「お金がない」に騙されるな~海外にお金をばらまく日本
先日、朝日新聞でこんな面白い記事を読んだ。
「(思考のプリズム)財政緊縮で得するのは 「お金がない」に騙されるな 岸政彦
お金がない。この国には、お金がないそうだ。
財政が赤字なのだそうだ。そのため国債というもので借金をしている。その返済が大変なのだ、という。これが実は子どものころから理解できなかった。国がお金を借りている。誰に。国民に。どうやって返すの。税金から。その税金は誰が払うの。国民。というところまで説明されてますます混乱する。それ、ひとりの人の右手から左手にお金を移動させてるだけじゃないの。
子ども心に素朴に、借りたお金を返さなかったら、黒い服を着た怖いおじさんたちが家に来ると思っていた(素朴すぎるが)。国債を発行しすぎると、誰に叱られるんだろうか。
経済や財政の詳しいことについてはいくら勉強してもさっぱりわからないので、私がぼんやり考えていることも、間違いが含まれているだろう。しかし、どうも最近の経済学などで、財政が赤字でも緊縮しなくてもよい、あるいは、景気の悪いときはむしろ緊縮してはならない、という考え方もちゃんとあるらしい。
財政が赤字だからもう政府はお金を出しませんよ、という考え方によって、誰か得をするひとがいるのだろうか。
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先日、LGBTの人たちは子どもを作らないから「非生産的」だ、という、とんでもない暴言を吐いた政治家がいた。ある雑誌に掲載された、その文章を読んでみると、趣旨はようするに、「そういう人たちまで社会保障で面倒見られませんよ」ということだった。そういえば、憲法を改正して、もっと家族をつくって自分たちで自分たちの面倒を見させるようにしよう、という政治家も多い。これも要するに、国が国民の面倒を見ることをやめて自分たちで何とかしてほしい、ということである。
大学でもいろんなことがある。いちばん大きな変化は、書類が増えたということだ。これはひとつには、同じ大学の教員どうし、あるいは大学どうしで競わせて、研究費を獲得させるということをしているためだ。もう国には科学や学問のために出せるお金がないので、いちばん「生産性」が高そうなところを選択してそこに集中しますよ、ということである。
大阪でこの間何が起きていたかというと、公務員バッシングをして人びとの溜飲(りゅういん)を下げた政治家が、大阪市を解体して市の予算を大阪府全体で使ってしまおう、という話だ。公務員バッシングも大阪市の解体も要するに同じ話で、つまりお金がないのである。
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繰り返すが、私は難しいことはわからない。しかし、さいきんの身の回りのいろいろなできごとを観察しているうちに、国の偉いひとたちは、国にお金がない方がいろいろと都合が良いのではないか、と思うようになった。
どんな権威も権力も、お金がないんです、予算がないんですよ、だから仕方ないですね、というロジックに勝てるものはない。お金がない、ということによって、財務省は文科省に対して権限が強くなり、文科省は大学に対して権限が強くなり、大学は教員に対して権限が強くなる。人びとをコントロールする上で、これほど有効なものはない。
驚くことに、朝日新聞を読んでいるリベラルな方々でも、緊縮財政路線を守る方が多い。もう日本は経済成長しない、財政も赤字で、人口は減ります、だからあとは、みんなで仲良く貧しくなりましょう。ある有名な社会学者がこう書いていて、心底驚いたことがある。
みんな気をつけよう。私たちは、騙(だま)されてるだけかもしれないのだ。ほんとは財政を緊縮させなくてもいいのに、そっちのほうが都合がいいから、そう思わされてるだけなのかもしれないよ。(社会学者)」(2018/08/22付「朝日新聞」夕刊p3より)
