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2018年10月28日 (日)

「本屋さんが減って寂しいですか?」

先日の朝日新聞にこんなアンケート記事が載っていた。
「(be between 読者とつくる)本屋さんが減って寂しいですか
 私事ですが、近所の行きつけの本屋さん2軒が閉店し、日常の何かが失われたという気がしています。本好きのみなさんから「書店愛」に満ちたご意見を多数頂きました。一方で、クリックするだけで本が届くネット通販の成長を「時代の流れで仕方ない」と冷静に受け止める声も。読書の秋、みなさんはどうお考えでしょうか。

 ■本好きたちは嘆く
 行きつけの本屋さんがなくなることへの嘆きは深い。
 「悲しい限りだ。日本人の精神性の退化と連動している気がする」(東京、70歳男性)、「遠くの大型店にわざわざ電車で出かけていって探すのは一苦労」(愛知、69歳女性)、「本を探す面白さと楽しさを、廃れさせないで!」(千葉、65歳男性)。
181028honnya  人口減や活字離れで、本の市場は縮小が続き、書店経営は厳しくなるばかり。民間の調査では、全国の書店数は約1万2千店と2000年より40%強も減っている(17年5月時点)。
 書店は生活の一部でもある。「買うにしても、買わないにしても、本屋さんに立ち寄ることが楽しみだった」(埼玉、82歳女性)、「待ち合わせまでの時間のつぶし場所としても最適」(京都、49歳女性)、「ぜいたくな空間を享受できる極私的祝祭の場」(千葉、59歳男性)。
 成長を続けるネット通販に対し、「町の書店を続けてもらうためにネットでの購入は一切やめている」(岡山、50歳男性)と対抗する動きもあるが、「ほとんどの本をネット通販で購入している現状を考えると仕方ないと思う」(広島、50歳女性)と、「時代の流れ」と受け止める声が目立つ。「状況に応じてどちらも選択できる今の状態がいいのでは」(千葉、59歳男性)との肯定派も。
 厳しい意見も。「ネットの発達で自由にどこでも注文できる。わざわざ足を運んで選ぶのが敬遠されて当然。本屋自身の取り組みも必要」(三重、36歳男性)、「書評などで情報を得て、図書館で借りて読み、欲しい場合だけネットで購入。私には書店が必要ない」(京都、58歳女性)、「残るものは残る。残らないものは新しい芽が出てくる。不要な本屋は撤退し、必要な本屋が生き残る」(神奈川、65歳男性)。
 人生の一時期、書店での忘れられない思い出を振り返る意見も目立った。高校時代に列車通学をしていたという岡山の女性(61)は「時間待ちはいつも本屋で。少ない小遣いから気に入った本を文庫で買っていた。小学生の時はお年玉で年に1冊、本屋で選ぶのが楽しみだった」。
 やはり本屋さんには物語があり、映画やドラマの舞台になりやすいと思いませんか。 (小北清人)

 ■大型店も生き残り策
 ネット通販の波による経営環境の厳しさは、大型書店も例外ではない。神奈川県を中心に首都圏で37店舗を展開する「有隣堂」(本社・横浜市)の松信裕社長は「本屋を訪れるお客様は確実に減っている。生き残りに必死です」と語る。
 ショッピングセンターや駅ビルでは書店を上階に入れ、集客の呼び水に使うケースが多かったが、その「シャワー効果」も薄れつつある。「本がびっしりの店はやめて」とビルの大家側から要望が出ることも。本の売り上げ減を補うのがカフェや雑貨、文房具。「ウチの場合、本や雑誌だけの店より複合型の方が利益率が高い」と松信社長。
 この3月、東京・有楽町の商業ビル3階に「ヒビヤ セントラル マーケット」をオープンした。本は一部で、ブティック、理髪店、居酒屋などが並ぶ野心的な構成だ。「来年は創業110年。売り上げ減が底を打った感も少しある。本屋を続けるため、業態の可能性を探る実験です」(
2018/10/27付「朝日新聞」b10より)

181028syotennsuu ガソリンスタンドと同じく、確かに書店は減っている。自分の周囲でも、駅前以外の店が2店閉店した。しかし書店数が40%減というのは壊滅的だ。
ここ)によると、雑誌の売り上げも半減。書籍の売り上げも減衰の一途をたどっている。

