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2020年1月 8日 (水)

芸能人の薬物逮捕とその作品

今朝(2020/01/08)の朝日新聞の声の欄に、こんな話があった。
(声)どう思いますか)薬物と芸能作品
 芸能人が薬物関連の容疑で逮捕される度に、出演作の上映や放映が中止され、過去の作品が回収されることが、近年、恒例になりました。今年はその余波で、NHK大河ドラマの放映開始が2週間、遅れます。
 昔は違いました。例えば1980年代の人気歌手、故・尾崎豊さんは、薬物使用で有罪判決でもCDの回収は無し。逮捕の約半年後に新曲も出ました。
 本人が法的に裁かれるのは当然ですが、作品はどう、扱われるべきでしょうか。
 「作品は作者と別」の声と共に、割り切れない思いのご投稿も。芸能とテレビの歴史に詳しい立命館大の飯田豊・准教授(メディア論)と考えます。

 ■作品すら否定は「臭いものに蓋」
 経営コンサルタント 男性(東京都 69)
 過去1年を振り返ると、NHK大河ドラマに関係する俳優2人が、麻薬取締法違反容疑で逮捕された。双方とも撮影・放映が中止され、巨額の損害賠償が話題を大きくしている。
 私はNHKの放映中止、撮影し直しという方針に反対である。俳優が薬物に手を出すこと自体は、他の薬物犯罪者と何ら変わるものではなく、犯罪だ。しかし、罪を犯した者が作り出すものは、別物であろう。
 例えば、今年の大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」で沢尻エリカ氏が演じ、生みだしたものは、沢尻氏本人の姿ではなく、織田信長の正妻「濃姫」である。濃姫を処罰する必要はない。これまで撮影した分はそのまま放映し、その後の部分は新たな役者で撮影し、放映すればよいだけだ。
 薬物問題は当人の問題として、粛々と法的に処理すればよい。「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」では、単なる「臭いものに蓋(ふた)」の思考停止にならないか。

 ■「ドーピング」は芸術でもダメだ
 無職 女性(岐阜県 70)
 今年の大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の放送開始が、出演俳優が麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたことを受け、2週間延期された。残念だが、やむを得ない措置と思っている。
 くしくも延期発表前日の昨年11月25日、ロシアの国家ぐるみのドーピング問題で進展があった。世界反ドーピング機関が、ロシア選手団を五輪など主要大会から4年間除外する制裁案を発表したのだ。「無実」を証明できた選手のみ一個人として出場できる。その後、案は正式に認められたが、真っ当な判断だと思う。
 俳優の場合、薬物使用が演技の質を向上させたかどうかは分からない。ただ、ルール違反の薬物を使用した点は、ドーピングと共通している。
 薬物について、芸術には寛容でスポーツにはルール厳守を求める機運が、社会にはありそうだ。しかし、どちらも違反を許してはいけない。芸能関係者はことの重大さを肝に銘じて欲しい。

 ■放映はダメ、でも作品は残して
 警備員 男性(愛知県 49)
 薬物問題で逮捕された芸能人が出演する映画の劇場公開やドラマ、CMのテレビ放映は、中止すべきだ。罪に問われた者を公共の場に堂々と登場させるのは、青少年の教育上よろしくない。大人の視聴者からもいぶかられるだろう。
 他方、薬物犯罪者の作品を後世に残すべきかどうかは意見が分かれそうだ。
 過去には太宰治らのように薬物に依存した文豪もいた。近年も、薬物関連で逮捕されたヒット歌手はいる。
 彼らの文章表現や演技、メロディーは、薬物の影響下で生まれたのか。ファンには気になるところだし、作品を残す可否にも関係するかもしれない。
 一方で、私は個人的に太宰が大好きだし、逮捕された中にも大好きな歌手はいる。それらの作品が永遠に失われるのはつらいことだ。
 作品はあくまでモノ。作り出した者の許されざる個人的行為とは別に、評価されても良いのではないか。

