「電車内で大股開き」は注意する?
先日の朝日新聞の記事である。
「(声 どう思いますか)電車内で大股開き
■大股開き注意するとセクハラ?
主婦(埼玉県 71)
空(す)いたJRに乗車時のこと。席の向かい側で、スカートの制服姿の女子高生3人が座り、おしゃべりしていた。その1人に目をやり、びっくり! それ以上は開けないだろうというぐらいの大股開きで座っていたのだ。 彼女たちと同年代だった約60年前、学校や家庭で座る姿勢を教えられた記憶はない。それでも「ひざをそろえてくっつける」という「正しい座り方」は身についていた。
しかし彼女に「ひざをつけて座りなさい」なんて言ったら「女性差別、セクハラだ」と言われるかもしれない。「女性だって足を広げて座る権利はあるのでは」と。私の考え方は女性差別、セクハラになるのだろうか。(9月5日=要旨)
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■品のない姿、注意で気づき感謝
会社員 女性(神奈川県 43)
高校時代の経験を思い出しました。当時通っていた女子高の修学旅行で、札幌に行った時のことです。市内の地下鉄に友人数人と乗り、空(す)いていたので座っていつも通りおしゃべりに夢中になっていました。
すると前に座っていたご婦人が慌てた様子で私たちの方へ近づき、「足を閉じて座りなさい。見えているよ」とおっしゃいました。下着が見えるほどに足を開いて座っていたことに初めて気付き、恥ずかしくてすぐに座り直しました。
私は異性の目がない環境で「品」よりも「楽」な生活態度が身に付いてしまっていました。注意を受けなかったら、いつまで品のない姿をさらしていたのか。気付かせてくださったご婦人に大変、感謝しています。私の経験からすると、大股開きを注意してくださる方に「女性差別だ、セクハラだ」とは感じないのではないでしょうか。当時の私のような女子高生が少しでも減ることを願います。
■性別関係なくマナー違反では
塾講師 女性(京都府 47)
女性に限られた良識やたしなみという問題ではないと思います。状況から、下着が丸見えであったことが推察されます。女性であろうが男性であろうが、公共の場で下着を見せるのはマナー違反ではないでしょうか。
また別の問題として、混雑している車内で大股開きで座っていたなら、一人でも多くの乗客が座れるように足は閉じるべきでしょう。これも男性か女性かは関係ありません。もしズボンをはいた女性が空(す)いている車内で大股開きで座り、誰にも迷惑をかけていないなら、「はしたないから足を閉じなさい」と注意するのはそれこそ大きなお世話かもしれません。しかし、「下着が見えていますよ」「混んでいるから詰めて座りましょう」と注意するのはセクハラでも女性差別でもないでしょう。
ご投稿から察する限りの状況では、女性差別やセクハラの問題ではなく、公共の場でのマナーの問題だと思います。
■枠組みはめ込むと性差別にも
浪人生 男性(千葉県 18)
電車内での大股開きといった迷惑行為は、性別問わず注意すべきだと考えるし、注意できる人は素敵だと常々、思っている。とはいえ、空(す)いた車内だったら、目くじらを立てるほどではないかもしれない。
「男だから」「女なのに」などと単純な枠組みをはめ込もうとすると、時代に逆行し、性差別になり得る。そういう私も以前、女性の友人に冗談のつもりで「ちゃんと化粧してこいよ」と言ってしまったことがある。
その時、相手は笑い流して何も指摘しなかったが、思い返しては「あぁ、ステレオタイプのジェンダーロール(社会から期待され、求められる性別役割)を押しつけてしまった」と悔いる。
ひとくくりに規範を定めるのではなく、相手を一個人として認め、その上で本人の意思や選択を尊重したい。開いていた足を閉じることもしかり、化粧もしかり。これが自分なりに出した結論だ。
■逆に教えられることもある
無職 男性(熊本県 52)
一方的な短い注意ではなく、対話しながらだと、相手の心に残ると思います。例えば「私は性別関係なく注意するよ。スコットランドの民族衣装で男性用スカートもあるし」などと加えれば、セクハラにならないのでは。「その姿勢がくせになっちゃうと、シートに1人分、座れなくなるよね」などと「他者へ迷惑になる」ことをさりげなくアピールする手もあるでしょう。
