衆院選後の再編?~TV朝日・玉川さんの話
昨夜(2017/10/22)、テレビで衆院選の結果を見ていて、自分なりの注目点は、2つ。愛知7区の山尾志桜里さんの当選と、立憲が希望を抜いて野党第一党になるかどうか?
結果的には、マスコミの事前調査通りなので面白くないが、2つの点では、まあ良しとするしかないか・・・
前に「山尾志桜里議員の離党は残念~早期復活を期待」(ここ)という記事を書いたが、自分にとっては個人的な話はどうでも良い。首相相手の、あの理知的な議論を期待しているだけ。しかし今回は無所属なので、小選挙区で勝たねばそれも閉ざされてしまう。結果は、0.4%差。つまり有権者の0.2%の人が投票先を変えたら、それで逆転してしまう僅差。それでも勝って良かった。
立憲も5人の差で希望に勝った。55人は、自分の期待よりもだいぶん少ないが、野党第一党として、政権の暴走のブレーキになれば良い。(比例区では、東海ブロックで候補者不足のため、立憲から自民に1議席譲ったとのこと。残念!)
今朝(2017/10/23)のTV朝日「モーニングショー」で、玉川さんが、言っていたことが残った。少し聞いてみよう。
<TV朝日「モーニングショー」玉川さんの話(2017/10/23)>
「希望と立憲を足すと104(最終的には105)になる。民進の時よりも増えている(解散前の2017/9/26現在87)。民進がバラバラになったことによって損をしていると言う事は一概に は言えない。公明と共産と維新が減っている。自民は変わらない。
維新は、全国政党というよりも大阪の地域政党化していくという流れが見えた。関西地区ではしっかりとした根を張っている。
立憲民主で、枝野さんが「数合わせはしない」と言った。今まではすべて数合わせだった。希望も数合わせだった。排除された結果なんだが、周りから「枝野立て」「政党を作ってくれ」と言う声に押されて政党を作って、ではどういった公約を出していこうかと言うときに、政党を作ってくれと言われた人の思いを政策にして、やっていこうとしたことでここまで伸びた。自民党も含めてだが、プロの政治家が「こういう風な政策をやりますよ」とくるんじゃなくって、彼らは“草の根”と言う言い方をしているが、まさに下から上がってきた「こういう風なことをやってほしい」ということを汲み取って、それを政策に落として国会で訴えていく。そんな政党は今まで無かった。それが初めてできたことで、ここまで躍進した。それが1つ大きい。だからこれから立憲民主がどうなっていくかは、これからそういう声をいかに政策に落とし込んでいけるか、それがこれからもできていくかどうかが、これから伸びていくかどうか・・・。
実は憲法改正も、半分位の人が反対だと言っている。原発に関しても半分以上の人が脱原発と言っている。ところが自民党は両方とも違う。そうすると半分の声を拾って政策にして戦っていくと言う政党ができれば、大きな可能性があると僕は思っている。
もう一点は、リベラルとは何か。BuzzFeedニュースに、一橋大学の中北浩爾先生が書いた分析によると、リベラルの定義はシンプルで、日本国憲法を守っている価値を肯定的に捉えるグループ。それはゴリゴリの護憲と言うことではなくて、憲法を改正するにしても、今までの日本国憲法の思い・思想を、さらに発展させる憲法の改正はある。と言う事まで含めて、そのようなものを守るグループが日本のリベラル。
それに対して、アメリカに作ってもらった憲法だから変えるんだ、とういうのが保守の人。今回、手計算をしてみると、さっき言ったリベラルと言う定義に当てはめると、立憲・共産・社民で、比例区で30%取っている。自民単独で34%なので、匹敵する。共産・社民は変えない、という形だが、立憲に関しては、選挙前に枝野さんにインタビューをしたが、枝野さんは専守防衛を強める形の改憲はあります。つまり改憲政党ではあるが、日本国憲法の持っている思想を守っていくことをリベラルということであれば、一緒になる。
僕は戦後70年、日本国憲法を中心として運営されてきたこの日本という国の形を、肯定的に捉える、戦後保守と言う言葉はないけれども戦後保守みたいなものと、「いや違う。レジュームチェンジするんだ」と言う二つの勢力に再編されていくひとつのきっかけが始まったんじゃないか、と捉えている。
これは、憲法を変える変えないと言う今までの見方で言うとたぶん間違ってしまう。日本国憲法の価値観を肯定するような勢力か、そうじゃないか。例えば国よりも個人なのか、個人よりも国なのか。」(2017/10/23放送TV朝日「モーニングショー」より)
玉川さんの言っていた「BuzzFeedニュース」(ここ)を覗いてみた。なるほど、こんな事が書いてあった。一橋大学の中北浩爾教授の話である。
「リベラル派ってどんな人たち?
