NHKの「東芝フラッシュメモリ開発秘話」番組
夕方、昔の同僚からSNSで「お久しぶり!!生きてますか?」というメッセージが入った。続いて「一昨日、NHKで東芝のフラッシュメモリの開発の話をしていたが、見ましたか?」とある。
それで、早速タイムシフトで見たのが「ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」」(NHK総合23:00~23:50)(ここ)という番組。日本のメーカーの、エンジニアに対する風土が良く表れている番組だった。
NHKの解説にこうある。
「ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」
原発事業で巨額損失を計上し、稼ぎ頭の半導体事業を分社化し売却する東芝。2兆円と言われる資産価値は30年前、一人の男から生まれた。元東芝社員・舛岡富士雄は半導体記憶媒体フラッシュメモリを発明。開発を強引に押し進めたが、それは当時あまりに“非常識”な製品だった。日本発の革新的技術はいかにして生まれ、どう世界を変えたのか?今ではスマホなどあらゆる電化製品に組み込まれるフラッシュメモリの開発秘話に迫る。」(NHKのここより)
NHKでの再放送の予定は無いようだが、YOUTUBE(ここ)で見ることが出来る。(文字おこしのサイトはここ)
この番組で良く分かることは、天才は変人。その変人を活かすには、会社などの組織では、その変人を理解する上司が必要だと言うこと。この例でも、岩本さんという研究所長がいて、この最大の理解者が桝岡氏の研究を守ってくれたという。
しかし1991年に岩本氏が亡くなり、桝岡氏が技監に昇格したことで、研究の現場から遠ざけられ、1994年に退社する事になる。
技監という役職は、部長の上で、研究所では所長と同格、工場で言うと工場長、営業で言うと事業部長クラス。しかし専門職であり、仕事は「特命事項」。部下を持つラインではない。つまり、桝岡氏は手足をもがれた状態。母校の東北大に去ることは必然だったかも・・・
そして、NANDメモリの当初の開発メンバーも、次々に辞めていく・・・
結局、大発明をしたグループの人たちは、厚遇されることなく、DRAMなど他から来た人に乗っ取られる形になっていったという。
事業は、その事業に愛情を持った人間が育てるもの。幾ら社内でも、業務命令で来た人が、どれだけフラッシュメモリに愛情を持てたか・・・。その結果が、サムソンへの技術供与。その後のフラッシュメモリの世界は、周知のごとし。
この番組を見て、改めて「事業は愛情」だと思った。ある事業を生み、育て、愛情を持って、執念を持って守る人たち。それらの人が居ない事業は決して生き残らない。
我々も現役時代、何の事業のボスは誰々、と名前が頭に浮かんだもの。その人たちが去った後は、無機質な「仕事」だけが残る。
「俺たちの仕事」という“事業への愛情”を垣間見た番組ではあった。
| 0
コメント