「国がお金を借りている。誰に。国民に。どうやって返すの。税金から。その税金は誰が払うの。国民。・・・・」
確かにその通り。
国の借金は、2017年9月末現在で1080兆円だという(ここ)。国の年会予算の10年分。
前から言われているように、お金が無い日本は、総理の外遊に伴って、外国にお金をばらまいている。
ググっていると、「安倍政権が外国にばらまいた金額一覧」(ここ)というサイトがあって、ここに挙がっている項目をコピペしてみると・・・
▼ミャンマーに日本への支払いが滞っている債務のうち新たに2000億円を免除し、およそ5000億円の債務を解消するほか、円借款と無償資金協力を合わせて総額910億円のODAを実施
▼中東・北アフリカ地域に対し新たに総額22億ドル=2160億円規模の支援を発表
▼安倍首相、シリアの女性支援にODA3000億円表明 国連演説
▼シリア難民に59億円追加支援、安倍首相が国連演説
▼ASEANに5年間で2兆円規模の 政府開発援助(ODA)拠出を発表
▼「ラオスに円借款90億円」 安倍首相、供与を表明
▼モザンビークに支援表明 700億円のODAを供与
▼インドへ円借款2000億円 首脳会談
▼バングラデシュに6000億円支援=政府
▼ウクライナに最大1500億円支援 日本
▼安倍首相パプアニューギニアに今後3年間で200億円規模のODAを供与すると表明
▼チェルノブイリ支援に3.5億円=安倍首相表明、ウクライナで署名式
▼インドに5年で3兆5000億円の官民投融資、日本政府が約束
▼日・スリランカ首脳会談、日本がアンテナ塔などの施設整備に約137億円の円借款を供与表明
▼日本政府、1兆7400億円の途上国支援決定
▼安倍首相、エボラ対策として、国連などに43億円の追加支援を表明
▼安倍首相、中東支援で新たに55億円の緊急支援を表明
▼ガザ復興へ 日本政府、約22億円の支援表明
▼ミャンマーに円借款260億円供与 安倍首相、大統領に表明
▼エジプトに円借款430億円 首相、中東訪問で表明へ
▼安倍首相、中東政策スピーチ 安定化に25億ドル(約3000億円)支援表明
▼難民支援でヨルダンに147億円 首脳会談で安倍首相表明
▼シリア難民の新たな支援で7億円 政府
▼政府:アジアのインフラ投資支援に約13兆円を提供
▼中国の緑化、日本政府が100億円拠出へ
▼安倍首相エジプトインフラ整備に約411億円の政府開発援助発表
以下延々と続く。
今の政権は外交が売りだそうだが、訪問先は、そりゃ日本の総理大臣を歓迎するはず。お金をたくさん持ってきてくれるのだから・・
これらは、全てが無償援助という訳でもないだろうが、「中国の緑化、日本政府が100億円拠出へ」という見出しが気になった。この項目を叩いてみると・・・
「中国の緑化、日本政府が100億円拠出へ
政府は3日、中国で植林・緑化事業を行う民間団体を支援する「日中緑化交流基金」に対し、100億円弱を拠出する方針を固めた。
2015年度補正予算案に盛り込む。民間交流を通じ、両国の関係改善につなげる狙いがある。
同基金は、小渕恵三首相(当時)が主導し、1999年に日本政府が100億円を拠出して創設された。中国で植林・緑化事業に携わる日本の民間団体の経費などを助成し、毎年約1000万本、計約6万5000ヘクタールの植林が行われたという。植林などにより、発がん性の微小粒子状物質(PM2.5)が中国から飛来する「越境汚染」の低減が期待されている。
ただ、基金は今年度末で10億円程度に減少する見込みで、活動の先細りが懸念されていた。日本政府は創設当時の規模に基金を積み増し、中国側の資金提供も受けて、日本国内や東南アジアなどでの事業拡大も検討する考えだ。(2015年12月04日付「読売新聞」ここより)
こんな記事を読むと、日本は気前の良い“大金持ちの国”だということが良く分かる。
まあ、トランプ大統領の言いなりになって、イージス・アショアとかいう無用の長物に6000億円もかけるというのだから金持ちだ。
