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2018年5月17日 (木)

絵本「りゅうになりたかったへび」

ウチのカミさんは、絵本大好き人間。
今朝、「この新しいのを(ポイントで)買って」と言ってきた。
180517ryuu1 松谷みよ子という人の、「りゅうになりたかったへび」という絵本だが、見るとあまりにも汚い絵本。昔、古本で買ったようだ。(汚い写真で失礼!)
カミさんは、持っておきたい絵本は自分で買っている。まずは図書館等で実物を見て、気に入るとホンモノを買う。これも永く取っておきたい絵本だという。
「数分で読めるから読んでみて」というので、ざっと読んだ。
なるほど・・・。老夫婦のおとぎ話だ。
良かったら、一緒におとぎ話の世界へ・・・・

「りゅうになりたかったへび」~松谷みよ子(著)

むかしむかし、といっても、きのうのきのうくらい、むかしのことです。
あるところに、小さいおじいさんと、小さいおばあさんがすんでいました。
小さいおじいさんと、小さいおばあさんは、いつもいっしょでした。
小さいおじいさんがはたけをたがやすと、小さいおばあさんがたねをまきました。
小さいおじいさんがパンをこねると、小さいおばあさんがパンをやきました。
小さいおじいさんがやぎをつれて原っぱへいくと、小さいおばあさんはかごいっぱい、花をつんでかえりました。
ふたりはびんぼうでしたけれど、とてもしあわせでした。
「おじいさんがいるものねえ」
おばあさんはいいました。
「おばあさんがいるからねえ」
おじいさんもいいました。

ところがある日のこと、おじいさんがおばあさんにいいました。
「わしはきょう、ちょっと町へ買いものにいってくるよ」
「おや、それならわたしもいきますよ」
小さいいおばあさんはいそいそといいました。
「糸とはりとボタンと……。それからなにかありましたよ、買うものが」
「それは、わしが買ってくるよ」
小さいおじいさんはいそいでいいました。
そうして、ぼうしをあたまにのっけると、さっさとでかけてしまいました。
「まあ」
小さいおばあさんはびっくりして、口をあけたままおじいさんをみおくりました。
ああ、あんまりです。
いつもならきっと、いっしょにいこうよというのに……。だいいち、糸だって赤いのか白いのか黒いのか、それにボタンだってまるいのか四かくいのか三かくか、いろいろあるではありませんか。それをなんにもきかないでいっちまうなんて! 小さいおばあさんは、かたい木のいすにすわって、すこしなき、小さいなみだをこぼしました。