―ここで確認しておきたいのですが、中北さんはリベラル派をどう定義しているんですか?「リベラル」という言葉が錯綜しています。
よく言われているように、伝統的に政治思想で議論されている「リベラル」と、日本の政治におけるリベラルはまったく別です。
日本政治のリベラル派とはなにか。私の定義はシンプルで、日本国憲法が持っている価値を肯定的にとらえるグループです。
つまり、基本的人権の尊重や国民主権、平和主義などを大事だと思っている——憲法を変えるにしても、これらの価値を尊重し、発展させていこうと考える政治集団ですね。
なので、社民党や共産党のような狭い意味での護憲派だけでなく、護憲的改憲論も含まれます。
それが民主党・民進党の立場だと思います。自民党でも宏池会(=岸田派)などは、基本的にそうです。保守のリベラル派ですね。
逆に、日本国憲法を否定的にとらえるのが、アンチ・リベラルの保守、私は右派と呼んでいます。
「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍首相は、右派の代表的な人物です。希望の党の小池代表も、そうでしょう。
——「保守」という言葉はどういう意味合いになるのでしょうか?
戦後の日本政治の文脈では、端的に親米だと言えます。
ソ連との冷戦のもとでアメリカと協力し、資本主義を擁護しようとしたのが、保守。
それに対して、中立を唱えたり、ソ連など共産主義諸国と協力したりしたのが、革新です。
今でも共産党や社民党は反米や反大企業の色彩が強いので、革新といっていいかもしれませんが、民進党は保守です。
憲法を大切にしながら、アメリカを外交の基軸に据えるリベラル保守というのが、民進党の立ち位置だったんです。
確かに、そこにも幅があるわけですが、言われているほど政策的にバラバラではなかったと思います。・・・・」(BuzzFeedニュース(ここ)より)
色々なところで指摘されているように、「個人よりも国」「戦争の出来る国」という方向で、日本も世界の潮流と同じく、益々右傾化していくのだろう。
今後の政局を見て行く上で、今朝の玉川さんの話は、今までとは違った切り口の話で、なるほどな・・・と思った。
子どもや孫のために、気を取り直そう!?
(2017/10/24追)<参考>~かうかうさんから紹介頂いた毎日新聞の記事
「記者の目 2017衆院選 国民がくむべき教訓=倉重篤郎(編集編成局)
野党をどう育てるか
政治記者になって30年余。ある単純な仮説がある。実は日本国民は政治を軽んじてきたのではないか。なぜならば、外交・安全保障政策という最重要な政治については自らの主体的責任を放棄して米国に全面依存、経済のパイの分配を政治の役割としてきたからだ。経済は一流、政治は二流でいい、というのが本音に見える。解散政局のドタバタ劇でそれが真説に思えた。
安保への主体性欠如と政治軽視
そもそも何のための選挙だったのか。安倍晋三政権の5年をどう評価し、継続させるか否かを問うものであった。
私の点数は辛かった。看板政策のアベノミクスは2%の物価目標を達成できないまま、日本経済を崩壊させかねない負の遺産(日銀の金融緩和からの出口問題、財政収支目標の先送り)を抱え込んだ。新安保法制に代表される外交・安保政策は、中国との抑止力強化競争の道に自らを追いこみ、その延長にある圧力一辺倒の対北朝鮮政策も戦争回避の賢策には見えない。何よりも森友・加計問題隠しの意図が透けて見える国会冒頭解散であった。
もちろん、安倍政治を評価する人もおられる。そこで野党側との間で丁々発止の安倍政治総括が行われ、国民が最終的に審判を下す、というのが本来の姿であったはずだ。
ところが、そうはならなかった。野党の合流・新党デビュー劇の衝撃が強く、国民世論の目が十分に安倍政治に向けられなかった。それが自民勝利という選挙結果にも出てしまった。残念の極みである。
ただ、その野党再編劇の中にも日本政治の本質が宿っていた。それが冒頭申し上げた日本国民の政治軽視と安保政策への主体性欠落であった。
9月28日の民進党両院議員総会には驚いた。前原誠司代表が、同党と小池百合子東京都知事が党首の「希望の党」との合流方針を公式の場で初めて発表したのだが、強い異論なく満場一致の拍手で了承されたからだ。民進党という旧民主党以来20年の歴史を持ち3年余政権も担当した野党第1党が、一夜にして消滅する。しかも、これは後から現実化したことであるが、安全保障という基本政策で民進党が一貫して掲げてきた新安保法制の廃案主張と、自民党内でもタカ派視されていた小池氏の安保政策がいずれ矛盾することはちょっと想像すればわかっていたはずなのに、さしたる吟味もなかったという。
