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2017年8月10日 (木)

「あなたはどこの国の総理ですか」~長崎の被爆者の抗議に安倍首相は無視

昨夜(2017/08/09)のTV朝日「報道ステーション」で、長崎の被爆者代表が安倍首相に「あなたはどこの国の総理ですか」と抗議をしている場面を見た。
Netでそれについての記事をググってみたが、毎日新聞と朝日新聞は報道していたが、それ以外のマスコミでは見付からなかった。改めて両紙を読んでみる。

長崎原爆の日「あなたはどこの国の総理ですか」
被爆者団体、安倍首相に 禁止条約に批准しない方針で

 長崎への原爆投下から72年の「原爆の日」を迎えた9日、長崎市の平和公園で平和祈念式典が開かれた。平和祈念式典後に長崎市内で安倍晋三首相と面談した被爆者団体代表は、核兵器禁止条約に日本政府が批准しない方針を示していることに強く憤った。
170810hibakusya  「あなたはどこの国の総理ですか」。長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長を務める川野浩一さん(77)は被爆者団体からの要望書を安倍首相に手渡した際に迫った。「ヒバクシャの願いがようやく実り、核兵器禁止条約ができた。私たちは心から喜んでいます。私たちをあなたは見捨てるのですか」
 面談は式典後に首相らが被爆者団体から援護策などの要望を聞く場として設けられている。通常は冒頭で静かに要望書を手渡すが、川野さんは「子や孫に悲惨な体験をさせてはならないというナガサキの72年間の訴えが裏切られたという思いがあった」と異例の行動に出た理由を話す。川野さんは安倍首相に「今こそ日本が世界の先頭に立つべきだ」とも訴えたが、明確な返答はなかった。
 式典に参列した被爆者も、あいさつで条約に言及しない首相への失望を口にした。8歳の時に爆心地から約2・8キロで被爆した嶺川洸(たけし)さん(80)は「核兵器禁止条約が採択され、今が一番大事な時だ。わざわざ東京から来てあいさつするのに、なぜ被爆者に寄り添った言葉を語らないのか」と語った。【樋口岳大、加藤小夜】」(
2017/08/09付「毎日新聞」ここより)

長崎の被爆者、首相に「どこの国の総理か」 核禁条約で
 長崎では9日、核兵器禁止条約の交渉にすら参加しない政府の姿勢に「理解できない」「極めて残念」と批判が相次いだ。安倍晋三首相は「(条約に)署名、批准を行う考えはない」と記者会見で明言。被爆者と対面した際には条約に一切触れず、被爆地とのすれ違いが際だった。
 「あなたはどこの国の総理ですか。私たちをあなたは見捨てるのですか」
 9日午後、長崎市で被爆者代表の要望を首相らが聞く会合があった。冒頭、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(77)は首相に要望書を渡す前に強い口調で言った。
 米国の「核の傘」に依存し、条約に冷淡な首相には面と向かってただしたかった。数日前に思い立ち、9日朝に考えをメモにして会合に持参。「今こそわが国が、あなたが、世界の核兵器廃絶の先頭に立つべきです」とも呼びかけた。
 長崎の被爆者5団体がまとめた要望書も「(条約採択の場に)唯一の戦争被爆国である我が国の代表の姿が見えなかったことは極めて残念です。私たち長崎の被爆者は満腔(まんこう)の怒りを込め、政府に対し強く抗議します」と記した。
 会合に先立つ平和祈念式典では、田上富久・長崎市長が平和宣言で日本政府の姿勢を「被爆地は到底理解できない」と述べ、「核の傘に依存する政策の見直しを進めてほしい」と訴え、被爆者らが拍手を送った。
 ところが、首相は表情を変えず、式典のあいさつでは「真に『核兵器のない世界』を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要。我が国は、双方に働きかけを行うことを通じて、国際社会を主導していく」と述べる一方で条約には触れなかった。被爆者代表との会合でも、ほぼ同じ言い方をした。
 川野さんは会合の後、「(首相が)何か言うだろうと思ったが、肩すかしを食らった」と話した。長崎原爆被災者協議会の田中重光副会長(76)は、同じ言葉を繰り返す政府側の対応に「テープレコーダーを持ってきたらいい」。長崎原爆遺族会の本田魂会長(73)は「日本が米国にはっきりものを言っていかないと」と指摘した。(田部愛、久保田侑暉、岡田将平)」(
2017/08/09付「朝日新聞」ここより)

このTV朝日の報道を、音だけだが聞いてみよう。田上長崎市長の長崎平和宣言の後に、川野氏の抗議の声がある。

<TV朝日「報道ステーション」(2017/08/09)より>

長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会 川野浩一議長

「総理 私たち被爆者はあの日から72年、三度あのような悲惨な体験を子や孫、いやすべての人にあわせてはならないと必死に生き、訴えて参りました。
その願いがようやく実り核兵器禁止条約ができました。私たちは心から喜んでいます。
総理、あなたはどこの国の総理ですか。私たちをあなたは見捨てるのですか。国民をあなたは見捨てるのですか?
総理、今こそ我が国が、あなたが、世界の核兵器廃絶の先頭に立つべきだと思います。
まず北東アジアの非核兵器地帯構想に取り組みましょう。私たちもお手伝いします。
要望書でございます。どうぞよろしくお願いします。」(
ここに動画あり)

そしてこの後、川野さんは、「あなたはどこの国の総理かと、こういう言い方は失礼かと思ったが、それでも反応が出て来なかった。残念です。」と言っていた。
何を言われても、表情ひとつ変えずに、まさに決められた文言を機械的に朗読する。それを聞かされる我々は、たまったものではない。

