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2019年12月29日 (日)

「令和落首考 2019年後半」

前に挙げてから、もう半年も経った。例の落首考の話である。
今朝の朝日新聞。
令和落首考 2019年後半 西木空人
 川柳の始まりは、江戸期の「前句付(まえくづけ)」でした。選者が、たとえば「斬りたくもあり斬りたくもなし」といった七七の前句を出す。投句者はこれに、五七五の句を付けます。「盗人を捕らえてみれば我が子なり」などと。
 時代が下ると、付句(つけく)と呼ばれる五七五だけが独立して作句、鑑賞されるようになりました。この文芸が「川柳」と名付けられたのは、明治中期から後期のことです。
      × × ×
 「朝日川柳」も毎月、前句ならぬ「課題」を出題しています。12月の課題は「令和元年」でした。
 「延々と万歳してた八カ月」。そう、次から次でしたね。「めでたさもバンザイ連呼に呆(あき)れ果て」
 「『被災地』の文字があふれたまま師走」。日本は風水害列島と化した。7月初め「九州ばかり何故(なぜ)に大雨」と埼玉の川柳子が気遣いましたが、9月、15号に襲われた千葉から「三日間断水停電投句不可」と悲痛な投句。「老い一人ブルーシートの屋根仰ぐ」は茨城発です。
 「会心作『令和元年のフットボール』」というのもあった。ラグビーW杯における日本代表の健闘で、みなみな、にわかファンになりました。「石鹸(せっけん)が滑って思わず『ノックオン』」
      × × ×
 「今年の漢字」は「令」でした。「朝日川柳」が選ぶなら「桜」でしょうか。「一字から万事が見える桜かな」。桜を見る会をめぐるグチャグチャに、安倍政権の本質が透けて見えます。モリカケ以上に、はっきりと。
 「血税で夫婦がもてなす花の宴」。「正体を明かせぬ人を招待し」、おかしいと追及されると「来年を止(や)めて蓋(ふた)する姑息(こそく)な手」に出る。問題の招待名簿は「遅滞なく廃棄するほどヤバイもの」らしく、あげく「シュレッダーも廃棄しましたと言いかねぬ」。
 桜より大事な国会論議があるだろう、と主張する論者がいます。しかし「この国は『隠す』と『捨てる』で日が暮れる」。それで、いいはずがない。まず、桜の根っこを掘り起こすべきでしょう。「あいにくと川柳はせぬ年忘れ」。この句に、相選者の山丘春朗は「しつこいのだ」と書き添えました。
      × × ×
 「安倍さんを誉(ほ)めて入選至難なり」。選者は「そうかなあ」ととぼけましたが、触発されて以下を記します。実は6年前の本欄でも扱った題材ですが、今も、いえ今こそ大事なことと考え、一部を補足し、あえて繰り返します。
 江戸川柳に「役人の子はにぎにぎをよく覚え」。川柳の古典「誹風柳多留(はいふうやなぎだる)」初巻に載りました。前句は「運のよい事運のよい事」。
 のちに側用人になった田沼意次は、莫大な賄賂を取っていました。上に倣い、役人の収賄は当たり前という風潮。民衆はそうした役得を羨んでもいた。「役人の子」は、だから、体制批判の皮肉を込めつつも「運がよければ」なりたい憧れでもありました。
 ところが、田沼が失脚すると一転、贈収賄の取り締まりは厳格に。この句は、結果として予期以上の毒を含むことになり、後世まで記憶される名作となりました。
      × × ×
 「大勢の『なつ』よさぞかし無念だろ」京アニ放火。「お互いにブラック国と呼ぶ不幸」日韓。「唐土(もろこし)が買わぬ蜀黍(もろこし)買わされる」米の押し売りに応じる日本。「人の傘見えぬ戦車を追い払う」香港のデモ。「進みすぎ退路を断たれないように」は安保世代の老婆心。「無罪だと だったら誰が責任者」原発事故で東電元幹部に判決。
 「本気の少女 ポエムの小泉」グレタさんと環境相。「貢献度抜群のアベ引退す」巨人の。「令和初増税だけは何故言わぬ」消費税。「高級なスーツ仕立てて汚名着る」関電幹部。「『夢だらけ』どころかかんぽ『嘘(うそ)だらけ』」
 「難民が最も悼むSADAKOの訃(ふ)」「赤ひげを撃ってどうする愚か者」。緒方貞子さんと中村哲さんの死。
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 「役人の子はにぎにぎをよく覚え」は、のちに「柳多留」から削除されたとか。痛烈な体制批判ゆえに、編者が忖度(そんたく)し、自粛した、とは「朝日川柳」初代選者神田忙人の解説です。
 本年最後の入選句。「スマホ手に御節(おせち)つついて静かなり」(大阪府 三崎伴子)。みなさま、どうぞよいお年を。(「朝日川柳」選者)」(2019/12/29付「朝日新聞」p7より)

