今衆院選の岐路は、民進党代表選での前原氏選出か?
昨日(2017/10/12)の各紙に、衆院選の序盤調査が載っていた。
各紙の見出しは、「自民堅調 希望伸びず」(朝日新聞)、「自公300超うかがう 希望伸び悩み」(毎日新聞)、「自民単独過半数の勢い 希望伸び悩み」(読売新聞)、「自公300議席うかがう」(産経新聞)、「与党、300議席に迫る勢い」(日経新聞)、「自公堅調、希望伸び悩み」(東京新聞」・・・
今回は465議席なので、過半数は233、絶対安定多数は261、憲法改正発議に必要な2/3は310議席だ。それを前提に眺めてみよう。
「序盤調査 自公300超うかがう 希望、伸び悩み 立憲に勢い 投票先未定半数
共同通信社は第48回衆院選について10、11の両日、全国の有権者約11万8900人を対象に電話世論調査を実施し、公示直後の序盤情勢を探った。自民党は小選挙区、比例代表で優位に立ち、公明党と合わせた与党で300議席超をうかがう。希望の党は60議席前後で伸び悩んでいる。立憲民主党は公示前から倍増の30議席台も視野。共産党は議席減、日本維新の会は微増にとどまりそうだ。投票先未定は小選挙区で54.4%に上り、22日の投開票に向けて情勢が変わる可能性がある。
公明党は最大でも公示前の35議席となり、割り込む公算が大きい。社民党は2議席確保の見通し。日本のこころは議席獲得が見込めていない。
自民党は定数289の小選挙区のうち、220程度で優勢だ。11ブロックの比例代表(定数176)でも他党を引き離し、公示前の68議席と並ぶ水準。自民党単独で衆院過半数(233議席)を大きく上回る可能性がある。
希望の党は、合流した民進党出身前職の多くが小選挙区で苦戦している。比例との合計で100議席台に乗せるのは難しい情勢となっている。
立憲民主党は、比例が20議席程度まで伸びる勢い。小選挙区を含めた合計で自民、希望に続く第3党となり得る。日本維新の会は、地盤の大阪で自民党と競る小選挙区が多い。」(2017/10/12付「毎日新聞」ここより)
この記事でも「投票先未定は小選挙区で54.4%に上り、22日の投開票に向けて情勢が変わる可能性がある。」という前提を謳ってはいるが、各紙の調査結果は最終結果に近いのが前例。つまり、自公で319、改憲勢力である維新と希望を加えると396。実に改憲勢力は85%になり、改正前よりも増えそう・・・・
モリカケがあろうが何があろうが、結果として、国民は今後の政治を、またも完全に安倍首相に白紙委任するようだ。
なぜこうなったのか?自分は、その岐路は先の民進党代表選の結果にあるような気がしてならない。
思い出してみよう。前原、枝野両氏の主張はこうだった。
「野党共闘、際立つ違い 前原氏「理念・政策合わない」枝野氏「参院選で一定成果」 消費税増税、原発政策でも隔たり
21日に告示された民進党代表選で、候補者の主張に違いが際立つのは野党共闘と消費税増税、原発政策への姿勢だ。とりわけ野党共闘では、前原誠司元外相が共産党との協力関係の見直しを示唆し、昨年の参院選での協力の成果を強調する枝野幸男元官房長官との間で路線対立が生じている。(松本学)
21日に民進党本部で開かれた候補者の共同記者会見で、前原氏は次期衆院選での共産党との協力に強い表現で疑問を投げかけた。
「理念・政策が合わないところと協力することは、私はおかしいと思う」
続いて発言した枝野氏は、党幹事長として陣頭指揮した参院選での協力について「成果を挙げることが一定程度できた」との認識を示し、立場の違いを強く印象づけた。
民進党執行部はこれまで共産党と政権をともにすることを否定する一方、選挙協力は容認する路線を取ってきた。しかし、前原氏は政権構想のみならず選挙協力にも否定的だ。
20日の党員・サポーター集会では、党内の憲法改正議論が低調な背景に共産党との協力があるという見方を示し「共産党は憲法(改正)反対だから扱ってはいけない、ということで、どんどん民進党の独自性をなくしてきた」と訴えた。・・・・」(2017/8/22付「産経新聞」ここより)
そして代表選の結果は・・・
「前原誠司氏、圧勝かなわず 地方で枝野幸男氏に一定の賛同
1日に投開票された民進党代表選は、前原誠司新代表が総ポイントの約6割にあたる502ポイントを獲得し、332ポイントの枝野幸男元官房長官に勝利した。ただ、予測されたほどの圧勝はかなわず、党内の信任が盤石ではないことを印象づけた。
国会議員(142人)に関しては、前原氏が100票前後を獲得してトリプルスコアで圧勝するという観測もあった。しかし実際は、前原氏が自身のグループや旧民社党系グループを中心に83票(166ポイント)だったのに対し、枝野氏は赤松広隆前衆院副議長のグループなどから51票(102ポイント)を獲得した。地方議員と党員・サポーターを合わせた「地方票」はさらに差が縮まり、252ポイント対188ポイントだった。
代表選で両氏の違いが最も際立ったのは野党再編をめぐる立場だった。前原氏が離党者らとの将来的な連携に含みを持たせたのに対し、枝野氏は対抗馬擁立を強く訴え、「ここが一番の争点だ」と周囲に漏らしていた。かつて除名した議員を平気で「復党」させた民進党の節操のなさが失笑を買っただけに、地方議員らが納得できるガバナンス(統治)を掲げた主張が、地方から一定の賛同を得たといえる。
党員・サポーター票を都道府県別にみると、前原氏は地元の京都で5ポイント対0ポイントで圧勝するなど、27府県を制した。枝野氏は地元の埼玉や、支持を受けた岡田克也元代表の地盤の三重など6都道県で勝利した。14県では引き分けだった。(松本学)」(2017/9/2付「産経新聞」ここより)
民進党が前原代表を得て、野党共闘から党を解散して小池新党への合流にカジを切り、自公に漁夫の利を与えて、今回の結果につながったことはあきらか。
歴史に「もしも」は無いが、“もしも”枝野代表になって野党共闘が為されていたら、小池都知事も今回のような野心を燃やすこともなく、野党共闘もそれなりの結果が出たのではないか?
