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2017年8月24日 (木)

格安サイトからクラシックのハイレゾ音源を買ってみた話

自分は、昔からクラシックではDECCA(デッカ)の録音が好き。昔は「ロンドンレコード」というレーベルで売っていた。その中でも、1959年のジョン・カルショーのプロデュースによる、カラヤン/VPOのブラームスの1番は、高校時代から聞いている。
先日、このハイレゾ音源が売っていないかな・・・と思って、Netでググってみたら、あるサイトがヒットした。
色々なクラシックのハイレゾ音源が、結構安い値段(300円~800円)で売られている。ブラームスの1番もあるので、少々興味が湧き、色々と店主に問い合わせてみた。そして、試しに1曲買ってみたので、今日はその話。

結論は、やはり“デッカの”、そして“メーカー製の”FLACの音源は、音が良かった。
今日現在、このサイトには60曲ほどアップされている。日々追加されているようだ。

音源は、著作権の切れた1966年以前に録音された音源に限られている。音源の内容的には、①メーカー製のDSD音源、②メーカー製のFLAC音源(24bit/96KHz)、③既存のCD(16bit/44.1KHz)を24bit/96kHzにアップコンバートしたFLAC音源(下位ビットを類推補完、高域を1/f減衰曲線に基づく補完)、④そしてLPレコードを24bit/96KHzのハイレゾにデジタル化した音源、の4種。

④は、自分もSONYのPS-HX500というプレヤーを持っており、CD音源が手に入らないものは、自分でLPからハイレゾ録音しているので、まあ買うまでもない・・・

きっかけとなった、ブラームスの1番は、残念ながらLPから起こした音源であり、サンプルも聞いたが、やはりスクラッチノイズが大きく、とても買う気にはならなかった。
そう言えば、前に自分も「Sound Forge Pro 11.0」というソフトで、ノイズを消してみたが、全体の音が悪化し、とても聞けなかった。
それで、サンプルで良い音がした、カルショーによる、カラヤンのドボルザークの8番を注文してみた。

支払い方法は、クレジットがメイン。少々心配だったが、大手の決済サイトと連携されているらしく、むしろ銀行振り込みよりは安心かも・・・。
注文して、直ぐにメールが届く。(今回は、メールがプロバイダの「迷惑メールフォルダ」に分類されてしまい、届かなかったので、それを読むまでに手間取ってしまった。)
そこにPDFファイルをダウンロードするURLがあるので、PDFをまずダウンロード。そこに音源をダウンロードするためのURLが書いてあるので、そこから音源をダウンロードする。しかしAcrobat ReaderでURLをコピーしようとしたが、URLの文字列の選択がなかなか出来ずに手間取ってしまった。
そして、そのURLをChrome に貼り付けてアクセスするが、結局エラー。Firefoxでないと、うまくダウンロード出来なかった。でも、何とかFLACをダウンロードした。

そして音源を、愛用の「HAP-Z1ES」に転送して音を出す。案の定、美しいヴァイオリン・・・
170824dvorakhr しかし、1楽章の途中で音が詰まり、最初に戻ってしまった。数回試したが、同じ現象なので、再度ダウンロードし直したら、今度はOKだった。
なるほど、500円でこれだけの音源が手に入るのは有り難い。

音源は全て海外から仕入れているとのこと。まあ、タグを見ても、そうだろうな・・・と思う。
ちなみに、自分が持っているCDと、このサイトで売っているCDアップコンバートのスペクトラムを比較してみた。ハイフェッツのブラームスのヴァイオリン協奏曲の第3楽章はこんな具合・・・

(オリジナルのCD音源)(アップコンのハイレゾ音源)
170824brahmscd 170824brahmscdup

確かに、高域は付加されており、CDよりは聞き易い。(RCA系は、今後は現在のCDアップコンからメーカー製のハイレゾ音源に変わるらしいが)
しかし、そもそも自分の駄耳では、CDとの差はなかなか難しい。前にも色々なハイレゾ音源を買ってみたが、結局、DGの音源はハイレゾの良さが分からなかった。特にクライバーの「運命」は、その差が分からなかった。

しかし、昔からの自分の思い込みもあり、DECCAの昔のアナログ録音の音は、やはり素晴らしい。今回買ってみたカラヤンのドボルザークも、なかなか宜しい。
まあ結論は、今後も、DECCAの好きな曲の音源が出たら、買おうと思っている。

さて、この格安サイトだが、どうも見づらい。目次もリストも無い。リリースした音源を単純に追加して行っているようだ。よって、載っている写真も、LPのアルバムの写真ではないので、一つずつ開いて、内容を確かめないと分からない。そして説明に、「メーカー製」と書いていない音源は、CDのアップコンバートだとのこと。DSDは全てメーカー製。
EXCEL風のリストで、作曲者の古い順に曲が並んでいて、音源の出所もはっきり書いてあると、便利なのだが・・・