読んでいて、実に味がある一文である。
江戸川柳だという「役人の子はにぎにぎをよく覚え」をググってみた。するとこんな解説が・・・
「「にぎにぎ」とは、手を握ったり開いたり(緩めるだけの時もある)動作で乳児が比較的早い時期に始める動作です。
物をつかむという動作の筋肉の使い方を自分で発見していく過程で現れると考えられます。
「にぎる(握る)」とは、江戸時代に役人がわいろを貰う事の隠語です。
よく時代劇で(必殺仕事人の中村主水がよくやりますが)、商売人が若干の違法行為を見逃してもらうために、わいろを渡すシーンがあります。
数両の小判を包んで周囲に見えないよう握り込み、役人の手に握らせて手渡します。
役人はすぐに袖の中に手を引き込んで、袖に落とし込みます。
わいろを袖の中に隠すので「袖の下」という言葉ができました。
役人の側から「袖の下」を要求する時、手のひらを握ったり開いたりする仕草で催促します。
この動作が「にぎにぎ」に似ているので、
「役人の子は、赤ん坊の頃から、わいろを求める仕草を早く憶える」
という意味のこの川柳ができました。」ここより)

IRの賄賂もひどいが、サクラはもっとひどい。
まさに、「のちに側用人になった田沼意次は、莫大な賄賂を取っていました。上に倣い、役人の収賄は当たり前という風潮。民衆はそうした役得を羨んでもいた。」の状態。
関西電力もそうだが、トップが賄賂を貰っているので、自分も・・・
国のトップが国民にウソをついて堂々としていられるのだから、自分も・・・

モリカケもひどかったが、今年はそれ以上にひどい。
「ところが、田沼が失脚すると一転、贈収賄の取り締まりは厳格に。」の再現を期待したい2020年である。


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コメント

本当にひどい一年としか言いようがありません。
自民の絶対多数の横暴、少々のことは
お詫びで済んでしまう。野党の分裂も
中々まとまらない。もう少し緊張の中での
政治でないと身が入らないのではないの
ではないでしょうか。抜本的な政策改革
(年金、福祉、予算など)をやらないと
この国は沈没してしまうのではないでしょうか
長期ビジョンの描ける政治家が出てきてほしい。

【エムズの片割れより】
本当に”誰でも良いので替わってくれ!”と思います。
誰に替わっても、少なくとも現在よりはマシになるのでは・・・と。

投稿: 寺島幸一 | 2019年12月30日 (月) 19:27

IRの計画に賛成している政治家を徹底的に調べることは出来ないのでしょうか。明らかに正しい経済活動ではないと分かっているのに、何故あれほど熱心に賛成しているのでしょうか。子供の教育に良くないような事を率先して進める政治家を私は信用できません。享楽で金持ちになった人を見たことがありません。家、土地などの財産を根こそぎ取られた人は何人か知っています。それも一晩で、です。国家がしてはいけない博打で金を儲けようとしているのは、明らかに間違っています。健全な社会ではなくなります。安倍さんに大事な事は、子供たちよりお金なのでしょうね。世も末ですね。

【エムズの片割れより】
何から何までメチャクチャな安倍政権。それが年が変わると、内閣支持率が上がっている世論調査もある・・・
「時間が経てば忘れるさ」となめられた国民が、その通りになっている。
情けないのは、我々国民なのかも・・・

投稿: 白萩 | 2020年1月13日 (月) 21:21

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