首相のコピペの現状を伝える記事がある。

江崎大臣より悪質 安倍首相の広島・長崎“コピペ原稿”朗読
「しっかりお役所の原稿を読ませていただく。答弁書を朗読かな」――この発言で就任早々、日本中を呆れさせた江崎鉄磨沖縄北方相について9日、長崎市で会見した安倍首相は辞任の必要ナシとの考えを明かした。そりゃそうだろう。安倍首相こそ「原稿朗読」の常習犯。しかも戦没者追悼のスピーチで、原稿の「使い回し」や「コピペ」の連続だから、なおさらタチが悪い。
170810abe  長崎の原爆投下から72年。この日の平和祈念式典で、田上富久長崎市長は平和宣言で安倍政権を批判した。7月に国連加盟122カ国の賛成で採択された「核兵器禁止条約」について、「(政府が)交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できない」とバッサリ。条約への一日も早い参加を求めた。
 ところが、直後の来賓挨拶で安倍首相は、禁止条約には一切触れずじまい。「核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて力を尽くす」と豪語したが、その具体策には言及しなかった。
 問題は、安倍首相の不誠実な態度がこれだけにとどまらないことだ。実は長崎の挨拶と3日前の広島の式典の挨拶は、ほぼ一言一句違わない。使い回しの原稿を朗読しているだけなのだ。
 首相官邸の公式サイトの「記者会見」のページに両式典の挨拶の全文が掲載されてある。それを読めば一目瞭然。冒頭の〈原子爆弾の犠牲となられた数多くの御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます〉から、結びの〈皆様のご平安を祈念いたしまして、私の挨拶といたします〉までまるきり一緒。辛うじて違うのは〈広島〉と〈長崎〉の地名と犠牲者の数くらいなものだ。
2年連続コピペのあきれた“前科”も
 広島と長崎の原稿の使い回しは今年だけではない。第1次政権の時代から、2カ所の挨拶は毎年同じ。2013年と14年に至ってはナント、2年連続で内容が変わらない「コピペ原稿」を朗読していたのだ。
 厳粛な慰霊碑の前で前年と同じ挨拶をするとは、被爆地や被爆者、平和を軽視している証左だ」
 当時は原爆被害者団体の大越和郎事務局長も、カンカンになってそう語ったが、安倍首相にはさらに“前科”がある。13年と14年は6月23日の沖縄戦没者追悼式の挨拶も、基地負担を〈少しでも軽くする〉から〈能うる限り軽くする〉に“前進”させた以外は一言一句同じだった。
 安倍首相にとって戦争の犠牲者への慰霊や日本の平和を祈念する言葉の中身は、どうだっていいのだろうか。
 日刊ゲンダイが14年8月9日付でこのデタラメな事実を報じると、翌15年には戦後70年の節目を迎えたこともあってか、安倍首相は沖縄、広島、長崎の式典での挨拶の内容を変更した。さすがに3年連続の「完全コピー」こそ思いとどまったようだが、冒頭の〈哀悼の誠を捧げる〉のくだりや、終盤の〈被爆者の援護施策〉と〈原爆症の認定〉の文言はずっと同じ。就任5年間、かたくなに変えようとしないのだ。
 まるで心を感じさせない「コピペ原稿」の朗読――。一国のトップの人間性を疑うしかない。」
(2017/08/10付「日刊ゲンダイ」ここより)

つまり、安倍首相にとっては、広島や長崎の“過去”など、どうでも良いのだろう。首相としての挨拶も“やっつけ仕事”で、仕方が無く出席しているに過ぎないのだろう。

同じく今朝の朝日新聞に、天皇について、こんな記事があった。
「(平成と天皇)第2部・平和を求めて:中 慰霊の歩み、硫黄島から
 《「長崎は中継ないんですね」》。天皇陛下はしばしば、あまり注目されない物事に目をかける。
 皇太子時代の1981年8月。陛下は会見で、広島の原爆投下の日や終戦の日に全国で式典のテレビ中継があるのに、長崎の投下日に中継がなかったことに触れ、《「やはり同じような被害を受けたわけだから、当然同じに扱われるべきものなんじゃないかと思う」》と述べた。NHKが長崎の式典を全国中継するようになったのは、2000年になってからだった。
 またこの会見で陛下は「どうしても記憶しなければならない四つの日」として、沖縄戦終結の日、広島と長崎の原爆の日、終戦記念日を挙げた。天皇、皇后両陛下は毎年、この日には黙祷(もくとう)を欠かさない。9日も皇居・御所で、長崎市の平和祈念式典に合わせて黙祷した。・・・」(
2017/08/10付「朝日新聞」p3より)

この天皇の姿勢と、安倍首相の姿勢との落差。同じように国民を思う立場であるにもかかわらず、上の記事ではないが“まるで心を感じさせない”日本のトップ。
国民投票をすれば、必ず過半数を超えるであろう「核兵器禁止条約」への参加。しかし、国民の思いよりも、自分の思いを優先する情けない日本のトップ。
これを変えられるのは、我々国民なのだが・・・・

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コメント

本当に情けないお話です。民意と完全に離反していますね。加計と森友などやってはいけないことぐらい子供でもわかりますよ。核廃絶も日本人ならほとんどの人が思っている事です。
前に「ございます大臣」と命名しましたが、今度は「頓珍漢大臣」とでも命名しましょうか。自民党員は何をもって情けない大臣を総理の座に据え置いているのでしょうか。日本のために、人類平和のために働いてくれる総理を見つけたいものです。無私の人よ出てきてください。切に願っています。

【エムズの片割れより】
まったくです。それと内閣支持率の動きが、国民として心配。上がると、また傲慢が益々表に出てくるので・・・

投稿: 白萩 | 2017年8月11日 (金) 16:05

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