元NHKアナウンサー・鈴木文弥氏のプロ根性
先日、2024年と28年の五輪が、パリとロスに決まったというニュースが流れていた。五輪も、費用の点から辞退する都市が相次いでいるという。
「夏季五輪、24年パリ・28年ロス正式決定 IOC総会
国際オリンピック委員会(IOC)は13日、ペルー・リマで開いた第131次総会で、2024年夏季五輪の開催地にパリ、28年夏季五輪にロサンゼルス(米国)を正式に選んだ。パリでの開催は1900年、24年以来。ロサンゼルスは1932年、84年以来となり、ともにロンドンと並ぶ3度目の夏季五輪となる。2大会の開催都市が同時に決まったのは96年ぶり。
両都市はもともと24年大会に立候補していた。しかし、巨額の費用負担などを理由に撤退する都市が相次いだことから、IOCは2都市を振り分けて28年大会の開催都市も同時に決める異例の方針を決定。24年以降は選手村予定地の確保が難しいパリに、ロスが譲る形で合意した。(遠田寛生)(2017/09/14付「朝日新聞」より)
自分はそもそも、今更五輪の開催など、税金の無駄遣いだと思っているが、1964年の東京五輪は別だった。全国が湧いた。(20年の東京五輪のように、世界中が“バカみたい”と思ったスーパー・マリオに扮した誰かさんの為の五輪ではなかった。)
その開会式のラジオの実況中継が、鈴木文弥アナだった。
先日、NHKラジオ深夜便で放送された特選 スポーツ名場面の裏側で~元NHKアナウンサー…鈴木文弥」(2007年10月11日放送)(2017年5月28日再放送)を思い出した。
改めてこの10年前の再放送を聞いてみると、鈴木アナの放送に対する真摯な向き合い方、プロ根性に圧倒される。
そして、58歳の時に発症したという脳内出血のリハビリの努力ぶりには頭が下がる。その部分を聞いてみよう。
<NHK「スポーツ名場面の裏側で~元NHKアナ・鈴木文弥」>
言葉を失ったが、4ヶ月の闘病生活で、あ、い、う、え、お、の発声練習を人一倍繰り返した結果、言葉を取り戻したという。
「自分の気持ちにピリオドを打ってはいけない」。努力しないといけない。
そして「あ・い・う・え・お」が大切で、これを忘れている日本人が増えているとも・・・
「あ」は、相手の立場を考えよう。
「い」は、嫌なことを進んでやろう。
「う」は、上を見たらきりがない。
「え」は、笑顔は自分で作れ。
「お」は、お礼の気持ちを忘れない。
この放送で、圧倒されるのが、氏の「努力」。実況中継の前の、準備の周到さ・・・。
アナウンサーが放送で、ここまで日々努力をして言葉を発しているとは思わなかった。
しかし、58歳の時に言葉を失っても、その努力の結果、お亡くなりになるまでの30年間は、リハビリの成果が花開いた訳で、人間「もうダメ」と思ったら、そこが終点。でも努力をすれば、その後の人生を取り返せるということ。
人生の大先輩として、含蓄のあるお話だった。
2013年に88歳で亡くなったという氏の冥福を祈りたい。
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