プロ野球選手から公認会計士になった奥村武博さん
先日、朝日新聞にこんな記事があった。
「(ひと)奥村武博さん プロ野球選手から公認会計士になった
身長188センチの技巧派投手として、岐阜県立土岐商高から、阪神にドラフト6位で入団。だが、「プロ入りに満足して気が緩み、体のケアを怠った」。故障で1軍登板のないまま4年目に戦力外通告を受け、翌年、退団した。
当時23歳。履歴書の書き方も知らない。アルバイト生活2年目で公認会計士の存在を知ると、高校時代に取った簿記の資格を思い出し、「もう一度、プロと呼ばれるところに身を置きたい」と挑戦を決めた。
アルバイトを続けながらの猛勉強。1次試験は突破するが、2次でつまずく。一時、企業への就職に傾きかけたが、「選手時代と同じ。また自分に甘えている」と奮起した。2013年に10回目の挑戦で合格。実務経験を積み、今年6月に公認会計士になった。
新たなマウンドで目指すのは、引退後の選手の「セカンドキャリア支援」だ。日本野球機構の調査では、引退後に不安を感じている選手が67%に上る。一般企業や飲食店など畑違いの分野でゼロからスタートする人も多い。現役選手の税金の管理などを手がけながら、「現役時代から野球以外に目を向ける大切さを説きたい」。
簿記が後押しした第二の人生。試験合格後に招かれた母校での講演で、後輩たちにこう呼びかけた。「今、いろんな引き出しを増やしていってほしい。絶対に後で役立つから」」(2017/07/19付「朝日新聞」p2より)
プロ野球選手から公認会計士になったという。
努力で地位を得た人は色々いるが、この人の例は、歴史に名を残すのではないか?
ふと、前に書いた記事を思い出した。
「プロ野球選手になるための倍率は約2,055倍だが、育成選手では年俸240万円程度」(ここ)だという。
そして「高卒、大卒、社会人出身のうち、1軍の試合経験なしに引退する選手の4分の3が高卒だ。投手の場合、1軍経験なしに引退するのは、高卒は37.3%と、大卒の15.9%に比べて高い。執筆者の一人、日体大スポーツ局の黒田次郎は『近年、高卒の平均在籍年数は4年に満たない。大学卒業前の若さでお払い箱になる計算だ』と指摘する。・・・」(ここ)だという。
まさに、上の奥村さんの例では、高卒で4年目に戦力外通告を受け、23歳で退団したというから、“高卒の平均在籍年数”と合っている。
プロ野球選手になるには、子どもの頃から野球漬けでないと、とてもその域には到達しない。だから、野球を止めて一般人になったとき、他の世界を知らない反動は大きい。
将棋では、23歳と26歳で切って、奨励会を退会させるルールがある。それは、別の人生を促す知恵。
普通は途方に暮れるところだが、“高校時代に取った簿記の資格を思い出し”、公認会計士にチャレンジ。そして10回目で合格とは・・・
今はだいぶん地位が落ちたが、司法試験では、どんなに努力しても、何十年チャレンジしても、絶対に合格しない、という人がいるそうだ。それは才能の問題なのだろう。努力の世界ではない、元々の頭の出来の問題。つまりは、遺伝的な素質が大きいということ。もちろんトンビがタカを産まないとは言わないが・・・
大昔、息子が中学受験をする事になって、日能研という受験塾に行った時、まず言われたのが「両親が東大でなかったら、子どもは絶対に東大には受からない」と言われた。それが現実・・・
そんな風評の中で、プロ野球選手から公認会計士とは・・・
映画「ビリギャル」の例もあるが、氏の努力は言語を絶するものがあったのだろう。
風評は風評として、人生、血筋であきらめる必要は無さそうだ。
昔、学生運動の活動家は一般の会社には入れないので、法曹などの国家資格を得て、その道で糧を得たという。
いつの時代も、資格は身を助ける・・・ですね。
<付録>「まんがイラスト ぼうごなつこのページ」(ここ)より
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コメント
素晴らしい方がいるものですね。
天晴の一言です。
投稿: りんご | 2017年8月 6日 (日) 23:05