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2018年1月28日 (日)

国家権力の、批判者への徴税によるムチ~城山三郎氏の例

通常国会が始まった。今朝(2018/01/28)のTBSの「サンデーモーニング」で青木理さんが最近の政治状況を解説していた。「国会での森友・加計疑惑、特に佐川国税庁長官の国会での虚偽答弁問題。加えて特捜検察の100億円のスパコン疑惑と3兆円リニア新幹線の談合問題。すべて政権の中枢と親しい人たちに依怙贔屓(えこひいいき)したのではないかという疑惑。しかし特捜の追求は尻つぼみの可能性が大。よって国会での追求しかない。森友やスパコンやリニアも、市民感覚を持った前川さんのような告発者が出てこないかな、というのが願い・・・」

それを受けての経済評論家・佐高信氏の発言に興味を持った。この発言は残しておきたい。

<TBS「サンデーモーニング」(2018/01/28)経済評論家・佐高信氏の発言>

「(松本文明・内閣府副大臣が、沖縄県で続発する米軍ヘリコプターの不時着をめぐって、国会で「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばしたことで)誤解を招くという言い方が一番腹が立ちますよね。誤解のしようがないだろうという感じ。それと税金の問題で、森友とか何とかですね。いわゆるひいきするとか、そういう一方で、税金というのはまた凶器になるんですね、徴税というのは。それで思い出すのは、城山三郎さんが個人情報保護法案に反対した後で、その後しばらくしてから、突然、藤沢の税務署から5年分の貯金通帳を持ってこいと言われるんですね。そういう形で、批判者に対しては逆に強烈なムチを食らわすというね。アメとムチ、公平とか公正というのが、税なり何なりの根本だと思うんですけれども、それを踏みにじるやり方ですよね。そこが一番大きな問題だと思いますね。」(2018/01/28 am8:17 TBS「サンデーモーニング」経済評論家・佐高信氏の発言より)

この城山氏に対する弾圧事件?について、Netで検索すると1件だけ見付かった。共同通信の記事、同じ佐竹氏の話だ。
「▽「鬼気迫る」
 「法案が通ったら『言論の死』の碑を建てて賛成した議員全員の名を記す」。2002年5月、国会で審議入りした個人情報保護法(案)に反対して城山は記者会見した際、こんな言葉で怒りをあらわにした。戦前の治安維持法に例えて「表現の自由が奪われる。取り返しがつかないことになる」と訴えた。城山はぼけていると自民党議員からやゆされて「腹が立つことが多くてぼけているひまなんかない」と毅然と言い返した。
 当時の城山の様子を振り返って、評論家の佐高信は「鬼気迫る奮闘ぶりにハラハラしていた」と語る。首相の小泉純一郎に直談判の後、役人たちが法案の説明をしようとした際、その1人が「国民に網をかける」とうっかり本音を漏らした。城山は怒髪天をつく形相になった。
 問題はその後だ。佐高によると、城山が住む神奈川の税務署から預金通帳を持って出頭するよう本人に通知があったという。しかし、唐突な税務調査という権力側の「どう喝」に、志の高い作家がひるむはずがなかった。
 10年前、都内で開かれた城山のお別れの会。佐高は弔辞で「国家の大義を信じて17歳で海軍に志願し、すぐにそれに裏切られて、以来、自分の時計は止まっているんだと城山さんは言っていましたが、それだけではなかった…その穏和な風貌から、あくまでも優しい人のように見られているかもしれませんが、内部に熱いマグマを抱えている人でした」と述べている。
 城山が危惧した個人情報保護法は拡大解釈され、公権力が本来明らかにすべき情報が伏せられる負の側面、社会の萎縮効果を招いた。その後、特定秘密保護法、安保関連法に続き、15日には「共謀罪」法が成立。そして9条をめぐる改憲論議。「城山さんが今の世相を見たら、憤死、悶死したかもしれない」(佐高信)。」(
2017/6/15共同通信「【特集】その気骨、今の世相に何語る 城山三郎、没後10年(1)」ここより)

なるほど、国家権力は、今でも徴税という武器を使って国民を弾圧することが出来るのだ。上の城山さんにしても、5年分の銀行でのお金に出入りを一件一件厳しく追及することで、「脱税で逮捕するぞ」と脅そうとしたのかも・・・

お笑いなのは、その怖~い税務署のトップが、国会でのウソで論功行賞を受けた佐川長官。権力で国民を脅すことが出来る現場では、それはそれは矛先が鈍って困るだろう。

180128kokzei 国税庁の税務職員募集ポスターに「「公平な社会を夢見ている。本気で。『この世で最も被害者が多い犯罪はなにか?』 その答えは、脱税。税金は国民のために使われるもの。それをごまかして正しい税額を納めないことは、国民全員を被害者にするから。その話を聞いてから、私は国税の職場に興味を持ち。「国税庁」の門を叩いた。公平で住みやすい社会のために、私にできること。いまは、本気でそれを考えている。」(ここ)とある。

もしこんな正義感に燃えて仕事をしている税務職員が居るとしたら、その税金を政権のお友だちで浪費している現実に対してどう思うのだろう・・・
アメとムチで、ひたひたと確実に作られている日本の監視社会。そして安倍独裁体制が生んだ身内への利益誘導。
それに対して、少数野党に頼らざるを得ない現実。まずは野党の国会での追及を見守るしかないが・・・。

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コメント

パソコンの前で憤死、悶死の状態です。73歳のかってのノンポリの一介の老主婦が何が出来るのでしょう。目ん玉をカッと見開いて2018年を見ていくだけ?・・・・・どうしたらいい?・・・・・

投稿: patakara | 2018年1月29日 (月) 10:51

 エムズの片割れさまも

 怒髪、天を衝く 状態と推測されます

 patakaraさま

  やはり この怒りを できる限り
 周りの人たちに伝えていくことでしょうね

 税金 は裁判所に供託する
  ということは できないのでしょうか

投稿: 能勢の赤ひげ | 2018年1月29日 (月) 12:09

虎の威を借る狐が地方の税務職員にまで手を回すとは呆れてしまいますね。そういえば硬骨漢と呼ばれる人たちがさっぱり見当たらなくなってしまいました。虎の威が怖いのでメディアが彼らを遠ざけているのか、硬骨漢がいなくなってしまったのかどちらなのでしょうか。岸信介の狡猾な顔が思い浮かびます。嫌な政治家がまた日本を沈没させるのでしょうか。
虎の威を借る者を動かしている誰かがいるような気がしてならないのですが、後ろで偽虎を操っているものは誰なのでしょうか。それを知りたいですね。硬骨漢の皆様出てきて日本を救って下さい。

【エムズの片割れより】
最近のトルコの状況を見ていると怖ろしくなります。かつてトルコは政教分離の民主国家。それが憲法改定を経て、独裁国家に変貌。
日本の将来も、安穏としてはいられませんね。

投稿: 白萩 | 2018年1月29日 (月) 22:54

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