2年前、自転車に乗っている女子高生たちが信号待ちしている時、私は「ごめんなさい、スカートの中が見えている」と伝えました。相手は友人と顔を見合わせ「今はほとんど全員、アンスコをはいてるんで、謝らなくていいですよ」「でも私たちじゃなかったら、エロおやじと思われたかも!」と朗らかに笑われました。下着は見られないように、スカートの下、下着の上にアンダースコートや短パンなどをはいているようです。注意しつつ、逆に教えられることもあります。
◆注意は言葉の花束にも
マナーコンサルタントの西出ひろ子さん
考え方や感じ方は人それぞれ。自分以外の全員を不快にする行為はNGですが、「車内で足を開いているより、足を組んで座る人や化粧する人の方が嫌」と思う人もいる。答えは一つではないのです。
注意されない振る舞いは大事。ポイントは「TPPPO」。Time、Person、Place、Position、Occasionで、時や相手、場所、当事者の立場や場合に応じて自分の言動を変える。それがマナーの神髄です。
注意する方は誤解されたり、嫌われたりするリスクもあるので、言い方や表情が重要です。「こうしなさい」と怖い顔で押しつけるより、「ごめんね、でも心配で」など「相手ファースト」の気持ちで伝えれば、納得されたり感謝されたりしやすくなります。注意された人は「自身のことを気付かせ、磨く機会をくれた」と前向きに。互いの気持ちのあり方で注意は「言葉の花束」にもなるのです。」(2019/10/09付「朝日新聞」P12より)
この記事が気になったのは、中学時代のある光景が目に浮かんだから。
中学の何年生の時かは忘れたが、社会科の授業の時、男の先生だったが、女生徒に対し、椅子に座る時はこう足を閉じて、両足を横に流して座りなさい。と自分で見本を見せて注意した。なぜかその光景を今でも覚えている。
実はその時、自分は何でそうするのか全く分かっていなかった。その時の女子中学生も、なぜそう指導されたか、何人が分かっていたか・・・
たぶん、教壇から見る女生徒の足が、大股開きだったのだろう。中年の男の先生は、それを見かねたのだろう。もちろんセクハラなどという言葉が無かった時代のことである。
でも、男である自分が何故か覚えている・・・。
しかし女性に注意できるのは、年配の女性だけだろう。男はとてもそんな勇気は無い。
視点を変えて、もし自分の孫娘が大股開きをしていたら、どう注意する?
やはり自分から直接注意することは無いだろう。婆さんかママに言って注意させる。でもママがその気が無いと、これはもうお手上げ。やはりこの手のエチケットは母親が教えるしか無い。母親の資質次第になるのだろう。
こんな光景も思い出した。バスで駅から帰ってきた時のこと、お爺さんが優先席で大股開きで足を通路に投げ出している若い男性に座り方を注意した。すると「うるせ~。このジジイ!」
それにもめげずにお爺さんは注意していたが・・・
これも自分にはたぶん出来ない。車内でケンカになるのが目に見えているから・・・
勉強よりも何よりも、社会のエチケットは、最低限親が子どもに教えること。しかし相手が他人であれ子どもであれ、メンツを潰されると、そしてまた、その指摘が当たっているほど、注意を受けた側は反感を持つもの。これは夫婦の間でも同じ。
他人を注意するということは、いつまで経っても至難の業なのである。
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コメント
かなり以前の事ですが、電車の中で私の前に座っていた短いスカートの女子高校生が2人、大股開きで、大声でギャーギャーさわいでいたのです。そのうちお弁当箱を開いて食べ始めました。脂っこい嫌な臭いが広がってきました。大声でしゃべりながら食べていました。スカートの中のパンツが見えます。見せられている私の方が恥ずかしくなってしまいました。その時は黙っていましたが、家に帰ってからその高校にメールを送りました。勉強以前に社会に出て恥ずかしくないしつけをされた方が良いのではないかと書きました。教頭先生から「有難うございました」と返事がきました。その高校に通っている近所の娘さんが「朝礼の時、先生から注意があった」と教えてくれました。娘が恥をかかない様にしつけは小さい時から親が教えておくべきでしょうね。恥をかくのは娘なのですから。最も大股開きのお母さんにも出会いますから学校でも教えた方が良いかと思います。
【エムズの片割れより】
学校が正常だったのは、救いでしたね。
投稿: 白萩 | 2019年10月16日 (水) 21:46