さてそのころおじいさんは、小さいからだに大きなぼうしをかぶってせっせとあるいていました。
「きょうばかりは、おばあさんといっしょってわけにはいかんのだ。なにしろ、おばあさんのたんじょう日のプレゼントを買いにいくのだからな」
それにしてもおばあさんには、どんなプレゼントかいいでしょう?
「それはちゃんとわかってるさ」おじいさんは、くすくすわらいました。「おばあさんには、チョコレートボンボンをひとふくろ。それがいちばんさ。よろこぶぞう」
小さいおじいさんはうれしくなって、おもわず目のまえの小石をポーンとけっとばしました。
そのとたんでした。
ごうーっとかぜがふき、あたりはまっくらになったかとおもうと、すさましいこえがしたのです。
「だれだあ!わしのあたまに石をぶつけたのは!」
おじいさんはおもわず、へたへたとすわりこみました。
「お、お、おたすけを……。どこのどなたさまかしりませんが、わしは、その、なにげなく小石をちょっとばかり、そのう……」
「だまれ!」
すこしずつ、すこしずつ、あたりがあかるくなっていき、目のまえにあらわれたのは、一ぴきの大きなへびでした。
へびは、まっかな口を、かーっとあけ、火のようないきをはいていいました。
「わしはりゅうになろうとおもって、ながいながいあいだ、しゅぎょうをしてきたのだ。そうして、あとひといきでりゅうになれるというところまできた。そのたいせつなときにおまえは、わしに石をなげたな。
それでもう、いままでのしゅぎょうは、めちゃめちゃになったわい。もうかんべんならん。おまえをひとのみに、くってやる!」
「へびどん、たしかにわしがわるかった。しらないとはいえ、石ころをぶつけてしまったのは、もうしわけないことでした。どうかおゆるしください」
小さいおじいさんは、こしをぬかしたまま、なんべんもあたまをさげてあやまりました。
でも、へびはききません。
「いいや、どんなことがあってもゆるせん。あとひといきでりゅうになれたのに、天にのぼれたというのに、おまえのためにじゃまをされた。どうでもこうでものむ!」
小さいおじいさんは、かくごをきめました。’
「へびどん、わしはおまえにのまれますだ。けどなあ、わしのたのみもきいてくだされ。うちにまっているおばあさんに、せめてひとめあってわけをはなしておきたいですだ。そうしたらすぐにもどりますから、あぐりとでも、つるりとでものんでくだされ」
へびは、うなりました。
「それではいってこい。しかし、すぐにもどらぬときには、ばあさんもろとも、のんでしまうぞう」
心さいおじいさんは、きっとすぐもどりますとやくそくをして、とぼとぼうちへかえりました。
小さいおばあさんは、いりぐちのまえに、いすをだして、すわっていました。
こうしていれば、だれよりも早く、おじいさんのかおがみられます。といってもこのうちには、おじいさんとおばあさんしか、すんでいないのですけどね。
「あれ、おじいさんだわ。もうかえってきたわ。ずいぶん早いけど、どうしたのかしら」
おばあさんは手をよって、
「おじいさーん」
とよぼうとして、やめました。
「にくらしいおじいさん。わたしをおいて町へいくなんて。いいわ、しらんぷりしてやりましょ」
「おや、雨かしら?」
上をむいたおばあさんは、あっとさけびました。
おじいさんがないているのです!
「いったいどうしたの! おじいさん!おじいさんてば、どうしたんですよ」
「わしは、これこれ、こういうわけで、へびにのまれなくっちゃなんないんだよ」
おじいさんは、なみだをふきました。
「じゃあな」
小さいおじいさんは、とつぜんはしりだしました。そうしないではいられなかったのです。むちゅうではしってはしって、ようやくたちどまり、うしろをふりむくと、うしろに小さいおばあさんが、はあはあいって、たっていました。
おばあさんは、トマトのように、まっかになっていました。
「なんだっていうんです!わたしをおいて、ひとりでへびにのまれるなんて! わたしたちはいつだって、なにをするんだって、いつもいっしょでしよ。もっとも、さっきは、ひとりで町へいっちまったけど。
ごらんなさい。だからとんださいなんにあったんですよ。わたしゃ、とにかくついていきますがらね」
小さいおばあさんは、おじいさんの手をとると、さっさとあるきはじめました。
「あたしゃへびなんて、こわくありませんよ。そうだわ、ぼうでたたいてやろうかしら」
「おまえ、ぼうでたたけるくらいのへびじゃないんだよ。そりゃあもう、大きいへびなんだから……」
「そいじや、ひっかいて……」
小さいおばあさんは、口をおさえました。おどろいたのなんのって、目のまえにへび、それも、みあげるような大きなへびが、まっかな口をあけ、かまくびをもたげていたのです。
「ふん、やくそくどおり、かえってきたな。それでは、いいか、じじい。かくごをしろよ、さあ、ひとのみに、のんでやるぞう-」
「へびさん! わたしゃどうしたらいいんです!」
小さいおばあさんは、バケツをひっくりかえしたように、わあわあなきだしました。
「おじいさんだけがたよりなのに、おじいさんがのまれちまったら、いなくなったら、アンアンアン」