これをどう見るか。選挙直前、わらにもすがらんと小池ブランド傘下に入ろうとした気持ちはわかるにしても、あまりに安直な判断ではないか。前原・小池間で合流条件がどう詰められていたかとは別に、安保政策における一種の集団転向的政治行為が選挙民のひんしゅくを買い、希望の党の失速要因になった。小池氏の排除の論理よりはこちらの影響の方が重い気がする。
なぜ政権交代の選択肢持てない
問題は、安倍政治にきしみが出てそれに代わる政権担当能力のある野党が必要な時に、なぜ我々はその選択肢を持てなかったか、ということだ。
ひょっとしたら我々が彼らを追いこんだのではないか。
振り返れば、民進党には必要以上に国民世論のバッシングが続いたように思える。民主党政権の3年余にはいい政策、理念もあったはずだ。税と社会保障の一体改革は、自民党政権が先送りしてきたことに正面から取り組んだ改革だったし、日米対等・アジア重視の外交・安保政策もまた、安保環境変化をにらんだ勇気ある対案だった、と思う。
にもかかわらず我々は彼らの失敗を言い募り、それを許さず、政党支持率1桁のタガをはめ、その結果、自信喪失に陥った彼らがつい希望の党への合流劇に乗ってしまった。
これをもって自業自得、しかるべき淘汰(とうた)だという議論もあろう。ガバナンス(統治)能力に欠けた党のなれの果て、という見方も正しい。
ただ、私はそこに日本国民の政治軽視を感じるのだ。与党ですら米国依存の半人前政治、まして野党はなおさらだ。そこには時間をかけてきちんと野党を育て、いずれ与党が行き詰まった時の受け皿を作っておこうという政治的意思、度量、覚悟がなかったのではないか。もちろん、緊張した与野党関係を作り、いざという時に政権交代で政策変更させよう、などという戦略的意図はありようがない。
この問題にこだわるのは、未来にも通じる教訓だからでもある。今回は立憲民主党、希望の党という二つの新党が立ち上がった。慢心も卑下もない野党として彼らをどう育て、政権担当能力を持つまでに鍛え上げていくか。それは彼らと我々の共同作業だ、ということを忘れずにいたい。
その際には日本政治の米国全面依存体質にも向き合いたい。日米安保至上主義の下、米国の外交・安保政策に服属する以外の選択肢がタブー視されているが、そろそろ見直すべき時期が来た、と思う。袋小路の沖縄基地問題、日米両国関係の非対等性、対中抑止力強化の持続不能性がそれを物語っている。立憲民主党は、辺野古の基地問題の再検証を打ち出している。もっと根源的に日米安保体制を見直す作業も始めてもらいたい。
政治軽視と主体性欠如の日本を変える好機としたい。」(2017/10/24付「毎日新聞」ここより)
| 0
コメント
素敵な記事をありがとうございます!私も気を取り直せました&リベラルの定義がとてもよく腑に落ちました。
勝手にリツイートしてまずかったらお申し付けくださいね。
【エムズの片割れより】
お互い、気を取り直して!!
投稿: ロバ | 2017年10月23日 (月) 20:36
野党が成長し、政権交代の受け皿となるよう念願しているものとして、10月24日の毎日新聞朝刊、記者の目「2017衆院選、国民がくむべき教訓、野党をどう育てるか」の記事には、共感するところが多く、考えさせられました。
ご一読をお勧めします。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171024/ddm/005/070/018000c
【エムズの片割れより】
ご紹介ありがとうございました。読んでみて、なるほどと思いました。(記事を上にアップしました)
確かに、与党だけでなくマスコミも、民主党政権を失敗だと喧伝していますが、国民の評価が本当に「大失敗」なのか?
今の安倍政権の方が、遙かに良いのか?
自分は、民主党政権が安倍政権よりも悪かったとは、到底思えません。
マスコミと国民が、民主(進)党の自信を喪失させた、という意見は理解出来ます。
投稿: かうかう | 2017年10月24日 (火) 12:02