 ■表現者にもっと思いはせたい
 主婦(静岡県 40)
 私たち凡人が、現実にうんざりしたり、心が疲れたりしたときに頼るのが芸術作品だ。時に音楽を聴き、映画を鑑賞し、絵画を鑑賞して、作品を生活の彩りに利用する。そしてまた元気になり、現実世界に戻って来られるようになる。
 いつも思う。
 そうした作品を生むことは、我が身をすり減らしながらの作業のはず。表現者とは、傷つきながら自分をさらけ出し、生きる人たちだろう。そして、器用な私たち凡人は必要な時に彼らの苦しみをうまく消費するだけで、感謝にまで思いが至っていないのではないか。
 罪への罰を人の属性によって変えることは出来ない。だが表現者に対し、もう少しの敬意と愛を持てないだろうか。
 警察沙汰になった途端に同情や否定を語り、彼らの人生すら消費する社会。日々、当たり前に享受している作品が、どんな人間のどんな犠牲で成り立っているのかを、もっと想像すべきだと思う。

 ◆「その人だけの作品?」考えたい
 芸能とテレビ史に詳しい飯田豊さん CD回収までの徹底した「薬物対応」は1999年が初でその後、一般化したとみられています。
 90年代、音楽業界とテレビ局が提携して歌手を売り出す方式が一般化。同じ頃、テレビ局のコンプライアンス意識や自主規制が強まりました。不祥事を起こした芸能人を使えず、音楽業界も同調。そんな状況だったのでしょう。
 2000年代、CDの売り上げ減で業界は再編。音楽の制作・販売に加えてマネジメントも集約化され、一アーティストの活動の大半をグループ企業で担う時代に。ネットの普及が批判的な世論を促し、リスクを嫌う企業はコトが起これば活動自粛を即断、一気に作品が市場から消える体制になります。
 ただそれは、作品に触れたい人々の自由を奪います。テレビ放送はまだしも、DVDやCDまでなくすのは正当でしょうか。
 そして、音楽もドラマも、芸能人ひとりでは作れません。多くのスタッフが協力して生み出した作品を、出演者1人の不祥事で抹消することが本当に正しいのか。多くの人に考えて頂きたい課題です。」(2020/01/08付「朝日新聞」p14より)

自分は、芸能人・音楽家などの「人」と、その人たちから生み出された芸術作品は別人格のような気がしてならない。つまり、音楽家によって作り出されたCDは、音楽家から飛び立った別人格。会社などが法人であるように・・・
よって、作った音楽家がその後どうなろうとも、既に世に出た作品はその影響を受けない。別人格だから・・・。と思う。
だから、NHKの大河ドラマの作り直しの動きなどは、失笑を禁じ得ない。

過去にも、逮捕されて、その後も活躍している有名人は多い。Netでググると、こんな記事が見付かった。

「【黒歴史】逮捕歴のある意外な有名人15選! あの有名人も過去に逮捕されていた

1. 井上陽水(大麻取締法違反)
大物ミュージシャンの井上陽水さんは1977年に大麻所持容疑で逮捕されたことがあります。井上陽水さんはお酒が飲めないため、かわりにマリファナを吸ってくつろいだと自供したそうです。懲役8ヶ月、執行猶予2年の判決を受けました。

2. 研ナオコ(大麻取締法違反)
同じく大物ミュージシャンの研ナオコさんも1977年に大麻取締法違反で逮捕され、半年間活動自粛しました。

3. 美川憲一(大麻取締法違反2回)
美川憲一さんは1977年に大麻取締法違反で逮捕、さらに1984年にももう一度大麻取締法違反で逮捕され、懲役1年6ヶ月、執行猶予4年の判決を受けました。

4. 錦野旦(大麻取締法違反)
スターと呼ばれたミュージシャンの錦野旦さんも1977年に大麻取締法違反で逮捕されています。ここまでの有名ミュージシャンの4名はいずれも1977年に逮捕をされているわけですね。

5. デヴィ夫人(傷害)
1992年にアメリカのコロラド州で元フィリピン大統領の孫娘の顔面をシャンパングラスで殴り、37針縫う大けがを負わせたとして傷害罪で逮捕されています。禁固60日、罰金700ドルの実刑判決が出て、34日間収監されました。

