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2017年8月18日 (金)

2016年の世界シェア(市場占有率)57品目

2016年の世界シェアである。

世界シェア57品目――白色LED、日亜化学が首位陥落、価格競争激化、寡占進む。
 2016年の世界シェア57品目調査では、白色LEDで日亜化学工業が2位に転落したほか、自動車でもトヨタ自動車が3位に後退、成長市場での国際企業間での激しいシェア争いが浮き彫りになった。白物家電などの市場では中国企業の勢いが続くが、医療や生活・食品の市場では欧米の伝統企業が強みを発揮した。一方、カメラやプリンターなど日本が強みを持つ市場は縮小が鮮明だ。

 【白色LED】長年首位を守った日亜化学工業が2位に転落。価格競争が激しい用途を避けて、自動車のランプ、照明などに向けた高級品種に注力しており、数量を絞ったことが背景にある。
 代わって1位になったのが台湾の晶元光電。買収や設備投資を繰り返し、世界最大の生産能力を持つとされ、安価品で販売量を伸ばす。
 価格競争が厳しくなり、大手メーカーの寡占が進む。韓国のLGイノテックはグループ会社の液晶パネル向けバックライトで、サムスン電子は照明向けで価格攻勢を強め、シェアを伸ばした。
 【リチウムイオン電池】小型の円筒型やラミネート型のリチウムイオン電池セルの出荷量は7%拡大した。特に円筒型の伸びが大きい。小型電池を大量に使う米テスラの電気自動車が好調だったほか、電動工具など向け需要も増えている。
 テスラに電池を供給するパナソニックがシェアを拡大し、韓国サムスンSDIをかわしてトップになった。17年1月に米国でテスラとの大型工場を稼働させたため、今後さらにシェアは高まる見通しだ。スマートフォン(スマホ)向けのラミネート型電池が好調な香港アンプレックステクノロジーもシェアを上げた。
 【大型液晶パネル】出荷枚数はほぼ横ばいながら単価下落で、金額ベースの市場規模は約15%縮小した。目を見張るのが5位の京東方科技集団のほか、6位の華星光電、8位の南京中電熊猫集団など中国勢の躍進。結果的に供給過剰で単価下落を招いたようだ。
 中国勢は政府の資金支援のもと建設した最新工場が稼働し、今後もシェアを上げる可能性が高い。首位のLGディスプレーは安定量産を続けるが、2位のサムスン電子は大型液晶パネル工場を有機ELパネル工場に転用し、シェアを落とした。
 【中小型液晶パネル】スマホの出荷台数の頭打ちと上位機種を中心に有機ELパネルに置き換わり始めたことで市場規模は数量、金額ともに縮小した。17年は米アップルが「iPhone」に有機ELパネルを採用することを決め、液晶から有機ELへと切り替わる流れは加速、市場の縮小が進みそうだ。
 首位のジャパンディスプレイは2年連続の首位だが、価格競争が激しい液晶パネルの利幅は薄く業績は最終赤字が続いている。4位5位の中国勢がシェアを伸ばし、日韓勢を射程に捉え始めた。
 【中小型有機ELパネル】スマホ用で液晶から有機ELへの置き換えが始まっている。中国のスマホメーカーも追従する可能性が高い。仮想現実(VR)機器などにも搭載され始め、市場は一気に拡大する。
 2010年から有機ELパネルを量産する韓国サムスン電子の「1強」は変わらず。引き続き9割超の圧倒的シェアを持つ。韓国のLGディスプレーや中国勢も巨額の設備投資を表明し、18年以降に競争が激しくなる。日本勢の存在感は薄い。
 【HDD】日米3社による寡占が続き、順位にも変動はなかった。米シーゲート・テクノロジーがパソコン向けの小容量品から撤退。その分、東芝が出荷台数を増やし、シェアも伸ばした。高速で可動部品を持たないソリッド・ステート・ドライブ(SSD)への置き換えが進んでおり、出荷台数の減少は続く見通しだ。
 【DRAM】パソコンの世界市場が縮小に転じたほか、けん引役だったスマホも減速し、市場規模は縮小している。
 上位は韓国サムスン電子とSKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーの3社寡占状態が続く。足元でサムスン電子がDRAM価格を引き上げたもようで、3社の収益は急回復している。
 【NAND型フラッシュメモリー】スマホの大容量化やデータセンター向け需要が堅調。数量・金額ともに市場規模は拡大する見通しだ。
 首位サムスン電子はデータ容量を飛躍的に高められる「3次元化」技術で先行し、同技術開発で後れを取る東芝など他社を引き離した。米ウエスタンデジタルが昨年3位だった米サンディスクを買収し、市場に参入した。東芝が同事業の売却を決めており、17年以降は上位の顔ぶれが変わる可能性が高い。
 【マイコン】昨年5位だった米マイクロチップ・テクノロジーが同業の米アトメルを約4千億円で買収し、3位に躍進した。通信用半導体の米クアルコムが2位のオランダNXPセミコンダクターズを買収する見込み。再編でシェアが変動する展開が続く。
 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や自動運転技術の進展で、市場規模は拡大。首位のルネサスエレクトロニクスは不採算事業からの撤退でシェアを落としてきたが、17年は上昇に転じる可能性が高い。
