カミさんの「メイリーの犬心」
カミさんが、ふと書いてみたという散文である。
「メイリーの犬心」
愛犬メイリーが、私の膝の上で穏やかにいびきをかいて寝ている。
彼女は小さい頃から胃腸が弱く、体調を崩すとすぐに下痢になる。
「メイリーのウンチを踏んづけちゃったよ~。しかも下痢!」
何回、いや何百回この言葉と類似したことを言っただろう。
嘔吐も同じ。
黄色い吐き出した物は、容赦なく彼女の寝ているカバーや毛布にかかり、直ぐに洗濯機行き。
そして具合の悪い彼女は、ふるふると震えて、涙っぽい大きな目で私を見る。
「どうしたんでしょうね、私」と言いたげで、不安そう。
私はいつも「大丈夫、大丈夫」と答える。
この言葉に根拠はない。
まずは病院から貰った薬(最近は市販されている胃腸薬で効く物があった)を飲ませて様子を見る。
前に、それでも良くならず、体重がどんどん減って、骨張った体になったことがある。
トリミングに連れて行ったら、辛そうだったらしく、以後トリマーさんから
「あの時は、どうにかなっちゃうかと思いましたよ」と何度も言われる。
もちろん病院で点滴をして貰い回復したのだが、まぁ良く胃腸の事では病院に行った。
脚はO脚で曲がっている。
胃腸の弱いのと0脚は、飼い主にそっくりで嫌になるが、
こんなことまで似るものなのかと思えば、それはそれで面白い。
散歩の時、0脚の飼い主と飼い犬が一緒に歩いている姿は、
見た目の良いものではないのだろうが・・・。
15年の長さを共に過ごしてきたが
彼女は私を一応飼い主として認めてくれているように思う。
彼女にそう思われていないらしい夫が言うには、
「あなたが外出している時、ずうっと玄関で待っているぞ」とのこと。
最近、詩人の伊藤比呂美さんの「犬心」を読んだが、
一応私の無事を確認して、臭いを嗅いで玄関から去っていく彼女の仕草は「犬心」から来ているのだろうと思った。
満15歳と1ヶ月。まだまだ元気なウチの愛犬「メイリー」。耳が聞こえなくなって心穏やかになったのだろう。来客が来ても無視。前は玄関に飛んで行ったものだが、今は昔・・・
そう言えば、ボールを投げて喜んでくわえて戻ってきたのは、いつまでだったか・・・
獣医さんは「ほとんど眼が見えていない」と言うが、少し眼が白いものの、まだまだ見えている。だから散歩も楽しい。
犬は、ご主人さまは一人に限定しているらしい。食事の時にだけ、何か欲しいと近寄ってくるが、それ以外は完全無視の存在が自分。たまにコタツで抱っこしてやると、着ている服を脱ぎ捨ててでも、するっとコタツの中に脱出。
「そんなにオレがキライか!?」と悪態をつくオレ・・・
ペットショップの犬の売り場。前はヨーキーが10万円程度だったのが、最近は20万円を超えている。いやはや・・・・
「みつくちのメイ子は、ブリーダーの所で生まれたら、やばかった」と言っても、本人は我関せずでケロッ!
毎日、居間を我が物顔に闊歩するメイリーと、何があってもかいがいしく世話をするカミさん。良くやるな~と思いつつ、我が家では無くてはならない存在の愛犬。
孫と同じで、確かに毎日話題を提供してくれる存在ではある。
少しでも元気で長生きしてね!(大きい声では言えないが、逝く時はポックリね!?)
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