しゃくりあげしゃくりあげ、ころげまわり、あしをばたばたさせて、おばあさんはなきました。
そのさわぎがあんまりひどいので、へびは、げんなりしたように、おじいさんをながめました。
「せっかくのうまいごちそうも、こうさわがしくては、あじもわるくなるというものだ」
「ここにチョコレートボンボンがあればなあ」
おじいさんは、なげきました。
「わしはそいつを、町へ買いにいくところだったんで」
へびはとうとう、おばあさんの上にかがみこんで、どなりました。
「ばあさん! おまえのすきなものは、なんでもだしてくれるはこをやるから、もうなくな!」
「えっ? なんのはこですって?」            ゛
「すきなものがでてくるはこだっ」
「まあ! チョコレートボンボンも?」
「あたりまえだ。さあ、これをやるからおとなしくしろ。うるさいと、じじいものめん」
へびは、小さなはこを一つだしてきました。
「ばしいものをいって、このポッチをおせ。ただし、ねがいごとは三っだぞ」
「じゃあね、じゃあね、チョコレートボンボン、でてこい!」
どどーん。
ぎんの大ざらに山もりのチョコレートボンボン。
小さいおばあさんは、子どものようによろこんで手をたたき、たちまちなみだをふくと、チョコレートボンボンにとびつきました。そしてしあわせそうに一つつまんでまず口にいれ、もう一つつまんでおじいさんの口にいれ、もう一つをへびの口にほうりこみ、それからすわりこんで、たべはじめました。
「たべおわるまで、じかんがあるだろう。そのまにおまえを、のむことにしよう」
へびはぺろりと、したなめずりしました。
「ねえおじいさん、つぎに、なにをおねがいしようかしら」
「おじいさんがいなくなったら、さびしいものねえ。そうだ、あたし毛糸の玉をどっさりほしいわ。そうしたら、たくさん、たくさん、たくさん、ひざかけだの、ケープだの、セーターだのあんで……。ねえおじいさん、それがいいわねえ」
「おまえ、そんなはかな。おかねがいいよ、おかね……」
おじいさんはいいかけて、口をおさえました。
おばあさんは、
「毛糸の玉、いっぱいいっぱいね!」といながら、もうポッチをおしていたのです。
ボワーン。
あーおどろいた。もう、いえほどの、いいえ、もっとたくさんの、いろとりどりの毛糸の玉が、つみあがりました。
「でも、あたし…」
とつぜんおばあさんは、ボンボンをたべるのをやめました。
「へびさん、おじいさんがいなくなったら、こわいものがきたらどうするの? あたし、こわがりなの。もし、どろぼうがきたら……」
「どろぼうなんて、こやしないよ、おばあさん」
おじいさんがなだめました。                        止
「さいごの一つのねがいは、ようくかんがえるんだ。一生つかいきれないおかねとかさ」
「でも、 そうしたら、ますますどろぼうがきますよう」
おばあさんの目から、なみだがもわーっとふきだしました。
ウワーン、アンアンアン……。
「うるさいばばあだ。いつになってもじじいをのめんではないか」へびは、かんかんになりました。
「ばあさん、さいごの一つはとっておいて、おそろしいやつがきたらじごくへとんでいけ! っていってやればいいんだ。わかったな、さあ、じじい、のむぞう」
へびは、かーつと口をあけました。そのとたんです。小さいおばあさんは、さけびました。
「へびめ、りゅうになって、天たかくとんでいけ!」
ごうーっ。すさまじいあらしがおこりました。
へびはみるみるひかりかがやくりゅうになって、目をぱちくりさせながら、空のはてへとんでいってしまい、やがてみえなくなり、そして、あらしは、しずまりました。
「やれまあ、なんてこった」
小さいおじいさんは、ぽかんとしていいました。
180517ryuu2 「まったく、なんてこった。あいつはじぶんでねがいごとをすれば、りゅうになれたんじゃないか。あれ、それにしてもおばあさんや。あのあらしのおかけで、あのはこも、ボンボンも、毛糸の山も、みんなとんじまったな」
「いいんですよ」
おばあさんはにっこりしました。
「あたしには、おじいさんがいればいいの」

カミさんは、目の前の物事(チョコレートボンボンと毛糸の玉)を見る女と、将来(お金)を見る男の違いがあるという。
でも仲の良い老夫婦の信頼感の話。
「ようねん文庫」とあるので、小さな子ども向け。文字も平仮名。
Netで検索すると、Youtubeで紙芝居にもなっている(ここ)。

こんな世界に入り込むのも、一服の清涼剤か!?
我が家にとっては、遠い世界だが!??

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コメント

『我が家にとっては。。。』

本日まで『エムズ』が続いている事が証では?

【エムズの片割れより】
さてさて・・・・・

投稿: Syu(chan) | 2018年5月18日 (金) 09:12

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