叙情歌の思い出
昨日(2017/09/25)の朝日新聞に、叙情歌についての記事があった。
「友との歌声、懐かしむ抒情歌 唱歌・童謡・ラジオ歌謡曲…シニアに人気
「抒情歌(じょじょうか)(叙情歌)」がシニア世代を中心に人気を集めている。唱歌や童謡、ラジオの歌謡曲など歌の出自は様々だが、「懐かしい日本のうた」という点で共通している。最近の国語辞典にも載っていない抒情歌。その魅力とは何か。
日本コロムビアは6月、演歌やクラシックを含むシニア向けの「決定盤」シリーズで、「抒情歌大全集~想(おも)い出の50曲」を出した。2千セットを突破し、「この種のものの短期の売り上げとしては好調」と企画した同社の三谷順一さん。
地方のCD店が減る中、生協の折り込みチラシでも販売し、反響があるという。「60代後半~70代以上、団塊の世代を中心に喜ばれている。ジャケットに使った原田泰治さんの田園風景も好評です」
キングレコードは8月、ウグイスやセミの声などの効果音が入った「四季を感じる日本のうた」を出した。外出がままならない高齢者にも四季を届けたいと企画したという。ソニー・ミュージックダイレクトは、BS―TBSの合唱番組「日本名曲アルバム」の収録曲を集めたDVD「心の抒情歌 合唱集」を3月から販売。TBSの通販で買った人の80%が、60~80代だという。
CD会社にとっては既存の音源で商品を作れるメリットがある。「アーティスト名で売る必要がなく、はやりすたりがない。(売り上げの)ベースを支える存在」と話す関係者もいる。
■定義、人それぞれ
抒情歌とはどんな音楽を指すのか。広辞苑で「抒情・叙情」は「自分の感情を述べ表すこと」、新明解国語辞典では「直接相手の心に訴えるように表すこと」。いずれにも抒情詩はあるが、抒情歌はない。
『うたごえの戦後史』(人文書院)の著者、河西秀哉・神戸女学院大准教授(40)=日本近現代史=は「定義は人によって違うが、郷愁を誘う歌を指すのは確か」と指摘する。
収録曲の出自は多岐にわたる。コロムビアの「抒情歌大全集」には、ドイツの曲で明治期に翻訳された「ローレライ」、大正時代の文部省唱歌「春の小川」や童謡「赤い靴」、昭和初期にNHKのラジオ番組「国民歌謡」で流れた「椰子(やし)の実」などが入っている。
唱歌は主に学校教材用の歌で、文部省選定のものを文部省唱歌と呼ぶ。一方で童謡は、啓蒙(けいもう)的な唱歌に対抗し、大正時代に北原白秋らが起こした童謡運動から生まれた。ラジオの歌謡曲には大人向けの歌もある。
河西さんは「恋愛の歌でもドロドロしていなくて清潔感がある。団塊の世代にとっては、日本の『あるべき風景』を思い起こさせる歌なのでしょう」と言う。
■印象はゆったり
ソプラノ歌手として日本の歌を研究してきた藍川由美さん(61)は、大学生だった1970年代から抒情歌という言葉をよく聞くようになったという。唱歌や国民歌謡には戦時色の濃いものもあったため、戦後も歌える作品に対し、レコード会社が新たにつけた名前ではないかとみる。抒情歌は、歌が戦争に関わった歴史を忘れさせる、耳に快い名前だと言える。
藍川さんは「誰もが歌えるゆったりとした歌という印象も与える。歌は聞くだけでなく声に出して初めて命を持つ。自分で歌うことが大事なんです」。
自ら歌うことに挑戦した一人が、落語家の柳家小三治さん(77)だ。藍川さんのCD「夏の思い出~ラジオから生まれた歌」をきっかけに歌を学び、2005年にはCD「歌ま・く・ら―ボクは歌の好きな少年だった」を出した。
渡辺裕・東京大教授(64)=音楽社会史=は、文部省唱歌は、近代国家を目指す中、国民の連帯感や帰属意識を高めるのが目的だったとみる。戦後、そうした意図は表向きには消えたが、学校での合唱やラジオ放送が、連帯感の維持に寄与してきたと考える。
「60年代には学校でも音楽の授業以外に皆で歌う機会があり、うたごえ喫茶のような場も盛んだったが、70年ごろを境に、そのような楽しみ方が消えていった。『抒情歌』を愛好する人たちは、共に歌う歌があった時代を記憶し、懐かしんでいるのではないか」(安部美香子)」(2017/09/25付「朝日新聞」p33より)
確かに「広辞苑」に「抒情歌」という項目はない。「叙情歌」とも書かれるが、言葉としては、それほどメジャーな言葉ではないことに、今さらながら驚く。
自分の抒情歌の歴史は古い。
思い返すと、朝日ソノラマのソノシートの「マーチ集」から自分のレコードの歴史は始まった。中学1年(昭和35年)の頃だった。セミクラシックの17センチ盤を買い出したのが昭和37年の中学3年の頃。そして高校、大学時代にクラシックに夢中になった。
抒情歌は、(ここ)にも書いたが、高校1年の時に、親にテープレコーダを買って貰ってから。ナショナルの「RQ-303」という機種だった。転載すると「テープレコーダ「マイソニック」(RQ-303)1963年(昭和38年)1万円テレコといわれたヒット商品。[10,000円]」
ラジオでオッとおもう歌が放送されると、マイクをスピーカーに近付けて録音した。音は悪いが、それでも何とか聞けた。そして、テープに固定(録音)された音源を元に、歌詞をメモし、自分でも歌った。
