この国の浅さ・・・~商業捕鯨、身体障害者の雇用、そして“温暖な気候”でのマラソン
今日(2019/10/17)の朝日新聞夕刊を見ていたら、こんな記事があった。
「(取材考記)商業捕鯨31年ぶり再開 国費51億円、特別扱いの根拠は 大日向寛文
9日夕、自民党本部。31年ぶりに再開した商業捕鯨を盛り上げようと、鯨肉の試食会が開かれた。国会議員ら約230人を前に、「クジラのことなら最優先の街」とアピールする前田晋太郎・山口県下関市長。私は首をかしげた。
その5日前の朝、私は下関港の岸壁にいた。商業捕鯨を終え、3カ月ぶりに帰港する捕鯨船団の母船の出迎えを取材した。「さぞかし盛大な歓迎を受けるのだろう」との予想は裏切られた。集まったのは数十人で、半分以上が報道陣。前田市長の姿は無かった。
駆け付けた数少ない市関係者の一人が、鯨類研究室の石川創(はじめ)室長だ。「鯨塾」を毎月開き、捕鯨史を伝えてきた。だが、市はこの研究室を今年度末で閉める予定だ。
下関が捕鯨で栄えたのは1899年以降。近代捕鯨法を導入した会社の出張所ができてからだ。
江藤拓・農林水産相は「頑張って日本の食文化を守っていただきたい」と商業捕鯨にエールを送るが、本当に日本の伝統的な食文化と言えるかどうかは、怪しい。
和歌山県太地(たいじ)町のように古くからの捕鯨文化が受け継がれてきた地域は確かにある。だが、全国で広く鯨肉が食されたのは、終戦後の約20年の期間とされる。
鯨肉がみんなの大好物だったかどうかも、怪しい。1951年、東京都立衛生研究所が都内の小学生1万5千人に給食での肉の好みを尋ねたところ、「嫌い」が最多だったのは鯨肉(23.22%)だった。その後、豊かになった国民は、自ら牛肉や豚肉、鶏肉を選択し、鯨肉から離れていった。
11月に予定される天皇の代替わりに伴う大嘗祭(だいじょうさい)は、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る。五穀とはコメ、麦、アワ、豆、キビ。かつて庶民にとって高嶺(たかね)の花だったコメが余る幸せな時代だ。アワやキビを食卓に戻す運動は、寡聞にして知らない。
商業捕鯨は、独立採算が大前提のはず。だが政府は今年度、漁場調査などの名目で「調査捕鯨」時代と同じ51億円の国費を投じる。
これまで日本は、反捕鯨国に対して「なぜ鯨だけを特別視するのか」と反論してきた。商業捕鯨を再開した今、同じ問いが今度は自分たちに向けられることになる。(東京経済部)」(2019/10/17付「朝日新聞」夕刊p9より)
旧聞に属するが、世界を敵に回して捕鯨を再開する必要性があったのかどうか、はなはだ疑問。
そもそも鯨肉は、牛や豚肉の代替品でしか無かった。だから廃れた。それを何を今さら・・・。
大学1年の時(1966年)、大学の近くで間借りをした。つまり食事無し。いつも学校の帰り道で、定食屋に寄った。頼むのはいつも「鯨カツ」と「イカフライ」。これには、「鯨肉の天ぷら」と「イカの天ぷら」もあり、交替で頼んだ。つまり、トンカツは高価なので食べられなかっただけ。そんな鯨肉を今さら税金を付けて!?・・・なのである。
話は飛ぶが、さっきカミさんからこの言葉を聞いた。調べてみると1年も前の記事からだった。
「池澤夏樹さん。 「誰も言わないから言っておく。 官公庁がこぞって身体障害者の雇用数をごまかすような国にパラリンピックを開催する資格はない。」 2018/9/5「朝日新聞」夕刊 終わりと始まり より」
そして、今回の東京五輪のマラソンを札幌で開催、という話。
今朝のTV朝日のモーニングショーでの玉川さんの発言。スポーツ報知の記事によると、
「玉川徹氏、マラソン札幌開催検討で「ある意味ウソをついたことに…」五輪立候補ファイルに「温暖」の記述
17日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・前8時)では、国際オリンピック委員会(IOC)が16日に東京五輪の猛暑対策として陸上のマラソンと競歩を札幌開催に変更する案の検討に入ったと発表したことについて伝えた。 コメンテーターで出演の同局・玉川徹氏(56)は「なんでこんな事態になったのか、原点は何かと考えると、2013年の招致委員会の時の立候補ファイルというのがあるんです」と指摘。同ファイルの「理想的な日程」の項目を読み上げ「『この時季の天候は晴れる日が多く、かつ温暖である。アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である』と書かれている。これを世界に訴えて東京に招致したんです」と話した。
