交通違反は死であがなうほどの重罪か?
またまたいやなニュースを目にした。
「青バイに追跡されたバイク、民家に突っ込む 男子高校生死亡
22日午後10時55分ごろ、大阪府東大阪市三ノ瀬の府道で、大阪府警の青バイに追跡されていた2人乗りのバイクが民家に突っ込んだ。この事故で、バイクに乗っていた大阪市東成区の男子高校生(16)が頭などを強く打って死亡し、同乗していた岸和田市の女子高校生(16)も重傷を負った。
大阪府警布施署によると、大阪市生野区小路東の交差点で、信号待ちをしていた青バイ2台が、前方の道路を蛇行運転で横切ろうとするバイクを発見した。青バイは停止を求めたが、バイクは逃走したため追跡。バイクは信号無視や一方通行を逆走しながら逃走していたが、約1キロ先の道路沿いにある民家の玄関に突っ込んだという。民家の住人にけがはなかった。
青バイを運転していたのは、府警第一方面機動警ら隊の男性警部補(42)と男性巡査長(26)。同隊の浅野明宏副隊長は「追跡行為は適正と考えているが、追跡された方が亡くなったことは大変残念」とコメントした。」(2019/05/23付「産経新聞」ここより)
こんな事件を目にする度に、イヤーな気分になる。
「青バイ」とは聞いたことが無かったが、「警察の取り締り用バイクといえば白バイですが、色は白だけではありません。たとえば、1997年に大阪府警が発足させたのが、ひったくり犯罪全国ワーストワンの返上するための「スカイブルー隊」。使用されるバイクは青色の「青バイ」です。」とのこと。
それに追跡され、自損事故の末に死亡。警官にとって見ると、追跡は格好良いことなのかも知れない。しかし、相手は本当に犯罪者かどうかはまだ分からない。ただ、警官の命令に従わなかっただけ。確かに、逃げるのは何かの理由があるのだろう。たぶん交通違反。しかし、交通違反をしたとしても、死を持って購(あがな)わなければいけないほどの重罪がそこに隠されているとは思えない。しかし、警官の追跡によって、将来のある高校生が亡くなった。
一方、こんなニュースもあった。
「国道逆走で53歳男逮捕 「取り締まりから逃げるため...」
北海道・七飯町の国道を軽自動車でおよそ1km逆走した疑いで、男が逮捕された。
自称漁師・小嶋幸彦容疑者(53)は16日午後5時ごろ、七飯町の国道5号線を、軽自動車でおよそ1km逆走した疑いが持たれている。
速度違反の取り締まりのため、捜査車両が小嶋容疑者の運転する軽自動車を追跡したところ、突然Uターンし、逆走したという。
警察は、事故につながるおそれがあるとして追跡を中止したが、その後、車のナンバーから小嶋容疑者を割り出したとしている。
調べに対し、小嶋容疑者は容疑を認め、「取り締まりから逃げるためにやった」と話しているという。(北海道文化放送)」(ここより)
自分は、「警察は、事故につながるおそれがあるとして追跡を中止したが、その後、車のナンバーから小嶋容疑者を割り出したとしている。」という対応の方がよほど良いと思う。テレビでも見たが、いつ正面衝突をしたも、不思議で無い画面。この警察の対応は正解。
言うまでも無いが、交通事故は自損事故とは限らない。逆送の事故などは、当然相手が存在する。何の関係も無い車が、パトカーに追われて暴走する車の事故に巻き込まれ、最悪死を招く。これがどんなに理不尽か・・・
これらの警察の対応について、「職務を全うしただけ」というネットの声もある。確かにそれはそうかも知れない。しかし、例えそれが、無免許運転であるにせよ、盗難車であるにせよ、死を持って購わなければいけないほどの犯罪か?と思う。
今は昔と違って、カメラの時代。渋谷で大騒ぎをした人が、カメラでたどられて逮捕された事もある。ましてや、道路はカメラの群れ。逃げた車(バイク)の写真や動画があれば、ナンバーなどから、後で割り出すことは幾らでも出来る。
話は飛ぶが、麻生大臣がこんな発現をしたという。
「白血病新薬にケチ…命を費用対効果で語る麻生氏に批判殺到
白血病の新型治療薬「キムリア」に対する公的医療保険の適用が22日から始まった。
既存の治療法では効かなかった一部の白血病患者に効果が期待されるキムリア。投与は1回で済むが、価格は3349万円と、1回当たりの薬価としては過去最高。
公的保険を適用すれば、患者の自己負担は最高額でも60万円程度になる。白血病患者や家族にとって、待望の保険適用スタートだ。
今年2月、競泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表したこともあって、“特効薬”に関心を持った国民も多いはずだ。
ところが、麻生太郎財務相が保険適用にケチをつけている。適用開始を翌日に控えた21日、記者団にこう言い放った。
「よく言われる費用対効果。高額の医療をやって存命された存命期間が何年です? 大体、数カ月。そのために数千万の金が必要なんですかと、よく言われる話ですが」
要するに、数カ月の延命のために政府が数千万円も負担するのは、もったいないということだ。
早速、ネット上では怒りの声が噴出している。
<現在闘病中の人、家族に対する破壊的暴言である><人の命に費用対効果なんてあるのか><武器買うより人を救う方に税金使えばいいじゃん>
さらに、安倍首相や閣僚が答弁で多用する「言い逃れ」を「ご飯論法」と名付けた法政大学の上西充子教授が鋭いツイートをしている。
<麻生大臣が卑怯だなと思うのは、『よく言われる話ですけど』など、誰かの見解のように語ること。自分の言葉に責任を持たない>
確かに、これは麻生財務相の常套手段。財務省の福田淳一前事務次官のセクハラ問題が浮上した時も、「はめられて訴えられているんじゃないかとか、ご意見はいっぱいある」と言っている。
庶民の命はどうでもいいのか。」(2019/05/23付「日刊ゲンダイ」ここより)
警察の追跡も、費用対効果では、現場で捕まえた方が安上がりかも知れない。
飲酒運転などでは捕まえられないのかも知れない。
(ここ)によると、警察も『深追い禁止』『勇気ある撤退』『受傷事故防止』を徹底しているというが、100人の悪質ドライバーの“逃げ得”を許しても、1人の市民の犠牲を避ける方が優先すると思う。
まさに「庶民の命はどうでもいいのか。」である。
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