その頃、ラジオで“発見”した歌手が、伊藤久男、藤山一郎、岡本敦郎だった。「山のけむり」「イヨマンテの夜」「長崎の鐘」「白鳥の歌」「白い花の咲く頃」・・・
まさにこれらが自分の原点。
大学時代は、歌声喫茶がおおはやりだった。高校の時に、大学生だった兄貴に「カチューシャ」などに連れて行って貰った。しかし実際に行ったのは2~3回。
大学1年の時にサークルで歌った。歌ったのはそれが最後。それ以来は、もっぱら聞く方。
自分の音源集めは、それ以来50年。サラリーマンの現役時代は、とても聞くヒマは無かったが、リタイアしてから、改めてCD音源を集め始め(音質の改善)、それも終わった。
藤山一郎や、伊藤久男などの歌は、CD化されている音源は一通り聞いた。それで気に入ったものは全て手元に集めた。それで、最近は新しい歌(自分が初めて聞く歌)の発見は非常に少ない。
最近は、抒情歌に限らず、自分にフィットする日本の「歌」は、ほとんど集め終わった感がしている。
前にも書いたが、オープンテープ、カセットテープ、MD(ここまではFM放送の録音)、LP、CD、MP3(CS放送のミュージックバード等より)、WAV(CDのリッピング)、ハイレゾと、音質は信じられないほど良くなった。
たくさん集めた。後は、聞くだけ・・・・
自分のこの歌を聞く“血”はどこから来ているのか?
子どもの頃、お袋からは、ハーモニカを教わった。小学校3~5年の頃。曲はもっぱら「荒城の月」。お袋は歌うも好きで、前にこのサイトにもアップした。親父は、聞くだけ。それも抒情歌と東海林太郎一本。しかし、親父から抒情歌を教わった記憶はない。
会社に入って3年目。昭和48年6月、東京でレコードを買ってから帰省した。「日本の抒情歌」という2枚組だった。それを見ていたら、親父が「そのレコードを売れ」と言ってきた。「お前はもう一度買えば良い。そのレコードを売ってくれ」
親父も、抒情歌が大好きだったようで、亡くなった後で、ロッカーを開けると、倍賞知恵子の歌など、同じようなレコードがたくさん出て来た。
やはり環境と血は争えない。自分の音楽好きは、やはり親の血と思う。
ひるがえって、息子にはどう伝わったか??カミさんも歌は好きなので、長男も歌は大好き。もっぱらJポップだが、歌詞を直ぐに覚える。その才能はスゴイ。次男は、高校生の頃はクラシックも聴いていたようだが、サザンが好きだと聞いたことはあるが、詳しくは分からない。
孫はどうか・・・。それこそ「これから・・・」が楽しみ。
自分の人生に欠くことの出来ない「抒情歌」の話ではある。
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コメント
秋と言えば「里の秋」をすぐ思い浮かべますが50歳代以下の人たちが「里の秋」を知らなかったことに驚きました。我が家の息子は知っています。昔はラジオから童謡がいつも流れていましたが、今テレビで童謡を聴かせることが殆ど無くなっています。お母さんが歌わない家だと子供に伝わっていかなくなってしまっていますね。抒情歌を聴くと気持ちが安らぎます。
優しい子に育てたかったら童謡をお母さんが歌ってやるといいのにと思います。
初恋の頃は「白い花の咲くころ」仕事で心がささくれたら「山の煙」など日本には良い歌が沢山ありますね。私は自分のお葬式用に「抒情歌」のCDを作ってあります。中身はエムズ様のあげて居られた歌と同じです。お葬式中に自分で聴けたら楽しいのに・・・聴けるかも知れませんね。楽しみです。
【エムズの片割れより】
「自分のお葬式用の音楽」ですか・・・
若い頃、クラシックに凝っていた時には、自分の葬式には、まずベートーベンのエロイカの葬送行進曲をかけて、モーツアルトのレクイエムをかけて、ショパンの葬送行進曲を・・・ナンテ、考えていたこともありましたが、今はカミさんの影響で?葬式そのものをどうするか?です。たぶん非常にこぢんまりしたものになるでしょう。
追)内のカミさんからの言づてです。
昨年、白萩さんから頂いたコメントについて。
https://emuzu-2.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-6734.html#comment-139037723
「犬のおしっこは、水で流してから、その上に精油の「クローブ」と「タイム」を数滴たらすと良い」とのことです。
投稿: 白萩 | 2017年9月28日 (木) 21:10
エムズ様の奥様 お教え下さって有難うございます。書き留めておきます。我が家の道路沿いには御影石が敷いてあるので犬のおしっこは塩分が含まれているので、長い年月同じところに掛けられると石のほうが風化してぼろぼろになってしまいます、その前に犬の寿命が尽きてくれてほっとしました。最近は犬を飼う人が高齢で少なくなったのでホッとしています。ちなみに墓石の御影石にも絶対塩をじかに置かないようにしましょう。
投稿: 白萩 | 2017年9月30日 (土) 11:20