つづけて「温暖っていう言葉を辞書で引いたんですけど『あたたかい』なんですよ」とあきれたように言うと、羽鳥慎一アナウンサー(48)も「あたたかいじゃないですね『ものすごく暑い』ですね」と同調した。
玉川氏は「これを聞いて、今、日本人の中でその通りだって言える人が何人いるか。ある意味、ウソついたってことになるんじゃないでしょうか」と見解を示していた。」(2019/10/17付「スポーツ報知」ここより)
この「大会の全体的なコンセプト - Tokyo 2020」(ここ)という文書を覗いてみると、確かにその記述はあった。
まさに、目的を遂げるためには、世界に対してウソを付いてでも・・・と見える。
同番組で小林信也さんは「これは、僕は日本も東京もオリンピックも救われた決断なんじゃないかと思いますね。突然この時期、という意見もありますけど、夏を経験され、そしてドーハの世界陸上であれだけの棄権があって、この時期ならば恐らく多くの人たちが受け入れるという、ある意味、絶妙なタイミングではないかなと思いますね。」と指摘していたが、まったくその通り。
むしろ、日本側から先に札幌で、と言い出すべきだったのかも。もちろん、メンツ丸つぶれで言い出すわけは無いが・・・
でも世界は見ている。世界から見る合理性で、サマータイムの議論まで出ている日本のウソを・・・。誰も責任を取ろうとしない日本のウソを・・・。
確かに世界では独裁国家が林立して、独裁者が闊歩する時代に突入している。そして日本もまた、それを理想として追いかけているように見える。
何から何までデタラメな日本。今の子どもたちに、これらをどう説明するのだろう?「ウソをつくな」と誰が言えるのだろう。
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コメント
そうですね
嘘 嘘 嘘 の時代
嘘が 大手を振って歩く時代ですものね
次の世代に 嘘をどうつけば
生きやすいか を教えるのですかね
教育 倫理 道徳 経済
どれも ズタズタにされました
投稿: 能勢の赤ひげ | 2019年10月18日 (金) 20:59
大本営発表を持ち出すまでもなく、この国はウソで固められた国なんです。 そのことを反省するでもなく、上塗りを続ける安部政権、どうしたら良いのか?
投稿: 名無し | 2019年10月19日 (土) 12:24
嘘で思い出しましたが、かなり昔、牛肉の缶詰と偽って安い鯨肉を入れていたことがありましたね。かなり長い期間でした。私も騙されて食べていましたが、戦後すぐ学校給食で出た鯨肉は美味しくなかったですねぇ。それで騙されていたのです。笑い話にもなりません。
嘘、嘘、嘘で丸め込まれている私たちは、抜けているのでしょうか。加計、森友も嘘で固められていたのに、国民の税金を勝手に横流しした当の本人はお手てつないでご外遊されていました。いつまで岸、佐藤。と続く血筋の総理がこの国を思うままに引っ掻き回していくつもりでしょうか。こんなことを書くと「おい、こら」と警官が後ろに立つ国に戻りませんように願うばかりです。
【エムズの片割れより】
最近ビックリしたのが、関電のリベート問題。
役所なら即懲戒解雇の行動なのに、高給取りの幹部連中が、1億を超えるリベートを業者から貰っていたとは・・・絶句!
社員や顧客に、よく顔向けできますね。
詭弁が見苦しい・・・
しかも、経団連会長が、「友だちだからコメント出来ない」って。
何でこんなに腐った国になってしまったのでしょうね。
投稿: 白萩 | 2019年10月22日 (火) 14:34
先程NHKの番組で関西電力の不正の金の流れをみました。怒りより開いた口がそのままになりそうでした。驚きましたね。電気代も税金も払うのがバカバカしくなりますね。ピラミットの頂点にいた人の懐にはどれだけのお金が入っていたのか、なぜ国はそれを許していたのか、徹底的に国民に開示して貰いたいものです。うやむやにならない様に国民は見ていたいものです。本当に驚きました。
【エムズの片割れより】
自分も同じ番組を見ました。トップが業者からリベートを貰っていたのなら、社員も同じ事をしても良い事になります。
教師が、学校内でイジメをしていたら、子どもたちもイジメをしても良い事になります。
日本は腐ってきました。
投稿: 白萩 | 2019年10月23日 (水) 23:39