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2018年10月22日 (月)

加藤登紀子の「赤とんぼ」~「あなたが好きな童謡・唱歌ベスト10」

先日の朝日新聞に「あなたが好きな童謡・唱歌」のランキングが載っていた。
「(beランキング)あなたが好きな童謡・唱歌 歌い継がれる日本の原風景
 子どものころに口ずさんだ童謡や唱歌。先人たちから受け継いだ懐かしい歌詞やメロディー、歌に込められたメッセージは、時間が経っても色あせないようです。好きな歌を好きなだけ選んでもらったところ、堂々の1位に選ばれたのは『赤とんぼ』でした。
181022douyou  今回のアンケートで唯一、700票を超えた『赤とんぼ』は、回答者の約半数が支持した。神奈川の男性(62)は「古き良き日本の情景・家族を端的に表現した名曲」と評する。「幼少期によく母親から聞かされた懐かしの歌」(愛知、66歳男性)、「歌詞が胸にしみる」(千葉、58歳女性)という意見も寄せられた。
 思い出に残る歌を父母と重ねた人も多かった。『夕やけこやけ』(5位)を選んだ神奈川の男性(77)は「父が戦地に行っていたとき、母の背中で聴いた歌。忘れられない」。『おうま』(68位)や『あめふり』(73位)などを挙げた栃木の女性(45)は「親子の歌を母と一緒に歌った思い出がある」。
 3位の『大きな古時計』は「人生には終わりがあることを初めて意識したような気がする」(東京、48歳男性)などの声が。他にも『仰げば尊し』(7位)や『大きな栗の木の下で』(17位)、『蛍の光』(22位)など、原曲が外国曲の歌も上位に。埼玉の男性(60)は「親しんでいた歌が実は外国の歌だと知ったときは驚いた」。
 童謡や唱歌には、日本の四季や自然を歌ったものも多い。2位の『ちいさい秋みつけた』を選んだ福岡の女性(31)は「もの悲しい雰囲気が子どもながらに少し怖かった。でも秋の寂しい感じが好きでもあった」。千葉の女性(53)は『春の小川』(6位)や『春が来た』(25位)などを挙げ「雪国育ちなので純粋に春が来たことがうれしかった」という。
 『荒城の月』(4位)も幅広い世代の支持を得た。神奈川の女性(62)は「歌詞がとても好き。夜空に光景が浮かんでいるかのよう」。「朽ちた城跡に思いを寄せ、感慨深い」(神奈川、39歳女性)や「旅情をかき立てられる」(東京、41歳男性)という声も。
 自由記述欄で目立ったのは『故郷(ふるさと)』(11位)について。兵庫の男性(55)は「生まれ育った神戸の街並みは阪神大震災で跡形もなくなった。この歌を聴くと自分の心の中にしかない(震災前の)故郷を懐かしく思う」。京都の女性(23)は「生まれ育った日本を思う歌」という。「国歌にしてはどうか」と提案する人もいた。

 ■記念館を訪ねて背景探る楽しさ
 童謡の作者のふるさとにある記念館を訪ね、歌の原風景を探す楽しみ方も。『春の小川』や『朧月夜(おぼろづきよ)』(8位)などを挙げた長野の女性(60)は、長野県中野市にある「高野辰之記念館」に何度か足を運んだという。
 今回、84曲の選択肢を挙げたところ、埼玉の男性(49)は「ほとんどの歌をそらんじることができて、正直驚いた」という。「選んでみたらほとんどが好きな曲だった」(神奈川、80歳男性)などのコメントに、童謡や唱歌に対する深い愛を感じた。
 8~27位は400票を超え、47位まで300票以上入る「ダンゴ状態」に。29~45位は『おもちゃのチャチャチャ』『海』『さくらさくら』『サッちゃん』『七つの子』『花』『浜辺の歌』『幸せなら手をたたこう』『こいのぼり』『かあさんの歌』『しゃぼん玉』『たきび』『もみじ』『どこかで春が』『からたちの花』『かもめの水兵さん』『こんにちは赤ちゃん』。
 大正時代に数多くの童謡を生んだ児童文芸誌『赤い鳥』の創刊100年を記念し、今年は「童謡100年」。戦争など時代の荒波に影響を受けながらも、童謡や唱歌は日本の四季や日本語の美しさを次の世代につないできた。静岡の男性(77)はこう書いた。「平和な日本の原風景を孫の世代に伝えていきたい」(見市紀世子)

 <調査の方法> 朝日新聞デジタルの会員登録者を対象に9月上旬に実施。文化庁などによる「親子で歌いつごう 日本の歌百選」を参考にした84曲の中からいくつでも選んでもらった。回答者数は1462人。21位以下は、手のひらを太陽に、蛍の光、椰子(やし)の実、どんぐりころころ、春が来た、四季の歌、ぞうさん、ドレミの歌と続く。」(2018/10/20付「朝日新聞」b2より)

<あなたが好きな童謡・唱歌ベスト10>
①赤とんぼ(1)
②ちいさい秋みつけた(2)
③大きな古時計(7)
④荒城の月(4)
⑤夕焼けこやけ(5)
⑥春の小川(14)
⑦仰げば尊し(3)
⑧朧月夜(12)
⑨里の秋(8)
⑩犬のおまわりさん
(カッコ内は2010年)

2010年に同じ朝日新聞に「歌い継いでいきたい童謡・唱歌」というベスト10が載っていた(ここ)。
それによるランキングが上の(*)内。その時は、同じ方法で10曲まで、今回は“好きなだけ”挙げた結果。「大きな古時計」「春の小川」が躍進!