店には音源のストックは結構あるらしいが、サイトで販売できるようにするまで、結構手間がかかるらしい。音源のリクエストも募集しているが、むしろリクエストが来てから音源を作るのではなく、作れる可能性のある音源(曲目)をなるべくたくさん先にリスト化しておいて、リストに「この音源は注文後3日後」とか記入することで、購入依頼があった順にリリースした方が効率的かもしれない。
前に中古PCを買った時、同じPCのモデルで色々なバリエーションが売られていたが、実はPCは1台しか無く、買い手が付いたバリエーションにモデファイして販売していた。それと同じ・・・
まあ見ると、一番上が新しいものらしいが、「NEWS」か「お知らせ」コーナーで、新しくリリースしたものが一目瞭然にあると、分かり易い。まあリリース情報をメルマガで・・という手もある。

さて話が飛ぶが、興味が湧いたので、著作隣接権について、プロの協会に聞いてみた。
そこで教えてもらったことをメモしておく。
・日本の著作権法では、「録音してから50年」が保護期間。まあ発売してから、と考えても、そう差はない。
・現法は1971年から施行されたが、旧法の関係で「実演家の死後30年」と「録音後50年」の長い方。例えば、藤山一郎はまだ死後30年経っていないので、録音後50年以上経ったSP盤もまだ保護期間中、という事になる。
・海外の録音については、「日本で最初に発売された盤」以外は、50年。海外の演奏家が「日本で最初に発売された盤」は、旧法の「実演家の死後30年」の縛りがある場合がある(附則15条2項)。逆にクラシックのように、海外での発売が日本よりも早い場合は、全て50年。
・しかし、施行50年後の2021年からは「録音後50年」に統一される。(附則)
・いわゆる「リマスタリング」された音源は、その時点から著作隣接権が生まれる可能性がある。(オーパス蔵盤のウラニアのエロイカ(ここ)など)ノイズを除去した音源も、可能性がある。
・しかし音源を単にCD化しただけなら、新しい音源とは言えないので、新しい権利は発生しない。もちろんハイレゾ音源は、原音にいかに忠実にするか、なので新たな権利は発生しない。
・著作権の異議は、基本的にはレコード会社がクレームを付けることになるが、どこまで把握できるか、があるので、遺族が気付いてクレームを付けるのが、唯一ではないか?

特に法的にも問題ないので、今後もこのサイトを注視し、DECCAのカルショー録音(録音リストはここ)が出たら買ってみよう。
ハイレゾを聞きたいクラシック愛好家にとっては、なかなか有り難いサイトではある。

(2017/09/03追)
さっきHPを覗いてみたら、全体的に価格が大幅に上がっていた。
例:「モーツァルト ディヴェルティメント 第15番 カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 24bit/96kHz FLAC」400円⇒800円
「ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 ミュンシュ指揮ボストン響」500円⇒1000円

理由は分からないが、せっかくの“格安”と謳っているのに、2倍にもアップしてしまって残念。

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コメント

こういう格安サイトがあるとは知りませんでしたが、音源がちょっと心配ではあります。
サイトを覗いてみましたが、14枚はSACDで所有していました。
文中にあるカラヤン=ウィーン・フィルのドボ8の旧盤は、私も愛聴しています。エソテリックから発売されたSACD(販売終了)はブラ3もカップリングされています。
サイト内のRCA(LivingStereo)盤は、英デッカにも負けない高音質です。10年程前にSACDで発売されましたが、輸入盤が千円だったので20枚購入しました。残念ながらほとんどが廃盤のようです。
タワーレコードが独自企画でSACD等を発売しているのはご存知でしょうか?最近だとイッセルシュテット=ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲全集が、英国でアナログマスターからDSD化されSACDで発売されましたが、素晴らしい音質です。
http://tower.jp/item/4545128?kid=psg03
ご参考まで。

【エムズの片割れより】
残念ながら当方はSACDを全くやっていません。もっぱら音源ファイルを買ってきて、SONYのHDDプレヤーで聞いています。
海外でハイレゾ音源が発売になれば、先の格安サイトでも取り上げるのでは?と楽しみにしています。
イッセルシュッテットは、学生時代に良く聞きました。特に9番はLPジャケットに楽譜が付いていて、ベストセラーでした。

投稿: classical.s | 2017年8月25日 (金) 19:22

イッセルシュテット=ウィーン・フィルの第九のLPですが、金色のジャケットでスコア付のものですね。私は中学生の時買って何度も聴きました。意外にもウィーン・フィル初の第九の録音ということでも話題になりました。
さて、この格安サイトの検索ですが、クリックしなくても写真上にカーソルを止めると、曲名、演奏者、ファイル品位が表示されますね。折角なのでどれか購入してみようと思います。情報ありがとうございました。

【エムズの片割れより】
確かにカーソルを当てると表示が出て来ますね。気が付かなかった・・・

この録音は1965年12月、そして学生時代に自分がとりこになったショルティ/ロンドン響のマーラーの2番と3番。2番が1966年、3番が1968年の録音なので、2番とイッセルシュテットの第九を、格安ハイレゾにリクエストしてみようかな・・・・

アナログ時代のハイレゾ音源・・・。昔惚れた恋人に、この歳になって、いっそう若返った姿で巡り会えたようで、嬉しいです。
このサイトの店主は、何か問い合わせてみると分かりますが、数日後に非常に丁寧な返信が返ってきます。個人の経営らしいが、信用出来ると判断しています。
たぶん英語が堪能な方なのでしょう。世界中から、著作権切れの音源を集めてくれて、安く紹介してくれるこのサイトは、今後も注視していこうと思っています。

投稿: classical.s | 2017年8月26日 (土) 06:25

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