 【CMOSセンサー】背面に2つのカメラを搭載するスマホの複眼化が広がったことで、市場は拡大している。首位ソニーは熊本地震で主力生産拠点が被災したものの、中国メーカーの採用が増えてシェアを伸ばした。今後は自動運転車の開発に向けて、暗闇でも対象を捉えることができる高感度センサーなどの需要が広がりそうだ。
 【半導体製造装置】CPU(中央演算処理装置)など向け設備投資が堅調で、この分野に強い米アプライドマテリアルズがシェアを上げ、トップを維持した。
 2位の米ラムリサーチはDRAM向け設備投資が低調だった影響で若干シェアが落ちた。露光装置に注力するオランダASMLも昨年に続いてシェアを落としている。
 【サーバー】大型データセンターの拡張が一段落。「ウィンドウズ」や「リナックス」などのOSを搭載した小型サーバーは堅調だが、メインフレームなど旧来型の落ち込みが激しい。
 首位は米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)。基幹システム向けのメインフレームを主力とする3位の米IBMは、更新需要が一巡してシェアを下げた。米デルは米EMCの大型買収で顧客網を拡大し、出荷を伸ばした。
 【ルーター】首位の米シスコシステムズはわずかにシェアを落としたが、2位以下との差はなお大きい。
 華為技術は新興国を中心に顧客を得て、シェアをわずかに上げた。業績が悪化する米ブロケード・コミュニケーションズ・システムズが4位に落ちた。半導体大手の米ブロードコムがブロケードを買収する方針を発表しており、影響が今後のシェアに波及しそうだ。
 【ストレージ】米デルが米EMCを買収して発足した米デル・テクノロジーズが首位。前年首位は旧EMCだったが、新会社となり、2位以下をさらに突き放した。ただ、企業のクラウドへの流れは加速しており、データセンターを新設する需要が減っているため、市場は縮小している。
 【デジタルカメラ】日本勢が上位を占める数少ない市場だが、スマホ普及で市場縮小が止まらない。低価格市場の打撃が大きく、各社とも高級路線にシフトしている。ニコンは熊本地震の影響で部材調達が十分できず、シェアを落とした。「17年が底」との見方もあるが、先行きは不透明だ。
 【レンズ交換式カメラ】国内勢が上位5位を独占する。キヤノンは従来の一眼レフに加えて、ミラーレスカメラの販売も伸ばし、トップを固めた。富士フイルムは主力のミラーレスカメラの販売が好調で、シェアを高めた。アジアでは「自分撮り」機能を搭載したモデルが人気を集めている。世界市場が縮小するなかで、各社とも成長が期待できるアジアを中心に販売を強化する。
 【監視カメラ】世界各地でテロが発生するなか、人が多く集まる場所への設置が急がれており、市場は急成長する。来場者の属性を検知しマーケティングに生かす使い方も広がる。首位の中国ハイクビジョンは、割安さからシェアを拡大。中国の国内中心から欧米市場の開拓に成功している。パナソニックは高価格製品に注力し、出荷台数を増やしたが、市場が急速に伸びるなか、シェアを維持できなかった。
 【インクジェットプリンター】家庭の印刷需要の低下などで市場は縮小傾向。首位はHPで、キヤノン、セイコーエプソンを含めた上位3社でシェアの9割以上を占める。セイコーエプソンはインク容量が大きく、消耗品を交換する手間を減らした製品が人気でシェアを伸ばした。
 【A3レーザー複写機・複合機】日本勢が上位を独占する市場だが、中国の伸び悩みや欧州の景況感に不透明感が広がったことで、市場は縮小。上位4社はそろってシェアを伸ばしたが、先進国を中心に価格競争は激化。ペーパーレス化の動きが加速しており、各社の業績は厳しい。
 【M&Aアドバイザリー】活況だった15年の反動もあり、16年は世界のM&A(合併・買収)金額が前年比2桁減った。首位を維持した米ゴールドマン・サックスは英たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコと米2位のレイノルズ・アメリカンの経営統合など複数の大型案件に関わった。米モルガン・スタンレーは米国の通信業界の大型M&Aを獲得し、米JPモルガンを抜いて2位に浮上した。」(
2017/6/26付「日経産業新聞」P21より)

*「2016年の世界シェア」の詳細PDFは(ここ)~2017/06/26付「日経産業新聞」p20~21より

このシェアの記事を始めて、11年目になる。2006年のシェアが最初(ここ)。
その後、2010年(2009年のシェア)からは、オリジナルの紙面をPDFで挙げてきた。日経新聞を止めたことから、今年の取材も出遅れ、今年は世界シェアが載せられなかった。それで「そろそろ潮時かな・・・」と思っていたら、遠藤さんから「世界シェアの新聞があるよ」とのコメントを頂いた(ここ)。それで送って頂いたのが上の記事。(A4のスキャナで読み取って合成しているので、継ぎ目がある)

自分は昔からシェアの話が好きでこれを続けてきたが、世の中には、他にも好きな人が居られることを改めて認識した。
遠藤さんのお陰で、11年間途切れなく続けることが出来た。

そもそもマーケットシェアは連続性が重要。対前年でどう変わったか・・・。
遠藤さんから励まされ(?)来年以降も、続ける意欲が出て来た。来年も乞うご期待!?

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