6. 蛭子能収(賭博)
漫画家・タレントの蛭子能収さんは1998年に麻雀賭博の現行犯で逮捕され、4ヶ月活動自粛となりました。この逮捕に際して「もうギャンブルは一生しません。賭けてもいいです」とコメントしたという話があるようです。

7. 板尾創路(淫行)
お笑いタレントの板尾創路さんは1994年に14歳の女子中学生との淫行に及んだとして逮捕されています。淫行での逮捕は同じく吉本興業所属だった山本圭壱一さんが即解雇されるなど重い処分を受け、長きに渡ってテレビに復帰もできませんでしたが、板尾創路さんは解雇には至らず、罰金30万円の処分を受けました。

8. 江頭2:50(わいせつ物陳列罪)
全裸パフォーマンスなど、過激な芸風で人気の江頭2:50さんですが、トルコで全裸パフォーマンスを披露した際にわいせつ物陳列罪で逮捕されてしまったことがあります。罰金の支払いのみで釈放となりましたが、その金額は当時の日本円にしてわずか75円でした。

9. 草彅剛(公然わいせつ罪)
国民的アイドルグループ・SMAPの草なぎ剛さんも逮捕歴があります。2009年に東京・赤坂で泥酔して全裸で騒いでしまい、公然わいせつ罪の現行犯で逮捕されています。起訴猶予処分となり、約1ヶ月の活動自粛後に『SMAP×SMAP』の収録で復帰しました。

10. 掛布雅之(酒気帯び運転)
ミスタータイガースと呼ばれた元プロ野球選手の掛布雅之さんは、現役晩年の1987年の開幕前に飲酒運転で逮捕されてしまいます。前年は極度の打撃不振に陥ってしまい、復活を期したシーズンでしたが逮捕が尾を引いたのかこの年も不振が続いてしまい、翌年には引退となりました。

11. 坂上忍(酒気帯び運転・器物破損)
タレントとして活躍する坂上忍さんですが、1995年に飲酒運転をして道路わきの電柱に衝突。逃走を図りましたがパトカーに追跡され、現行犯逮捕されました。

12. YOSHIKI(酒気帯び運転・スピード違反)
X JAPANのドラマーであるYOSHIKIさんは1994年にアメリカのロサンゼルスで、飲酒運転とスピード違反により逮捕されています。1日のみ収監され、1000ドルの罰金を支払いました。

13. 島袋光年(児童買春禁止法違反2回)
人気漫画「トリコ」の作者である島袋光年さんは2002年に児童買春禁止法違反で逮捕され、起訴された翌日に再び児童買春禁止法違反で逮捕されています。同じく人気漫画「世紀末リーダー伝 たけし!」の連載中の事件だったため、連載は未完結のまま打ち切りとなり、単行本は絶版となってしまいました。

14. 稲垣吾郎(公務執行妨害・道路交通法違反)
国民的アイドルグループ・SMAPの稲垣吾郎さんも2001年に逮捕されたことがあります。駐車違反を取り締まられている最中に車を急発進して現行犯逮捕となり、その後約5ヶ月間は活動を自粛しました。

15. 尾崎豊(覚せい剤取締法違反)
「15の夜」などのヒットで知られる伝説のミュージシャン・尾崎豊さんも1987年に覚せい剤取締法違反で逮捕されました。勘違いされやすいのは、窃盗容疑ではなく覚せい剤取締法違反での逮捕だということです。盗んだバイクで走りだしたのはあくまで歌詞であって、実体験というわけではありません。」ここより)

例えば、もし井上陽水がピエール瀧(ここ)や沢尻エリカのように、人だけでなく、それまでに世に出された作品群までもが抹殺されていたら、と思うとゾッとする。
百歩退いて、逮捕された1977年以降は干されたとしたら、世には「断絶」「陽水II センチメンタル」「氷の世界」「二色の独楽」「招待状のないショー」の5作品しか出なかったことになる。wikiにある、その後の14アルバムは世に存在しなかった!?

上に挙げられた俳優など有名人も同じ。その後の活躍を見るに、抹殺するには惜しい。

もちろん違法は悪い。しかし、「その後」の復活を認める器量も大事。
本人の努力次第で復活出来る道もある、という温かな日本でありたいもの。

(関連記事)
ピエール瀧の作品の自粛に思う 


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