一方、お隣の中国も同じようなことをやっているらしい。言論統制の厳しい中国だが、国民から不満が噴出しているという。
「中国のアフリカ支援「無駄遣いだ」 ネットで批判噴出
4日に閉幕した中国アフリカ協力フォーラムで、アフリカのために習近平(シーチンピン)国家主席が打ち出した総額600億ドル(約6兆6千億円)の資金協力が中国国内で波紋を呼んでいる。「無駄遣い」との批判がネット上で広まり、関連の書き込みが禁止された。学者などからも同様の指摘があり、当局が神経をとがらせている模様だ。
600億ドルの内訳は、150億ドルの無償援助や無利子融資、中国企業による100億ドル以上の対アフリカ投資など。安倍晋三首相が一昨年のアフリカ開発会議で掲げた「日本の官民で総額300億ドルの投資」と比べても格段に多い。
中国版ツイッター「微博」では発表直後から「なぜ国内の人々の暮らしの改善に使わない」「税金が増え続ける」などの書き込みが相次ぎ、貧困地域の子供たちが飢えに苦しむ動画なども拡散した。
対外支援の拡大については、許章潤・清華大教授が7月の論文で「過剰な援助が国民を締め付けている」と批判した。8月にも「ばらまき外交は無益だ」と語った孫文広・山東大元教授が一時拘束された。(北京=冨名腰隆)」(2018/09/06付「朝日新聞」ここより)
ここで分かるのは、独裁者が海外で、もてはやされるために、自国民に貧困を強いて自分だけドヤ顔をしている姿。つまりは日本も独裁国家ということ?
まあ日本の場合は、中国のようにNetの書き込みが禁止されないだけマシ?
今回の関西の台風や北海道の地震に影響で、総裁選で安倍首相の“逃げ恥作戦”が成功する公算が大だという。
そんな人たちに、税金の使い道を託しているのは、我々国民なのだが・・・
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コメント
頭の良い方にきいてみたいのですが、総理大臣は国民の税金をこんなに勝手に使っていいものなのでしょうか。驚いています。
友人のご主人が、末期の病気で入院した時に、1か月の支払いが20万円近く、長年働いた年金がそっくり支払いに充てられてしまいました。自分と子供の生活費は今までの貯金を使い、あと何年も夫がこのままだったら自分たちの生活が成り立たなくなると心配していました。こういう家庭は沢山あると思います。「ございます大臣」と「あ、そう大臣」はこんな生活をしたことないから国民は皆、自分たちと同じ水準の生活をしていると思っているのではないでしょうか。国民が汗水たらして働いたお金を、自分のお金だと勘違いしないで欲しい。自宅の金庫からバラマキをして下さい。願っています。
【エムズの片割れより】
世界的に、おかしくなっていますね。
そもそも国会議員が、国民の代表では無く、独裁者の投票マシーン、つまりヒラメになっているのを何とかしないと・・・
投稿: 白萩 | 2018年9月 8日 (土) 00:01
エムズ様 他の自民党の国会議員は何をしているのでしょうか。死んでしまっているのではないかと思っています。「ございます大臣」も「あ、そう大臣」も全く役にたっていませんね。腹がたってきました。優秀な青年よ立て!!
【エムズの片割れより】
もはや自民党の国会議員は、党や派閥のボスが決めた通りに行動する投票マシーン。
本来は、地元の有権者の代理人(代弁者)であるはずなのに・・・
今さら、政治的良心を求めても仕方がないですが・・・
投稿: 白萩 | 2018年9月 8日 (土) 11:51
やっぱり、最近の災害続きはアベっち闇の応援団666の仕業だつたのか。TPPの時の熊本大震災と同じだ。
666のいうことを聴けば、こうやって応援してもらえる。いうことを聴かないと、角栄さんや龍太郎さんのような結末が待っている。
しかし、このままいうことを聴いていると、日本は間もなく戦争に巻き込まれること必定。
投稿: 伊勢生まれの下総人 | 2018年9月13日 (木) 15:25