はありませんでした。
「医者のときはデイサービスに行ったらどうですか。そういうことしか言えなかったよね。少なくとも介護している家族の負担を軽くするためにも非常にいいいだろう。素朴な考えしか持っていなかったよ。何がしたいですか?何がしたくないですか?そこから出発してもらいたい。ひとりぼっちなんだ俺、あそこに行っても」
かつて自ら提唱したデイサービス。そこで感じた孤独。
(娘さん)「あのさ、デイケアさ、あしたでやめるんでしょ?」もう嫌になったらしいんですよ。
「あんまり行きたくないけどね」「行ってもつまんないの?」「そう」「でも自分が聖マリアンナ(病院)で始めたことでしょ、デイサービスって。家族のためにもデイサービスを始めた方がいいって。「そうだね、デイサービスに行けば、瑞子の負担が軽くなるのは確かだからさ」「でもやめちゃうの?またおばあちゃん大変じゃない。それについては?」「しょうがない」・・・(29分過ぎ)
(まりさんは、けがで家に引きこもりがちにならないよう、長谷川さんを外に連れ出すようになりました)「私と一緒のときは手をつなげるから、つえのほうがいいね」「まりがいてくれるから助かるわ」「でもちょっとうるさい時あるでしょ」「そりゃあるけど」・・・(39分過ぎ)
「夢と現実との間の境目がよくわからなくて、夢の中のことが現実に起こっている気がしてはっきりしないことがある」
(今後に備え、長谷川さんは、有料老人ホームの利用を考え始めていました。2泊3日の体験宿泊です。「我慢。早く帰りたい」と漏らす長谷川さん。ある思いを何度も口にしました。「ここにいるよりもごちゃごちゃしている俺の戦場に帰りたい。戦場に帰って自分で闘いたい。自分の戦いを」「帰ってきたよ」(妻)「もっとごゆっくりなさればいいのに(笑)」
帰宅して真っ先に向かったのは論文を書き続けてきた書斎でした。「ここへ来ると落ち着くんだ」・・・(41分過ぎ)
1日の終わりに必ず伝える言葉ができた。「ありがとね瑞子」「ありがとう」「(妻)ハハハ・・・」
認知症とは何か。長谷川さんは今、こう言います。「余分なものがはぎとられちゃうわけだよね。認知症になると。(認知症は)よくできているよ。心配はあるけども。心配する気付きがないからさ。神様が用意してくれた一つの救い」・・・(46分過ぎ)
ふと自分にあてはめてみた。そして悟った!?
・自分もデイサービスは無理だな。
・手をつないで介護してくれる娘がいなかったのは残念。
・自分も有料老人ホームの利用は無理だな。しかし一人で生活が出来なくなった時は・・・
・実際に死に向かっているときは、意外と鈍感になって怖くないのかも・・・
6年前に、老人ホームで亡くなったお袋は、「(老人ホームにいると)何もする事が無いのでぼけてしまう」と言っていた。毎日、する事があるのは大事・・・
さて長谷川和夫さんについては、前に「「だいじょうぶだよ―ぼくのおばあちゃん」~長谷川和夫氏の話」(2018/12/07ここ)という記事を書いた。
認知症が進んでいる状態でも、講演活動など、認知症について自らの体験を発信をされている。
認知症が進んでも人の前で講演が出来るのは、長年の蓄積か?
我々もいつ後を追うか分からない。歳をとることは、周囲に迷惑を掛けること。耄碌とはかくも大変な事・・・
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