そんな意味では、先の民進党代表選は、今後の日本の民主主義の歴史に、後戻りができない悔恨を残したようでならない。
<付録>「まんがイラスト ぼうごなつこのページ」(ここ)より
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コメント
各新聞の選挙予想には、かなりショックを受けました。22日の開票結果を待つまでもなく、大勢は決したと思います。トランプ、追随する安倍に対する日本人としての信任投票を期待していたのに。戦争法案成立時の反対運動の盛り上がりが見えません。私は敗戦の理由の最大のものは、日本人の過去に学ばない不勉強さ、すぐ忘れる民族性であると思います。他に2つの理由を考えました。1つは民進党が野党に下野してからも、党内で左右両派の対立を続け、野党第1党としてのリーダーシップを取れなかったこと。早く分党し選挙に備えなかったこと。もう1つは、マスコミが今回の選挙の争点は、どうしたら北朝鮮・アメリカの戦争を回避できるかが最優先のはずなのに、相変わらず国民の投票時の関心事は、経済政策、社会福祉などであり、外交政策等は関心が低いというような調査結果、対談記事を出していること、おかしくありませんか。消費税は上げる、同時に税金の配分は大幅に見直す、これしかないのではないですか。今、戦争を回避するためには、どんな方法があると思うのか。それを各政党に聞き、国民に聞いて結果を報道すること。それがはっきり示せない、オピニオンリーダーとなれないマスコミなんて存在価値はありません。
10月12日、毎日新聞コラム「しあわせのトンボ」の記事です。小説家吉村昭氏は城山三郎氏との対談で、戦後よく言われた、あの戦争は軍部がやったもので、国民はだまされたのだという説を否定し、「庶民が一所懸命やったんです。それを認めないと戦争の怖さはわからない」と流される怖さを強調しています。広い頭で、とらわれずに、と。
【エムズの片割れより】
吉田首相は「国民はバカだから」、安倍首相は「国民は直ぐに忘れるサ」・・・。
日本国民は、まさにその通りなのですね。
その結果責任はまさに主権者たる国民。連帯責任を取らされる不支持派は、そのやるせなさをどこに持って行けば良いのか・・・
暗黒に向かって走る日本。嗚呼・・・!
投稿: かうかう | 2017年10月13日 (金) 18:14
Jアラートが強烈に効いたんですよ。
ええ、首相は朝鮮戦争が起こるはずもないこと、仮に核ミサイルが日本に向けられたら、対処がしようもないことはよくわかっているはず。で9条改訂と安保政策の宣伝に使った。
【エムズの片割れより】
かもね・・・
なかなかの軍師がいるようで・・・
今日も、ミサイル発射の徴候のニュース。発射されると、また大騒ぎで、自民益々優勢に?
投稿: gkrsnama | 2017年10月14日 (土) 12:51
今回の選挙は「モリカケ疑惑隠し」解散に始まってます。
で、こんな予測が出るようなら、膨大な選挙費用までアベ様に私用されたみたいなもんです。
私の選挙区では、立憲党が立たず、希望が自民と競っていると言う予想が出たので、迷いますが、希望党に入れます。共産党には、比例で入れます。
(希望の候補は、はじめは“小池百合子にはじかれる”という予想が立っていた人なので、当選後の離党に期待します。)
)
なんとしても、あらゆるものを「私物化」するアベ政権を倒したいです。
【エムズの片割れより】
このところ、カミさんにせかされて期日前投票に行っています。まだ1週間もありますが、昨日の(日)に近くの出張所に行ってきました。駐車場も車がたくさん。混んでいるのでビックリしました。
投稿: Tamakist | 2017年10月16日 (月) 09:19
第2次朝鮮戦争が起こるか起こらないか。私には分かりませんが、トランプを押さえ込むのに側近が苦労しているという記事もあります。そのトランプにべったりなアベで日本が大丈夫だとは思えません。
北朝鮮の動きと、トランプの動きをみあわせながら、周囲の国が外交努力を重ねるべき時に、総選挙をやっている!!
こんな国にだれがした?! といえば、アベと、小選挙区で自公に投票する人達です。
投稿: Tamakist | 2017年10月16日 (月) 09:25