181028uriage 自分を振り返ると、雑誌を含めて、新刊の本を買うことは少なくなった。読み捨ての本は、汚いのを我慢して図書館。新刊本で、図書館で順番待ちが多い本だけ、仕方なく購入。しかも、購入は全て通販だ。
カミさんは、自分で持っておきたい本は、まず図書館で借りてチェック。買う価値がある本だけやはり通販で購入。
通販でビックリしたのは、Amazonなどの中古本屋から買う本は、全て程度が良いこと。ほとんど新品だ。これでは書店で新品を買う気がしなくなる。
オークションサイトの、メルカリやヤフオクも、我が家では大いに活用している。1冊の本はメルカリが安い。しかし全集物はヤフオクの中古書店が安心。
中古本は、送料がネック。メルカリは送料込みが多いので、売ってもその大半が送料代で消えてしまう。でも資源の有効活用だ。
ヤフオクで中古本(特に全集)を買う場合は、ショップが安心。8%の消費税がかかるが、やはり本のプロから送られてくる本は、ハズレが無い。前にAmazonで買った中古本の状態が悪いことがあって、店に言ったら、直ぐに代替品が送られてきた。その点、個人は当たり外れが有り得る。
181028honn 自分が中古本を買うときは、とにかく写真で本の裏側を見る。いわゆる「天(あたま)」「小口」「地(けした)」の部分が、焼けていたりした本は止める。表紙がきれいなのは当たり前。表紙は水をはじく材質で作っているので汚れない。その点、ページの紙そのものは、経年劣化が激しい。やはり焼けている本は読む気がしない。

自室の本棚にある本を眺めると、買った時の“盛り上がり”を思い出す。ああ、あの本は、あれをきっかけに盛り上がって買いあさったっけ・・・。
しかし、その時期を過ぎると、再び手に取ることはほとんどない。本棚の本を一冊ずつ「再び読むかな?」と自問自答してみると、ほとんどが「二度読む事は無いな」と思う。だから処分している。

22年前に亡くなった親父は“積ん読”が趣味だったので、専門書(経理)を含めて、亡くなった後に膨大な本が残された。それをお袋が捨てようと思ったら、業者から多額の金額を言われ、もったいないので、市の廃品回収の日に、こまめに運んだという。
よって、古い本は、本人以外にとっては、無用の長物。終活の一環で処分しておいた方が良いかも。しかも、古い本を手にすると手がかゆくなる。どうもダニらしい。それも困る。

書店が減るということでは、定期的な飲み会のときに、時間潰しに寄っていた新宿小田急10階の有隣堂も、だいぶ前だが大きく変わった。本屋が、いわゆるブックカフェに。
買っていない本の、持ち込み可が分からなかった。ただ読み可なら本が売れないのでは???と。
Netで見ると、こんな事が書いてあった。
「購入前の本の持ち込みOK
カフェをご利用のお客様は、書籍売場の購入前の本(一部を除く)を自由にご覧頂くことができます。
■ご注意事項
・お持ち込み頂けるのは3冊までです。
・下記の商品は持ち込みできません。
 雑誌/旅行ガイド/コミック/ビニールや紐がけの本/文具・雑貨類
 その他、お持ち込みをお断りする場合がございますので、ご了承ください。
・お読みいただいた後は、カフェ内にある「本の返却棚」にお戻しください。
・本をご購入される場合は、書籍・雑貨のレジカウンターへお持ちください。
・本が汚れてしまったときは、必ずスタッフまでお知らせください。
・お持ち頂いた本の写真撮影、メモはご遠慮ください。」(
ここから)

なるほど、“立ち読み”の本格版なのだな・・・・
汚れるのも想定内らしい。

先日、カミさんが書店カフェで知人と会ったが、何の気兼ねも無く4時間もおしゃべりしたという。
変わり行く書店の姿ではある。

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コメント

こんにちは、お邪魔します。ちょうど29日の朝日の声欄に青森の方からの投書が掲載されましたね。当地ではご不自由されているとのこと。

かつて、ご趣味はときかれて
きどってbookstore browsing ー本屋をうろつくことーなんていってみたりしましたが、そんな贅沢を享受できるのは首都圏の限定地域だけ。

近所でも商店街のなかの独立系書店が先月末閉店しています(昭和40年代開店とききました)。
このながれはとめられない、そんな気がします。

【エムズの片割れより】
今日の朝日の声欄を読みました。本屋に行っても在庫が無い。各書店の在庫を検索できたら良い、との指摘。
近くの大きな本屋には、検索のPCが置いてあります。検索すると、在庫の有無も表示されます。それをNetに公開すれば、直ぐに欲しい人はその本屋に買いに行きますよね。
確かに、これこそ、書店生き残りの手段かも!

投稿: kmetko | 2018年10月29日 (月) 11:09

すでに読まれている方も多いかもしれませんが、新刊の新書1冊を紹介します。半藤一利著、幻冬舎新書「歴史と戦争」です。半藤さんのこれまでの著作を読み直しまとめたダイジェスト版です。
最近売れている本なので、近くの本屋にもあると思います。私も一気に読んでしまいました。近くに置き、時々読み返したい本です。戦争を知らない国会議員に、憲法改正議論の前の今、是非読んで欲しいな。

【エムズの片割れより】
そうですか。
最近、半藤さんの本は読んでいませんが、元々好きなので、さっそく注文してみました。

投稿: かうかう | 2018年10月29日 (月) 23:39

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