今は秋真っ盛り。自分は特別好きな歌というわけでも無いが、1位に敬意を表して「赤とんぼ」を聞いてみよう。自分の持っている音源を検索してみると16曲見付かったが、今日は加藤登紀子の歌で。

<加藤登紀子の「赤とんぼ」>

「赤とんぼ」

  作詞:三木露風
  作曲:山田耕筰

夕焼、小焼の、
あかとんぼ、
負はれて見たのは、
いつの日か。

山の畑の、
桑の實を、
小籠に、つんだは、
まぼろしか。

十五で、姐やは、
嫁にゆき、
お里の、たよりも、
たえはてた。

夕やけ、小やけの、
赤とんぼ。
とまつてゐるよ、
竿の先。

この歌の出来た経緯については、(ここ)に詳しい。それによると、
「三木露風は、「赤蜻蛉」と題したこの詩を、最初は自身が童謡欄を担当していた児童教育雑誌『樫の實』(研秀社)大正十年(1921年)八月号に発表。 」

「作曲時期と発表
 楽譜には、昭和二年(1927年)一月二十九日と作曲日が書いてあります。『山田耕作童謠百曲集27赤とんぼ 三木露風作詞』(VOL.II。日本交響樂協會出版部刊、昭和二年七月十日発行)で発表しました。」
とのこと。

出来てから90年・・・。今の子どもにも知っておいて欲しい歌だが、どのくらいの子供が知っているのだろう。

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コメント

今年初めて作った 団地の花壇で2~3日前 赤とんぼを見つけました。蝶、バッタ、カマキリは夏の間 たくさん見かけましたが 赤とんぼははじめてみたような。ちょっぴり秋を感じました。
 私は韓国の歌を良く聴くのですが 韓国にも赤とんぼの歌 があります。かのチョー・ヨンピルがつくった「コチュ ジャムジャリ」です。多分、コチュは唐辛子、ジャムジャリは赤とんぼだと思います。唐辛子のような赤とんぼ・・・この歌を 「アリ 」という女性歌手がカバーしていますがこれが大好きです。 心が揺さぶられます。

【エムズの片割れより】
チョー・ヨンピルの「赤とんぼ」は、全く別の曲ですが、自分も聞きます。
「アリ」という歌手の音源は見つかりませんでした。
でも秋ですね・・・

投稿: todo | 2018年10月23日 (火) 06:18

私はどの歌も好きで順位を付けられませんが、とても好きな歌詞があります。葛原しげる作詞、室崎琴月作曲の「夕日」の3番、
♪カラスよお日をおっかけて 真っ赤に染まって舞ってこい ギンギンギラギラ日が沈む♪です。カラスが真っ赤に染まったら随分きれいでしょうね。すごい発想だと思います。楽しいですね。

【エムズの片割れより】
改めて聞いてみると、ものすごい歌詞ですね~。

投稿: 白萩 | 2018年10月25日 (木) 21:28

白萩さま

「夕日」の「からすよ お日を追っかけて 真っ赤に染まって舞ってこい」
言葉が凄いですね。

全ての作詞家とは言えませんが、童謡の作詞家は詩人ですね。いい言葉がならんでいます。

都会の口太カラス(?)のゴミあさりは全く困ります。うるさいし、人を小馬鹿にしたカラスです。怖いくらいです。

いつの頃か忘れてしまいましたが、夕日で染まる田舎道を車で走ったときです。里山が日の影になり、広い畠の上空を一羽のカラスが啼きながら飛んでいきました。まるで童謡の世界でした。私にとっては初めて目にした情景でした。なんかうら淋しく、でも豊かな景色でした。

カラスを歌った童謡が多いですね。
昭和20年代は都会でも空は広かったです。夕焼けに染まる中、遠くにそれこそ富士山の三角頭がちっちゃく見えました。

投稿: patakara | 2018年10月26日 (金) 19:53

昔の童謡や童話の中には大人が読んでもちょっと驚く物がありますね。私が一番怖かったのは
小川未明の「金の輪」という童話です。今でもぞっとします。子供が読んだらちょっと怖くなるかもしれません。でも童話なのです。パソコンで検索すると入っています。短い文です。読んでみてください。

投稿: 白萩 | 2018年10月27日 (土) 20:21

 小川未明の『金の輪』を早速読んでみました。未明の童話で『赤い蝋燭と人魚』という話があります。これも子供が読んだら怖いでしょうね。
  
 鈴木三重吉が立ち上げた「赤い鳥」という児童雑誌があります。小川未明、芥川龍之介,森鴎外、新美南吉、北原白秋などなどが童話や童謡を書いていました。子供騙しの話ではないものをと創った雑誌です。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』は『赤い鳥』の創刊号に載ったものですが、この話も子供が読んだらきっと怖いでしょうね。

投稿: patakara | 2018年10月27日 (土) 21:49

赤トンボの歌。幼いころに聴いたときは、子守の姉やなんていたことも知らず、作者が赤子の時に姉やの背中に「負われて見たのは」を、赤トンボ自身が「追われてみたのは」と勘違いしていたことを思い出します。(笑)
子守唄といえば、中国地方の子守唄や江戸子守唄のように赤子に焦点を当てた歌と、五木の子守唄や竹田の子守唄のように子守の悲哀を歌った歌の二種類がありますね。
どちらも日本人のこころに染み入る歌だと思います。

投稿: 伊勢生まれの下総人 | 2018年11月 9日 (金) 18:25

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